戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達 作:宇宙刑事ブルーノア
特異災害機動部二課の仮説本部………
その指令室にて………
「ライブ会場での宣戦布告から、もう1週間ですね………」
自身の席で情報収取を行っていた朔也がそう呟く。
「ああ、何も無いまま過ぎた1週間だが………受けた被害は計り知れん」
苦い顔をしてそう呟く弦十郎。
実はあのライブの日………
マドー戦闘母艦とマドー戦闘機隊が出現したのは、
世界各国の主要都市に、同時にマドー戦闘母艦とマドー戦闘機隊が出現していたのだ。
日本ではシャリバンのグランドバースの活躍によって被害は抑えられたが、他では都市と迎撃に出た軍が壊滅状態となった国もあり、甚大な被害が出ていた。
「ライブ会場で、マリア・カデンツァヴナ・イヴがマドーの名の元に行った降伏勧告ですが、何処の国も受け入れる積りは無い様です」
「だろうな………だが、相手は宇宙犯罪組織だ。降伏を蹴った国を滅ぼすなんて事ぐらい、平然とやってのけるだろう」
続いてのあおいの言葉に、弦十郎の顔が更に険しくなる。
あの後、各国から情報を迫られた日本は、二課が所有していたマドーの情報を開示したが、他の国々がそれを正しく認識出来たかは怪しい………
何せ相手は宇宙から来た犯罪組織であり、強大な超能力を有する魔王を首領としているという極めて非常識な存在だ。
現に幾つかの国は偽情報であると騒ぎ立てている。
だが、マドーの存在は事実である。
弦十郎は、仮に世界の軍隊が1つに纏まってもマドーには歯が立たないと考えている。
現状地球でマドーに対抗出来る戦力は宇宙刑事やヒーロー達を除けば、シンフォギアだけだ。
「唯一の救いは、戻って来れなくなったギャバンの代わりに、新しい宇宙刑事が来てくれた事ですね」
と、朔也がそう言うと、モニターに宇宙刑事シャリバンの姿が映し出される。
「宇宙刑事シャリバン………初代ギャバンと同じく、嘗て地球をマドーから守った宇宙刑事のコードネームを受け継いだ2代目の宇宙刑事」
続けてあおいがそう言うと、モニターのシャリバンの姿が、甲賀 雷へと変わる。
「甲賀 雷………十城士くんとは同期の関係であり、これまでは出身地である『イガ星』の担当をしていたか」
「その縁もあって、帰って来れなくなってしまった十城士くんの代わりになってくれたんですね」
「ああ、まさか彼がそんな事になってしまったとはな………」
あおいの言葉に、弦十郎はマリア達、マドーが現れた日のコム長官との会談を思い出す………
1週間前………
マドーの出現に、弦十郎はすぐにコム長官へと連絡を取った。
『そうですか。やはり地球にもマドーが現れましたか………』
弦十郎から報告を聞いたコム長官は、苦い顔でそう呟く。
「? コム長官。やはりと言うのは? それに十城士くんは一体如何したんですか?」
『うむ。その事についても纏めて説明させて頂く。宇宙刑事ギャバン、十城士 轟が此方へ帰還した理由はご存知ですね』
「ハイ、マクー残党の討伐が一段落した事の報告と、響くんの身体についての相談で、でしたね」
『その立花 響くんの事で、彼は『惑星ホスピ』へと向かったのです』
「『惑星ホスピ』?」
『宇宙で最も医療技術が発達していると言われ、多くの名医を輩出している医療惑星です。銀河連邦警察に努めている医務官も殆どがこの星の出身なのです』
コム長官の言葉をマリーンが補足する。
『もし立花 響くんに何らかの外科手術など必要になった場合に備えて、ホスピで腕の立つ医者を探そうとしたのです。しかし、彼はそこでマドーの襲撃を受けたのです』
「! 何ですって! そちらにもマドーが!?」
マドーが現れたのが地球だけではなかったという事を聞き驚く弦十郎。
『それもかなりの規模の連中が動いています。奇襲を受けて、惑星ホスピの所轄である宇宙警察署が壊滅的な被害を受けてしまう程の………』
『現在、応援部隊を向かわせていますが………それが到着し、ホスピの宇宙警察の建て直しが完了するまで、宇宙刑事ギャバンには惑星ホスピの防衛を担ってもらう必要が有るのです』
