戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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第27話『マリアの涙 怒れシャリバン』

フロンティアの制御室………

 

「バイオブレードッ!!」

 

「「グアアッ!!」」

 

バイオライダーが抜いた愛剣『バイオブレード』で斬り付けられ、地面を転がるミスアクマ達。

 

「オノレェッ!」

 

「死ねぇっ!!」

 

「トアッ!!」

 

すぐに立ち上がると2人揃って得物であるナイフを投げつけるが、バイオライダーは軽くバイオブレードで弾き飛ばす。

 

「馬鹿めっ!」

 

「コレを喰らえっ!」

 

しかし、それは囮であり、その間に取り出したレーザーマシンガンをバイオライダー目掛けて放つミスアクマ達。

 

だが!!

 

放たれたレーザーの弾丸は、バイオライダーの()()()()()()()、背後の地面に当たる。

 

「!?」

 

「何っ!?」

 

そんな馬鹿なと更にレーザーを連射するミスアクマ達だが、やはり全てバイオライダーの身体を擦り抜け、地面に当たるばかりだった。

 

「「弾が全部奴の身体を突き抜けてしまうぞ!?」」

 

信じがたい現象に、ミスアクマ達が悲鳴の様な声を挙げる。

 

「トアッ!!」

 

その次の瞬間には、バイオライダーは身体をゲル化させ、一気にミスアクマ達との距離を詰めて肉薄したかと思うと再実体化!

 

「「!!」」

 

「トオアッ!!」

 

そして、バイオブレードのエネルギーチャージボタンを押し、刀身に青く発光させた光エネルギーを纏わせたかと思うと、逆袈裟に斬り付けた!

 

バイオライダーの必殺技『スパークカッター』だ!!

 

「「ウワアアアアアアッ!?」」

 

全身に青いスパークが走った状態で断末魔の叫びを挙げ、地面に倒れると共にミスアクマ達は爆散した!

 

「ミスアクマッ!! オノレェッ!!」

 

ミスアクマ達がやられたのを見たドクターポルターが、敵討ちだと言わんばかりに鞭をバイオライダーに伸ばす。

 

だが、バイオライダーは慌てず即座にRXの状態に戻ると………

 

「リボルケインッ!!」

 

腰のベルト………『サンライザー』の左側のエナジーリアクターから必殺武器………『リボルケイン』を抜いた!

 

ドクターポルターが伸ばした鞭は、リボルケインに巻き付いたかと思うと、即座に炭化して崩れ落ちた!

 

「!?」

 

「トアッ!!」

 

驚くドクターポルター目掛けて、RXは跳躍!

 

「ケアアッ!!」

 

そして落下の勢いも乗せたリボルケインでの突きを繰り出し、ドクターポルターの身体を貫いた!!

 

「!? グアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

ドクターポルターが悲鳴を挙げると、リボルケインが突き出ている背中側から、エネルギーが火花の様に放出する。

 

「ええいっ!!」

 

「!?」

 

だが、その状態でドクターポルターは両手でRXの首を掴み、締め上げて来る。

 

必死の形相のその顔に、夜叉の様な紋様が浮かび上がる。

 

「ムンッ!!」

 

「!? グアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

しかし、それにも怯まず、RXはリボルケインを更に押し込み、ドクターポルターが再度悲鳴を挙げると、エネルギーの放出が激しくなる!

 

「トアッ!!」

 

そして、リボルケインを勢い良く引き抜いたかと思うと、その勢いで振り返り、ドクターポルターに背を向ける。

 

「ま、魔王サイコ様に! 栄光有れえええぇぇーーーーっ!!」

 

リボルケインが突き刺さって居た場所から激しく火花を噴出させながら、ドクターポルターは魔王サイコを称えて倒れ、そのまま爆散!!

