戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達 作:宇宙刑事ブルーノア
フロンティアが封印されている海域………
「轟! 漸く帰って来たかっ!!」
グランドバースの操縦席で、サブモニター越しにギャバンが現れたのを確認したシャリバンがそう声を挙げる。
その瞬間………
ギャオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーッ!!
咆哮と共に電子星獣ドルが現れる!
「! 電子星獣ドルッ!!」
ギャオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーッ!!
シャリバンの声が挙がる中、電子星獣ドルはドルレーザーを放ち、マドー戦闘母艦を1隻、撃沈する。
ギャオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーッ!!
更に続けてドルファイヤーを放ち、マドー戦闘機群を薙ぎ払う!
電子星獣ドルの参戦で、マドー戦闘機群とマドー戦闘母艦の艦隊は漸くその数を減らし始めた。
「よおし! 此処が正念場だ! グランドバスターッ! プラズマカノンッ! 同時発射っ!!」
そこでシャリバンも気合を入れ直し、グランドバスターとプラズマカノンの同時射撃を繰り出すのだった。
一方、その頃………
「オノレェッ! 宇宙刑事ギャバン! 戻って来おったかっ!!」
ジャンパーソンと鍔迫り合いをしたまま、ガイラー将軍がギャバンの姿を見て忌々し気に言う。
「マドー! コレ以上、この地球で好き勝手はさせん!」
そんなガイラー将軍に対し、ギャバンは敢然とそう言い放つ。
「轟兄………」
「轟お兄ちゃん………」
と、背後で倒れていた響と未来が、安堵から気を失ってしまう。
「十城士くん!」
「轟さん!」
そこで、艦橋に設置されていたハッチが開き、弦十郎と慎次が現れる。
「弦さん! 緒川さん!」
「響くん達は俺達に任せろ!」
「轟さんは翼さん達の方へ!」
「頼みます! チュウッ!!」
そう遣り取りを交わすと、ギャバンは半壊している空母の甲板上目掛けて跳躍する。
それと同時に、弦十郎と慎次が響と未来を抱えて艦内に戻り、仮設本部の潜水艦は再度潜行した。
「十城士!」
「ギャバン!」
半壊している空母の甲板上に降り立ったギャバンの両隣に、翼と奏が並び立つ。
「遅れてすまない」
「いや、良いタイミングだったぜ。特に、あの2人にとっちゃな」
遅参を詫びるギャバンだが、奏はナイスタイミングだったとウインクしながら言う。
「クリスちゃんは?」
「魔怪獣の相手をしている。先程、ロケットマンが来てくれたと言っていたので心配は無用だろう」
「なら、俺達はコッチの相手に専念しますか」
続けて翼から言葉を聞くと、ギャバンはジャンパーソンと鍔迫り合いをしているガイラー将軍を見据える。
「チイイッ! ヌアアアアアアッ!!」
「!!」
そこでガイラー将軍は気合の掛け声と共に電光剣を振り抜き、鍔迫り合いをしていたジャンパーソンを引き剥がす!
「ヌウウンッ!!」
そして、ギャバン・翼・奏・ジャンパーソン全員に対して構えを取る。
「「「「…………」」」」
それに対し、ギャバン達も一斉に構えを取ったが………
「ガイラー将軍………」
不気味な声が響いたかと思うと、半壊している艦橋の上にエクトプラズムが降りて来て、それがレイダーの姿へと変わった。
「! 軍師レイダーッ!!」
「「「!!」」」
新たなる幹部の登場に、ギャバン達に緊張が走る。
「レイダーか………手出しは無用だ! コイツ等は儂が片付ける!」
「間も無くフロンティアは浮上する。退けとの魔王サイコ様からの命令だ………」
「ぬうっ!………魔王様の命とあれば………」
レイダーからそう告げられると、ガイラー将軍は苦い表情を見せながらもそれを受け入れ、電光剣を鞘に納める。
「…………」
そしてレイダーは、左手にソロモンの杖を握ったかと思うと、ノイズを出現させる!
「お前達の相手はそいつ等だ………」
「覚えておれ!!」
そう言い残すと、レイダーは捨て台詞を吐くガイラー将軍と共に煙の様に姿を消す。
「先ずはコイツ等を片付けるしかない様だな………行くぞっ!」
「「ああ(おう)!!」」
「…………」
ギャバンのその掛け声で、翼と奏、そしてジャンパーソンはノイズ達へ向かって行くのだった。
その半壊した空母の傍に在る、沈没寸前の駆逐艦の上では………
ケエエエエエェェェェェッ!!
