戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。


第19話『孤独な歌姫』

スカイタワー・上部………

 

「コレが我々が入手出来たマドーの情報です」

 

二課のエージェント(?)に、マドーの情報が入ったSDカード状の記憶媒体を渡すナスターシャ。

 

「…………」

 

無言でそのSDカードを見やるエージェント(?)。

 

「取り扱いに関しては………」

 

ナスターシャがデータの取り扱いについて説明しようとしたところ………

 

「!!」

 

何とエージェント(?)は、持っていたSDカードを握り潰した!!

 

「「!?」」

 

驚くマリアとナスターシャの前で手を開き、砂状になったSDカードの残骸を床に落とすエージェント(?)

 

「マムッ!」

 

「如何言う積りです?」

 

「如何言う積り?………それはこっちの台詞ですよ、マム。姉さん」

 

マリアとナスターシャが声を挙げた瞬間………

 

エージェント(?)達がサッと左右に分かれ、そこから白いスーツの女性………セレナが姿を現した!

 

「!? セレナッ!?」

 

「………私達の動きに気付いていたのですか?」

 

「暁 切歌と月詠 調が居なくなれば、2人が裏切りを画策すると言うのは予想が付いていましたからね」

 

狼狽するマリアと、問い質して来たナスターシャに冷たい視線を向けているセレナ。

 

と、そこで………

 

ヒイアアアアアアッ!!

 

「「「「「コワッコワッ!」」」」」

 

二課のエージェントだと思っていた連中が、魔怪獣『ハードビースト』とファイトロー達へと変わった!

 

「裏切り者に死あるのみ………それがマドーの掟です」

 

「! マリアッ!!」

 

「!!」

 

 

 

Granzizel bilfen gungnir zizzl

 

 

 

セレナの台詞を聞いたナスターシャが叫び、我に返ったマリアがシンフォギアを身に纏う。

 

ヒイアアアアアアッ!!

 

「「「「「コワッコワッ!」」」」」

 

シンフォギアを纏った姿となったマリアを威嚇する様にハードビーストとファイトロー達が奇声を挙げる。

 

「仕方ない姉さんですね………では、少し遊びましょうか」

 

すると、セレナは自身のスーツの首元に手を入れたかと思うと………

 

何と『ギアペンダント』を取り出した!

 

「!?」

 

「それは!?………」

 

 

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

 

 

驚くマリアとナスターシャを無視して聖詠を唱えるセレナ。

 

次の瞬間にはセレナの身体が光に包まれ、その光が弾けたかと思うと………

 

まるで妖精を思わせるシンフォギア………『アガートラーム』を纏ったセレナの姿が露わになった!

 

「さあ、姉さん………存分に殺し合いましょう」

 

シンフォギアの意匠に相応しくない邪悪な笑みを浮かべ、セレナは右手にアームドギアであるビームダガーを握ってそう言い放つ。

 

「セレナ………」

 

それに対し、マリアもアームドギアの槍の穂先をセレナへと向けるが………

 

その穂先は小刻みに震え、カタカタと音を立てていたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

スカイタワーへと続く道を、クリスを乗せた雷の車と、奏とタンデムしている翼のバイクが疾走していた。

 

二課が手配したのか、2台の行く手に一般車両の姿は無く、法定速度を大幅に超過したスピードにも関わらず、警察が来る様子も無い。

 

「なあ? あの通信………信用出来ると思うか?」

 

ふとクリスが、雷に向かってそう尋ねた。

 

「ナスターシャ教授………F.I.S.ではレセプターチルドレンを観察する立場にあったらしいが、マリアや切歌ちゃん、調ちゃんにとっては親代わりの様な存在だそうだ」

 

「2人のあの様子を見ると、その通りだと思って良いだろう」

 

それに対し、雷に加えて翼もそう返す。

 

ナスターシャからの暗号が届いた際、切歌と調は必死に雷達にマリアとナスターシャを助けて欲しいと懇願していた。

 

「そりゃあ、このタイミングで保護して欲しいだなんて、罠って考えるのも当然だけどよお………あんなに頼まれちゃ嫌とは言えないだろ」

 

涙を流しながら訴え掛けて来た切歌と調の事を思い出しながら、奏もそう言う。

 

「………もし罠だった時は、真正面から食い破るまでだ」

 

そこでクリスも、覚悟を決めた表情となり、そう言うのだった。

 

『皆、悪い知らせだ………』

 

とそこで、一同の通信機に弦十郎の声が響く。

 

「風鳴司令、何があったんですか?」

 

『先行して向かって貰ったエージェント達との連絡が途絶えた………』

 

