戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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第16話『死霊界への誘い 死の恐怖が響を襲う』

???………

 

(アレ? 此処は? 翼さん達は?………)

 

微睡みの中、響が見ていたのは、あのツヴァイウイングのライブで悲劇を生き延びた際に体験した謂れの無い迫害だった。

 

(最近は見てなかったんだけどなぁ………)

 

辛かった記憶が思い起こされ、響は気分が沈む。

 

しかし、以前の様に落ち込む事は無い………

 

陽だまりである未来………

 

そして、再会出来た轟の存在が在るからだ………

 

だがそこで………

 

目の前の景色が一変!

 

薄暗く、霧の立ち込める沼の様な場所となった。

 

その畔に、響は立って居る。

 

「えっ!? 此処は?………」

 

突如光景が様変わりした事に、響は狼狽する。

 

するとそこで………

 

霧の立ち込める沼から、『何か』が現れた。

 

「!?」

 

それは、長い木の箱………『棺』が乗せられたボートだった。

 

「棺………」

 

不気味なボートに、響は警戒心を露わにする。

 

しかし、ボートはそんな響の警戒心を余所に、響の立つ畔へと流れ着く………

 

「…………」

 

目の前の棺を見下ろす響。

 

その瞬間………

 

棺の蓋が独りでにズレて、中が露わになった。

 

「!?!?」

 

それを見た響が驚愕する。

 

何故なら、棺の中に居たのは………

 

花に埋もれ、目を閉じた生気の無い青白い顔だけが出ている………

 

()()()』だったからだ!!

 

「あ、ああああっ!?」

 

自分の死体を見て、響は酷く狼狽する。

 

『自分の死に顔は如何だ? 気に入ったかね?………』

 

そこで、何処からともなく不気味な声が聞こえて来る。

 

「!? 誰っ!? 誰なの!?」

 

『お前は間も無く死ぬ………』

 

狼狽したまま問い掛ける響だが、不気味な声を一方的にそう告げる。

 

「! う、嘘だっ!! そんな事あるもんか!!」

 

不気味な声の宣告を慌てて否定する響。

 

「?………」

 

その時、右手に違和感を感じて見てみると………

 

 

 

そこには、白骨化している右手が在った!?

 

 

 

「!? て、手がっ!?」

 

動揺した響が、沼の水面を覗き込むと………

 

 

 

映っていたのは、シャレコウベとなっている自分の顔だった!!

 

 

 

「!? イヤアアアアアァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

不気味な沼地に、響の絶叫が木霊する………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮説本部・医務室………

 

「ううう………あああ………」

 

「響! 響! しっかりしてっ!!」

 

「!? ハッ!?」

 

医務室のベッドで寝て、魘されていた響が、誰かの呼び掛けでバッと跳び起きる。

 

「ハア………ハア………」

 

全身に脂汗が浮かんでおり、呼吸も荒い。

 

「響! 大丈夫っ!?」

 

そこで、呼び掛けていた人物………未来が心配そうに声を掛ける。

 

「未来………如何して?」

 

外部協力員とは言え、基本的には部外者である未来が本部内の医務室に居る事に疑問を感じる響。

 

「響が倒れて魘されてるって翼さん達から連絡があって、司令が特別に許可してくれたの」

 

「そっか………私………」

 

未来の言葉で、薄らと戦いの時の記憶が蘇る。

 

「響………本当に大丈夫?」

 

まだ顔色の悪い響を見て、未来は不安そうに顔を覗き込んで来る。

 

「だ、大丈夫だよ! 本当に………!?

 

と取り繕う様に響は返そうとしたが、そこで右手を見た瞬間………

 

()()()()()()()()が目に入る。

 

「!? うわああああぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「響っ!?」

 

「手がっ!? 私の手がぁっ!?」

 

「響! 落ち着いて! 何にもなって無いよっ!!」

 

激しく動揺して暴れ出しそうになる響を押さえ付ける様にしながら、未来は響の()()()()()()()()()()()と言う。

 

「うわああああぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

しかし、白骨化している幻影が見えている響の動揺は治まらない。

 

「誰かっ! 誰か来て下さいっ! 響が! 響がぁっ!!」

 

未来が悲鳴の様な叫びを挙げると、異変を察知した医務官達が慌てて飛び込んで来て、未来と同様に響を押さえ付ける。

 

だが結局響の動揺は治まらず、最後は鎮静剤によって無理矢理再度眠らせる事になったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度その頃………

 

仮説本部・ラボにて………

 

「コレを見て………」

 

