戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達 作:宇宙刑事ブルーノア
『弦十郎と了子』
とある病院………
此処は二課お抱えの病院だ。(以前翼と奏が入院していた病院はリディアンに程近かった為、カ・ディンギル崩壊や戦闘の影響で被害を受けたので、廃院となっている)
そのとある病室の前に、弦十郎の姿が在った。
その左手には、彼には似合わない花束が握られている。
「………フウ~~~」
弦十郎は扉の前で気持ちを落ち着かせるかの様に深呼吸をすると、扉をノックした。
「どうぞ~」
「失礼する」
中から入室を許可する返事が返って来ると、心なしかやや遠慮した様子で扉を開ける弦十郎。
「アラ、弦十郎くん」
個室の病室のベッドには、入院着姿の了子の姿が在った。
「良いの? 司令が本部を離れて?」
「なに、部下の見舞いをするのも上司の仕事の内だ。具合は如何だ?」
「身体の方は健康そのものよ。毎日検査検査で嫌になっちゃう。響ちゃんや翼ちゃん達の気持ちが分かったわ」
「ハハハハ」
了子とそんな遣り取りを交わしながら、弦十郎は持って来た花束の花を花瓶に移し替え、了子が寝ているベッドの傍に在った椅子に腰掛ける。
あの決戦時、フィーネとドン・ホラーの魂が分離され、彼女は本来の櫻井 了子へと戻った。
フィーネの魂が目覚め、ドン・ホラーに乗っ取られていた時の記憶もあるものの、実に12年ぶりの目覚めだった。
現在は、軟禁も兼ねて、心身に何か異常が無いか検査入院させられている。
今の所、検査では特に問題は出ておらず、軟禁の方も弦十郎がお偉いさん達を説得して回っており、何より今日本、いや世界でも数少ない聖遺物を最も扱える人材である了子を遊ばせておくワケには行かず、近々に解除される見込みである。
「それにしても、ホントに夢………いえ、悪夢みたいな話よ。先史文明の巫女と宇宙犯罪組織のボスの魂に乗っ取られてたなんて………」
「まあ、何にせよ、無事で良かった」
「アラ? 心配して来るの? ま、自分で言うのも何だけど、私は代えの効かない人材だし、部下の心配をするのも司令のお仕事だもんね」
「………俺が見舞いに来たのは、君が部下だからという理由だけではない」
「………えっ?」
思わぬ言葉に、了子が弦十郎を見やると、彼は気恥ずかしそうに頬を指で掻いている。
「…………」
とそこで、了子は弦十郎の手の上に、自分の手を重ねる。
「! 了子くん………」
「弦十郎くん………」
2人の視線が交差し、見つめ合う………
と、その時!!
「ちょっ! オイ、押すなって!」
「もうちょい踏ん張れ!」
「も、もう無理~!」
「キャアッ!?」
「うわっ!?」
病室の出入り口の方からそんな声が聞こえて来たかと思うと、人が倒れる様な音が聞こえて来た。
「「!?」」
弦十郎と了子が驚きながら出入り口の方に視線を向けると、そこには………
「やっべ!?」
「馬鹿! お前が前に出過ぎるから!」
「ええ~っ!? クリスちゃんだってそうじゃな~い!」
「それよりも早く退いてよ~!」
「小日向の言う通りだ! と言うか、一番下の私がキツイのだが!」
積み重なった状態でワチャワチャとしている奏・クリス・響・未来・翼の姿が在った。
如何やら彼女達も了子の見舞いに来た様だが、先客の弦十郎が了子と良い雰囲気になっていたのを見て、覗き見していたが、夢中になり過ぎて前のめりとなった様だ。
「ア、アハハハハハハ………」
「え~と………」
「逃げろ!」
「失礼しましたー!」
「ごゆっくりーっ!!」
気まずそうに笑ったかと思うと、バッとその場から逃げ出す響達。
「………弦さん、今響ちゃん達が駆けてったけど、何があったんだ?」
と、それと入れ違いでお見舞いに来た轟が、走り去って行った響達と擦れ違い、弦十郎に尋ねる。
「………プッ! アハハハハハハッ!」
「やれやれ………参ったな」
そこで了子が堪え切れなくなった様に吹き出し、弦十郎が困った様に頭を掻く。
「………弦十郎くん」
「ん?」
「続きは………また今度お願いね」
「! ああ、分かった」
弦十郎に向かって了子がそう言い、2人は再度笑い合う。
「??………」
そしてそんな2人の雰囲気の理由が分からず、首を傾げるしかない鈍感な轟。
遠くからは響達が看護師長に怒鳴られている声が聞こえて来ていた………
『改造人間と改造錬金術師』
ヨーロッパの某所………
人目を避けるかの様に深い山中の森の中に建てられている建物が在った。
如何にも怪しげなその建物が………突如大爆発!!