「「「「!!」」」」

 

弦十郎の言葉に、雷達に緊張が走る。

 

「急ぐぞ!」

 

「!!」

 

雷が車を加速させると、翼のバイクも加速するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカイタワー・上部………

 

「ハアッ! ハアッ! ハアッ!」

 

ナスターシャを肩に抱え、通路を疾走しているマリア。

 

「マリア! 待ち伏せされているを避ける為に、上の階から脱出を試みましょう!」

 

「!!」

 

それを聞いたマリアは、近くに在った扉を蹴り破ると、扉の先に在った階段を上の方へと昇って行く。

 

と、その途中………

 

数本の宙を飛ぶビームダガーが、マリア達に襲い掛かる!

 

「!!」

 

咄嗟に槍を振るって弾き飛ばすマリアだったが、弾かれたビームダガーが壁や床、そして階段に突き刺さったかと思うと爆発を起こした!!

 

「!?」

 

マリアは驚きながらも、ナスターシャを庇いつつ、爆発によって出来た穴を使って外へと飛び出したかと思うと、槍を外壁に突き刺す。

 

突き刺した槍の上に乗り、足場にして跳躍したかと思うと、展望台の上部へと降り立つ。

 

だがその直後に、目の前の床が爆発したかと思うと、シンフォギアを纏った姿のセレナが飛び出して来る。

 

「懐かしいね、姉さん………昔はよくこうやって鬼ごっこしたね」

 

不気味に微笑みながらビームダガーを構えて、セレナがそう言い放つ。

 

「! その顔と声で………私とセレナの思い出を語るな!」

 

それを聞いたマリアが激昂した様に叫ぶ。

 

「まあ、酷い………たった1人の妹にそんな事を言うなんて………そんなだから切歌ちゃんも調ちゃんも守れなかったんですよ」

 

「ッ!!」

 

「落ち着くなさい、マリア! あからさまな挑発です!!」

 

尚も神経を逆撫でしてくる様なセレナの言動にマリアの怒りのボルテージが上がって行き、ナスターシャが冷静になる様に言う。

 

「フフフ………ん?」

 

嘲笑を零すセレナだったが、そこで何かに気付いた様子を見せる。

 

(招かれざる客ですね………ハードビースト、相手をしてやりなさい)

 

テレパシーでハードビーストへと指令を飛ばすと、セレナは再度マリアとナスターシャに視線を向ける。

 

「さあ、もう観念して下さい。どの道、貴方に出来る事なんてもう何も無いんですよ………マリア姉さん」

 

「! うわああああぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

その言葉で、遂にマリアがブチ切れた様に叫びを挙げ、ナスターシャをやや乱暴に下ろすと、独りでに戻って来た槍を手にセレナに踊り掛かった!!

 

「グウッ! いけません、マリアッ!!」

 

「お前が! お前が! お前がああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

軽く呻き声を漏らしながらも、ナスターシャはマリアに止す様に叫ぶが、怒りに駆られたマリアの耳には届かなかった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度、その頃………

 

スカイタワーの下部・出入口付近では………

 

「わああああっ!!」

 

「キャアアアアアアッ!!」

 

「助けてくれーっ!!」

 

スカイタワーに来ていた客達が、大慌てて飛び出して来ていた。

 

そこへ、雷の車と翼のバイクが到着し、4人が飛び降りて来る。

 

「オイ! 何があったんだっ!?」

 

「分からねえよ! 突然ドッカンドッカンって爆発音が聞こえて来てよぉ!!………」

 

客の1人を呼び止めた奏がそう聞き出していると………

 

スカイタワーの上部で爆発が起こった!!

 

「「「「!!」」」」

 

「うわあっ!? まただぁっ!!」

 

それに反応して雷達が上を見上げると、引き留められていた客は慌てて逃げ出す。

 

何時しか周囲に人影は居なくなっていた。

 

「マドーか!」

 

「裏切り者を粛清しに来たってワケか………」

 

と、雷とクリスがそう言った瞬間………

 

ヒイアアアアアアッ!!

 

「「「「「コワッコワッ!」」」」」

 

ハードビーストとファイトロー達が現れた!

 

「「「!?」」」

 

「出たな、マドーッ!!」

 

すぐさま身構える雷達。

 

そして!!

 

 

 

「赤射っ!!」

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Croitzal ronzell gungnir zizzl

 

Killiter Ichaival tron

 

 

 

一斉に赤射と聖詠を唱え、コンバットスーツとシンフォギアを纏った!