 

「…………」

 

その爆発を背に、RXはリボルケインを『R』の字を描く様に見えを切ってポーズを決めた。

 

「凄い………」

 

「マドーの幹部達を粗一方的にか………凄まじい強さだ」

 

その様子を見ていた慎次と弦十郎が若干唖然となりながら呟く。

 

RXが余りにも強過ぎた為、2人の出る幕は全く無かった。

 

「クッ! 駄目だわっ!!」

 

とそこで、RXの戦闘中もコンパネを操作し続けていた了子が、思わず声を挙げた。

 

「! 了子っ!!」

 

「フォニックゲインが集まらないんですか!?」

 

それで我に返った弦十郎と慎次が、了子に声を掛ける。

 

「それもだけど………フロンティアの制御の奪還が思ったよりも進まないの! このままじゃ月の遺跡にアクセスする事さえ出来ないわ!」

 

2人にそう返しながらもコンパネの操作を続ける了子。

 

ブリッジのウェルも含めて異端技術の専門家3人掛かりでも、フロンティアの力を得てパワーアップしている魔王サイコの人工知能から、フロンティアの制御を取り戻すのは至難の業だった………

 

「マリア! マリア! しっかりしなさい!」

 

一方、ナスターシャの方は通信機に向かって声を荒げている。

 

如何やら、ブリッジの方に居るマリアに何かあったらしい………

 

「クウッ! こんな時に何も出来んとは………」

 

「歯がゆいですね………」

 

単純な戦闘力ではギャバン・シャリバン達や装者達に引けを取らない弦十郎と慎次だが、聖遺物に関しては了子達程の見識は無く、手伝える事が何も無い事に苦い表情を浮かべる。

 

と、そこで………

 

「この遺跡の制御を奪還すれば良いのか!?」

 

そう言う台詞と共に、RXが一同の傍に寄って来た。

 

「! え、ええ、そうだけど………」

 

「良し! 俺に任せろっ!!」

 

了子が戸惑いながらも返事を返すと、RXは力強くガッツポーズをして見せた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

制御室の外では………

 

「…………」

 

光の柱の中に浮かんだままのゴールドプラチナムが、グラビオンを連射する。

 

グギャアアアアアアッ!!

 

グラビオンから放たれたビームを喰らったネフィリムビースト達が、次々に爆散して行く。

 

「ス、スゲェ………」

 

「あの化け物を1撃かよ………」

 

ゴールドプラチナムの強さに圧倒される奏とクリス。

 

「感心している場合では無いぞ! 我々も続くんだっ!!」

 

そこで翼が剣を構えながら、レイダーへと突撃する。

 

「「!!」」

 

それに続く奏とクリス。

 

「切ちゃんっ!!」

 

「調っ!!」

 

α式・百輪廻

 

切・呪りeッTぉ

 

更に、調と切歌も、小型の丸鋸と鎌状の刃をガイラー将軍に向かって放つ!

 

「ええいっ!! 幾ら回復したところでぇっ!!」

 

ガイラー将軍は電光剣を振るい、丸鋸と刃を斬り払う!

 

「まだっ!!」

 

非常Σ式・禁月輪

 

すると今度は、調が脚部・頭部から体の周囲に円形のブレードを縦向きに展開し、回転しながら突撃する!

 

「ぬううんっ!!」

 

その非常Σ式・禁月輪を、横に構えた電光剣で受け止めるガイラー将軍。

 

「クッ!………」

 

ブレードの回転を上げる調だが、ガイラー将軍は1歩も下がらない。

 

それどころか、逆にブレードにヒビが入って行く。

 

そして遂に、ブレードが砕け散った!

 

「!!」

 

「所詮はニワカ装者の技よ!!」

 

焦った様な表情を見せる調に、ガイラー将軍が勝ち誇る様に言い放つ。

 

「………フッ」

 

だが、調は次の瞬間には口角を釣り上げて見せる。

 

その瞬間に、ガイラー将軍の身体に鎖が巻き付いた!

 

「!? 何っ!?………!!」

 

「デースッ!!」

 

断殺・邪刃ウォttKKK

 

驚いたガイラー将軍が目にしたのは、イガリマの刃を足に装着し、自分目掛けて突っ込んで来る切歌の姿だった!

