戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達 作:宇宙刑事ブルーノア
響達がスカイタワーに到達したその頃………
リディアン音楽院の地下・特異災害二課本部の指令室………
「装者達、スカイタワーに到着しました」
「うむ………」
朔也からの報告に弦十郎がうなずいた瞬間………
突如、指令室内が暗闇に包まれた!!
「!? 如何した!?」
「わ、分かりません! 全てのシステムがダウンしています!!」
「電力供給も途絶! 自家発電も作動しません!!」
「何だと!?」
一瞬にして二課が機能不全にされ、弦十郎は驚愕の声を挙げる。
と、その瞬間………
『フフフフ、御機嫌よう、特異災害二課の諸君』
ブラックアウトしていたメインモニターが再度点灯し、アシュラーダの姿が映し出された。
「! マクーの幹部、アシュラーダか!?」
『如何にも。既に本部の機能は我々が掌握した。抵抗は無意味だ。大人しく降伏したまえ。そうすれば命は保証しよう』
「断る! 悪に屈する積りは無い! そもそもお前達が約束を守るとは思えん!!」
二課に対し降伏勧告を行うアシュラーダ。
だが、弦十郎は即座に突っぱねる。
『威勢が良いな。流石は二課の司令にして風鳴の男………ならば交渉は決裂だ。先ずは邪魔なリディアンを破壊させて貰うとしよう』
アシュラーダはそう言い残し、メインモニターは再びブラックアウトした。
「クソッ! 二課に何か細工がされてる事は分かってたのに!!」
「まさかこんな簡単に………」
簡単に二課の機能を無力化されてしまった事に朔也とあおいが悔しそうな声を挙げる。
「風鳴司令! 私はリディアンへ行き、生徒達を助ける!」
「頼めますか?」
「任せろ………」
ロケットマンがそう言うと、煙の様に指令室から姿を消した。
「よし! 悔やんでいても仕方ない! 全員、何処か使える端末が無いか調べて………」
と、弦十郎が指示を飛ばすが………
直後に指令室の扉が爆発と共に吹き飛んだ!!
「「「!?」」」
弦十郎達が驚きながら吹き飛んだ扉の方を振り返ると………
立ち込めている爆煙の中から人影が現れる。
「………了子?」
現れたのは了子だった。
「フフフフ………」
その了子が、男性の声で笑う。
「! 貴様! ドン・ホラーかっ!!」
そこで弦十郎はクリスの話を思い出し、相手がドン・ホラーである事を悟る。
「如何にも………我こそはドン・ホラー。マクーの首領よ」
了子はそう言いながら眼鏡を外し、纏めていた髪を解いたかと思うと、その髪色が金髪へと変わる。
その直後に怪しげな光に包まれたかと思うと、禍々しいデザインとなったネフシュタンの鎧を纏った姿へとなった。
「!!」
それを見た弦十郎が、即座に構えを取る。
「司令!」
「行けっ! コイツは俺に任せろ!!」
「しかし!!………」
「行くんだっ!!」
「!………ご武運を!!」
若干躊躇しながらも、朔也達はフィーネ(ドン・ホラー)の横を擦り抜けて指令室から出て行く。
「フフフフ………」
フィーネ(ドン・ホラー)はそんな朔也達に何をするのでも無く、不気味に笑って見逃す。
「部下達に手は出させんぞ」
「あんな雑魚共が幾ら生き残ろうが大した事ではない。装者達が居ない今、二課で1番の脅威は貴様だ。故に、貴様さえ消せば二課は烏合の衆よ」
「俺の部下達を………特異災害機動部二課を甘く見るなよ!!」
「ほざけっ!!」
吠える弦十郎に対し、フィーネ(ドン・ホラー)はネフシュタンの鎧の鞭を繰り出す!
「ハアッ!!」
槍の様に伸びて来た鞭を跳躍して躱す弦十郎。
「ウオオオオオオォォォォォォォッ!!」
そしてフィーネ(ドン・ホラー)に向かって落下の勢いを加えた拳を振り下ろす。
「フンッ!!」
直前でバックステップして躱すフィーネ(ドン・ホラー)。
弦十郎の拳は床に命中し、まるで隕石が落ちたのかと思わせるクレーターを形成する。
更にその際の衝撃波で、ネフシュタンの鎧に僅かだが罅が入った!
