戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

20 / 162
第18話『束の間の安らぎ』

リディアン地下・特異災害二課の本部………

 

「そうか。クリスくんは無事家族と和解出来たか」

 

「ハイ。当面は一緒に過ごすそうです」

 

ロケットマンからの報告を受けた慎次が、弦十郎にその事を伝える。

 

「2年ぶりの再会だ。親子水入らずを邪魔する積りは無い。ただ、彼女はマクーに狙われている。護衛だけは忘れるな」

 

「ハイ。黒服達を秘密裏に張り付かせてます。ロケットマンさんも暫く日本に留まってくれるそうです」

 

「うむ………緒川。1つ頼まれて来るか?」

 

とそこで、弦十郎が慎次に任務を与えようとする。

 

「何でしょう?」

 

「響くんと未来くん………この2人の経歴を探ってくれるか?」

 

「響さんと未来さんの、ですか?」

 

思わぬ任務内容に、慎次は軽く驚きを示す。

 

「うむ。先日の未来くんが誘拐された件………またも宇宙刑事ギャバンに助けられたが、その際の2人の様子がいつもと少し違って見えた様な気がしてな………」

 

「………宇宙刑事ギャバンの正体は響さんと未来さんの共通の知り合いかも知れないと?」

 

先日の未来が誘拐された件の際に、2人の僅かな態度の違いで、ギャバンの正体が2人の顔見知りである可能性を思い至った様だ。

 

流石は元公安である。

 

「彼の事は個人的には信頼している………だが、一応政府の機関としてはいつまでも正体不明の人物を頼りにしているワケには行かない」

 

「せめて身元がハッキリとすれば公式に協力関係を結べますからね」

 

「彼の信頼を裏切ってしまう様で心苦しいが………頼めるか?」

 

「分かりました。勿論、響さん達には内緒にしておきます」

 

「頼むぞ………そう言えば、その響くん達は如何した? 未来くんの事の説明は終わったのだろう?」

 

そこで当の響達の事について尋ねる弦十郎。

 

先日の1件で、二課は未来を、本人の希望も有って正式な外部協力者として委嘱登録する事にし、今日は響達をその説明に集めていた。

 

「皆さんでしたら、『デート』に行かれましたよ」

 

『デート』?………」

 

慎次からの思わぬ返答に、弦十郎は首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響・未来・翼・奏の4人はデート………

 

基、翼と奏の遅まきながらの退院祝いと言う名目で街遊びに繰り出していた。

 

大人数で遊びに繰り出すと言うのが初めてだった翼が気合の入ったオシャレをして待ち合わせ場所に、待ち合わせ時間の30分以上前から集合していて、それを指摘されて照れ隠しで怒ったり………

 

雑貨店でキャラクターグッズの可愛さに燥いだり………

 

映画館で恋愛映画を見て、ラストのシーンで感動の涙を流し………

 

盛り上がったのでもう1本見ようと、某有名監督がリブートした宇宙の彼方からやって来た巨大ヒーローの映画を見て、ラストシーンでまた涙したり………

 

服屋でファッションショー染みた試着合戦を展開したり………

 

クレーンゲームで躍起になった響を宥めたり

 

カラオケで、演歌を歌うと言う翼の意外な面を見た後は、プロであるツヴァイウイングのデュエットを無料で拝聴させて貰ったりと、大いに盛り上がり、楽しんでいた………

 

その途中………

 

「あれ? 響、確か此処って、響の伯父さんのお店だったよね」

 

歩いている内に辿り着いたのか、立花輪業の前に来た一同の中で、未来がそう声を挙げた。

 

「あ、うん、そうだよ」

 

「ほう、立花の伯父はバイクショップを経営していたのか………」

 

響が返事を返すと、翼が興味深そうに立花輪業の店舗を見上げる。

 

「翼はバイクが好きだもんな………ちょっと寄ってくか?」

 

そんな翼の様子を見た奏がそう提案する。

 

「! い、いや! 私個人の趣味に皆を付き合わせるのは………」

 

「遠慮するなって。ホントは入ってみたいんだろ?」

 

「それは………」

 

覘きたいのは本心な為、一瞬言葉に詰まる翼。

 