 

「宇宙刑事っ! シャリバンッ!!」

 

その中で、シャリバンは高らかに名乗りを挙げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙刑事シャリバンは、僅か1ミリ秒で赤射蒸着を完了する。

 

では、赤射プロセスをもう1度見てみよう!

 

「赤射っ!!」

 

雷がそう叫び、赤射ポーズを取ると、それは直ちに地球の衛星軌道上で待機している超次元戦闘母艦グランドバースへと伝わる。

 

すると、灼熱の太陽エネルギーが、グランドバースの増幅システムにスパークする!

 

増幅された太陽エネルギーは、赤いソーラーメタルに転換され、シャリバンに赤射蒸着されるのだ!

 

もう1度言おう!

 

この一連の動作………僅か1ミリ秒!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞっ!」

 

「「「ああ(おう)っ!!」」」

 

シャリバンの掛け声で、一斉にファイトロー達へと飛び掛かれる装者達。

 

「フッ! ハアッ! セヤアッ!!」

 

流れる様な動きで、ファイトロー達の間を稲妻の様に走り抜け、次々と斬り捨てて行く翼。

 

「オリャアアアアアアァァァァァァァッ!!」

 

奏は槍を頭上で回転させたかと思うと、その勢いに乗せてフルスイングし、ファイトロー達を薙ぎ倒す。

 

「雑魚は引っ込んでやがれってんだっ!!」

 

そしてクリスは、両手のガトリングガンを発砲してファイトロー達を蜂の巣にして行く。

 

ヒイアアアアアアッ!!

 

「フッ! トアアアッ!!」

 

ハードビーストが取り出した先端がフック状の形をしている槍の攻撃を往なし、反撃にチョップを叩き込むシャリバン。

 

ヒイアアアアアアッ!?

 

「シャリバンキックッ!!」

 

怯んだところへ飛び蹴りを見舞い、ハードビーストは地面を転がる。

 

「皆! 此処は俺が引き受ける! 早くナスターシャ教授の所へ………」

 

翼達がファイトロー達を全滅させたのを見たシャリバンがそう言った瞬間………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻夢城・玉座の間………

 

「幻夢界に引き摺り込め………」

 

「幻夢界発生マシーン、作動!!」

 

魔王サイコがそう言うと、ドクターポルターが号令を飛ばす。

 

直後に、魔王サイコの目から光線が放たれ、それが多数のトゲの付いた装置に命中し、その多数のトゲの先端から人工知能に向かってエネルギーが飛ぶ。

 

更にエネルギーを受けた人工知能が光線を放つと、それが別の装置へと集まり、強大な力が発生した。

 

 

 

幻夢界とは、一種のホワイトホールである。

 

ブラックホールに吸い込まれた夥しい物質が原子分解して逆噴射している、光と熱の渦巻く悪魔の空間である。

 

魔怪獣は、幻夢界では4倍の力を持つ事が出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカイタワーの下部・出入口付近………

 

「! 幻夢界っ!?」

 

「うわっ!?」

 

「吸い込まれるっ!?」

 

幻夢界が発生したのをシャリバンが確認した瞬間、そこから発生した吸引力で翼と奏の身体が浮かび上がる。

 

ヒイアアアアアアッ!!

 

そしてその2人よりも先行する様に、ハードビーストが自ら幻夢界へと飛び込んで行く。

 

「クッ! 先輩達! コレを使えっ!!」

 

とそこでクリスが、アーマーを展開させて大型ミサイルを2発発射!

 

「! 奏っ!!」

 

「おう、翼っ!!」

 

その内の1発の上に、翼と奏が着地する。

 

「ハアッ!!」

 

クリスも跳躍したかと思うと、残るもう1発の大型ミサイルの上に飛び乗る。

 

「モトシャリアーンッ!!」

 

そしてシャリバンはモトシャリアンを召喚。

 

飛来したモトシャリアンに跨ると、装者達を追って幻夢界に突入するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、スカイタワー・上部………

 

展望台の上では………

 

 

 

この胸に宿った 信念の火は

 

誰も消す事は出来やしない 永劫のブレイズ

 

 

 

「フフフ………」

 

歌いながら、マントでの攻撃を次々に繰り出すマリアだが、セレナは涼し気な表情で笑いさえ零す余裕を見せる。

 

シンフォギアのデザインも相まって、傍からにはまるで妖精が踊っている様にも見える。

 

 

 

いま例えこの身を焼き尽くそうと

 

信ず我が道の為なら 天になってもいい

 

 

 

HORIZON†SPEAR

 

 

 

そこでマリアは、槍の先端を展開させてビームを放つ。

 

「フ………」

 

だが、セレナは手にしていたビームダガーを振るったかと思うと、その軌道に合わせてエネルギーの幕………バリアが展開。

 

