戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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声優の飯塚 昭三さんが、2月15日に亡くなられました。

50年以上に渡り、地球を狙う悪を演じられた偉大な声優さんでした。

特撮作品を見ると、必ず飯塚さんの声を耳にしていました。

飯塚 昭三さん、長い間ありがとうございました。

如何か安らかに………


第4話『響に迫る、マクーの魔の手』

リディアン地下・特異災害二課の本部………

 

「! 迷うくらいなら断りなさいっ!!」

 

「オイ、翼!」

 

回答を保留した響に、翼がそう怒鳴りつけ、奏が諫める。

 

「………理由を聞いても良いかな?」

 

「私の力で、誰かを助けられるなら、私は戦おうと思ってたんです。けど………」

 

弦十郎の問いに、響はマクーの事を思い出しながら答える。

 

「あのマクーの怪物が向かって来た時………凄く、怖かったんです………私の事を殺そうと言う以外何も考えていない………そんな感じがしたんです」

 

ノイズは殺気など出さない………

 

只機械的に人間を炭化させるだけである。

 

だが、シャコモンスターは強烈な殺気を放っていた。

 

響の事を必ず殺そうと言う意思を………

 

「あの変な黒い顔の人達も、何にも感じてないみたいに人の事を殺してて………如何してそんな事が出来るのって思ったら、また怖くなって………」

 

「「…………」」

 

響の言葉に、翼と奏も思う所がある様な表情を見せる。

 

2人もノイズとは戦い続けて長いが、マクーの様な存在と戦った事はアレが初めてだった。

 

経験のお陰で狼狽えたり躊躇したりはしなかったが、ノイズとは違う恐ろしさは肌で感じ取っている。

 

「ノイズだけなら戦えると思います。けど………またマクーの人達が現れたら………」

 

「そうか………」

 

俯く響を見て、弦十郎は無意識に拳を握り締める。

 

弦十郎も政府の人間ではあるが、その前に子供の未来を守る大人だと自負していた。

 

本当ならば響だけでなく、翼や奏だった戦わせたくない………

 

それが悪意しかない様な相手ならば猶更である。

 

だが、現実にマクーの相手なら()()()()()()()()()()()()が、ノイズには成す術が無い………

 

己の不甲斐無さに心底腹が立って居た。

 

「………分かった。君の人生を左右する事だ。我々の事は気にせず、良く考えてくれたまえ」

 

「すみません………」

 

「謝る必要は無いさ………今日はもう遅い。ウチの職員に送らせよう」

 

弦十郎は送迎用の車を手配し、護衛も兼ねた職員を付き合わせ、響を寮へ送る様に指示するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10数分後………

 

「…………」

 

二課の車に乗せられた響は、後部座席の中心で俯いて縮こまっている。

 

運転手の他に、助手席、そして彼女の左右には護衛のエージェント達が居る。

 

(き、気まずい………)

 

如何にもプロと言う雰囲気のエージェント達に話し掛ける事など出来ず、響は黙っているしかなく、車内には重苦しい雰囲気が漂っていた………

 

と、その時!!

 

「!? 何だアレはっ!?」

 

運転手をしていたエージェントが声を挙げる。

 

「「「「!?」」」」

 

その声に反応して、他のエージェント達と響がフロントガラス越しに前を見ると………

 

そこには中央線を跨いで堂々と逆走して来る軍用ジープの姿が在った。

 

「うっ!? ま、眩しい………」

 

ヘッドライトがハイビームになっているのか、車内に光が飛び込んで来て、響は目を覆う。

 

だが、サングラスをしているエージェント達には、逆走して来るジープに乗っている人物達の姿がハッキリと確認出来た………

 

「!? マクーだっ!!」

 

それはマクーの戦闘員・クラッシャー達だった。

 

「ギギッ!」

 

「ギーッ!!」

 

と、荷台の上に立って居たクラッシャーと助手席のクラッシャーが、マシンガンを構え、躊躇無く発砲した!!