「「!!」」
飛びながら突っ込んで来たワシビーストを、左右に広がって躱すクリスとロケットマン。
「そこだっ!!」
そして、ロケットマンが素早く振り返りながら、右手の手甲型の小型ロケットランチャーから小型ロケット弾を放つ。
ケエエエエエェェェェェッ!?
背中にロケット弾を浴びたワシビーストが墜落。
駆逐艦の上に落ちて来る。
ケエエエエエェェェェェッ!!
しかし、すぐに起き上がってロケットマンの方に向き直ったが………
「クリス! 今だっ!!」
「オラアァッ!!」
QUEEN's INFERNO
そこでクリスが、アームドギアを連装型の弓に変形させ、矢を連射!
放たれたレーザーの矢が、ワシビーストを辛うじて残っていた駆逐艦の上部構造物の壁に磔にした!!
ケエエエエエェェェェェッ!?
「手間取らせやがって! ブッ飛べぇっ!!」
「!!」
MEGA DETH FUGA
動けなくなったワシビースト目掛けて、ロケットマンのロケットランチャーと共に2発の大型ミサイルを叩き込むクリス。
大爆発が起き、ワシビーストは炎に包まれて蒸発したのだった。
「やったな、クリス」
「ああ………」
それを確認したロケットマンがロケットランチャーを背負い直し、クリスもギアを通常の状態に戻す。
「向こうは………」
そこで、空母の甲板上の様子を見ると、ギャバン・翼・奏・ジャンパーソンがノイズ達を戦っているのが目に入る。
その4人に今更ノイズ如きでは相手に成らず、次々に数を減らして行っている。
(アイツ、帰って来たのか………って事は、あの馬鹿と未来は心配要らねえな)
ギャバンの姿が在るのを確認したクリスは、響と未来の無事を確信した。
(ソロモンの杖が有る限りは、バビロニアの宝物庫は空きっ放しって事かよ!)
だが、続いてノイズの姿を見て、表情を曇らせる。
(アタシがソロモンの杖を起動させてしまったばかりに………悪いのはいつもアタシのせいじゃないか………アタシが………だったら!)
何かを決意したかの様な表情を見せるクリス。
「クリス………お前、二課を裏切ってマドー側に付いたと見せかけてソロモンの杖を奪還する積りだろう?」
「!?」
今まさに考えていた事を看破され、クリスが驚きの表情でロケットマンを見やる。
「これでもお前の事はお前の両親の次くらいには分かっている積りだ………」
そんなクリスを見据えながらロケットマンはそう言葉を続ける。
「アタシの………アタシの所為なんだ………だから!」
「馬鹿者」
「!? イデッ!?」
思い詰めた様子でそう言って来たクリスの頭に拳骨を見舞うロケットマン。
「何すんだよ、小父さん!」
「今重要なのは誰が責任を執るかではなく、如何にして1分でも早くソロモンの杖を奪還する事だ。お前が1人でやるのと、仲間達と共にやるのとではどちらが早い」
「! それは!………」
「それにマドーはお前が考えているよりもっと凶悪で狡猾だ。良くてその場で殺され、悪ければ身体を改造されて只の兵器にされてしまうのが関の山だ」
「…………」
ロケットマンの推論にクリスは何も反論出来ず、落ち込んだ様に顔を伏せてしまう。
するとロケットマンは、今度はその頭を優しく撫で出す。
「お、小父さん!///」
「クリス。お前の仲間達は私も含めて頼りにならないか?」
「そ、そんな事ねえよ!!」
「なら後は信じて共に戦えば良い。そうすれば全て上手く行く。心配するな」
頭巾越しに優しい目をしながら、ロケットマンはクリスにそう諭す。
「小父さん………」
それを聞いて、クリスは吹っ切れた様子を見せる。
と、その時!!
突如として海が荒れ始める!
「!? うわっ!?」
「むっ!?」
「!? 何だっ!?」
「「「!?」」」
クリスとロケットマンが居る駆逐艦どころか、ノイズを掃討し終えたギャバン達が居た空母までもが揺さ振られる程に荒れ狂う海。
その中心点は、あの増幅された神獣鏡の光が命中した場所だった。
そしてそこで………
海面の彼方此方から水柱が上がり始める!!