「私は構いませんよ」

 

「私も伯父さんに翼さんや奏さんを紹介したいです!」

 

未来と響も構わないと言う。

 

「………じゃあ、ちょっとだけ」

 

皆にそう言われ、翼は笑みを浮かべて頷くのだった。

 

 

 

 

 

立花輪業・店内………

 

「「こんにちは~」」

 

「「お邪魔します」」

 

「いらっしゃい………ああ、響ちゃんか。それに未来ちゃんか。久しぶりだな」

 

4人が入店すると、藤兵衛が先ず響と未来に気付いて挨拶してくる。

 

「こんにちは、伯父さん」

 

「御無沙汰してます」

 

笑みを浮かべてる響と、ペコリと頭を下げる未来。

 

「で、そっちの2人は?」

 

そこで藤兵衛は、2人の背後に居た翼と奏に目を向ける。

 

「フッフッフッ………誰だと思う?」

 

響が自慢げな表情を浮かべて問い掛ける。

 

「んん?………! ひょっとして、ツヴァイウイングの!?」

 

そう言われて翼と奏の姿を良く見た藤兵衛が、ツヴァイウイングの2人だと気付く。

 

「どうも、響の伯父さん。知ってると思うけど、ツヴァイウイングの天羽 奏だよ。で、こっちが………」

 

そんな藤兵衛に自己紹介した後、翼にも自己紹介を促そうとした奏だったが………

 

「…………」

 

当の翼は、藤兵衛の姿を見て目を見開き、口も半開きにして驚きを露わにしていた。

 

「? 翼? 如何し………」

 

「あ、あの! ひょっとして、元レーサーの立花 藤兵衛さんじゃないですか!?」

 

奏が如何したのかと尋ねようとした瞬間に、翼は興奮した様子で藤兵衛にそう詰め寄った。

 

うおっ!? あ、ああ、大分昔の事だが………」

 

「やっぱり! ああ、まさか立花の伯父様だったなんて………あ、あの! サイン頂いても良いですか!? 出来れば写真も!!」

 

驚きながら藤兵衛が肯定すると、翼は更に興奮しながら何処からとも無く色紙とマジックを取り出し、スマホを握る。

 

「構わないが………俺が現役で活躍してたのは大分前なのに、嬢ちゃん良く知ってたな」

 

色紙とマジックを受け取りながら翼にそう言う藤兵衛。

 

「何を仰るんですか! バイク乗りの間で、立花 藤兵衛さんと言えば伝説のレーサーですよ! 知らないワケないじゃないですか!!」

 

「ハハハッ、嬉しいねえ。こんな若い子………しかも人気のアーティストに知っていてもらえるとは………はい、コレで良いかな?」

 

嬉しそうにしながらサインを書き終えた藤兵衛が、色紙を翼に返す。

 

「うわ~っ! ありがとうございます!………! ハッ!?

 

藤兵衛のサインが掛かれた色紙を持って歓喜の表情を浮かべていた翼だったが、そこで我に返り、奏達の方を見やる。

 

「「…………」」

 

「フフフ………」

 

響と未来は唖然としており、奏は微笑ましそうに笑いを零していた。

 

「~~~~~っ!!」

 

途端に顔を真っ赤にした翼は、変装用に被っていた帽子を破けるのではないかと心配になるぐらいに目深に手で引っ張り、必死に顔を隠そうとする。

 

「可愛いね~、翼~」

 

そんな翼と肩を組むと、揶揄う様に頬を指で突く奏。

 

「~~~~~~っ!!」

 

翼は言い返す気力も無く、只々されるままになっていた。

 

「翼さんって………」

 

「案外分かり易い人なのかも………」

 

そんな翼の姿を見て、響と未来はそう言い合う。

 

その後、改めてツーショット写真を撮って貰い、更に藤兵衛が淹れてくれた旨いコーヒーに舌鼓を打って一息入れると、一同は立花輪業を後にした。

 

去り際に翼がサラリと今後はこの店を贔屓にさせて貰うと言ったり、藤兵衛の方も翼のバイク乗りのしての実力を見抜いたのか、久々にレーシングコーチを付けてやると血を滾らせていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後………

 