集まっていた翼・奏・クリス、そして雷に弦十郎を前に、了子は先ず1枚のレントゲン写真を見せる。

 

それは、響を定期検査した時に撮ったモノであり、心臓を中心に、()()()()()()()が全身に広がっていた………

 

「!? コレは!?」

 

「まさか………ガングニール!?」

 

そのレントゲン写真を見た翼と奏が驚愕の声を挙げる。

 

「更にこんな物まで有るわ………」

 

そこで了子は更に、シャーレに入れられた鉱石の様な物を見せる。

 

「コレは?」

 

「メディカルチェックの時に響ちゃんから採取した体細胞の一部よ」

 

「!? こんなモンが身体の中から出て来たってのかよ!?」

 

弦十郎の問いに了子がそう返すと、クリスが叫ぶ。

 

「………もし、この状態が悪化すれば………いや、このままの状態を維持したとしても、響ちゃんは如何なるんですか?」

 

と、雷が確信への質問をし、一同の視線が了子に集まる。

 

「………死ぬわ。確実にね」

 

「「「!!」」」

 

「…………」

 

(轟の懸念が現実になっちまったか………)

 

齎された無慈悲な答えに、翼・奏・クリスは愕然となり、弦十郎と雷も苦い顔を浮かべる。

 

「クソッ! あの時………アタシがもっと上手く戦えていれば!!」

 

「奏………」

 

流石の奏も今回ばかりは罪悪感に苛まれており、翼はそんな奏に掛ける言葉が見つからない。

 

「………現在の我々の状況は厳しい。月の落下が真実である事が判明し、政府内にも動揺が広がっている」

 

そこで弦十郎がそう言う。

 

あの戦いの後………

 

雷はグランドバースのコンピューターを使い、月の軌道を観測。

 

結果、レイダーの言った事は真実であり、今すぐにと言うワケではないが、月が地球に落下する事は事実であると判明。

 

弦十郎は上層部へと報告を挙げたが、月が落下するなどと言う未曽有の災害に打てる手立てなど無く、政府内には混乱が広がった。

 

中には、全てを諦めてしまった様な者達まで出る始末だった。

 

「だが! それでも我々は戦わねばならない! F.I.S.は魔王サイコの力で月の落下を止めると言っていたが、宇宙犯罪組織であるマドーが月の落下を止めるなどとは到底思えん!」

 

「…………」

 

その弦十郎の言葉に、雷も無言で頷く。

 

この事は雷を通してバード星のコム長官にも伝えられており、銀河連邦警察でも何か手立てがないか検討してくれている。

 

誰もが諦めてなど居ない。

 

「しかし………響くんはもう戦闘には出さん。今は兎に角、コレ以上ガングニールの浸食が進まない様にしなければ………」

 

「私も出来る限り研究を続けるわ。必ず響ちゃんを救って見せる!」

 

「あの馬鹿が抜けた分はアタシ達がカバーする! いや、してみせる!!」

 

了子が決意を込めた声でそう言うと、クリスもそう声を挙げた。

 

「そうだ! 諦めるのはまだ早い! バード星でも響ちゃんの事は調べてくれている筈だ! 俺達は響ちゃんを助け、月の落下を止める! そしてマドーを倒し………マリア達を解放するんだ!」

 

「「「「「…………」」」」」

 

最後に雷が纏める様にそう言うと、一同は力強く頷いた。

 

とそこで、弦十郎の通信機が鳴った。

 

「む? 医務室からか。響くんが目を覚ましたのか?」

 

連絡先が医務室からであるのを見た弦十郎がそう言いながら通信に出る。

 

「俺だ………!? 何だとっ!? 響くんが!?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

そこで、弦十郎が思わず挙げた大声に、翼達が響に異変が起きた事を察したのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮説本部・医務室………

 

一同はすぐに医務室へと駆け付け、そこで鎮静剤を打たれて無理矢理寝かしつけられたにも関わらず、苦しんでいる響の姿を目撃する。

 

「ううう………あああ………」

 

「響………」

 

魘されている響の右手を自分の両手で包み込む様に握り、不安な表情を隠せずに居る未来。

 

「如何したと言うんだ、立花は?」

 

そんな響の姿を見て、翼も困惑を隠せない。

 

「! まさか、ガングニールの浸食の影響じゃ!?」

 

「あ! 馬鹿っ!!………」

 

思わずそう口走ったクリスに、奏が慌てて口を塞ごうとしたが………

 

「ガングニールの浸食って………如何言う事なの!?」

 

「!?」

 

