戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達 作:宇宙刑事ブルーノア
ご了承ください。
フロンティアのブリッジ………
「伊賀 電………」
「そう言えば、今のシャリバンは2代目とか言っていましたね。では、貴方が………」
「…………」
驚いたままのマリアとウェルに、電は不敵に笑って見せる。
『マリア!』
とそこで、ブリッジ内にナスターシャの声が響いた。
「! マムッ!?」
『フロンティアの制御は奪取しました! 後はフォニックゲインを集めるだけです! マリア! もう1度歌を!!』
驚くマリアに、ナスターシャはもう1度歌う様に呼び掛ける。
「………無理よ………私の歌じゃ………」
しかし、自信の失ってしまっているマリアは力無くそう返す。
「姉さん………」
するとそこで、マリアに抱き抱えられていたセレナが、マリアの頬に手を添える。
「! セレナ………」
「姉さん………姉さんが………今したい事は何?」
苦し気な様子ながらも笑みを浮かべ、優しくマリアにそう問うセレナ。
「………歌で世界を救いたい………月の落下とマドーから………皆を助けたい………」
そんなセレナの姿を見て、マリアは己の胸の内を素直に口にする。
「生まれたままの感情を隠さないで………私も手伝うから。だから………」
「セレナ………」
セレナを見つめるマリア。
その目には光が戻り始めている………
「倒れたなら、立ち上がり………前よりも強くなれ」
「!!」
そこで更に、電がそう言うと、マリアの瞳に完全に光が戻った!
「………行くわよ、セレナ」
「うん………」
そして、マリアとセレナは、そのまま歌い始めた
りんごは浮かんだ
お空に………
りんごは落っこちた
地べたに………
星が生まれて
歌が生まれて
ルルアメルは笑った
常しえと
星がキスして歌が眠って
かえるとこは
どこでしょう…?
それは、2人が幼い頃から良く歌っていた大好きな童歌………
その光景は、続いていた中継を通して、世界中の人々に届けられる。
そして人々の心が、マリアとセレナの姿を通じて1つに纏まって行く………
だが………
『フォニックゲインが足りない………後少しだけ足りない………』
『まだ地球規模の災害は続いてる………人々に余裕が無いんだわ』
制御室のナスターシャと了子がそう言い合う。
未だに魔王サイコが引き起こしている地球規模での大災害が続いており、全ての人々がマリアとセレナの姿を見ているワケではない。
更に、既に大災害で億単位の命が失われており、物理的にフォニックゲインの量が不足してしまっていた………
と、その時!!
『!? 大量のフォニックゲイン!?』
『何でいきなり!?………いえ、コレは!?』
「このフォニックゲインが送られてきているのは………外宇宙からです!!」
制御室のナスターシャと了子に加え、ブリッジのウェルも突如大量に発生したフォニックゲインが、外宇宙から送られている事に気付き、驚きの声を挙げる。
「如何やら間に合った様だな」
そこで、電が通信に割り込む。
『? 誰ですか、貴方は?』
「俺は伊賀 電。初代宇宙刑事シャリバンと言った方が分かり易いか?」
『!? 初代シャリバン!? 地球に来ていたのか!?』
ナスターシャの問いに、電が自己紹介を返すと、今度は制御室の方で弦十郎が通信に割って入って来る。
「地球の状況と君達が何をしようとしていたのかは知っている。コム長官を通じて銀河中の星々の人々に協力して貰った」
『! じゃあ、この大量のフォニックゲインは、銀河に住んでいる宇宙人達の物なの!?』
「君達から見ればそうなるな」
了子の驚愕の声に、電はサラッとそう返す。
『これだけのフォニックゲインを照射すれば、月の遺跡を再起動させ、公転軌道を戻す事が出来ます』
「! やったっ!!」
ナスターシャの声が響いたのを聞いた歌い終えたマリアが歓声を挙げる。
『良くやりました、マリア。後は私達が何とかします。もう何も貴方を縛るものはありません………行きなさい、マリア! 行って私に………貴方の歌を聴かせなさい』
「マム………」
「姉さん………コレを」
そこでセレナが、アガートラームのギアペンダントをマリアに差し出す。
「本当は私も一緒に戦いたいけど………せめて、
「セレナ………」
セレナの事を見つめながら、マリアはギアペンダントを受け取り、握り締める。