『先程も申し上げた様に、惑星ホスピは宇宙で最も医療技術の発展している宇宙全体にとっても重要な星です。そこがマドーの手に落ちれば大変な事になります』
「そうでしたか………」
『ですから私はイガ星を担当していた、嘗てマドーを倒した初代シャリバンの名を受け継いだ甲賀 雷を地球に派遣したのです』
「…………」
まさか轟がそんな事になっていたとは知らず、弦十郎も苦い顔を浮かべた。
『申し訳ない、風鳴司令。まさかマクーだけでなく、マドーまでもが復活していたとは………こちらの調査不足です』
そこでコム長官は、弦十郎に向かって頭を下げる
「いえ、そんなコム長官のせいではありません。頭を上げて下さい」
『兎も角、惑星ホスピの建て直しが出来次第、ギャバンも再度地球へ向かわせます。気を付けて下さい。マドーを率いている魔王サイコは恐ろしい敵です』
「魔王サイコ………」
弦十郎は、あのライブ会場での宣戦布告の際、マリアが口にしていた事を思い出すのだった………
◇
新リディアン音楽院………
カ・ディンギル出現で崩壊したリディアン音楽院だが、別の廃校の校舎を買い取り新校舎として再建されていた。
そのとある教室にて………
「…………」
響が、両手で頬杖付いて、ぼんやりとした様子で上の空になっていた。
「立花さん、授業中ですよ」
「…………」
その響の様子に気付いた教師が声を掛けるが、響はボーッとしたままだ。
「立花さん! 聞いてるんですか!!」
先程よりも大声で、響に呼び掛ける教師。
「…………」
が、やはり響はボーッとしたままだった。
「立花さん!! いい加減にしなさいっ!!」
教師は思わず怒鳴り声を挙げて響の机を叩く。
「…………」
しかし、それでも響はボーッとしている。
「~~~~ッ! 小日向さん! 貴方からも何か言ってあげなさい!!」
頭から湯気が噴き出しそうな様子を見せながら、教師はそこで、隣の席に座っている未来に呼び掛ける。
「…………」
だが、未来も響と同様に、両手で頬杖付いて、ぼんやりとした様子で上の空になっている。
「貴方もですか!? 小日向さん!!」
ムキーッ!と漫画の様に唸りながら、何度も2人に呼び掛ける教師だったが、やはり2人は反応しない………
(如何したんだろビッキーにヒナも?)
(立花さんは兎も角、小日向さんまであの様になるなんて、珍しいですね)
創世と詩織が、そんな2人の様子を見ながら小声でそう話し合う。
(ねえ、何か2人供、顔赤くない?)
とそこで、弓美がそう指摘する。
その言葉通り、ボーッとしている2人の頬には、僅かに朱が差していた。
結局、2人が授業中に気付く事は無く、2人揃って放課後に職員室への呼び出しを食らったのだった………
放課後………
リディアン音楽院・職員室前………
「「失礼しました~」」
響と未来がそう言って職員室の扉を閉め、廊下に出る。
「ハア~~、やっと終わった~」
「やっちゃったな~………」
長い長い教師の説教から解放され、響と未来が疲れた様子で溜息交じりにそう呟く。
「………ねえ、響。響も『あの事』を考えてたんだよね?」
「………うん。だって、あんな事言われたらさ~………///」
と、未来にそう言われた響が、何かを思い出した様にまた頬を赤く染める。
「///………」
そんな響の事を見た未来も、同じ様に頬を赤くする。
2人が思い出している事………
それは、雷から言われた事だった………
回想………
ライブあった日の夜………
コム長官との会談を終えた弦十郎から説明を受けた装者達は、深夜を回った頃に漸く解散となった。
待っていてくれた未来と共に帰ろうとしていた響の元に、雷が姿を見せた。
「やあ」
「あ、雷さん」
「貴方が宇宙刑事シャリバンの………」
「甲賀 雷だ。君が小日向 未来ちゃんだね。轟から話は聞いてるよ」
初めて顔を合わせた未来にそう挨拶する雷。
「轟兄………」
「轟お兄ちゃん………」
と、轟の名を聞いた2人は、表情を暗くする。
今轟は、惑星ホスピ防衛の為に戦っており、地球にはすぐには戻って来れない………