その発言は完全に未来に聞かれ、クリスは『しまった!』と言う顔になる。

 

結局、詰め寄って来る未来を誤魔化す事は出来ず、弦十郎は全ての事情を説明した………

 

「そんな………響が………」

 

「諦めないで! 必ず治療法を見つけて見せるから!」

 

無二の親友が死の危機にあると知って愕然となり、絶望の表情を浮かべる未来を励ます様に了子がそう言う。

 

「けど、この症状は………ガングニールの浸食とは違うみたい」

 

しかし、響の状態を調べているメディカルマシンを見ると、そう結論付ける。

 

「! そうなのか!?」

 

「じゃあ、原因は一体?………」

 

クリスと翼がそう言うと………

 

「………レイダーだ」

 

「「「「「「!!」」」」」」

 

雷がそう呟き、一同の視線が雷に集まる。

 

「恐らく響ちゃんは、レイダーの死霊術を掛けられたんだ」

 

死霊術?」

 

「呪いみたいなものさ。先代のシャリバンも、レイダーの死霊術に苦しめられた」

 

「響は………響は治るんですか!?」

 

未来が雷に詰め寄る。

 

「………響ちゃんが己の心と戦い、打ち勝って闘争心を取り戻せば死霊術は解ける………しかし」

 

「闘争心を取り戻せば、それによりガングニールの浸食が進んでしまう………」

 

「…………」

 

口籠りかけた雷の言葉の先を予想した弦十郎がそう言うと、雷は無言で頷いた。

 

「でも、このままの状態が続いたら、精神が衰弱して廃人になってしまう可能性も在るわ………」

 

「ガングニールの浸食で死ぬか………死霊術で精神を破壊されて廃人になるか、という事か」

 

「そんな!? うわああああぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

了子と翼がそう言い合うのを聞いて、未来は魘されている響に縋り付く様にして泣き出す。

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

そんな未来に掛ける言葉を、この場に居る誰もが持ち合わせていなかった………

 

 

 

 

 

結局………

 

再び目を覚ました響が少し落ち着いたのを確認すると………

 

弦十郎は彼女に戦闘禁止を命令し、未来と共に寮へと帰宅させたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

カ・ディンギル跡地では………

 

「…………」

 

1度は姿を消した筈のレイダーが戻って来ており、目を閉じて神経を集中させている。

 

まるで何かを探しているかの様に………

 

「あ、あの………レイダー様?」

 

「黙っていろ………」

 

「! ハ、ハイッ!」

 

「…………」

 

恐る恐ると言った様子で声を掛けて来たウェルをドスの聞いた声で一喝し、更に集中し続けるレイダー。

 

「………見つけたぞ」

 

と、やがて眼を開いてそう言ったかと思うと、右手の軍配からエクトプラズムが出現し、ある地点へと向かう。

 

そしてエクトプラズムは、そこに在った『ある物』を浮かび上がらせ、レイダーの元へと持って来る。

 

「やはり無事であったか………ネフィリム心臓よ」

 

レイダーはその『ある物』………暴走響が雑に捨てていたネフィリムビーストの心臓を左手に取る。

 

「おお! これさえ有れば!………」

 

ネフィリムビーストの心臓を見て、ウェルも嬉しそうな様子を見せるのだった。

 

と、その時!!

 

「動くなっ!!」

 

何処からともなく、黒服の男達………

 

二課のエージェント達が現れ、レイダーとウェルを取り囲んだ!

 

「!? 特異災害二課の!?」

 

「この場所を張っていたか………」

 

ウェルは狼狽するが、対照的にレイダーは虫けらを見る様な目でエージェント達を見据える。

 

「ドクターウェル! そして軍師レイダー! お前達を拘束する!!」

 

「愚か者めが………」

 

黒服の1人がそう言った瞬間、レイダーの目が怪しく光り、エージェント達にエクトプラズムが巻き付いた!