「この子は俺が責任を持って安全な場所まで連れて行く」
そう言いながら、電がマリアからセレナを受け取って抱き上げる。
「お願いします………さあ! 世界最高のステージの幕を上げるわ!!」
一方、その頃………
ブリッジから逃走したネフィリムビースト(サイコラー)を追っているギャバンと響、シャリバンは………
「カアアアアッ!!」
「待てサイコラー!!」
「逃がすもんかぁっ!!」
脇目も振らずに必死に逃走しているネフィリムビースト(サイコラー)の背に向かって叫びギャバン、響。
しかし、それで止まる筈も無く、やがて前方に直立している幻夢城が見えて来る。
「! 幻夢城っ!」
「立花っ!!」
シャリバンが声を挙げたその時、翼・奏・クリス・切歌・調の装者達が合流して来た。
「! 翼さん! 皆っ!!」
響がそちらに視線を向ける。
「そのギアは………」
「えへへ、マリアさんのをちょっと………」
奏がガングニールのシンフォギアを纏っている事を問うと、響は頭を掻きながらそう返す。
そこで、クリスが持っているソロモンの杖に気付く。
「クリスちゃん! 取り戻せたんだね!」
「へっ! アタシに掛かればザっとこんなもんよ!」
響に向かってニッと笑って見せるクリス。
「雷!」
「ブリッジでの事はマムから聞いてる………ありがとう。マリアだけでなくて、セレナも救ってくれて」
「お礼ならイガクリスタルと聖なる者に言ってくれ。俺は大した事はしてないさ」
切歌と調にそう言われたシャリバンはそう返す。
「幹部共は全員倒した」
「残るは魔王とサイコラーのみ!」
そして奏と翼がそう言い合い、装者達もネフィリムビースト(サイコラー)の追撃へと加わる!
「カアアアアッ!!」
だが、その時にはネフィリムビースト(サイコラー)は幻夢城へと到達。
大きく跳躍したかと思うと、そのまま幻夢城の外壁へとへばり付く。
その途端!!
ネフィリムビースト(サイコラー)の身体が、幻夢城の外壁へと吸い込まれる様に融合して行った!
「!? 何っ!?」
「「「「「「「!?」」」」」」」
その光景に思わず足を止めるギャバンとシャリバン、装者達。
そして、次の瞬間!!
幻夢城がまるで粘土の様にぐにゃぐにゃと形を変え始めた!!
「何が起こってるんだっ!?」
クリスに声が響く中、粘土の様になった幻夢城が、やがて1つの形を作り始める。
「カオーッ!」
それは、三つの顔を持ち、身体の至る所にネフィリムの意匠を持つ魔王サイコ………
『魔王ネフィリム・サイコ』の姿だった!!
「! 魔王サイコッ!!」
「野郎! サイコラーとネフィリムに加えて幻夢城まで取り込んだのか!?」
「「「「「「………!!」」」」」」
シャリバンとギャバンがそう言い合う中、魔王ネフィリム・サイコの姿に戦慄を覚える装者達。
「カオーッ!」
とそこで、その存在に気付いた様に、魔王ネフィリム・サイコがギャバン達を見下ろしたかと思うと、その目が怪しく光り始める。
「「! 逃げろっ!!」」
「「「「「「!!」」」」」」
ギャバンとシャリバンの声で、一斉に散開する装者達。
直後に、魔王ネフィリム・サイコの目から、紫色の光線が地面を薙ぎ払う様に放たれ………
光線が薙ぎ払われた場所から大爆発が起こり、爆風が吹き荒れた!!
「「「「「「ウワアアアアアアッ!?」」」」」」
「ヌアッ!?」
「グウッ!?」
直撃は避けたものの、大爆発が起きて一同は爆風で吹き飛ばされて地面を転がる。
「フハハハハハハハッ! 最早ワシに敵は居ない! 貴様等を倒し、その後でゆっくりと人類を滅ぼしてくれる!!」
その光景を見ながら、魔王ネフィリム・サイコが高笑いを挙げる。
「勝ち誇るのは早いぞ! 魔王サイコッ!!」
「俺達が居る限り! この地球を………貴様の好きにはさせんっ!!」
だが、シャリバンとギャバンがそう言いながら立ち上がる。
「よろしく………勇気っ!!」
「「「「「!!」」」」」
その後ろで、響がお馴染みの台詞と共に立ち上がり、装者達も続く。
「虫けら共め………貴様等に何が出来る?」
そんな一同を物理的にも見下している魔王ネフィリム・サイコ。
「歌が有るっ!!」
「「「「「「「「!!」」」」」」」」
そこで、そう言う声が響き、シャリバン達が振り返ると、空中に浮かんでいる岩の上に仁王立ちしているマリアの姿が在った!