 

二課の車に弾丸が辺り、火花を散らす。

 

「キャアッ!!」

 

「大丈夫です! この車はタイヤまで防弾仕様になってますから!!」

 

車に次々と弾丸が当たる音に、響は耳を塞いで本能的に身を低くしたが、運転手のエージェントが安心させる様にそう言って来る。

 

彼の言葉通り、弾丸は全て弾かれており、貫通した弾は1発も無い。

 

「ギーッ!!」

 

「ギギッ!!」

 

するとそこで、荷台に居たクラッシャー達がマシンガンを仕舞い、別の武器を取り出す。

 

「!? なっ!?」

 

「バズーカだと!?」

 

取り出された武器………バズーカを見て、焦るエージェント達。

 

「ギーッ!!」

 

直後にクラッシャーはバズーカを発射!!

 

「クウッ!」

 

咄嗟にハンドルを切る運転手のエージェントだが、バズーカから放たれたロケット弾は、二課の車の左後部車輪を吹き飛ばした!!

 

「うわっ!?」

 

「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

コントロールを失った車は脇に逸れて、街灯に激突!

 

フロントが大きくヘコんで停止する。

 

「ううう………!?」

 

呻き声を挙げながら響が身を起こすと、頭などを負傷し、グッタリとしているエージェント達の姿が目に入る。

 

事前に身を低くしていた事が幸いしたのか、響だけが無事である。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「に、逃げて下さい………」

 

右隣のエージェントに声を掛ける響だったが、エージェントは苦しそうにしながらそう言い、ドアを開けて車外に転がり落ちた。

 

「!?」

 

慌てて助けようと自らも車外に出る響だったが………

 

「ギーッ!!」

 

「ギギッ!!」

 

そこでクラッシャー達の乗るジープが傍に停まった。

 

「!!」

 

「ギーッ!!」

 

「ギギッ!!」

 

驚く響に、クラッシャー達の無機質な視線が刺さる。

 

(ひょっとして、狙いは私!?)

 

以前の戦闘での事を思い出し、そう思い至る響。

 

(だったら………)

 

一瞬逡巡したものの、響はその場から駆け出し、ビルとビルの間へ入り込み、路地裏を逃走する!!

 

「ギーッ!?」

 

「ギギッ!?」

 

響の行動にクラッシャー達は一瞬驚きながらも、すぐにジープから降りて響を追って行った。

 

(良し! 追って来たっ!!)

 

狙い通りになったと思いながら響は必死に走る。

 

如何やら負傷しているエージェント達からクラッシャー達を引き離そうとしている様だ。

 

と、クラッシャー達が響を追って行った直後………

 

「! コレはっ!?」

 

丁度その現場に、車に乗った轟が駆け付けた。

 

「オイ、しっかりしろ! 何があったんだ!?」

 

車から跳び降りると、街灯に激突している二課の車に駆け寄り、負傷しているエージェントの1人に声を掛ける。

 

「た………立花 響が………マクー………に………」

 

「!? 何っ!?」

 

と、負傷して意識が朦朧としていた為か、エージェントは轟にそう答えてしまい、轟は驚きの声を挙げる。

 

『オイ、如何した!? 何があった!?』

 

するとそこで、エージェントが持っていた通信機から弦十郎の声が響いて来た。

 

如何やら二課の方でも異常を感知した様だ。

 

「………こちら宇宙刑事ギャバン。風鳴 弦十郎か」

 

『!? 宇宙刑事ギャバン!? 何故君が!?』

 

轟が応答すると、弦十郎は驚きの声を挙げる。

 

「マクーが立花 響を狙って襲撃して来た様だ。そちらのエージェント達は全員負傷。立花 響はマクーから逃走している様だ」

 

『何だと!?』

 

「俺はこのまま立花 響の救援に向かう。負傷者達の方は任せたぞ」

 

『待て!………』

 

「………あっちか」

 

何か言おうとした弦十郎だったが、その時には既に轟は響を追って走り出した。

 

「蒸着!!」

 

そして走りながら蒸着を行い、光の玉となって空に舞い上がるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

「ハア………ハア………」

 

クラッシャー達から逃げていた響は、廃工場の敷地内へと入り込んでいた。

 

この辺りはノイズ災害は頻発しているせいでこうした廃墟が点在しており、場所によっては区画そのものが放棄されている所も在るのだ。

 

「………逃げ切れたかな?」

 

立ち止まって周りを見回しながらそう呟く響。

 

その直後!

