戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

18 / 162
第16話『大人が夢を見る意味』

マクーに捕らえられた未来の救出に、轟と響が動いた丁度その頃………

 

フィーネの拠点である某所に在る不気味な洋館では………

 

「…………」

 

その一室にて、黒い服を来たフィーネが、ソロモンの杖を手に佇んでいる。

 

とそこで、その部屋の扉が乱暴に開かれる。

 

「アタシが用済みって何だよ!? もう要らないって事かよ!? 頭ん中グチャグチャだ! 何が正しくて何が間違ってるのか分かんねえんだよ!!」

 

扉を開いた者………クリスが早口気味にそうフィーネに捲し立てる。

 

「…………」

 

そんなクリスを、フィーネは感情の無い目で冷たく見据えている。

 

「何とか言えよ! フィーネッ!!」

 

と、クリスが更に声を荒げた瞬間………

 

「…………」

 

フィーネは無言のままソロモンの杖を翳し、クリスの周りにノイズを召喚した!

 

「ギーッ!!」

 

「ギギッ!!」

 

更にクラッシャー達も現れ、クリスを取り囲む!

 

「!!………」

 

咄嗟にギアペンダントを握るクリスだったが、使用を躊躇する。

 

「フフフフ………憐れな小娘め。利用されていた事に気付かぬとはな」

 

とそこで、漸くフィーネが口を開いたかと思うと、男性の声でそう言って来た。

 

!? フィーネじゃない!? 誰だお前!?」

 

その声で相手がフィーネでないと分かったクリスが問い質す。

 

「我はドン・ホラー。マクーの首領だ」

 

「!? マクーの首領!? フィーネは! フィーネは如何したんだ!?」

 

「そんな奴はもう居ない………この身体はもう我の物だ」

 

と、フィーネ………否、ドン・ホラーがそう言った瞬間、その身体が怪しい光に包まれ………

 

()()()()()()()()となったネフシュタンの鎧を纏った姿となった!!

 

「!!」

 

「この不滅の鎧………そしてカ・ディンギルが有れば、この地球………いや、宇宙は我らマクーの物だ!」

 

カ・ディンギル?………」

 

「此処で死ぬ貴様が知る必要は無い!」

 

ドン・ホラーの目から、稲妻状の光線がクリス目掛けて放たれる!!

 

「!? うわあああっ!?」

 

咄嗟に何とか回避したクリスだったが、光線の着弾で発生した爆風によって、屋敷の外へ追い出される!

 

「ギーッ!!」

 

「ギギッ!!」

 

それを追って、クラッシャー達とノイズ達も外へと出て来る。

 

「チクショウ………チクショウッ!」

 

吹き飛ばされて転がった痛みと悔しさで涙を浮かべながら、クリスが叫ぶ。

 

「殺れっ! その小娘を血祭りに上げるのだ!!」

 

ドン・ホラーが高らかに言い放つと、クラッシャー達とノイズ達が一斉にクリスに襲い掛かる!

 

 

 

 

 

と、その時!!

 

 

 

 

 

何処からとも無く飛んで来たロケット弾が、そのクラッシャー達とノイズ達に直撃した!!

 

「ギーッ!?」

 

「ギギッ!?」

 

「うわっ!?」

 

一瞬でクラッシャー達とノイズ達が消し飛び、クリスが思わず身を伏せるが、計算されて放たれていたロケット弾は、クリスに一切に危害を及ぼさなかった。

 

「むっ?………」

 

「クリス! 大丈夫か!?」

 

ドン・ホラーが僅かに驚きを示していると、ロケットマンが現れ、クリスの傍に寄る。

 

「! 小父さん!?」

 

「ココは逃げるぞ!」

 

驚くクリスを横目に、ロケットマンは右手の甲に装着していた手甲型の小型ロケットランチャーの小型ロケット弾を放つ!

 

すると、放たれた小型ロケット弾が空中で爆発し、辺り一面を煙で包み込んだ!!