 

「!? ヌアアアアアアッ!?」

 

真面に喰らったガイラー将軍だったが、腐ってもマドーの幹部。

 

ブッ飛ばされはしたものの、倒すまでには至らない。

 

「ぐううっ! 小娘共がぁっ!!」

 

イガリマの刃を喰らった場所から多少流血しながらも、怒りの形相で切歌と調を睨み付けるガイラー将軍。

 

「調子に乗るなよっ! 儂の本当の力を見せてくれるっ! ヌアアアアアアッ!!」

 

と、ガイラー将軍が気合を入れる様に雄叫びを挙げると………

 

その顔に隈取の様な赤い縞模様が入り、パワーアップ形態である『獣魔ガイラー将軍』へと変貌する!

 

「「!?」」

 

「抹殺っ!!」

 

驚く切歌と調に向かって、獣魔ガイラー将軍は電光剣の先端から火花の様にエネルギーを放射する!

 

「!!」

 

調がγ式・卍火車を発動し、巨大丸鋸を盾にするが………

 

エネルギー放射を喰らった途端に、巨大丸鋸は砕け散る!

 

「! ああっ!?」

 

「調っ! このぉっ!!」

 

そのままエネルギー放射を浴びてしまい、悲鳴を挙げる調を見て、切歌が跳び上がって大鎌で斬り掛かるが………

 

「ぬんっ!!」

 

何と獣魔ガイラー将軍は、大鎌の刃を素手で掴んで受け止める!!

 

「!? デスッ!?」

 

「フンッ!!」

 

そしてそのまま、大鎌の棒の部分を電光剣で切断する!

 

「!? デッ!?………」

 

「ヌアアアアアアッ!!」

 

更にそのまま、切歌に至近距離から電撃火走りを繰り出す。

 

「!? アアアアアアァァァァッ!!」

 

「切ちゃんっ!!」

 

爆発で吹き飛ばされた切歌を調が受け止める。

 

「あ、ありがとうデス、調………」

 

「………切ちゃん、聞いて」

 

切歌がお礼を言うと、調はそのまま何かを耳打ちする。

 

「! そんな!? それじゃ、調が!!………」

 

「切ちゃん」

 

その耳打ちを聞いた切歌が驚愕した様子を見せたが、調が再度呼び掛けると………

 

「………信じてるから」

 

調はそう言って笑みを浮かべた。

 

「!!………分かったデス!」

 

そんな調の顔を見た切歌は、覚悟を決めたかの様に表情を引き締める。

 

「何をコソコソと話している! 死ねえぇっ!!」

 

そこで、獣魔ガイラー将軍が痺れを切らしたかの様に、再度電光剣の先端からエネルギー放射を放つ!

 

「!!」

 

すぐさま調が、裏γ式・滅多卍切を発動し、4つの巨大丸鋸全てを盾にする!

 

1枚1枚はすぐに砕かれたが、4つ有った事で僅かに時間を稼ぐ事に成功。

 

「ハアッ!!」

 

その隙に跳躍した調が、身体を独楽の様に回転させたかと思うと、シンフォギアのスカート部分が鋸に変化する!

 

Δ式・艶殺アクセル

 

そのまま獣魔ガイラー将軍へと踊り掛かる調。

 

「ぬううんっ!!」

 

調からの攻撃を電光剣を両手で構えて受け止める獣魔ガイラー将軍。

 

調は押し込もうと回転の速度を上げるが、獣魔ガイラー将軍はビクともせず、逆に押し返され始める。

 

「月詠 調! 先ずは貴様から地獄に送ってくれるぅっ!!」

 

「切ちゃん! 今っ!!」

 

獣魔ガイラー将軍がそう言った瞬間に調が叫んだかと思うと………

 

「デースッ!!」

 

切・呪りeッTぉ

 

切歌が再構成させた大鎌を振るい、分裂させた刃の部分を飛ばして来た!