「ほう? 流石だな………地球人にしておくには惜しい男だ」
だが、フィーネ(ドン・ホラー)は余裕を崩さず、鎧に入っていた罅も、再生能力で即座に修復される。
「男の鍛錬は飯食って映画見て寝るよ!!」
「そんな戯言が何時まで続くか見せて貰おうか」
お互いにそう言い合い、弦十郎とフィーネ(ドン・ホラー)は再度激突するのだった。
一方、その頃………
二課頭上のリディアンでは………
突如として大量のクラッシャー達とダブルマン達が出現し、破壊活動を開始。
駐屯していた自衛隊が応戦しているが、余りの数の前に苦戦を強いられ、既に何10人もの殉職者とその10倍以上の負傷者を出している。
それでもノイズと違い、攻撃が通じるので自衛隊員達は学院の生徒達を守る為、決死の覚悟で応戦を続けていた。
そんな中で、未来は………
「こっちです! 急いで! 落ち着いてシェルターに避難して下さい!」
ノイズ用のシェルターに避難する生徒達の誘導を手伝っていた。
生徒達は、窓から見えているノイズではないマクーのクラッシャー達やダブルマン達が破壊活動を行っている様に怯えながらもシェルターに避難して行く。
「ヒナ!」
「未来さん!」
とそこで呼び掛けれたかと思うと、弓美・創世・詩織・小里が姿を見せる。
「皆!」
「アレって何時かの宇宙人達だよね? 如何なってるの? 学校が襲われるなんて、アニメじゃないんだからさあ」
「ありゃマクーだ! 間違いねえ!」
何時かの事を思い出しながらそう言う弓美と小里。
「兎に角、皆は避難を」
「小日向さんも避難を」
非難を促す未来に、詩織が共に避難しようと言うが………
「先に行ってて。私、他に人が居ないか見て来る!」
未来はそう言うと、シェルターとは逆の方向に駆け出した!
「! ヒナ!」
慌てて創世が呼び止めるが………
「君達!」
「「「「!!」」」」
そこで声を掛けられて振り返ると、弓美達の方に向かって駆けて来る自衛隊員の姿が目に入る。
「急いでシェルターに逃げるんだ! 奴等、校舎内に侵入を………」
と、自衛隊員がそう呼び掛けていたところ………
突如銃声が響き渡り、自衛隊員の身体が蜂の巣にされた!!
「「「「!?」」」」
「ガハッ!?………」
弓美達が驚愕する中、蜂の巣にされた自衛隊員は盛大に吐血しながら全身の力が抜けて床に倒れ、そのまま事切れた………
「ギーッ!!」
「ギギッ!!」
「フアハハハハハハッ! そんな貧弱な武器で我等を止められると思っていたのか!」
そこで自衛隊員がやって来た方向から、マシンガンで武装した大量のクラッシャー達とその指揮を執っている『ダブルマン・スペクタル』が姿を現す。
「! イヤアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」
そこで我に返った弓美が、改めて床に血塗れで死んでいる自衛隊員の姿を見て悲鳴を挙げる。
「貴様等も死ねぇっ!!」
「ギギッ!!」
「ギーッ!!」
そんな弓美達の姿を見たダブルマン・スペクタルが命じると、クラッシャー達が一斉にマシンガンの銃口を向ける。
「「「「!?」」」」
「撃………」
恐怖で動けなくなった弓美達に、ダブルマン・スペクタルの非常な命が下されようとした、その時!!
窓を突き破って飛んで来たロケット弾が、クラッシャー達の中へ着弾!
「ギーッ!?」
「ギギッ!?」
爆炎に包まれたクラッシャー達が、一瞬で全滅する。
「!? 何っ!?」
「トアッ!!」
ダブルマン・スペクタルが驚いていると、ロケット弾がぶち抜いた窓を更に蹴破り、ロケットマンが弓美達を守る様に着地を決める。
「「「「!?」」」」
「早く逃げるんだ!」
左手の手甲型ロケットランチャーを構えながら、ロケットマンが弓美達にそう呼び掛ける。
「! 皆っ!!」
そこで、逸早く我に返った創世が声を挙げ、弓美達はシェルターに向かって走り出した!!
「オノレェッ! 邪魔をしおってっ!!」
「!………」
ダブルマンお馴染みの曲刀を構えて斬り掛かって来たダブルマン・スペクタルに、ロケットマンは躊躇無くロケット弾を発射するのだった。
一方、その頃、未来は………
「誰か! 残っている人は居ませんかっ!?」
逃げ遅れている人が居ないか呼び掛けながら、校舎内を走る未来。
とそこで爆音が聞こえて衝撃を感じ、窓の外を見やる。
そこには、クラッシャー達とダブルマン達によって、リディアンの校舎が無残にも破壊されて行る光景があった。
「学校が! 響の帰ってくる所が!」
響や友人達との思い出が色々と存在する校舎が瓦礫の山と化して行く………
「………轟お兄ちゃん」
そんな光景に抗う術を持たない未来は、只己にとってヒーロー………轟が来てくれる事を祈る。
「見つけたぞ………」
「!?」
だがそこへ、ダブルマン・ゾンビAと同種族である黒い頭部と2本の角を持ったダブルマン………『ダブルマン・ゾンビC』が現れる。
「小日向 未来だな? 我等マクーの宿敵・宇宙刑事ギャバンに組する者よ! 地獄に送ってくれるっ!!」
ダブルマン・ゾンビCはそう言って、右手に薙刀を構える。
「!!」
「フフフフ………」
恐怖で顔が引き攣る未来に、ダブルマン・ゾンビCはゆっくりと近づいて行く。
と、その時!!