マリアが放ったビームはバリアに当たって雲散してしまう。

 

 

 

闇に惑う夜には 歌を灯そうか

 

聖光のセレナーデ 力よ宿れ

 

 

 

槍の先端を元に戻すと、勢い良く踏み込んでセレナを肉薄。

 

そのまま槍で連続突きを繰り出す。

 

だがこれも、セレナはその場から動かずに右手のビームダガーを振り、次々と往なして行く。

 

「如何したんですか、姉さん? さっきから全然駄目じゃないですか? 私への攻撃を躊躇しているんですか? それとも………全力を出してこの程度なんですか?」

 

「!!」

 

「マリア! 駄目です!!」

 

 

 

絶対に譲れない 夢が吠え叫ぶよ

 

正義の為に悪を貫け

 

 

 

セレナの更なる挑発が飛び、ナスターシャの制止も届かないマリアは、怒りに任せて大振りの横薙ぎを繰り出す。

 

「フッ………」

 

涼しい顔のまましゃがんで回避するセレナ。

 

「!!」

 

しかしその瞬間に、マリアは大振りした勢いを殺さずに、身体ごと回転しながら振り下ろしを繰り出した!!

 

 

 

涙などいらない 無双の一振りよ

 

覚悟を今構えたら 誇りと契れ

 

 

 

これは決まったかに思われたが………

 

「おっと、危ない危ない………」

 

突然空中に新たに2本のビームダガーが現れたかと思うと、それが交差する様にくっ付き、マリアの槍の振り下ろしを受け止めた!

 

「!?」

 

マリアが驚いた瞬間に、槍を受け止めた2本のビームダガーが勢い良く真上に動く。

 

「! クウッ!?」

 

槍ごと弾かれたマリアが、空中で回転しながら姿勢を整えて着地する。

 

「まだまだ行きますよ………」

 

しかし、セレナがそう言ったかと思うと、彼女の周囲に多数のビームダガーが宙に浮かんだ状態で出現する。

 

「!!」

 

「全部防げますかね?………」

 

そう言った瞬間に、浮かんでいたビームダガーが全て、まるでファンネルの様に軌道を複雑に変えながらマリアに殺到する!

 

「! クウウッ!!」

 

四方八方から襲い掛かって来るビームダガーを、槍を振り回して弾いて行くマリア。

 

だが、完全には捌き切れず、幾つかのビームダガーが身体を霞める。

 

頬、二の腕、脇腹、大腿部、脛………

 

シンフォギアとインナーが焼き切れ、露出した肌に火傷が刻まれる………

 

「グウッ!?」

 

「凄い、凄いよ姉さん。想像以上だよ」

 

苦しそうな声を漏らすマリアに、セレナは気の無い拍手を送る。

 

とそこで、マリアに襲い掛かっていた多数のビームダガーが一旦退き、セレナの前で壁の様になって横に並ぶ。

 

「じゃあ………コレも防げるかな?」

 

セレナがそう言って腕を振るうと、そのビームダガーが一斉にマリアに向かった!

 

「!?」

 

マリアは迫り来るビームダガーの壁に目を見開く。

 

既にボロボロな彼女にコレを防ぐ術は無い………

 

………かに思われたが!!

 

「オオオオオオォォォォォォォォッ!!」

 

気合の叫びを挙げたかと思うと、マリアの身体をマントが包み込み、高速回転する。

 

ビームダガーの壁が、その高速回転するマリアに激突し、両者は激しくスパークを発する。

 

その瞬間!!

 

「オオオオオオォォォォォォォォッ!!」

 

マリアの更なる気合の叫びが響くと、ビームダガーの壁が崩壊し、纏まりを失ったビームダガーが辺りに飛び散る!

 

「………グウッ!?」

 

そこで高速回転が止まり、再度マリアの姿が露わになる。

 

その姿はマントが完全に焼け落ち、先程よりも全身に傷と火傷が増えている。

 

「………私は………負けない!」

 

満身創痍で、槍を杖代わりに身体を支えながらも、決意と覚悟の籠った目でセレナを睨む様に見据えるマリア。

 

「素晴らしいですよ、姉さん………でも、何か忘れてないですか?」

 

そんなマリアに対し、セレナはある場所に視線を向けながらそう言い放つ。

 

「?………!?

 

それに釣られる様にマリアも視線を向けると、目に飛び込んで来たのは………

 

自分が弾いたビームダガーの幾つかが、床に倒れているナスターシャに向かって飛んでいる光景だった!!