 

このままでは、調ごと獣魔ガイラー将軍に命中してしまう。

 

「!? 諸共にやる積りかっ!?」

 

それを見た獣魔ガイラー将軍は、調から離れたが………

 

「! 隙有りっ!!」

 

γ式・卍火車

 

そこで調が、頭のヘッドギアから出現させた2つの巨大丸鋸を、飛んで来た大鎌の刃に向けて射出!

 

すると、大鎌の刃と巨大丸鋸が空中で合体する!

 

「!? 何だとっ!?」

 

驚く獣魔ガイラー将軍に向かって、合体した事で軌道が変わり、調を避けて合体武器が飛来!

 

「!? ヌアアアアアアッ!?」

 

大鎌の刃が突き刺さった直後、巨大丸鋸が獣魔ガイラー将軍に向けて射出され、その身体を斬り裂いた!!

 

電光剣を握っていた右腕も切断され、腕が付いたままの電光剣が地面に突き刺さる。

 

「ぬっ! あっ! がっ!!」

 

しかし、何と!!

 

獣魔ガイラー将軍は身体を切断されている状態にも関わらず、凄まじい形相で切歌と調に迫って来る。

 

「「!?」」

 

その迫力に思わず後退る切歌と調。

 

だが………

 

「ぐううっ!?………マドーッ!! バンザーイッ!!」

 

突如苦悶の声を挙げたかと思うと、残る左腕を高々と上げ、マドーを大声で称えて倒れ、そのまま爆散した!

 

「………ハアア~~~、焦ったデス」

 

「凄まじい執念だった………」

 

身体を切断されながらも、最期まで闘志を失わなかったガイラー将軍の執念に、切歌と調は戦慄を覚えながら、その場にへたり込んだのだった。

 

「ぬう!………ガイラー将軍が………」

 

「余所見してる暇があんのかっ!?」

 

ガイラー将軍が散ったのを見たレイダーが声を挙げると、クリスがリボルバー型のアームドギアから弾丸を放つ。

 

「無駄な事を………」

 

だが、放たれた弾丸は、やはりレイダーの身体を素通りしてしまう。

 

「クソッ! 何だよ、そのインチキはっ!!」

 

「フフフ………」

 

苛立ちの声を挙げるクリスに向かって、レイダーは挑発する様に笑い、これ見よがしにソロモンの杖を見せつける。

 

「! コイツッ!!」

 

「雪音! 退いていろっ!!」

 

とそこで、今度は翼が剣を横薙ぎに振るう!

 

「ハハハハハハ………」

 

それでレイダーの頭が飛んだかと思うと、そのまま浮遊して翼に襲い掛かろうとする。

 

「同じ手は食わんっ!!」

 

逆羅刹

 

しかし、同じ目には遭わないと、翼はアームドギアを一旦収納したかと思うと、逆羅刹を繰り出してレイダーの頭を弾き飛ばす。

 

「チイッ………」

 

舌打ちを漏らしたかと思うと、身体へと戻ろうとするレイダーの頭。

 

そして、そのまま頭と身体が繋がろうとした瞬間………

 

「そこだぁっ!!」

 

その瞬間を見計らっていたかの様に、槍を投擲!

 

今正に繋がった瞬間のレイダーの首に、奏が投擲した槍が突き刺さる!!

 

「!? グオオオオオオオォォォォォォォォッ!?」

 

途端に、初めてレイダーから苦悶の悲鳴が挙がった!!

 

「! やった! 効いたぞっ!!」

 

「畳み掛けるっ!!」

 

初めて攻撃が通った事に奏が歓声を挙げると、翼がやや小振りな二振りの剣を取り出すと、柄同士を連結。

 

両剣にしたかと思うと、回転させながら脚部ブレードのバーニアで、レイダーへと突撃。

 

そこで、振り回している両剣から炎が上がり、刀身が燃え上がる!