 

「ギーッ!!」

 

「ギギッ!!」

 

周りを取り囲む様にクラッシャー達が出現する!

 

「!?」

 

「逃げても無駄だ………」

 

響が驚いていると、ダブルマン・ゾンビAも現れる。

 

「!? ええっ!? 貴方、死んだんじゃっ!?」

 

ギャバン達に倒された筈のダブルマン・ゾンビAの登場に驚く響。

 

「? 何を言っている貴様?」

 

怪訝そうに首を傾げるダブルマン・ゾンビA。

 

獣星人ダブルマンは、マクーが制圧した惑星に棲む獣人であり、惑星ごとに数種類が存在し、特にゾンビと言うタイプは複数の種類が居て、数も多いのだ。

 

「立花響、貴様の持つ聖遺物の欠片はマクーが貰い受ける!」

 

「わ、私が持ってるって………その欠片は心臓に在って取り出せないんですよ!」

 

「ならば貴様の身体を切り刻んで取り出すまでだ」

 

「!………」

 

さも当然の様にそう言い放つダブルマン・ゾンビAに戦慄する響。

 

「如何して………如何してそんな酷い事が出来るんですか!? 貴方は宇宙人だけど、ノイズと違って言葉が通じるんだよ! 戦う理由なんて………」

 

それでも元来他者と争う事が嫌いな響は、説得を試みようと言葉を続けたが………

 

「ガマラモンスターッ!!」

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

ダブルマン・ゾンビAが響の言葉を遮る様に叫ぶと、響の背後からアスファルトの地面を突き破って、ベム怪獣『ガマラモンスター』が出現!

 

そのまま響を捕まえる。

 

「!? キャアッ!?」

 

「馬鹿め! 宇宙の全てはマクーの物! 我等の望みは地球のみならず、全宇宙を破壊と殺戮に満ちた犯罪の世とするする事だ!!」

 

「! そ、そんなっ!?」

 

愕然とする響。

 

言葉こそ交わせるものの、目の前の存在とは根本から価値観が違う………

 

何故そんな事が考えられるのか………

 

響には理解出来なかった………

 

「遊びはコレまでだ………ガマラモンスター! その娘を八つ裂きにしろ!!」

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

ダブルマン・ゾンビAが命じると、ガマラモンスターは捕まえている響の身体を力任せに引き千切ろうとする。

 

「あ、が………」

 

凄まじい力が全身に掛かり、苦悶の声を挙げる響。

 

(し、死ぬ………殺される………)

 

明確に死が近づき、意識が遠のく中………

 

あの時と同じく、響の胸に歌が浮かんだ。

 

Balwisyall nescell gungnir tron

 

聖詠を唱えると、響からフォニックゲインが発生し、ガマラモンスターが吹き飛ばされた!!

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!?

 

「何っ!?」

 

ダブルマン・ゾンビAが驚きの声を挙げる中、響はシンフォギアを身に纏った。

 

「! わ、私っ!?」

 

粗無意識に変身した事に戸惑う響。

 

「ええいっ! 掛かれっ!!」

 

「ギーッ!!」

 

「ギギッ!!」

 

そこでダブルマン・ゾンビAはクラッシャー達を嗾ける。

 

「ギーッ!」

 

「! うわあっ!?」

 

襲い掛かって来たクラッシャーを、響は反射的に殴り飛ばす。

 

「ギーッ!?」

 

殴り飛ばされたクラッシャーは廃工場の壁に叩き付けれて地面に落ちたかと思うと動かなくなる。

 

そして怪しい光を放って消えてしまった。

 

「あ、ああ………私………」

 

クラッシャーを殴り飛ばした手を見て動揺する響。

 

身体もガタガタと小刻みに震えている。

 

「ギギッ!!」

 

「ギーッ!!」

 

だがそんな響の心情など知った事では無いとクラッシャー達は襲い掛かって来る!

 

「!………」

 

呆然と立ち尽くすばかりの響。

 

………その時!!

 

突如飛んで来た光球が、彼女を包み込んで廃工場の建物の上へと舞い上がった!