 

「…………」

 

その煙の中で、何をするでも無く佇むドン・ホラー。

 

やがて煙が晴れると、クリスとロケットマンの姿は何処にも無かった………

 

「逃げたか…………探せ! 見つけ出して息の根を止めるのだ!!」

 

「ギーッ!!」

 

「ギギッ!!」

 

ドン・ホラーがそう言うと、新たなクラッシャー達が現れ、逃げたクリスとロケットマンの追撃を開始するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日………

 

リィデアン音楽院への通学路にて………

 

「降ってるね~」

 

「通り雨らしいから、すぐ止むみたいだよ」

 

傘を差した響と未来が、鉛色の空を見上げながらそう言い合う。

 

「轟兄………こんな時でもマクーを探してるのかな?」

 

「多分そうだね。轟お兄ちゃんだったらきっと………」

 

昨日、3年ぶりに再会したばかりの轟の事を思い出しながら語り合う響と未来。

 

「生きてるとは信じてたけど………まさか宇宙刑事ギャバンが轟兄だったなんて、ビックリだよ」

 

「私も………でも、ギャバンさんと初めて会った時、何だか懐かしい感じがしたの」

 

「あ! やっぱり未来もそう感じてた!? 私もだよ~」

 

「フフ………」

 

自然と2人の顔に笑みが浮かぶ。

 

(轟兄………全然変わってなかった………強く優しくて………)

 

(私達が困っていると何処からとも無くやって来てくれる………私達の知ってる轟お兄ちゃんのままだった)

 

それと同時に、胸の高鳴りも覚える。

 

(ああ、やっぱり私………)

 

(轟お兄ちゃんの事………)

 

2人の頬に朱が滲む。

 

轟の事を兄の様に思っていた気持ちは、何時しか恋心へと変わっていた………

 

((でも………未来(響)も轟兄(お兄ちゃん)の事、好きだよね?))

 

しかしそこで2人はそう思う。

 

(やっぱり轟兄も、未来みたいな可愛くて健気な子の方が好きだよね?)

 

(響みたいに明るくて元気な子の方が、轟お兄ちゃんにはお似合いだよね?)

 

お互いに相手の方が轟に相応しいと思ってしまう響と未来。

 

(轟兄にも未来にも幸せになって欲しい………でも)

 

(響と轟お兄ちゃんが幸せなら………ああ、やっぱり駄目)

 

身を引こうと互いに考えるものの、やはり諦め切れない思いが過る2人。

 

((如何すれば?………))

 

ふとそこで、響は未来を、未来は響に視線を向け、意図せずにお互いの視線が交差する。

 

「「!?」」

 

響と未来は思わずギョッ!となって立ち止まる。

 

「な、何!? 未来」

 

「べ、別に!………響こそ何?」

 

「わ、私も何でも無いよ!」

 

「そ、そう………」

 

そう言い合って沈黙する2人。

 

((………如何しよう?))

 

折角仲直り出来たのに、別の意味で気まずくなってしまいそうになる………

 

 

 

 

 

と、その時!!

 

 

 

 

 

「ギーッ!?」

 

「ギギッ!?」

 

横に在った路地裏への入り口から、クラッシャー達が飛び出して来た!!

 

「! マクーッ!?」

 

「!!」

 

すぐさま未来を庇う様にする響と、驚きを露わにする未来。

 

しかし………

 

「………えっ?」

 

路地裏から飛び出して来たクラッシャー達は、そのまま倒れて動かず、怪しい光を放って消滅した。

 

「クリス! しっかりしろ!!」

 

「「!!」」

 

続けて路地裏からそんな声が聞こえて来たので、2人が警戒しながら路地裏を覗き込むと………

 

「う、ううう………」

 

「クリス! クリス!」

 

降り頻る雨の中、傘も差さずに路地裏にへたり込んで壁に寄り掛かっている顔色の悪いクリスと、そのクリスに向かって必死に呼び掛けているロケットマンの姿が在った。

 

「! あの子、あの時の!?」

 

「クリスちゃん!!」

 

それを認めた未来と響が、慌てて駆け寄る。

 

「! 君は………立花 響か」

 

「えっと………貴方は?」

 

ロケットマンが声を挙げると、その恰好ゆえに若干困惑気味に尋ねる響。

 

「私は世界忍者 爆忍・ロケットマン。クリスの………まあ、小父の様なモノだ」

 

「はあ………」

 

「それよりも、何処かに休める場所はないか? 昨日から追撃を受けていて碌に休んでいないんだ。私は大丈夫だが、クリスが………」

 

そう言って壁に寄り掛かっているクリスに視線を向けるロケットマン。

 

「ハア………ハア………」

 

クリスは雨に濡れたまま呼吸を荒くしている。

 

「何があったんですか?」

 

未来が持っていた傘でクリスの雨除けをしながら訪ねる。

 

「詳しくは私も分からないが、クリスは今、属していたマクーと言う組織から見限られ、追われている状態だ」

 

「! マクーから!?」

 

「響!」

 

ロケットマンの説明に驚く響に呼び掛ける未来。

 

「ココからなら、おばちゃんのお店が1番近いよ!」

 

「! 分かった!」

 

それだけ聞くと、響はクリスを背負い込んで立ち上がる。

 

「付いて来て下さい!」

 

「感謝する」

 

そしてロケットマンと共に、ふらわーへと向かうのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小1時間後………

 

ふらわーの住居スペースの一室にて………

 

「………う………ううう………! ハッ!?