銃声が響いたかと思うと、ダブルマン・ゾンビCの身体から火花が散った。
「うん?」
「未来さん! 大丈夫ですか!!」
「! 緒川さん!!」
ダブルマン・ゾンビCが戸惑っていると、何処からともなく現れた拳銃を手にした慎次が、未来を守る様に立ちはだかる。
「フン、二課の職員か! 小賢しいっ!!」
拳銃の弾が全く効いてないダブルマン・ゾンビCは、構わずに慎次ごと未来を斬り捨てようと薙刀を振るう!
「失礼!」
「キャアッ!?」
そこで慎次は、未来を抱えて跳躍!
ダブルマン・ゾンビCの頭上を飛び越え、背後に距離を取って着地し、未来を離すと振り返りながら再度拳銃を発砲する。
「フハハハハハハハッ! そんな原始的な武器が通用すると思っているのか!!」
だが、アーマーを身に付けているのに加え、地球人とは身体に作り自体が大きく異なっているダブルマン・ゾンビCに、拳銃の弾など全くは効果が無かった。
「なら、コレで如何です!?」
すると慎次は、弾切れした拳銃を放り捨てたかと思うと、スーツの懐から別のやや大型な拳銃を取り出した。
「無駄だと言っているだろう!!」
地球の拳銃では自分にダメージを与えられない………
ダブルマン・ゾンビCはそう確信して慎次へと突撃する。
「!!」
それを見た慎次は大型拳銃を発砲!
マシンピストルであったその大型拳銃は、赤い光を帯びた弾丸を連射した!!
「!? グアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」
その赤い光を帯びた弾丸を喰らったダブルマン・ゾンビCが、悲鳴と共に、身体から拳銃弾が当たった時よりも大きく火花を散らして後退った。
「ば、馬鹿なっ!? 地球の拳銃如きに!?」
「コレで!!」
怯んだダブルマン・ゾンビCに、慎次は大型拳銃の撃ち終えたマガジンを排出し、ロングマガジンを装填。
そのままフルオートで全弾叩き込んだ!!
「グアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」
断末魔の叫びを挙げ、ダブルマン・ゾンビCは爆発四散した!!
「フウ~………」
「緒川さん、その銃は?………」
安堵を息を吐いている慎次に、未来がダブルマン・ゾンビCを葬った大型拳銃の事を尋ねる。
「………昔、エイリアンが地球に忍び込んでいた事があったと言ったら信じますか?」
「えっ!?」
「スペースマフィアと呼ばれるエイリアン達の犯罪組織が暗躍していて、それに対処する為の国連組織が密かに設立されていたんです」
驚く未来に説明を続ける慎次。
「ですが、漸く本格的に稼働すると言う段階になってエイリアンに感づかれ、組織は壊滅させられてしまいました。しかし、生き残ったメンバーがゲリラ戦を続け、遂にはエイリアン達を地球から駆逐したそうです」
そこで慎次は大型拳銃………『BW-01 ディクテイター』を見やる。
「この拳銃はその組織が使っていた物です。辛うじてサルベージ出来て保管されていたデータを元に、こうして再現出来たワケです」
「…………」
「さ、行きましょう。まだ敵は大勢居ます」
唖然となる未来の手を引き、シェルターに向かおうとする慎次。
と、その時!!
壁を突き破って伸びて来た巨大な手が、慎次を弾き飛ばした!!
「! グハアッ!?………」
「緒川さん!………! キャアッ!?」
壁に叩き付けられて気を失った慎次に未来が駆け寄ろうとしたところ、その手に身体を掴まれ、宙に持ち上げられる。
「フフフフ………また会ったな、小日向 未来」
崩れた壁の中から、そう言う台詞と共にアシュラーダが現れる。
「アシュラーダ………」
「フフフフ………」
睨み付けて来る未来に対し、アシュラーダは涼し気に笑って見せるのだった………
その頃………
地下の特異災害二課本部・指令室では………
「ヌオオオオオオッ!!」
「ぬうっ!?」
弦十郎が繰り出した拳をガードするものの、大きく床の上を滑り、壁に背中から激突するフィーネ(ドン・ホラー)。
「小癪なっ!!」
反撃にと、2本の鞭を上から振り下ろす様に振るう。
「むんっ!!」
だが、弦十郎はその鞭を両手で難なくキャッチ。
「むおっ!!」
「ぬおっ!?」
そしてそのまま逆に引っ張り、フィーネ(ドン・ホラー)を手繰り寄せた!