 

「ギギッ!?」

 

「ギーッ!?」

 

「ぬうっ!?」

 

クラッシャー達とダブルマン・ゾンビAの驚きの声が挙がった瞬間、光が弾けて、響をお姫様抱っこで抱えたギャバンの姿が露わになった!

 

「ギャ、ギャバンさん!?………」

 

「大丈夫か?」

 

「ハ、ハイ………」

 

「そうか………」

 

その言葉を聞くと、ギャバンは響を降ろす。

 

「おのれ、ギャバン! またしても!!」

 

「宇宙刑事! ギャバンッ!!」

 

忌々し気に叫ぶダブルマン・ゾンビA達を見下ろしながら、ギャバンはポーズを決めながら高らかに名乗りを挙げた!

 

 

 

 

 

宇宙刑事ギャバンが、コンバットスーツを蒸着するタイムは、僅か0.05秒に過ぎない!

 

では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!

 

「蒸着っ!!」

 

轟がそう叫び、蒸着ポーズを取ると、それは直ちに地球衛星軌道上の亜空間内にいる超次元高速機ドルギランへと伝わる。

 

『了解! コンバットスーツ、電送シマス!』

 

そして、ドルギランより粒子状に分解されたコンバットスーツが轟へと電送される!

 

その粒子状となったコンバットスーツが、轟の体に吹き付けられる様にスーツを構成していき、蒸着は完了する。

 

もう1度言おう!

 

この一連の動作………僅か0.05秒!!

 

 

 

 

 

「ギャバンさん………」

 

「此処は任せろ。君は逃げるんだ。チュウッ!!」

 

響に向かってそう言うと、ギャバンは廃工場の上から飛び降り、クラッシャー達の前に降り立つ。

 

「殺れぇっ!!」

 

「ギーッ!!」

 

「ギギッ!!」

 

ダブルマン・ゾンビAの掛け声で、一斉にギャバンに襲い掛かるクラッシャー達。

 

「チュウッ!!」

 

ギャバンは左右から来たクラッシャー達を腕を広げる様に拳を繰り出して倒すと、正面から来たクラッシャーに蹴り上げをお見舞い。

 

ナイフを突き出して来たクラッシャーの腕を手刀で反らし、カウンターでパンチを叩き込む。

 

「ディメンションボンバーッ!!」

 

「「「「「「「「「「ギーッ!?」」」」」」」」」」

 

跳び上がり、両腕を前に突き出しての突進『ディメンジョンボンバー』で、クラッシャー達を一気に薙ぎ倒す。

 

「シルバービームッ!!」

 

そして振り向くと、纏まっていたクラッシャー達のシルバービームを見舞い、爆散させた!

 

「凄い………」

 

圧倒的とも言えるギャバンの戦いぶりに、響は見入る。

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

とそこで、クラッシャー達を相手にするギャバンの背後から、ガマラモンスターが襲い掛かろうとしているのに気付く。

 

「! 危ないっ!!」

 

飛び出そうとする響だったが、直前で躊躇する。

 

「うう………」

 

先程クラッシャーを殴り飛ばした感触を思い出し、足が竦む。

 

「だ、駄目だ………私………」

 

そのままその場に座り込んでしまいそうになるが………

 

(よろしく勇気で頑張ってくれ)

 

そこで脳裏に、轟の手紙の言葉が浮かんだ。

 

「! よろしく………勇気」

 

それを口に出した途端、身体の震えが小さくなる。

 

「………へいき、へっちゃら………よろしく勇気!」

 

そしてもう1つの魔法の言葉と合わせて今一度口に出した瞬間………

 

響の身体の震えは完全に止まった!

 

「! うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」

 

気合の雄叫びを挙げ、廃工場の上から跳ぶ響。

 

「デリャアアアアアアッ!!」

 

そのままガマラモンスターに向かって、先程のギャバンのディメンジョンボンバーを真似て、両腕を突き出してのパンチを見舞った!!

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!?