轟の強さは良く知っている2人だが、それでも恋心を抱いている身としては心配で堪らなかった。
「心配するな。轟の奴なら大丈夫だ。俺と同じで、偉大な先代の名を受け継いだ宇宙刑事なんだからな」
そんな2人の心境を察したかの様に、雷がそう言って来る。
「! ハイ!」
「ありがとうございます」
雷のその言葉を聞いて、響と未来は不安を振り払う様に笑みを浮かべた。
「フフフ………ところで、2人にちょっと聞いておきたい事が有るんだけど、良いかな?」
それに釣られる様に笑った雷だったが、そこで2人に向かってそう言って来た。
「? 聞きたい事?」
「何ですか?」
首を傾げた響と未来だったが………
「君達2人とも………轟の奴の事、好きなのかい?」
「「!?!?」」
雷からそう尋ねられて、ボンッ!と言う音が聞こえるんじゃないかと思えそうな程に、一瞬で赤面した。
「ななななななっ!?」
「そ、それは!? えっと、その!?………」
言葉になっていない響としどろもどろするばかりの未来。
「ハハハハハハッ! その様子だとそうみたいだな!」
2人のその様子を見て、雷は確信する。
「は、はううう………」
「///………」
今度は揃って黙り込んでしまう響と未来。
「ゴメンゴメン。ただ、同期として、轟の事が心配でな」
「? 心配?」
雷の口から出た心配と言う言葉に、響が首を傾げる。
「正義感が強いのがアイツの良い所だが、その為に何処までも突っ走る癖があってな」
「轟お兄ちゃん、昔っからそうだったから………」
未来が昔の轟の事を思い出しながら雷の言葉に同意する。
「けど、アイツだって1人の人間だ。もう少しこう、自分の事に頓着しても良いんじゃないかと思ってな。例えば恋愛とかさ」
「「…………」」
そこで響と未来は、お互いに何処か遠慮した様子で見合う。
「もしアイツにそんなのが出来るとしたら、アイツ自身が良く話していた君達しかないと思ってな」
「わ、私は………」
「…………」
何か言おうとして口籠る2人。
未だ2人は、お互いに相手の方が轟に相応しいと思いつつ、諦めきれない複雑な思いを抱いていた。
「そんな君達に朗報だ」
「? 朗報?」
「何ですか?」
と、雷に不意に朗報が在ると言われ、響と未来は困惑していると………
「バード星は条件付きで多妻が認められてるよ」
「「!?!?」」
トンでもない爆弾発言をかまされ、またもや2人揃って真っ赤になった!
「たたたたたっ!?」
「多妻!?」
「そんな驚く事でもないんじゃないかい? この地球の中の国でだって、
この上なく動揺している響と未来に、雷はあっけらかんとそう伝える。
「えっと、つまり………」
「それって………」
そこで響と未来は、揃って同じ妄想をする………
ウェディングドレス姿の自分達が、タキシード姿の轟の両隣にいる姿を………
「「!!」」
そこで2人の顔はコレ以上無い程に真っ赤になり、頭から湯気が噴き出す。
「ハハハハハハッ! まあ、何にせよ、全てはアイツが戻って来てからだな。ま、頭の片隅にでも置いておいてくれ。じゃあ、俺はこれで………またな」
言いたい事を言い散らかし、雷はその場から去って行った。
「「…………」」
後には真っ赤になったまま固まってしまっている響と未来だけが残されたのだった………
リディアン音楽院・職員室前の廊下………
「「///………」」
アレから1週間………
2人は未だにその事を思い出してはボーッとしてしまったり、赤面したりを繰り返していたりしたのだった。
「あ~! 御2人さ~んっ!!」
「「!?」」
と、突如呼ばれて、響と未来はギョッとしながらも振り返る。
「いや~、やっと見づげだよ~」
そんな2人の元に小走りでやって来たのは、小里だった。
「こ、小里」
「ど、如何したの?」
「こぃこぃ! 見でけよ!」
やや動揺を残しながらも響と未来が尋ねると、小里はやや慌てて1枚の写真を取り出す。
その写真には、
「!? コレって!?」
「マドーの!?」
その写真を見た未来と響が驚きを露わにする。
「小里! コレ、何処で!?」