響達一同がやって来たのは、街を見下ろせる丘の上に在る公園だった。

 

「翼さ~ん」

 

公園へと続く階段の途中でへばり気味になっていた翼に響が声を掛ける。

 

「ハア………ハア………3人供、如何してそんなに元気なんだ?」

 

「翼さんがへばり過ぎなんですよ」

 

「だらしないぞぉ」

 

「今日は慣れない事ばかりだったから」

 

響と奏がそう返し、未来がフォローする。

 

「防人であるこの身は、常に戦場に在ったからな………本当に今日は、知らない世界ばかりを見て来た様だ」

 

漸く階段を上り終えた翼がそう漏らす。

 

「そんな事ありません」

 

するとそこで、響が翼の手を引く。

 

「あ! オ、オイ! 立花、何を………あ」

 

手を引かれた翼が見たのは、街の一望だった。

 

「おお、こりゃ絶景だねえ」

 

その隣へとやって来た奏もそう漏らす。

 

「あそこが待ち合わせした公園です。皆で一緒に遊んだ所も、遊んでない所も、全部翼さんの知ってる世界です!」

 

街の場所を指差しながらそう言う響。

 

「昨日に翼さんと奏さんが戦ってくれたから、今日に皆が暮らせている世界です。だから、知らないなんて言わないで下さい」

 

「そうか………奏。私にも奏が見ていた世界の事が少し分かった気がするよ」

 

「そいつは何よりだ」

 

響の言葉を聞いて、翼は微笑を浮かべて奏にそう言い、奏は満足そうな笑みを浮かべるのだった。

 

「これからも守って行きましょう! よろしく勇気で!

 

「よろしく勇気………」

 

「確か、轟兄って奴に教わったんだよな?」

 

そこで、響からお決まりの台詞が出ると、奏が以前に聞いた話を思い出して問い掛ける。

 

「あ、ハイ。十城士 轟………私と未来の少し年上の幼馴染です」

 

「生まれて間も無くに両親を事故で亡くしていて、孤児院で生活していたんですけど………そんな事感じさせないくらい明るくて気さくで、そして正義感が強くて………私と響、それに孤児院の子達からヒーローみたいに思われてました」

 

轟の話となり、響と未来は懐かしそうに語り出す。

 

「纏まったお金持ち歩かないって悪い癖もありましたけど………」

 

「暇さえ有れば孤児院の子供達と一緒に遊んであげてたから、とっても慕われてたんです」

 

まるで自分の事の様に轟の事を自慢する響と未来。

 

「へえ~、そうなのか~」

 

「フフフ………」

 

そんな響と未来の様子に、奏と翼は微笑ましさを覚える。

 

とそこで、一同の耳に子供達の声が聞こえて来た。

 

視線を向けるとそこには、公園内の広場で1人の青年が、小学生ぐらいの子供達に混じってサッカーをしていた。

 

「そうそう、轟兄もあんな感じで………えっ?」

 

「アレって………」

 

その青年の姿を見て驚く響と未来。

 

「そら、行くぞっ!!」

 

それは今まさに話していた轟本人だった。

 

「「轟兄(お兄ちゃん)!?」」

 

「ん? おお、響ちゃん、未来ちゃん。皆ゴメン、ちょっと待ってくれ」

 

2人の声で気付いた轟が、子供達にそう言うと近寄って来る。

 

「よっ、奇遇だな。如何したんだ、こんな所で?」

 

「こっちの台詞だよ!」

 

「何やってるの、轟お兄ちゃん?」

 

気さくに言って来た轟に、ツッコミの様に返事を返す響と未来。

 

「ちょっと此処を通り掛かったら、あの子達が人数が足りなくて困ってたみたいでな。ちょっと入れさせて貰ったのさ」

 

背後の方に居る子供達を親指で指しながら言う轟。

 

「そうだったんだ………」

 

「いや、何て言うか………轟兄らしいね」

 

未来と響は笑みを零す。

 

「へえ~、アンタが十城寺 轟かい」

 

(この男の気配………何処かで感じた様な気が………)

 

とそこで、奏と翼も轟の傍に寄る。

 

翼の方は、轟から感じる気配を以前にも何処かで感じた様な気がしている………

 