 

真面に喰らったガマラモンスターがブッ飛ばされて地面を転がる。

 

「!? 君っ!」

 

「わ、私も戦いますっ!!」

 

驚くギャバンに向かって、響は宣言するかの様にそう言った。

 

「………大丈夫なのか?」

 

「正直、まだ怖いです………でも! 大丈夫です!!」

 

ギャバンを見据えながらそう言い放つ響。

 

その目に迷いは無い………

 

「………分かった。頼むぞ!」

 

「ハイッ!」

 

そう言い合って、ギャバンと響は背中合わせになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???………

 

「魔空空間に引き摺り込め!」

 

そこで、また大型モニターでギャバン達の様子を見ていた怪人がそう命じる。

 

「ギーッ!!」

 

傍に控えていたクラッシャー達が、地軸転換装置を操作する。

 

地球の地軸が操作され、廃工場地帯に魔空空間が形成され始めた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃工場地帯………

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

「むっ!?」

 

「ま、またコレッ!?」

 

発生した魔空空間にガマラモンスターが吸い込まれて行き、響が驚きを示す。

 

「サイバリアーンッ!!」

 

ギャバンはすぐにサイバリアンを呼ぶ。

 

「行くぞっ!」

 

「ハ、ハイッ!」

 

そして響の手を取って共に乗り込み、魔空空間へ突入する。

 

「チュウッ!」

 

「ハアッ!」

 

サイバリアンから飛び降り、またも足元に霧が立ち込めた場所へと降り立つギャバンと響。

 

周囲にはギリシャの遺跡を思わせるオブジェクトが点在している。

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

とそこで!

 

咆哮と共にボールの様な物は転がって来る!

 

「むっ!?」

 

「うわっ!?」

 

ギャバンと響が回避すると、ボールは外れて地面を転がり………

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

手足と頭が伸びて、ガマラモンスターとなった!

 

「!!」

 

ガマラモンスターに向き合うギャバンだったが………

 

「フハハハハハハハッ!!」

 

そこで背後に、またも巨大な刃の曲刀を手に、頭部をシールドで覆ったダブルマン・ゾンビAが現れる。

 

「!?」

 

「ギャバンさん! コッチは私が!!」

 

挟まる形となったギャバンだが、そこですぐに響がガマラモンスターとの間に割って入る。

 

「任せるぞ! むんっ!」

 

ガマラモンスターを響に任せると、ギャバンはレーザーブレードを取り出し、ダブルマン・ゾンビAへと立ち向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響VSガマラモンスター………

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

響に向かって相撲の様に四股を踏むガマラモンスター。

 

「…………」

 

その様子をジッと見ている響。

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

とそこで、ガマラモンスターが大きく息を吸い始め、腹が風船の様に膨れ始める。

 

「??」

 

何をする気だと響が首を傾げていると………

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

ガマラモンスターは吸っていた息を勢い良く吐き出した!!

 

「!? うわあっ!?」

 

まるで台風の様な強風に襲われ、立って居られなくなる響。

 

更に、周囲に在った遺跡の様なオブジェクトも、風圧で木の葉の様に飛んで来た!!

 

「!? 嘘ぉっ!?」

 

強風で立てない為、地面の上を転がって躱す。

 

すると一際大きなオブジェクトが飛んで来る。

 

「! うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!」

 

気合を入れて立ち上がると、飛んで来たオブジェクトに向かってパンチを繰り出す。

 

響のパンチを受けたオブジェクトは、発泡スチロールの様に粉々になった。

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

そこでガマラモンスターは、今度は口から怪光線を連射して来る。

 

「わわっ!!」

 

慌てて傍に在ったオブジェクトの陰に隠れる響。

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

ガマラモンスターは手足と頭を引っ込め、再びボール状に変形。

 

響が隠れているオブジェクトに転がって突っ込む!

 

「!!」

 

嫌な予感がした響がオブジェクトの陰から飛び出した直後………

 

ボール状となったガマラモンスターがオブジェクトに衝突し、これまた発泡スチロールの様に粉々にしてしまった。

 

「あ、あんなのを受けたら………」

 

幾らシンフォギアを纏っているとは言え、危ないと直感する響。

 

直後に、ボール状になっているガマラモンスターが転がって来る。

 

「!………」

 

逃げようとした響だったが、不意に足を止めた。

 

(逃げてばっかりじゃ駄目だ………よろしく勇気!)

 

覚悟を決めた響が、ガマラモンスターを待ち構えるかの様に構えを執る。

 

その響に向かって、ボール状になったままのガマラモンスターが勢い良く突っ込む!