 

「小賢しい!………」

 

喉に突き刺さっていた槍を引き抜くと、突っ込んで来る翼に向かってエクトプラズムを多数放つレイダー。

 

「ちょっせい!」

 

QUEEN's INFERNO

 

だが、そのエクトプラズム達は、クリスが放ったエネルギーの矢に次々と貫かれる。

 

「ハアアアアアアァァァァァァァッ!!」

 

風輪火斬

 

クリスの援護を受けた翼の技が、レイダーに炸裂!

 

「! グオオオオオオオォォォォォォォォッ!?」

 

斬られた部分から炎が燃え上がり、レイダーは再度苦悶の悲鳴を挙げ、思わずソロモンの杖を握っていた左手を上げる。

 

「…………」

 

その瞬間を狙い、ゴールドプラチナムがグラビオンを発砲!

 

ソロモンの杖を持っていたレイダーの左腕に、グラビオンのビームが命中し、左腕を爆散させた!

 

「! ソロモンの杖っ!!」

 

すぐさまクリスが、宙に舞ったソロモンの杖を追って跳躍。

 

(届け!………届けっ!!)

 

必死の思いが通じたのか、ソロモンの杖をキャッチする事に成功するクリス。

 

「! やった! 遂に………取り返したぞっ!!」

 

着地したクリスが、ソロモンの杖を見ながら思わず歓声を挙げる。

 

「し、しまった………ぬううっ!!」

 

身体に大きな切り傷を負い、左腕を失ったレイダーは、悔しそうな声を挙げながら軍配を握っていた右腕を振ったかと思うと、その身体がエクトプラズムと化し、離脱して行く。

 

「! 逃げる気かっ!?」

 

「追うな、翼!」

 

追撃しようとした翼を、奏が止める。

 

「アイツはもう死に体だ。今は奴よりも、魔王サイコを倒す方が先だ」

 

「………そうだな、奏」

 

今優先して倒すべき敵は魔王サイコであると言われ、翼は頷く。

 

レイダーは既に死に体………

 

放っておいても問題は無いと………

 

「…………」

 

とそこで、ゴールドプラチナムが光の柱を登って行き、姿を消した………

 

「ゴールドプラチナム………一体何だってんだ?」

 

ゴールドプラチナムが消えた空を見上げながら、クリスが呟く。

 

 

 

 

 

と、その時!!

 

フロンティア中に光が広がる!!

 

 

 

 

 

「!? 何だっ!?」

 

「「「「!?」」」」

 

翼が声を挙げ、他の装者達も驚きを露わにしながらも、光が発せられて居る場所を探す。

 

その光は、フロンティアのブリッジ部分から放たれていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フロンティアのブリッジ………

 

必死に歌っていたマリアの曲が終わる。

 

「ナスターシャ教授!」

 

『月の遺跡は未だに沈黙………フォニックゲインの出力が足りない上に、まだフロンティアの機能も………』

 

「ううっ!」

 

と、ウェルとナスターシャの会話していた中、疲労からその場に座り込むマリア。

 

「私の歌は………誰の命も救えないの!」

 

『マリア! マリア! しっかりしなさい!』

 

ナスターシャの叱咤も届かず、そのまま涙を流すマリア。

 

………その時!!

 

「そうです。姉さんに救えるモノなんてありませんよ」

 

そう言う馬鹿にした台詞と共に、ブリッジ内にセレナが姿を現した!

 

「!? セレナッ!?」

 

「!?」

 

マリアとウェルが驚いていると………

 

「…………」

 

「! あうっ!?」

 

セレナは無言でマリアの傍に寄り、逆平手打ちを喰らわせて殴り飛ばした。

 

「………ウェル博士。如何やら愚かな選択をした様ですね」

 

続いてウェルの事を睨み付けるセレナ。

 

「!? ヒイイイイイイッ!?」

 

途端にウェルは情けない悲鳴を挙げて腰を抜かした様に尻餅を着く。

 

「まあ、貴方は後にしましょう………先ずは姉さんの方からです………カアアアアッ!!」

 

そんなウェルを捨て置き、セレナはサングラスを外しながら身を起こそうとしていたマリアに向き直ると、サイコラーの姿へ変わった!