「ん? んん?………! ひょっとして、ツヴァイウイングの天羽 奏と風鳴 翼か!?」

 

奏と翼を見た轟が一瞬考え込む様な素振りを見せた後、2人に気付いた様子を見せる。

 

「! あ、ああ………」

 

「おっと、見破られちまったかい。悪いけど、今はプライベートなんでね。あんまり騒がないでくれるかい」

 

轟の声で思考を一時中断する翼と慣れた対応を見せる奏。

 

「おっと、そりゃ失礼………2人とも、何時の間にこんなトップアーティストと知り合いになったんだ? 羨ましいねえ」

 

「あ~、えっとその………」

 

「翼さんとは学校が同じなんです。それで奏さんとも知り合って」

 

「そう言えば、2人ともリディアン音楽院に通ってるんだったな。しかし、未来ちゃんは兎も角、響ちゃんがあの有名校に受かるだなんて………世の中分からないものだなぁ」

 

「ちょっ! 轟兄! それ如何言う意味!?」

 

「毎年試験前に俺や未来ちゃんに泣きついて来てたのは何処の誰だっけ?」

 

「うっ!!………」

 

「ホント、響がリディアンに受かったのは奇跡としか言い様がないよね」

 

「未来まで~! 酷いよ~!!」

 

「「アハハハハハハッ!」」

 

頬を膨らませてむくれて見せる響を見て、轟と未来が笑い声を挙げる。

 

気安い雰囲気が、3人の間には流れていた。

 

「………良いわね。幼馴染って」

 

そんな様子に翼も笑みを浮かべてそう呟く。

 

「いや、それだけじゃないね………」

 

すると奏が、何かに気付いた様に顎に手を当ててニヤリと笑う。

 

「? それだけじゃないって………如何言う事、奏?」

 

「あの2人………どっちもあの轟って奴の事が好きだね」

 

「!? ええっ!?………むぐっ!?」

 

(シッ! 静かに………)

 

奏がそう指摘すると、途端に翼は真っ赤になって驚きの声を挙げたが、奏に口を塞がれ、小声で話し出す。

 

(ちょっ、奏! ホントなの!?)

 

(ああ、見てみろ、あの2人の目………)

 

そう言われて翼が響と未来の目を見やると………

 

他愛も無い会話をしているにも関わらず、2人の前には何処か熱が籠っている事に気付く。

 

(………確かに、何て事ない会話をしてるだけなのに、妙に目が輝いてるわね)

 

(だろ? しかも如何やら奴さんの方はそれに気づいてないみたいだ)

 

一方で、そんな響と未来を見ている轟の目には取り立てて変化が無い事から、奏は更にそう察する。

 

(如何やら奴さんにとって2人は妹みたいな感じって事とこだね)

 

(で、でも奏! コレって所謂三角関係ってやつよね? 如何したら良いの!?)

 

(オイオイ、他人の私達が口を挟む事じゃないだろ? こう言うのは当人達の問題だ)

 

(そ、そうだけど………)

 

(それに………)

 

(? それに?………)

 

(その方が面白いじゃないか!)

 

イイ笑顔でそう言う奏。

 

(か、奏ぇ!!)

 

(な~に、大丈夫さ。何と言うか、あの3人はアレで上手くやって行けそうな感じが有るし)

 

(そんな無責任な………)

 

「翼さん? 奏さん?」

 

「如何したんですか?」

 

と、翼と奏がひそひそと話しているのに気付いた響と未来が声を掛けて来る。

 

「! べべべ、別に!」

 

「何でもないよ」

 

若干挙動不審になってしまう翼と、難なく誤魔化す奏。

 

「「??」」

 

そんな翼と奏の姿に只首を傾げる響と未来だった。

 

「ねえ~、お兄ちゃ~ん。まだ~?」

 

「早く続きやろうよ~!」

 

するとそこで、痺れを切らしたのか、子供達が轟に駆け寄って来て、取り囲みながらそう訴える。

 

「ああ、ゴメンゴメン………そうだ、皆! このお姉ちゃん達も一緒に入れてやっても良いかな?」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

轟からの思わぬフリに響達は一瞬困惑したが………

 