「「「「「「!?」」」」」」
ギャバン達が驚いている中、その水柱の中から遺跡の様な構造物が現れる。
「! アレがフロンティアなのか!?」
「フロンティア?………」
「マドーが狙ってるカストディアンの星間航行船………異端技術の集積体だ」
翼がそう声を挙げ、フロンティアの事を知らなかったギャバンに、奏がそう説明する。
『コレがフロンティア………』
『海面から出ている部分は、全体から見てほんの一部………フロンティアと呼ばれる事はありますね』
仮設本部でもその様子は捉えており、弦十郎と朔也の声が通信回線に入って来る。
『!? 空間の歪みを確認! 何か巨大な物がこのエリアに出現しようとしています!!』
『! 何だと!?』
とそこで、アラートが鳴ったかと思うと、あおいからそう報告が挙がり、弦十郎が声を挙げた瞬間………
空に巨大な空間の裂け目の様なモノが現れ………
幻夢城がゆっくりとその姿を現した!
「! 幻夢城っ!!」
「何っ!?」
「って事は、アレがマドーの拠点か!?」
グランドバースのシャリバンがそう通信回線に声を響かせると、翼と奏が空に浮かぶ幻夢城を見上げながら言い合う。
その次の瞬間!!
「カオーッ!」
不気味な咆哮と共に、空に巨大な魔王サイコの顔が投影された!!
「! 魔王サイコッ!!」
「アレが魔王サイコ………」
「不気味だぜ………」
再度響いたシャリバンの声を聞きながら、翼と奏は虚像だと分かっていても冷や汗が流れるのを感じる。
「!………」
クリスも、無意識の内にロケットマンに寄り添っていた。
『司令! 世界各国の空に、此処と同様に魔王サイコの虚像とこのエリアの様子が投影されています!!』
『魔王サイコ………遂にその姿を人類に晒すか』
朔也からの報告に、弦十郎はモニター越しに魔王サイコの虚像を睨み付ける。
「愚かなる人間共よ………我が名は魔王サイコ………今ココに、この地球を我等マドーの物とする事を宣言する」
「! 何だとっ!?」
「ふざけやがって!」
魔王サイコの宣言に、翼と奏が憤慨する。
「抵抗は無意味だ………大人しく従えば生きる事を許してやろう………だが、歯向かうならば、死有るのみだ」
「「…………」」
そんな2人の憤慨など知らず、魔王サイコは言葉を続け、ギャバンとシャリバンはそんな魔王サイコの姿を睨み付ける様に見据える。
と、その時!!
『! た、大変ですっ!!』
通信回線に、慌てた様子のあおいの声が響き渡る。
『如何した!?』
『アメリカがフロンティアと幻夢城に向けて、反応兵器を多数発射しました!!』
『!? 何だとっ!?』
「「「「「!?」」」」」
あおいからの報告に、弦十郎だけでなく、その場に居た一同全てが驚愕を露わにした。
反応兵器………
威力は100メガトン以上に超ツァーリ・ボンバ級と推定される戦略兵器だ。
1発で関東圏のみならず主変地域を焦土化でき、更に大量の放射能によって深刻な汚染を引き起こす悪魔の兵器だ。
「何考えてんだっ!?」
「元々アメリカは、フロンティアを手に入れ、一部の人間だけで月の落下から逃れる積りだった………それが奪われて自棄を起こしたか!」
悲鳴の様に叫ぶクリスに、ロケットマンがそう推論を述べる。
「話は後だ! 今は兎に角、此処を離れるんだっ!!」
と、ジャンパーソンがそう叫んだ瞬間、一同の前に仮設本部の潜水艦が緊急浮上する。
『全員早く乗れっ! このエリアを離脱する!!』
「「「「「!!」」」」」
外部スピーカーで弦十郎の声が響き渡る中、ギャバン達はすぐさま本部潜水艦に飛び乗る!
「!!」
上空のシャリバンも、グランドバーズを宇宙船に戻すと、シャリンガータンクを格納し急速離脱。
電子星獣ドルもギラン円盤と合体し、ドルギランとなって離脱を始める。
『弾道ミサイル、接近! 着弾まで後10秒っ!!』
『間に合うかっ!?』
朔也からの報告を聞いた弦十郎の頬を冷や汗が流れる。
そして遂に………
反応兵器が搭載された弾道ミサイル群が、フロンティアが浮上したエリアの上空へと侵入して来た。
そのまま、幻夢城とフロンティアへと向かう。
………その瞬間!!