 

「「「「「!? うわああぁぁぁぁっ!?」」」」」

 

忽ちエージェント達は生気を吸収され、干からびたミイラの様な死体になって行く。

 

「こ、此方エージェント隊! 軍師レイダーとウェル博士を発見! 至急応援を………ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

応援を要請したエージェントにもエクトプラズムが纏わり付き、干からびた死体にされるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻夢界の幻夢城・玉座の間………

 

「魔王様。軍師レイダーとウェル博士がネフィリムビーストの心臓の回収に成功しましたが、二課のエージェント達に発見されたとの事です」

 

「カオーッ!」

 

セレナからの報告に、魔王サイコは不気味な咆哮を挙げる。

 

「フン、装者でも無い只の人間共の集団など、儂が蹴散らしてやる!」

 

ガイラー将軍が血気盛んに、ファイトロー達を連れて飛び出して行こうとする。

 

「待て、ガイラー将軍………」

 

だがそれを魔王サイコが止める。

 

「………暁 切歌………月詠 調………貴様達が行け」

 

「えっ!?」

 

「デースッ!?」

 

そしてまさかの指名を受けた調と切歌が驚きの声を挙げる。

 

「魔王サイコ様! お待ち下さい! ココは………」

 

「この前の失態を挽回するチャンスをやろう………無事にレイダーとウェルを連れて来れば、貴様等の扱いを少しは良くしてやっても良いぞ………」

 

「「!!」」

 

マリアが自分が代わろうとしたが、それを無視する様に魔王サイコがそう言い放ち、切歌と調は顔を見合わせる。

 

「………行くデス!」

 

「名誉挽回………」

 

やがて、何かを決意した表情となると、玉座の間を後にした。

 

「!………」

 

「カオーッ!」

 

そんな2人を見送るしか出来ない自分に怒るマリアを余所に、魔王サイコは不気味な咆哮を挙げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れ、放課後………

 

お好み焼き屋『フラワー』近くの街道にて………

 

響と未来、そして弓美・詩織・創世・小里の姿が在った。

 

「ビッキー、本当に大丈夫?」

 

「うん………ゴメンね、折角誘ってくれたのに」

 

「こちらこそ、強引にお誘いして申し訳ありません」

 

創世と詩織が響を気遣う様にそう言う。

 

寮へと帰宅した2人の姿を見た弓美達が、響があからさまに調子が悪そうなのを見て、半ば強引に元気付けようと『ふらわー』へと誘ったのだ。

 

しかし、当の響は食事も碌に喉を通らない状態であり、折角のおばちゃんのお好み焼きを前にしても、全く箸が進まず、おばちゃんにまで驚かれていた。

 

「響………」

 

「こりゃ重症だべぇ………」

 

未来が不安げに響の名を呟き、小里も尋常では無い事を悟る。

 

「アンタから食欲無くしたら、もう何も残らないじゃない」

 

「そうだね………」

 

と、弓美が揶揄う様にそう言うが、響は沈んだ様子でそう返す。

 

「あ、ゴ、ゴメン………そんな積りじゃ」

 

笑いを取って元気出させようとしたものの、完全に藪蛇になってしまい焦る弓美。

 

その時………

 

「食欲が無いか………確かにそれはいけないな」

 

「「「「「!?」」」」」

 

突然背後から聞こえて来た聞き覚えの無い声に、一同が後ろを振り返ると、そこには………

 

作務衣姿で、左手に何故か水に付けられた豆腐の入ったボールを手にしている整った顔立ちの男が居た。

 

「だ、誰ですか!?」

 

「………おばあちゃんが言っていた」

 

響の当然の疑問にも答えず、男は一方的に語り出す。

 

「病は飯から。食べると言う字は人が良くなると書く」

 

「は、はあ………」

 

男の言葉に戸惑うしかない未来。

 

「変な人だな………」

 

「アニメの主人公みたいでカッコイイ………」

 

対照的な印象を持つ創世と弓美。

 

「そしてもう1つ………」

 

「もう1つ?」

 

「運命は常に味方だ。望みさえすれば、運命は絶えず味方する」

 

小里が首を傾げると、男はそう言葉を続けた。

 

「!!」

 

その言葉に、何かを感じる響。

 

「俺が言いたかったのはそれだけだ………」

 

一方的に語って満足したのか、男は踵を返すと、響達から離れて行く。

 

「あ、あの! 貴方は!?」

 

とそこで、詩織がまだ男の名を聞いていない事を思い出してそう呼び止める。

 

すると男は響達に背を向けたまま、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「俺は天の道を往き、総てを司る男」

 

それだけ言うと、今度こそ男は去って行った。

 

「何だったんだろう? あの人?」

 

「…………」

 

(運命は常に味方だ。望みさえすれば、運命は絶えず味方する)

 

困惑する創世の横で、響は胸に手を当てて先程の男の言葉を思い出す。

 

と、その時!!

 

爆発音が響き渡った!!