瞬く間に炎が噴き出し、黒煙が立ち上り始める。
連続して小爆発が続いていたかと思うと、轟音と共に建物の壁の一部が破裂!!
そこから、4台の改造バイクが飛び出す!!
着地を決めると、そのまま建物から離れて行く改造バイクの集団。
やがて十分に離れたかと思うと、再度建物が大爆発!!
木っ端微塵になって消し飛んだのだった。
「コレでまた1つ奴等のアジトが潰れたワケか………」
「だが、まだ終わりでは無い」
同じマシン………『新サイクロン号』に乗った仮面の男達………『仮面ライダー1号』と『仮面ライダー2号』がそう言い合う。
「ヨーロッパはパヴァリア光明社の本拠地………アジトはまだまだ残っている」
「だが、あのアジトで手に入れたデータが有れば、他のアジトの割り出しも進められる」
青いマシン『ハリケーン』に乗った『仮面ライダーV3』と、一見普通のバイクに見える『ライダーマンマシン』に乗った『ライダーマン』がそう言葉を続ける。
「お役に立てたかしら?」
とそこで、1号の新サイクロンの後ろにタンデムしていたロングの黒髪で褐色肌の女性が、1号に尋ねる。
「ああ、君達の情報のお陰だ」
「へへへ~! そうだろそうだぜ!」
1号がそう返すと、2号の新サイクロンの後ろにタンデムしていた耳が長く、背中に蝙蝠の様な羽を持つ少女が片腕を上げて同意してくる。
「オイオイ、あんまり燥ぐなよ。危ないぜ」
「おっと、ワリィ一文字のダンナ」
2号が注意すると、少女はその背にしがみ付き直す。
「余り無理はしないでくれ。君達の身体はまだ調整が必要なのだからな」
「大丈夫であります。人類の自由と平和の為、戦い抜くであります」
ライダーマンが心配そうに言うと、V3のハリケーンにタンデムしていたピンクの髪をした犬の様な耳を持ち、機械の尻尾が生えている少女がそう返す。
「………それが口だけでないと証明して見せろよ」
「ハイであります!」
ぶっきらぼうに言うV3に、犬耳の少女はハキハキと返事を返す。
彼女達は『ノーブルレッド』………
褐色肌の女性が『ヴァネッサ』
羽を持つ少女が『ミラアルク』
犬耳の少女が『エルザ』
元パヴァリア光明結社の改造人間達だ。
ヴァネッサは元は結社の錬金術師の1人だったが、ファウストローブ開発中に事故に遭い、身体の大部分を喪失。
開発中だったファウストローブのプロトタイプを使い、改造人間化した。
しかし、それは『
そこで同じく、話や伝説上の怪物の再現を目指して作り出された実験体………
ヴァンパイアのミラアルクと、人狼のエルザと出会った。
凄惨な人体実験を繰り返され、地獄の様な日々を送っていた彼女達。
だが、ある日………
彼女達が捕らえられていた秘密施設を、仮面ライダー達が強襲!
実験データを元に既に人を捨て去っていた錬金術師達を全滅させ、ヴァネッサ達を救出した。
行く宛ての無い彼女達は、そのまま仮面ライダーと行動を共にする。
当初は、彼等を自分達の身体を元の人間に戻す為に利用しようしていた彼女達だったが………
自分達と同じ改造人間でありながら、直向きに『人類の自由と平和の為』に人知れず戦い続ける仮面ライダー達の姿を見ている内に、段々と感化されて行った………
そして遂には、自分達から彼等の手による再改造を願い出た。
それは、『
彼等………仮面ライダー達と同じ様に、自分達も『人類の自由と平和の為』に戦いたくなったのだ。
そして再改造を受け、定期的に貴重な血液の交換が必要である弱点を克服した彼女達は………
嘗て結社の居た時に呼ばれていた蔑称である『卑しき錆色』………『ノーブルレッド』の名を敢えて誇りとして名乗り………
『人類の自由と平和の為』に、仮面ライダー達と戦いを共にしているのだ。
(貴方達との出会いが私達の転機だった………)
(ダンナ達と出会ってなかったら、今頃実験体として使い潰されてたか………)
(生き延びられていたとしても、外道に堕ちていたかも知れないであります………)
1号、2号、V3の背にしがみ付きながら、そんな事を考えるノーブルレッド。
これからも彼女達は戦い続ける………
『人類の自由と平和の為』に………
『轟の意外な特技』
二課のとある施設………
アシュラ・ホラーとの決戦から幾何かの月日が流れ、漸く響達の軟禁が解除。
了子も退院し、マクー残党に活動も見られなくなったので、弦十郎はコレまでの皆の労をねぎらう為の慰労会を開催する事にした。