「愚か者めが………」
魔王サイコのそう言う声が響き、その目から怪光線が放たれ、弾道ミサイル群に命中。
すると、弾道ミサイル群が、まるで
『!? 弾道ミサイル………全弾消失しましたっ!!』
『何だとっ!?』
「魔王サイコ! 何をした!?」
あおいからの報告に、弦十郎が何度目とも知れぬ驚愕の声を挙げる中、ギャバンは嫌な予感を感じながら空に映る魔王サイコの姿を見据えていた。
◇
丁度、その頃………
アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.………
ホワイトハウスの大統領執務室にて………
「一体如何なっている!?」
大統領が、傍らに居た補佐官に向かって声を荒げる。
「は、反応兵器を搭載した弾道ミサイル群は確かにフロンティアのエリアまで到達しました! しかし、その瞬間に消えてしまいました! あらゆるレーダーで捜索しましたが確認出来ません!」
「消えたとは如何言う事だ! 一体何が起こっているんだ!?」
「わ、分かりません!!」
苛立ちと共に怒声を飛ばす大統領だが、補佐官は返せる答えを持っていなかった………
「シットッ! すぐに第2次攻撃を開始させろ! マドーさえ片付けてしまえば後で何とでも理由は付けられる! アメリカの威信に賭けて、何としてもマドーを葬り去るのだ!!」
そんな傲慢かつ身勝手な事を吠えていた大統領だったが、そこで………
突然、執務室内の空間が歪む。
「!? 何だっ!?」
「「「「「!!」」」」」
大統領が驚きの声を挙げ、護衛のシークレットサービス達が大統領を守ろうと立ちはだかる。
そして、歪んだ空間の中から出現したのは………
先程自身が発射を命令し、魔王サイコによって消滅させられたと思われていた………
「!? なああっ!?」
「「「「「!?」」」」」
誰もが驚愕する中、弾道ミサイルはそのままシークレットサービス達を弾き飛ばして大統領へと直撃!
その瞬間、大統領はホワイトハウス………
否………
ワシントンD.C.ごと地球上から消滅したのだった………
◇
フロンティアの浮上した海域………
仮設本部の潜水艦の発令所………
「米国にて、多数の反応兵器による爆発を確認!」
「まさか!? さっきの弾道ミサイルが!?」
「何て事だ………」
朔也とあおいの報告を聞き、弦十郎は戦慄を露わにしていた。
メインモニターには、アメリカの地図が映し出されており、そこに反応兵器が炸裂した場所が、巨大な円で描かれている。
その面積は実に、アメリカ国土の6割近くに上っている。
「事実上アメリカは壊滅状態ね………自分で放った反応兵器で自分達の国土を焼かれるなんて、とんでもない皮肉ね」
シニカルにそう言い放つ了子だったが、内心では弦十郎と同じ様に魔王サイコの力に戦慄していた。
「………このままフロンティアの浮上したエリアを離脱しろ。一旦態勢を立て直す」
「………了解」
弦十郎はやっとの思いでそう命令を下し、朔也が返事を返す。
あれ程の力を見せつけられれば、無策に挑むワケには行かなかった。
作戦を練り直す為、仮設本部の潜水艦は、グランドバースとドルギランを引き連れ、浮上したフロンティアから一旦遠ざかって行ったのだった………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
帰って来たギャバンと共に反撃開始かに思われましたが、フロンティアが遂に浮上した事でガイラー将軍は撤退します。
この作品ではクリスの裏切ったふりでの潜入は無しになります。
原作のウェルなら兎も角、マドーは誤魔化せないと思うので。
ソロモンの杖は皆で奪取する形になります。
そしてココで急展開!
何とアメリカが自棄になって反応兵器を独断で発射!
しかし、魔王サイコ様の力の前には反応兵器ですら無意味で、逆に首都を含めたアメリカの国土が6割以上やられてしまいます。
大踏力の他、主な大臣や閣僚も一緒に消し飛んだので、アメリカの弱体化は待った無しです。
AXZ編でのやらかしを原作より早く起こした結果、逆に自分達を苦しめる事に………
二課にとっては幸いと言えるか………今後、アメリカが干渉して来る事は無くなります。
こうなると世界のバランスが危ういと思われますが、マドーの攻撃はまだ終わってません。
世界が如何なんていう余裕もなくなるかもです………
お楽しみに。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。