「うん、良いよー!」

 

「お姉ちゃん達も一緒にやろうー!」

 

「やろうー!」

 

子供達はすぐさま了承し、響達を取り囲んでそう言って来た。

 

「うう………」

 

「こんな純粋な目で見やれちゃ断れないねえ」

 

キラキラとした目の子供達に取り囲まれ、翼が一瞬怯む、奏が仕方ないなと言う様に笑う。

 

「もう~、轟お兄ちゃんったら~」

 

「轟兄! やるからには負けないよ!」

 

未来は若干呆れながらも奏と同じ様に仕方ないなと言う様子を見せ、響は早くもやる気を見せる。

 

「よおし! それじゃあ、サッカー再開だっ!!」

 

「「「「「「おおおおぉぉぉぉぉ~~~~~~っ!!」」」」」

 

轟が掛け声を掛けると、響達と子供達は握った右手を突き上げて歓声を挙げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リディアン地下・特異災害二課の本部………

 

「司令。響さんと未来さんの経歴を洗い直しましたところ、気になる人物が1人出ました」

 

「仕事が早いな、緒川」

 

慎次から書類の挟まったバインダーを受け取る弦十郎。

 

そこには轟の事が3年前の写真付きで纏められていた。

 

「十城士 轟………響さんと未来さんの4つ年上の幼馴染です。2人が中学校に入学するまで交流は続いていたそうです。ですが………」

 

「3年前に突如蒸発。最後に目撃された地点でノイズの出現が確認された事からノイズに襲われたと判断され、死亡通知が書かれるか………」

 

ノイズにやられたと言う事に、弦十郎は複雑そうな表情になる。

 

「しかし、司令。実は2年半程前に、響さんと未来さん宛てに十城士 轟の名で手紙が送られて来たそうです」

 

「! 何だと!?」

 

「彼女達のご両親等は質の悪い悪戯だと思ったそうですが………当の響さんと未来さんは本人からの物に間違い無いと信じているそうです」

 

「生存の可能性は否定出来ないか………だとすれば、今は何処で何を………」

 

と、弦十郎がそう言った時………

 

「只今~」

 

「ハア~………」

 

挨拶と共に奏、大きな溜息と共に翼が指令室に入って来た。

 

「ああ、御2人供、お帰りなさ………如何されたんですか?」

 

出迎えの挨拶を掛け様として途中で質問に変わる慎次。

 

翼と奏の2人の服が、土汚れに塗れていたからだ。

 

「いや~、ちょっと公園で子供達と一緒にサッカーやってさあ。つい白熱しちまって」

 

「燥ぎ過ぎよ、奏」

 

「そういう翼だって、子供達に煽てられて調子に乗ってたじゃないか。オーバーヘッドキックなんか決めちゃってさ」

 

「ぐう!………ま、まあ、楽しかったのは事実ね」

 

「アタシも久しぶりに童心に帰った気分だよ」

 

土汚れの付いたまま、良い笑顔でそう言い合う翼と奏。

 

「珍しいな、2人がそんな事をするなんてな」

 

翼と奏らしからぬ行動に、弦十郎がそう言う。

 

「響と未来の幼馴染と偶然に出くわして、まあ成り行きでね」

 

「! 幼馴染だと!?」

 

「ひょっとして、十城士 轟さんですか!?」

 

奏から返って来た言葉に、弦十郎と慎次が揃って驚く。

 

「? 叔父様、知ってるんですか?」

 

「知っていると言うか、何と言うか………」

 

翼の問いに曖昧に答えながら、弦十郎は再度書類に目を向ける。

 

(ひょっとすると本当に………)

 

その書類の写真の轟に、宇宙刑事ギャバンの姿が重なるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

響達のデート回。
この作品の要素として、翼が藤兵衛にあって舞い上がったり、子供達と遊んであげていた轟と出くわし、一緒に童心に帰ってサッカーをしたりなんて要素も加えました。

しかし、その裏では弦十郎達がギャバンの正体に近づいたりなんてシリアスもあります。

次回はツヴァイウイングのライブ回。
2人のライブを守る為、ギャバンと響………
そして多くの人達が奮戦します。
お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。