 

「あ! 気が付いた? クリスちゃん」

 

「良かった………」

 

布団に寝かされていたクリスが、バッと跳び起きる様に身を起こすと、傍に居た響と未来が声を掛ける。

 

「! お前達は………?」

 

クリスは軽く驚いた後、辺りを見回し、更に自分の身体を見て、胸に『小日向』と書かれた体操服を着ている事に気付く。

 

「びしょ濡れだったから、着替えさせれ貰ったよ」

 

「! 勝手な事を!!」

 

文句を言いながら布団を撥ね退けて立ち上がるクリス。

 

「!?」

 

「わっ!?」

 

途端に未来と響が顔を赤くする。

 

「?………!?

 

それに首を傾げたクリスが、下半身に違和感を感じて視線を向けると………

 

「し、下着の替えは無かったの………」

 

「!!」

 

未来が申し訳無さそうにそう言うと、クリスは再度しゃがみ込んで布団に包まった。

 

「クリスちゃん………可愛い」

 

「! ウルセェッ!!」

 

そんな姿を見てそう感想を漏らす響を、クリスは怒鳴りつける。

 

「未来ちゃん、響ちゃん。如何お友達の具合は?」

 

とそこで、洗濯物らしき物を入れた籠を抱いたふらわーのおばちゃんが姿を見せる。

 

「目が覚めたところです」

 

「ありがとう、おばちゃん。布団まで貸して貰っちゃって」

 

「気にしないで良いんだよ。あ、お洋服、洗濯して於いたから」

 

「店主。頼まれていた買い出しを終えて来た。コレで全部の筈だ」

 

更にそこで、買い物袋を手にしたロケットマンも現れる。

 

「! 小父さん!」

 

「まあ助かるわ~。ありがとうね」

 

「何の。受けたお恩義に報いるのは世界忍者として当然の事だ」

 

「あ、洗濯物干すの手伝うね」

 

驚くクリスを横目に、おばちゃんとそう遣り取りを交わすと、未来が洗濯物を干す手伝いを申し出る。

 

何時の間にか雨は止み、日が差していた。

 

「…………」

 

「心配するな、クリス。此処に居る者達は皆信用出来る」

 

「………小父さんがそう言うなら」

 

警戒心を見せていたクリスだったが、ロケットマンにそう言われると不承不承ながらも頷いて見せるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、未来がクリスの身体をタオルで拭こうとしたので、ロケットマンは一旦退室。

 

響もクリスの許可を得て、二課への連絡を入れる為に一旦部屋を出た。

 

2人だけとなった室内で、汚れていたクリスの身体を丁寧に拭いてやる未来。

 

「………あ、ありがとう」

 

「うん………」

 

「………何も聞かないのか?」

 

「………私はそういうのが苦手みたい。今までの関係を壊したくなくて、なのに………1番大切なモノを壊してしまった」

 

「それって………アイツと喧嘩したって事か?」

 

響の事を思い浮かべながら訪ねるクリス。

 

「うん。轟お兄ちゃんのお陰で、もう仲直りは出来たんだけどね」

 

「轟お兄ちゃん?………」

 

「私と響の幼馴染で、ちょっと年上のお兄ちゃんみたいな人。強くて優しくて………私や響が困っていると何処に居ても必ず駆け付けて来るの」

 

「………何かどっかで聞いたな、ソレ」

 

以前に響から自己紹介された時に聞かされた事を、クリスは思い出す。

 

「お前もソイツが好きなのか?」

 

「!? ふええっ!?」

 

クリスがそう尋ねると、途端に未来は顔を真っ赤に染める。

 

「そ、その………お兄ちゃんみたいって言うか、あんなカッコイイのに好きにならないなんて無理があるって言うか、そもそも轟お兄ちゃんが如何思ってるか」

 

イデデデデデッ!? イテェよ!!」

 

テンパって若干支離滅裂な事を言っている内に力が入ってしまったのか、身体を拭かれていたクリスが悲鳴を挙げる。

 

「あ! ゴ、ゴメン!………」

 

「クリスちゃん、如何したの!? 悲鳴みたいな声がしたけど!?」

 

と、未来が謝っていると、先程の悲鳴を聞いた響がやや慌てた様子で部屋に入って来る。

 

「「あ………」」

 

そして身体を拭かれていたので半裸状態だったクリスと目が合い、お互いに固まる。

 

「………艶姿」

 

「!!」

 

思わずそう呟いた響の顔に、クリスが投げた枕が直撃する!