「街のすぐ外れの廃病院だべ! 最近UFO見だって話聞いだはんで夜通す見張っちゃーら撮れだんだよ!」
「響!」
「翼さん達に知らせて来るね!」
すぐさま響は、写真を手に学園祭の準備を手伝っている翼とクリスの元へ走るのだった。
◇
幻夢界の幻夢城・玉座の間………
「魔王様。如何やら二課の連中が地上基地の存在に気付いた様です」
ドクターポルターが、玉座の魔王サイコに向かってそう報告する。
「ウェルよ………」
「! ハ、ハイッ!!」
魔王サイコに呼ばれたウェルが、若干恐怖した様子で返事を返す。
「貴様の作った『例の物』と『あの完全聖遺物』、存分に使うが良い………」
「ハ、ハハーッ! 畏まりました!!」
深々と頭を下げてそう言うウェル。
「魔怪獣を送り込め………」
とそこで、魔王サイコがそう言ったかと思うと、その目が怪しく輝き、玉座の周りに浮いていた球体………人工知能に赤い光線を次々と放つ。
赤い光線を浴びた人工知能群が、渦を描く様に回転する。
魔怪獣は核酸細胞の分裂と結合により誕生するのだ!
クエエエエェェェッ! ケエエエエェェェェェーーーーッ!!
爆発が起こったかと思うと、エイを思わせる魔怪獣………『エイビースト』が誕生した!
「「「!!」」」
「…………」
魔怪獣誕生の様子に、マリア・切歌・調は思わず後退り、ナスターシャも険しい表情を見せる。
「………レイダーよ」
「ハッ………」
「マリア達と共に地上基地へ行け………二課とシャリバンめを誘い込んで抹殺するのだ」
「承知致しました………」
魔王サイコからそう命じられたレイダーは、マリア達に付いてこいと言う様に玉座の間から出て行く。
「「「「「…………」」」」」
ウェル以外の面子は、不承不承ながらもその後に付いて行く。
「フッ、嘗ては我等を謀ったレイダーも今や魔王様の忠実な僕か」
「コレも全ては復活なされた魔王様の偉大なお力」
一同が出て行った後、ガイラー将軍とドクターポルターがそう言い合って魔王サイコの方に向き直ると、その場に片膝を着くと、ミスアクマ達とファイトロー達も一斉に片膝を着いた。
「カオーッ!」
その中で、魔王サイコは目を光らせて牙をむき出しながら、奇怪な唸り声を発する。
「…………」
そして1人、セレナは壁に寄り掛かってその様子を見守っていたのだった………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
マリアのマドーの名の元に行われた降伏勧告から1週間………
実はあの時、日本以外もマドーの攻撃を受け、甚大な被害を出していました。
情報をある程度開示した日本ですが、他国からすれば到底信じられるものではなく、足並みは揃えられません。
そんな中で、轟は戻れなくなった理由をコム長官から聞いた弦十郎。
響の為に向かった惑星ホスピでマドーの大規模な別働隊と遭遇し、なし崩し的に惑星ホスピの防衛を担わなくてはならなくなったのです。
応援部隊が到着するまで、轟は惑星ホスピを離れられません。
そこで、コム長官は2代目シャリバンを派遣したというワケです。
その2代目シャリバンこと甲賀 雷ですが………
響と未来の恋を進ませるとっておきの情報を齎します。
何と、バード星ではハーレム公認!
流石に公式設定ではなく、それっぽい事を語ってますが、只の妄想設定です。
ご都合主義ではありますが、これでお互いに遠慮する必要は無くなったワケです。
まあ、まだ轟本人が居ないので何とも言えませんが、後はお互いに踏み出すだけ………
これで遠慮無くラブコメが書ける(本心)
尚、雷の方もヒロインとラブコメさせますので、お楽しみに。
それはさて置き(笑)………
舞台は原作での廃病院での戦闘へ………
慎次ではなく、小里が情報を持って来ると言う………本当にスカウトされるかも知れませんね(爆)
そんな廃病院では、原作でのウェルに加えてレイダーも待ち受けています。
宇宙刑事シリーズ的な展開が見れるかもです。
お楽しみに。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。