 

ボール状になっているガマラモンスターが目の前に迫る………

 

「! 今だっ!!」

 

とその瞬間!!

 

響はその場に足を曲げて仰向けに倒れたかと思うと、ボール状になっているガマラモンスターを下から両足で蹴り上げた!!

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!?

 

上空に蹴り上げられたガマラモンスターが、慌てて人型に戻ると、手足をバタバタとさせるが、やがて落下を始める。

 

「!!………」

 

その落下地点に拳を握って待ち構える響。

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」

 

そして落下して来たガマラモンスターの身体に、渾身の正拳突きを叩き込んだ!!

 

グエアアアアァァァァァーーーーーーッ!?

 

途端に、ガマラモンスターの身体が先程よりも高く上空へと舞い上がり………

 

そのまま空中で爆殺四散した!!

 

「や、やったぁ………」

 

それを見た響は、フラ付いたものの倒れはせず踏ん張るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャバンVSダブルマン・ゾンビA………

 

「ヌウウアッ!!」

 

「チュウッ!」

 

上段、下段と繰り出されたダブルマン・ゾンビAの斬撃を往なし、そのまま鍔迫り合いに縺れ込むギャバン。

 

「ヌウウッ!」

 

「むんっ!!」

 

互いに得物を押し合いながら、立ち位置を入れ替える様に回転する。

 

「デヤアアッ!!」

 

「トオォッ!!」

 

やがて弾かれた様に距離を取ったかと思うと、ダブルマン・ゾンビAは足払いの様に低い横薙ぎを繰り出して来たが、ギャバンは小さく跳躍して躱す。

 

「チュウッ!」

 

「グウッ!?」

 

更に着地した瞬間を狙って来た攻撃も、振り向きながらレーザーブレードを振って弾く。

 

「レーザーブレードッ!!」

 

ギャバンがレーザーブレードの刀身を撫でたかと思うと、バードニウムエネルギーを注入され、刀身が光を放つ!

 

「ヌオオオオオッ!!」

 

曲刀を振り回し、勢いに乗せた1撃を喰らわせようとするダブルマン・ゾンビA。

 

「チュウッ!」

 

「! オウワッ!?」

 

だが、ギャバンは素早い斬り上げで曲刀を弾き飛ばした!!

 

そこで、ギャバンのゴーグルの目が発光する!!

 

「ギャバン・ダイナミックッ!!」

 

「ウオオオッ!?………ウオワアアアアアアッ!?」

 

必殺のギャバン・ダイナミックが決まり、ダブルマン・ゾンビAが数歩後退ったかと思うと、身体が縦に真っ二つとなり、切断面から爆発し木っ端微塵となった。

 

直後に、魔空空間が消滅。

 

場面が廃工場地帯へと戻り、着地を決めたギャバンはレーザーブレードを握ったまま残心の様にポーズを決める。

 

「ギャバンさん………」

 

そのギャバンに、制服姿に戻った響が声を掛ける。

 

「…………」

 

だが、ギャバンは響を一瞥すると、その場から去ろうとする。

 

「あ! 待って下さい! 教えて欲しい事が有るんです!!」

 

「…………」

 

響がそう言うと、ギャバンは背を向けたまま立ち止まる。

 

「実は私………特異災害二課で戦ってくれないかって誘われてるんです」

 

「…………」

 

「でも、ノイズとは戦えると思ってますけど、あのマクーって人達とも戦わないといけないかとって思うと凄く怖くて………さっきあの黒い人を殴り飛ばした時なんか、震えが止まらなかったんです」

 

「…………」

 

背を向けたまま、黙って響の言葉を聞くギャバン。

 

「元々私、他人と争う事が凄く嫌いで………ギャバンさんは怖くないんですか? マクーと戦う事が?」

 

「………俺が恐れていたら、誰がマクーと戦うって言うんだ?」

 

「えっ?」

 

「マクーは悪魔の様に恐ろしい連中だ。今回の事で君も良く分かっただろう」

 

「………ハイ」

 

ダブルマン・ゾンビAが言っていた事を思い出し、響は顔を伏せる。

 

「そんな奴等を野放しにすればこの星だけでなく全宇宙が荒らされ、人々の平和と幸せは踏み躙られるだろう………だから俺は戦う! マクーを倒す為にな!! それに………」

 

「? それに………?」

 

『名も無い花を踏み付けられない男』になるのに、理由は要らないだろう」

 

「!!」

 

その言葉に、響は目を見開く。

 

ギャバンにとって正義と平和を守るのは当たり前の事………

 

そう………

 

彼は正に『ヒーロー』なのだ!