「ハアアアアアアァァァァァァァッ!!」
そのままフィーネ(ドン・ホラー)の腹目掛けて拳を繰り出そうとしたが………
「チイッ!!」
フィーネ(ドン・ホラー)は舌打ちしながら目から稲妻状の怪光線を発射!
「!!」
弦十郎はすぐさま攻撃を止めて大きくバックステップする。
怪光線は床に当たり、爆発を起こす。
「ハアアアアアアァァァァァァァッ!!」
その爆煙が治まらぬ内に、フィーネ(ドン・ホラー)は鞭を今度は横薙ぎに違う高さで振るう。
「フッ! ハアッ!」
弦十郎は最初に右から来た高い軌道の鞭をしゃがんで躱すと、続けて来た左から来た低い軌道の鞭を跳躍して躱す。
と、その跳躍した弦十郎にフィーネ(ドン・ホラー)が一瞬で接近。
「ヌアアアアアアッ!!」
動けない空中での隙を狙って跳び膝蹴りを繰り出す。
「むんっ!!」
だが、弦十郎は繰り出された膝蹴りを手で掴む様にガードしたかと思うと、反動を使って距離を取り、着地を決める!
「貰ったぞっ!!」
そして、落下して来るフィーネ(ドン・ホラー)を、正拳突きの姿勢で待ち構える。
「!!」
「オオオオオオッ!!」
フィーネ(ドン・ホラー)に渾身の正拳突きを繰り出す弦十郎。
「殺せるか、風鳴 弦十郎! この女の身体を!!」
「!?」
しかし、フィーネ(ドン・ホラー)のその言葉を聞いて、弦十郎は思わず拳を止めてしまう。
「フンッ!!」
その弦十郎の身体に、フィーネ(ドン・ホラー)の鞭が巻き付く!
「! しまった!?」
「甘い男よのぉ、風鳴 弦十郎………惚れた弱みと言うモノか?」
完全に動きを封じられてしまった弦十郎を、嘲笑うフィーネ(ドン・ホラー)。
「卑怯な!!」
「馬鹿め! 利用できるモノは何であろうと利用する! それがマクーのやり方だ!!」
「………殺すなら殺せ! 例え俺が倒れても………装者達がお前を打ち倒す!!」
毅然とした態度でそう言い放つ弦十郎。
「フハハハハハハハッ! あんな小娘共など最早問題では無い! 宇宙刑事ギャバンも居ない今、地球は我等マクーの物だ!」
「!? 宇宙刑事ギャバンが居ないだと!? 如何言う事だ!?」
「それは己の目で確かめるが良い!」
フィーネ(ドン・ホラー)の言葉に、弦十郎が驚きを示すと、フィーネ(ドン・ホラー)の目が怪しく輝き………
弦十郎の背後の空間に、魔空空間が発生した!
「!? うおおおおおっ!?」
「魔空空間で死ね! 風鳴 弦十郎!!」
そのまま弦十郎は魔空空間へと吸い込まれて行き、フィーネ(ドン・ホラー)は鞭を弦十郎に巻き付けていた部分だけを残して自切。
魔空空間は弦十郎を飲み込むと、そのまま閉じてしまった………
「コレで最大の障害は排除された………後はアシュラーダがあの小娘を確保して居れば勝ったも同然よ。フハハハハハハハッ!!」
無人となった指令室に中で、フィーネ(ドン・ホラー)は得意げに笑い声を挙げるのだった………
つづく
新話、拝見させていただきました。
マクーの強襲を受けるリディアンと二課。
ロケットマンが奮戦し、慎次も『ブルースワット』の武器を使ってダブルマンを撃破します。
慎次にブルースワットの武器を使わせたのは二課の戦力強化の一環ですね。
シンフォギア原作で、二課の職員が戦闘するって場面もチラホラあるので、犠牲を少なくする為に強化しておこうと。
二課ならブルースワットの存在を知ってても不思議ではないですし、ブルースワットの武器はリアリティがあるので、本家の人達以外が使っても違和感は少ないと思いますし。
今後も慎次や二課職員がブルースワットの武器を使用する場面があるかもです。
しかし、そんな中………
アシュラーダが未来を人質に。
フィーネ(ドン・ホラー)と奮戦していた弦十郎も、了子を事実上人質に取られて魔空空間に送られてしまいます。
しかし、これが判断ミスだとはまだフィーネ(ドン・ホラー)は気付いてません………
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。