本来は部外者であるの轟や創世・弓美・詩織・小里、クリスの両親までも招かれ、飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎとなっていた。
ステージの方では、誰かが持ち込んだカラオケでは、翼と奏が熱唱しており、弓美達は生でツヴァイウイングが歌っている姿を見れて大興奮の様子だ。
更にその後には、雪音一家の即興コンサートも開かれ、全員が素晴らしい音楽に酔いしれていた。
「ねえ、轟兄! 久しぶりに、『
「私も聞きたいな」
そんな中、山盛りの丼を片手に携えた響と未来が、轟にそう言う。
「えっ? 『
「大丈夫だよ! 轟兄だって負けてないよ!」
「お願い、轟お兄ちゃん」
「ああ、もう、分かったよ。しょうがないなぁ………ちょっと待っててくれよ」
2人の提案を聞いた轟は一瞬難色を見せたが、更に懇願されて折れた様にそう言うと、一旦パーティーが行われている部屋から出て行った。
「? 立花。十城士は何処へ行ったんだ?」
その様子を見た翼が、響に尋ねる。
「えへへ、久しぶりに『
「? 『
響の要領を得ない返事に翼が首を傾げると………
再び轟がパーティールームへ戻って来た。
その手にアコースティックギターを携えて………
そのまま、ステージに向かうと、置いて在った椅子に腰掛け、ギターを構える。
それにより、パーティールームに居た一同の視線が轟に注がれる。
「それじゃあココで僭越ながら1曲弾かせて貰います………『星空のメッセージ』」
そんな皆に向かって、轟は挨拶の様にそう言うと、弾き語りで『星空のメッセージ』を歌い始めた。
「おお~!」
「凄い凄い~!」
「まあ」
「ええ歌だなぁ~」
その弾き語りに感嘆した様子を見せる創世・弓美・詩織・小里。
二課の職員達も思わず注目している。
「アイツ、あんな特技あったのか?」
「轟お兄ちゃん、昔から楽器演奏が得意で、私達も孤児院の子供達と一緒に聴かせて貰ってたんです」
「へえ~」
奏の言葉に、未来がそう返す。
「………ま、下手じゃねえな」
クリスも素直じゃないながらも、轟の演奏を賞賛する。
(カッコイイなぁ~、轟兄)
そして響は、弾き語りをする轟の姿に見惚れていたのだった………
『G編予告』
ルナ・アタック………マクー事変から約3ヶ月………
音楽祭典『QUEENS of MUSIC』に米国新進気鋭の歌姫『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』と共演する翼と奏。
だが、彼女は突然として、『黒いガングニール』を身に纏い、全人類に降伏を迫った!
ギャバン不在の中、突如現れた新たなる敵!
その時、暗雲を切り裂いて現れた巨大な超次元戦闘母艦!
そこから降り立つ、赤く輝くコンバットスーツの男!
その名は!!
『戦姫絶唱シンフォギア 奏者と鋼の勇者達』
第2部 G編・太陽が呼んでいる
お楽しみに。
つづく
新話、投稿させて頂きました。
先ずは事件後の了子の様子と、彼女を気に掛ける弦十郎の様子をお送りしました。
前にも言いましたけど、この2人のカップリング、好きなんですよね。
大人な感じの落ち着いた恋愛描写を目指したいですが、果たして私に書けるか如何か(笑)
そして続いては、訃堂に続いてまたもXV編のキャラの先行登場。
ノーブルレッドの綺麗化です。
彼女達の設定を見て、もし昭和の改造人間仮面ライダー達が居たら、間違いなく彼女達を助けてるだろうなと思い、助けられた彼女達が人類の自由と平和の為に戦う仮面ライダー達の精神に感銘を受けたら?と考え、仮面ライダー達と行動を共にしているとしてみました。
彼女達も作中でやってた事は外道ですが、身の上には十分同情出来ますからね。
今後の展開では、ライダー達と一緒にゲスト出演するかもです。
そして轟の意外な特技として弾き語りが出来ると言うのを披露しました。
シンフォギアと関わるからには、何かしらで音楽系の特技を持っていた方が良いかなと思いまして。
今後登場する宇宙刑事達にも楽器演奏が出来る設定にする積りです。
最後にG編の予告。
いよいよ次回からはG編がスタートとなります。
装者が出揃って此処からが本格的になる感じですかね。
1話から怒涛の展開になると思いますので、お楽しみに。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。