 

「ギャバンさん………私、戦います!! 翼さんや奏さん、ギャバンさんと一緒に!!」

 

「………良いのか?」

 

「へいき、へっちゃら! よろしく勇気です!」

 

「!? それは!?」

 

その言葉に、ギャバンは驚いた様に響の方を振り返った。

 

「大切な人が教えてくれた言葉です! この言葉に、私は何度も救われたんです!」

 

「………そうか。良い言葉だな」

 

「ハイッ!」

 

「………じゃあな、響ちゃん」

 

屈託無い明るい笑顔でそう言う響を見て、ギャバンは何処か居心地が悪そうに去って行った。

 

「あ、ありがとう~! ギャバンさ~ん!!」

 

その姿を、響は大きく手を振って見送るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

程無くして、ギャバンから連絡を受けた弦十郎が、翼と奏を伴って現場へと姿を見せた。

 

エージェント達や自衛隊員達も現れ、ノイズの時と同じ様に後処理を始めている。

 

「私、戦います!!」

 

響は弦十郎に、ギャバンに助けられたと説明したかと思うと、宣言する様にそう言った。

 

「………良いのかい?」

 

「ハイ! もう大丈夫です!!」

 

弦十郎に目をジッと見据えてそう言う響。

 

(………迷いが無い。宇宙刑事ギャバン、一体彼からどれだけの影響を受けたのか………)

 

その響の目に迷いが無いのを見た弦十郎は、それがギャバンの影響であろうと見抜く。

 

「………分かった。改めて立花 響くん。特異災害機動部二課へようこそ。歓迎するぞ」

 

「よろしくお願いします!」

 

弦十郎と響が固く握手を交わす。

 

「結局こうなったか………」

 

「…………」

 

やれやれと言った感じに頭を掻いている奏に対し、翼は響を睨み付けている。

 

「まだ気に入らないのかい、翼?」

 

「………彼女は素人よ」

 

「だったらあたし達が先輩としてみっちり指導してやれば良いじゃないか」

 

「! あんな得体の知れない奴の影響を受けて戦うだなんて言っている奴が信用出来るの!?」

 

「それ言ったら、あたしだって同じだぜ。『得体の知れない奴』に影響を受けて戦う事を決めたんだから」

 

「! そ、それは………」

 

翼が言葉に詰まっていると、奏は1枚の『銀色のカードの様な物』を取り出した。

 

(アンタは、今何処で何してるんだい………あたしのヒーローさん)

 

感慨深そうにそのカードを見つめる奏。

 

そのカードの表面には『Janperson』と文字が刻まれていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

ノイズとならば兎も角、マクーと戦う事には恐怖を感じる響。
しかし、二課からの帰りを狙って容赦無くマクーが再び襲い来る。
ダブルマン相手に説得を試みるも、根本的に価値観が違う故に相容れる事はない………

絶体絶命のピンチに、ギャバン登場!
特撮あるあるの1つ。
ヒーローの安定のエンカウント率です(笑)

ギャバンの活躍を見て、響も勇気を振り絞り、マクーと戦います。
戦いが終わった後に、ギャバンに戦う理由を問う響。
怖いけどそれを乗り越えて戦ってる的な事を言うのも良かったんですが、『チェイス!ギャバン』の歌詞で、俺は恐れを知らない男さと言っているので、やっぱりギャバンは悪への恐怖の何て微塵もない、強いヒーローであって欲しいと思い、主題歌の2番の歌詞を理由にしてみました。
そんなギャバンに影響を受け、響も遂に戦いへの覚悟と決意を決めます。

そして遂に、奏を助けてヒーローの正体も発覚。
次回は幕間的な話で、彼と他のヒーロー達も登場する、あのライブの話となります。
お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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