 

「マムッ!!」

 

慌ててナスターシャを助けようとしたマリアだったが………

 

「!? ガッ!?」

 

先程のダメージが大きかったのか、途中で足を縺れさせて転倒してしまう。

 

「マリアッ!!」

 

「! マムッ!!」

 

思わず手を伸ばしたナスターシャに、マリアも慌てて起き上がろうとしながら手を伸ばす!

 

その次の瞬間………

 

 

 

 

 

弾かれたビームダガーの幾つかが、ナスターシャの周りの床に突き刺さる。

 

と、同時に大爆発!!

 

ナスターシャの姿は爆炎の中に消えた!!

 

 

 

「!?」

 

マリアの目が見開かれた瞬間に、余りの爆発でナスターシャが居た場所が崩壊。

 

展望台の一角が崩れて、遥か下の地面へと落下し、派手に土煙を挙げた!

 

「………マ………ム………?」

 

呆然としながら身を起こしつつ呟くマリア。

 

ナスターシャが居場所は完全に崩落し、彼女の姿は何処にも無かった………

 

「!? イヤアアアアアアァァァァァァーーーーーーッ!!」

 

槍を取り落とし、両手で頭を抱えて絶叫する。

 

親代わりであったナスターシャを自分の手で殺してしまった………

 

その事実が、マリアの心を蝕む………

 

「可哀そうに、マム………でも仕方ない事ですよ。マドーを裏切ったんですから」

 

そんなマリアの傍に、そう言う台詞と共にセレナが立つ。

 

 

「セエエエレエエナアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

と、粗反射的に床に落とした槍を掴むと、渾身の突きを繰り出す!

 

「フッ………」

 

セレナが何度目ともならぬ嘲笑を漏らしたかと思うと………

 

 

 

その身体を槍が貫いた!!

 

 

 

「!? えっ!? あっ!?」

 

怒りのままに繰り出した攻撃が命中し、マリアが狼狽する。

 

すると………

 

「痛い………痛いよ………姉さん………」

 

「!?」

 

突然聞こえて来たその声に、マリアがセレナの顔を見やると………

 

「姉さん………如何して?………」

 

絶望の表情で自分を見ているセレナの顔が在った………

 

「!? ち、違う! 私は!? 私は!?………」

 

完全に狼狽し、慌てて槍を引き抜くと、床に放る様に投げ捨てる。

 

「あ、あああああ………」

 

自分の両手を見ながらワナワナと震え、膝を着くマリア。

 

「姉さん………」

 

そんなマリアに近づくセレナ。

 

貫かれた筈の腹は、何時の間にか塞がっていた。

 

「もう姉さんの周りには誰も居ませんよ………如何するんですか?」

 

先程までの様子が嘘の様に、邪悪な笑みを浮かべてマリアにそう問い質すセレナ。

 

「わ、私は………」

 

切歌も調も、そしてナスターシャさえも失ってしまったマリア………

 

今の彼女に残されているモノ………

 

それは目の前のセレナに他ならなかった………

 

「私は………私は………」

 

マリアは葛藤しながら再度セレナの姿を見やる。

 

「…………」

 

セレナは相変わらず邪悪な笑みを浮かべて見下ろしている。

 

しかしマリアには、その邪悪な笑みの先に、在りし日のセレナの事を思い出す………

 

あの忌まわしいネフィリムの暴走が起こり、マドーがF.I.S.を乗っ取る前の、辛くても姉妹で寄り添って生きて来ていた日々の事を………

 

(私には………私にはもうセレナしか居ない!………切歌………調………マム………ごめんなさい………)

 

心の中でナスターシャ達に詫びつつ、マリアは震えながらセレナに対し土下座する。

 

「私は………マドーと魔王サイコ様に改めて忠誠を誓います」

 

「そうです………それで良いんですよ、姉さん」

 

そう言ったマリアの姿に、セレナは満足そうな様子を見せるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

偽二課エージェント達の正体は案の定マドーでした。
そして現れたセレナが、何とアガートラームのシンフォギアを纏ったマリアと激突。
サイコラーでなく、態々セレナの姿のままシンフォギアを纏って戦ったのは、完全にマリアに対する嫌がらせと精神攻撃です。

そのスカイタワーに駆け付ける雷達でしたが、魔怪獣出現によって幻夢界へ飛ばされてしまいます。

戦いの中、セレナに嵌められたとは言え、ナスターシャを失ってしまうマリア。
更なる追い打ちの精神攻撃を喰らい、とうとう心が折れてしまいます………
遂にマドーに1人残されてしまったマリア………
果たして彼女の運命は?
そして、ナスターシャは本当に死んでしまったのか?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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