 

「「「「「!?」」」」」

 

響達が再度振り返ると、すぐ近くから黒煙が上がっていた。

 

「アレって!?………」

 

「やれやれ………しつこい連中だ」

 

創世がそう声を挙げた瞬間、一同の前にレイダーとウェルが姿を見せた。

 

二課のエージェント達を蹴散らしている内に此処まで移動させられた様だ。

 

「! 軍師レイダー! ウェル博士も!」

 

「! ヒイッ!? レイダー様! 立花 響です!!」

 

「ほう? まだ生きていたか?」

 

響が声を挙げると、ネフィリムビーストの心臓を持ったウェルが狼狽するが、対するレイダーは虫けらを見る様な目を向ける。

 

「!!………!?」

 

すぐさまシンフォギアを纏おうとした響だが、()()()()()()()()()()()………

 

(お前はもうすぐ死ぬ………)

 

只レイダーからの死の宣告だけが脳裏を過り続ける。

 

「! ううう………」

 

自分の身体を抱き締める様に蹲り、小刻みに震え出す響。

 

「! 響っ!!」

 

「ビッキーッ!」

 

「響さん!」

 

「ちょっと! しっかりしなさいよ!!」

 

慌てて未来・創世・詩織・弓美が駆け寄り、助け起こそうとする。

 

「最早死に体か………ならばトドメを刺してやろう」

 

するとそこで、レイダーは左手にソロモンの杖を出現させたかと思うと、ノイズを出現させる。

 

「! ヒイイイイイイッ!? ノイズだぁっ!?」

 

「「「「!?」」」」

 

小里が悲鳴を挙げると、未来達の顔も恐怖で引き攣る。

 

響以外の人間のとって、ノイズは恐怖の象徴だ。

 

「仲間も一緒に送ってやろう………あの世で仲良くするが良い」

 

レイダーがそう言うと、ノイズが響達目掛けて跳び掛かって来る。

 

「「「「「!?」」」」」

 

未来達の顔が絶望に染まる。

 

(死ぬ? 未来達が死ぬ?………そんなの………嫌だ………絶対に嫌だ!!)

 

と、周りの光景がスローモーションの様に感じられる中、自身の陽だまりと親友達の危機に………

 

死の幻影に囚われていた響の心が、音を立てて燃え始める。

 

そして最後に、轟の姿が思い起こされた瞬間………

 

「よろしく………勇気っ!!」

 

魔法の言葉を口ずさみ、響は自らノイズに突っ込んで行った!

 

「!? 響! 駄目ぇっ!!」

 

未来の悲鳴が木霊する。

 

シンフォギアを纏えばガングニールの浸食が進んで死ぬ………

 

纏わなければノイズにやられて死ぬ………

 

響の運命はどちらにしろ死が待っている………

 

だが!!

 

もう響は止まらない!!

 

「蒸着っ!!」

 

聖詠ではなく、そう口走りながら、飛び掛かって来ていたノイズをブン殴る!

 

「!? ひ、人の身でノイズに触れた!?」

 

ウェルが驚愕の声を挙げる中、響の身体がほんの()()()()()()()()()()かと思うと、何時もの様に黄色い光に包まれ、シンフォギアを身に纏った!

 

「フフフ………愚かな………人の身を捨てての死を選ぶか………」

 

そんな響の姿を見て、レイダーは嘲笑う。

 

「この拳も! 命も! シンフォギアだっ!!」

 

だが、響はそんなレイダーに向かって、宣言する様にそう言い放つのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

前回、レイダーが響に掛けた死霊術。
それは、自身の死の幻影を見せると言うものでした。
原作でも、初代シャリバンがやられた手で、一時的に戦闘不能になるまで追い込まれたほどです。
G原作では、響はガングニールの浸食の事を聞かされてもシンフォギアの使用を躊躇したりしていませんでしたが、この作品では具体的な死のビジョンを見せられた事で、恐怖を覚えてます。

この死霊術を破るには己の心と戦い闘争心を取り戻すしかありませんが、そうすると取り戻した闘争心でガングニールの浸食が進行してしまう。
かと言って、このままでは精神がやられて廃人に………
正に詰みな状況です。

結局、戦いからは遠ざけられた響でしたが、運悪くネフィリムの心臓を回収したレイダー達と鉢合わせ。
陽だまりと親友達を守る為、天の道を行く男からのアドバイスとよろしく勇気を胸に、響は決死の覚悟でシンフォギアを纏います。

だが、次回………
その響に異変が!?
そして未来も………

最後の事で、響が蒸着の言葉でシンフォギアを纏ったのと、一瞬銀色の光を放ったのは後への伏線となります。
G編では明らかにならず、判明するのは早くてGX編、もしくはAXZ編となりますので、ご了承ください。

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