 

「ふぎゅっ!?」

 

「馬鹿………」

 

枕が顔に直撃している響の姿を見ながら、未来が呆れた様に顔に手を当てて呟く。

 

「アタタタ………あ、クリスちゃん。師匠………えっと、特異災害二課の司令をしてる人が会いたいって言ってるんだけど………」

 

「ああん? 二課の司令が?」

 

枕が当たった顔を抑えながらクリスにそう言う響。

 

「駄目………かな?」

 

「チッ………お前には借りが有るからな。今回だけ顔を立ててやる」

 

「! ありがとう! クリスちゃん!」

 

「! フンッ!………」

 

嬉しそうな笑顔を浮かべる響を見て、クリスは赤くなった顔を隠す様にそっぽを向く。

 

「フフフ………」

 

そんな響とクリスの姿に、未来も笑みが零れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから暫し時間が流れ………

 

弦十郎がクリスを信頼させる為か、護衛も付けずにふらわーへとやって来た。

 

最も、彼に護衛が必要なのかは疑問であるが………

 

それはさて置き、雨が降っていたのが嘘の様に好天となったので、洗濯した服が早々に乾き、身形を整えたクリスは、互いに畳の上に座って弦十郎と相対す。

 

「…………」

 

2人を取り持つ為か、間にはロケットマンが座っている。

 

「「…………」」

 

響と未来は、部屋の隅でその様子を見守っている。

 

尚、ふらわーのおばちゃんは開店時間となったので店に入っている。

 

「漸く会えたな………雪音 クリスくん」

 

「…………」

 

感慨深そうに言う弦十郎に対し、クリスは露骨に嫌悪感を露わにしている。

 

「クリス。そう言う感情は露骨に表に出すんじゃない」

 

「フン!」

 

ロケットマンが窘めるも、クリスはそっぽを向く。

 

「やれやれ………申し訳ない、風鳴 弦十郎殿。クリスは少々気難しいところがあってな………」

 

「気にしないで下さい。彼女ぐらいの歳の子はそうでしょう」

 

「オイ! 何保護者面談みたいな会話してんだ!」

 

ロケットマンと弦十郎の会話に、クリスがそうツッコミを入れる。

 

(フフフフ………)

 

(響、駄目だよ………ウフフ)

 

響と未来も笑いを隠し切れないでいた。

 

「~~~~!」

 

そんな一同の様子に、クリスは更にそっぽを向いてしまう。

 

「すまない。苛める積りじゃなかったんだがな………取り合えず、差し入れだ。食べてくれ」

 

そう言って、持って来ていたビニール袋をクリスの前に差し出す。

 

中には牛乳パックが1つと、大量のアンパンが入っていた。

 

「…………」

 

チラリと横目で一瞥しただけで無視するクリスだったが………

 

そこで彼女の腹が可愛らしい音を立てた。

 

「!~~~」

 

「クリス、遠慮せず食べろ。大丈夫だ。毒は入っていない」

 

羞恥でまたも顔を真っ赤にするクリスに、世界忍者の眼力で毒は入っていない事を見抜いたロケットマンがそう言う。

 

「…………」

 

暫し大量のアンパンと睨めっこしていたクリスだったが、やがて空腹に負けた様に手を付け始めた。

 

「! 旨いっ!」

 

と、一口食べてそう呟いたクリスは、そのままガツガツとアンパンを頬張り始める。

 

「それは良かった。ココへ来る途中で見かけた『デンジパン』と言う名の屋台で買ったんだ。店主の人と妙に気が合ってな」

 

「美味しそう………」

 

「響、涎。後で買ってあげるから………」

 

弦十郎がそう言う横で、響が羨ましそうに涎を垂らしており、未来が窘める。

 

「ヴァイオリニストの『雪音 雅律』と、その妻である声楽家の『ソネット・M・ユキネ』が、難民救済のNGO活動中に戦火に巻き込まれて重傷を負ったのが8年前。重傷を負った夫妻は1人娘と共に帰国………」