 

「サイコラー………」

 

「マリア、憐れな女め………6年程前、F.I.S.の不手際で完全聖遺物ネフィリムが暴走した際、貴様の妹・セレナは絶唱を使い、自らの命を犠牲に貴様等を守った」

 

「!!」

 

ネフィリムの暴走事故の事を思い出し、マリアの身体がビクンッ!と震える。

 

「だが、それはF.I.S.の乗っ取りを計画していた魔王サイコ様には丁度良い事態だった。死に体だったセレナの身体を我が器とし、たちどころにF.I.S.を掌握し、それを隠れ蓑にマドーを復活させる事が出来たのだからな。聖遺物の収拾と研究に熱を上げていたアメリカは良いパトロンだったぞ」

 

得意げにベラベラと喋りながら、サイコラーは両手に剣を握り、まだへたり込んでいるマリアに再度近付く。

 

「セレナ!」

 

「そんな奴はもう居ない。この身体は既に我のモノ………セレナの意識はとっくに消えている」

 

「嘘よ! そんなの嘘だわっ!!」

 

「ならば証明してやろう。あの世でセレナと再会させてな………」

 

信じたくないと叫ぶマリアに、サイコラーは右手の剣を振り被る。

 

「死ね………」

 

「!!」

 

それが振り下ろされた瞬間、マリアは思わず目を閉じた!

 

………が、何時まで経っても何も起きない。

 

「………?」

 

如何したのかと、マリアが恐る恐る目を開けると………

 

サイコラーが振り下ろそうとした剣は、マリアに当たる寸前で止められており、サイコラーは身体を小刻みに震わせている。

 

「ぐっ!? おおおおっ!?」

 

そして苦悶の声を挙げたかと思うと、よろけながら後退り、膝を着いた。

 

「!? 何が………」

 

マリアが困惑した瞬間………

 

「………ん………さん………姉さん………」

 

苦しんでいるサイコラーの姿に、半透明なセレナが幻影の様に重なって現れた。

 

「! セレナッ!!」

 

「馬鹿なっ!? 貴様の意識は消した筈っ!? なのに何故っ!?」

 

驚愕の声を挙げるマリアと、信じられないと叫ぶサイコラー。

 

「姉さん………お願い………私を………殺して!」

 

とそこで、セレナの幻影がマリアにそう訴え掛けて来た!

 

「!? な、何を言ってるの、セレナッ!?」

 

「お願い………身体を盗られても………私の意識はずっとサイコラーの中に在ったの………でも、ずっと如何する事も出来なくて………今こうやってサイコラーを止められているのも奇跡みたいなものなの………だから………今の内に私ごとサイコラーを殺して!!」

 

狼狽しているマリアに、セレナはそう言葉を続ける。

 

「そ、そんな事………出来るワケ無いっ!!」

 

「お願い、姉さん!………私はもう6年前に死んでるの………今此処に居るのはマドーのサイコラー………倒さなきゃいけない人類の敵です!!」

 

「や、止めろおおおおっ!!」

 

必死に身体を動かそうとするサイコラー。

 

「お願い! 今なら魔王サイコとの繋がりを断ててるから、サイコラーを倒すチャンスだよ! せめて最期は………姉さんの手で!」

 

「!!」

 

セレナから必死の懇願を受けたマリアが、意を決した様にアームドギアの槍を形成する!

 

「!!」

 

「姉さん………さようなら」

 

「ウワアアアアアアッ!!」

 

サイコラーが狼狽し、幻影のセレナが儚く笑った瞬間、マリアは渾身の突きを繰り出す!

 

その突きが、サイコラーの頭を貫く!!