 

クリスがアンパンを頬張り続ける中、弦十郎が語り始める。

 

「その後、夫妻は回復したが………娘が家出をし、そのまま消息不明となる」

 

「良く調べてるじゃねえか………そう言う詮索、反吐が出る」

 

「当時の俺達は適合者を探す為に、音楽界のサラブレットに注目していてね。消息不明となった事に慌て、二課からも相当数の捜索員が駆り出されたが、この件に関わった者の多くが死亡、或いは行方不明と言う最悪の結末で幕を引く事となった」

 

「何がしたい、おっさん!」

 

回り諄い言い方をする弦十郎に、クリスがイラついた様に怒鳴る。

 

「俺がやりたいのは………君を救い出す事だ。引き受けた仕事を果たすのは、大人の務めだからな」

 

「ハッ! 大人の務めと来たか! 余計な事以外は、何時も何もしてくれない大人が偉そうに!」

 

「クリス!」

 

「アタシは大人が嫌いだ! パパとママも嫌いだ! 夢想家で臆病者! アタシはアイツ等とは違う! 戦地で難民救済? 歌で世界を救う? 良い大人が夢なんて見てるんじゃねえよ!!」

 

ロケットマンの制止の声も届かず、クリスは感情のままに喚き散らす。

 

「大人が夢を………か」

 

「本当に戦争を無くしたいのなら、戦う意思と力を持つ奴等を片っ端からブッ潰して行けば良い! それが1番合理的で現実的だ!」

 

「「…………」」

 

そう言うクリスに、響と未来は悲しそうな視線を向ける。

 

「そいつがお前の流儀か? なら聞くが………そのやり方でお前は戦いを無くせたのか?」

 

「! そ、それは………」

 

「良い大人は夢を見ないと言ったな? そうじゃない。大人だからこそ夢を見るんだ。大人になったら背も伸びるし力も付く。財布の中の小遣いだってちっとは増える。子供の頃は見るだけだった夢も、大人になれば叶えるチャンスが大きくなる。夢を見る意味が大きくなる」

 

真剣な表情でクリスに語る弦十郎。

 

「お前の親は、只夢を見に戦場に行ったのか? 違うだろ………歌で世界を平和にするって夢を叶える為に自らこの世の地獄に踏み込んだんじゃないか?」

 

「何で、そんな事………」

 

「お前に見せたかったんだろう。夢は叶えられると言う、揺るがない現実をな」

 

「!!………」

 

「お前は嫌いと吐き捨てたが、お前の両親はきっとお前の事を大切に思っている筈だ」

 

「………そんなの、今更信じられるかよ!!」

 

弦十郎の言葉に思う所があったクリスだが、素直に認める事が出来ず、そう吐き捨てる。

 

「………風鳴殿。ココからは私に任せてくれないだろうか?」

 

するとそこで、ロケットマンが弦十郎に向かってそう言う。

 

「………頼みます」

 

直感的に任せた方が良いと判断した弦十郎は、後の事をロケットマンに任せる。

 

「行くぞ、クリス」

 

ロケットマンはそう言いながら立ち上がり、クリスの手を引いてやや強引に連れ出す。

 

「オ、オイ! 小父さん! 何処行くんだよ!?」

 

「お前の両親の所だ」

 

「ハアッ!?」

 

突然両親の所に連れて行くと言われ、クリスが困惑する。

 

「見せてやるクリス。夢を捨てた大人がどんなモノかと言うのをな………

 

頭巾の中でやや険しい顔を浮かべ、ロケットマンはクリスにそう言うのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

遂にフィーネがドン・ホラーに乗っ取られていた事を知るクリス。
あわやの状態となるが、ロケットマンの介入で事無きを得ます。

そして翌日………
登校中だった響と未来と会合。
原作では未来だけと会合でしたが、この作品では既に仲直りが済んでいるので、2人と会合する形になりました。
ちょっと三角関係になりかけている響と未来ですが、この事に関してはG編で割とアッサリ解決する予定です。
ドロドロさせたりするのは苦手なので。

ふらわーに連れ込まれたクリスは、そのまま弦十郎と会合します。
原作と違い両親が健在なので、クリスの態度はやや軟化気味です。
しかし、やはり例の1件で両親の事を信じられていない様子。
そんなクリスに、ロケットマンは今の両親の姿を見せようとします。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。