 

………かに思われた瞬間、寸前でビタリと止まった。

 

「「!?」」

 

サイコラーと幻影のセレナが驚いていると、槍を構えていたマリアが小刻みに震え始め………

 

とうとう槍を取り落として、その場にへたり込んだ。

 

「………出来ない………私には出来ないわ! たった1人の妹をこの手で殺すなんて!!」

 

大粒の涙と共に悲鳴の様な声を挙げるマリア。

 

「姉さん………!? アアアアアアッ!?」

 

そんなマリアに姿に幻影のセレナが何か言おうとした瞬間、それが悲鳴へと変わり………

 

「カアアアアッ!!」

 

サイコラーの叫びと共にセレナの幻影が消えてしまう。

 

「! セレナッ!!」

 

「馬鹿な奴め! 折角のチャンスをみすみす逃すとはなっ! カアアアアッ!!」

 

「!? キャアアアアァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

マリアが思わず手を伸ばした瞬間、サイコラーが立ち上がると共に繰り出した2本の剣の攻撃を真面に喰らい、マリアはブッ飛ばされる。

 

「あうっ!?………」

 

床に叩き付けられて転がったかと思うと、シンフォギアが解除される。

 

「マリアよ、やはり貴様は愚かだな。みすみす妹も………そして人類も見殺しにする事になったのだからな!」

 

「う、うううう………」

 

サイコラーの罵りに、マリアは倒れたまま童女の様に泣きじゃくる………

 

「今度こそ終わりだ………順番が変わってしまったが、先ずは貴様をあの世に送り、それから改めてセレナの精神を消してやるとしよう」

 

剣を構え、ゆっくりとマリアに近づいて行くサイコラー。

 

「うううう………」

 

マリアは唯々泣くばかりだ。

 

と、その時………

 

マリアの服のポケットから、()()が零れ堕ちた。

 

「あ………」

 

それは、何時ぞや雷が渡した緊急信号発信装置だった。

 

「…………」

 

マリアは身を起こしながら力無くそれを手に取る。

 

そして、スイッチを徐に入れた。

 

「ねえ………助けてくれるんでしょ?………なら助けてよ………私と………セレナを………助けてよ………」

 

涙を流し続けながら、マリアは力無くブツブツと呟く。

 

「今度こそ死ねぇっ!!」

 

遂にマリアの前に立ったサイコラーがまた剣を振り被る!

 

「シャリバンッ!!」

 

そこで、マリアの叫びが木霊した瞬間………

 

 

 

 

 

ブリッジの窓から、赤い光の球が飛び込んで来て、サイコラーを弾き飛ばした!!

 

 

 

 

 

「!? グオオオオオオオォォォォォォォォッ!?」

 

弾き飛ばされたサイコラーが床を転がる中、赤い光の球はマリアの眼前に降り立ち、光が弾けて正体を現す。

 

「あ、あああ………」

 

その正体………赤く輝く背中を見たマリアが、再度涙を流す。

 

「貴様はっ!?」

 

サイコラーが叫んだ瞬間………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宇宙刑事! シャリバンッ!!」

 

宇宙刑事シャリバンは、再び全世界の注目を一身に受けて、マリアを守る様に立ちながら、高らかに名乗りを挙げたのだった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

バイオライダーことRXは流石の貫禄でミスアクマ達とドクターポルターを難なく撃破。

一方、外で戦闘中の装者達も、ゴールドプラチナムの援護を受け、切歌と調がガイラー将軍を撃破し、翼・奏・クリスもレイダーからソロモンの杖の奪取に成功。

一方、フォニックスゲインを集めようとしていたマリアだが、現在の世界の状況もあり、上手く行かない。
そこへ現れるサイコラー。
あわやと思われたところで、何と消されたと思われていたセレナの意思が復活。
サイコラーを抑え込み、マリアに自分ごと葬り去る様にマリアに懇願します。
覚悟を決めたかに見えたマリアでしたが、やはりそんな事が出来るワケが無い………
とうとう絶体絶命かに思われたが………
宇宙刑事シャリバン、登場です!!

さて次回、遂にセレナの救済が入ります。
一体如何やってセレナを助けるか?
お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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