「「マリアッ!!」」
切歌と調が1番に反応し、その傍に跳躍して降り立つ。
一瞬遅れて、響達もマリアの元へ集結する。
「マリアさん、あの………大丈夫ですか?」
「ええ、ありがとう………私はもう迷わないわ。マム達が命を懸けて月の落下を止めてくれた。今度は私の番………マドーとの決着を着ける!!」
先程までの心折れた様子を思い出して心配する響だったが、もうマリアの目には一片の絶望も無かった。
「…………」
光が戻った瞳で、マリアは一瞬シャリバンを見やる。
「…………」
それに気付いたシャリバンは、無言で頷く。
「…………」
そこで笑みを浮かべるマリア。
「裏切り者の出来損ないが………貴様が増えた所で何も変わらんぞ」
だが、魔王ネフィリム・サイコはそんなマリアの事も見下したまま、巨大な両手を突き出したかと思うと、その中に巨大な火球を形成!
マリア達に向かって放つ!!
火球は大爆発を起こし、マリア達と響達の姿は爆炎の中に消えた………
「ハハハハハハッ! 他愛のない………次は貴様等の番だ、宇宙刑事共」
装者達は倒したと思い込んだ魔王ネフィリム・サイコは、次の標的であるギャバンとシャリバンを見下ろす。
「フフフフ………」
「? 何が可笑しい? 気でも狂ったか?」
しかし、ギャバンが笑いを零すと首を傾げた。
「魔王サイコ。己の力に溺れ、目が良く見えなくなった様だな」
続いてシャリバンが、挑発するかの様にそんな言葉を投げ掛ける。
「何だと?………」
と、その瞬間………
Seilien coffin airget-lamh tron
「!? 何だとっ?………」
魔王ネフィリム・サイコが驚きの声を挙げると………
爆煙が吹き飛び、中から球体状のエネルギーフィールドに包まれた装者達の姿が現れた。
エネルギーフィールドの中心に居るのはマリアだ。
その胸には、セレナから受け取ったアガートラームのギアペンダントが揺れている。
「調が居る………切歌が居る………マムも、セレナも付いてる………そして雷………シャリバンも………皆が居るなら、コレくらいの奇跡………安いもの!!」
マリアがそう吠えると、装者達全員が歌い出した!!
「装着時のエネルギーをバリアフィールドにしたか………小賢しい。そんなモノが通用すると思ったか」
そこで魔王ネフィリム・サイコが再度両手を突き出し、先程よりも巨大な火球を形成!
再度装者達目掛けて放つ!
「バリヤーッ!!」
「シャリバンプロテクションッ!!」
だが、そこでギャバンとシャリバンが割って入り、斜めに展開させたバリヤーで、巨大火球を反らす。
「セット! ハーモニクスッ!!」
そこで響が、全員の歌を束ねる!
「S2CA! フォニックゲインを力に変えてえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」
高まっていたフォニックゲインが、更に上昇する!
「惹かれる音色に、理由なんていらない」
「良いじゃないか……明日があれば」
「!………」
そこで、翼と奏が手を繋ぎ、翼がもう片方の手を調に伸ばし、調は一瞬躊躇しつつも、その手を握る。
「アタシも、付ける薬が無いな」
「それはお互い様デスよ」
更に、クリスと切歌も手を繋ぐ。
「調ちゃん! 切歌ちゃん!」
そして響が、調・切歌と手を繋ぐ。
「貴方のやってる事、偽善で無いと信じたい………だから近くで私に見せて。貴方の言う、人助けを………よろしく勇気を………私達に」
「うん………でも信じてくれなくても良いよ。それでも私は………正義を貫くから」
「! そう………それが貴方の………よろしく勇気ね」
響の言葉に、調は笑みを浮かべる。
(繋いだ手だけが紡ぐもの………)
「絶唱か………だが、7人如きの絶唱で如何にかなるとでも………」
マリアが繋がりによって高まって行く歌の力を感じていると、魔王ネフィリム・サイコがそう言い放つ。
「まだ気づかないのかっ! 魔王サイコッ!!」
「何っ!?」
と、シャリバンがそう言い返した瞬間………
装者達から放たれていた光が更に眩く輝き出す!
「ヌオオオオオオッ!? こ、この力はぁっ!?」
「7人じゃない………私が束ねるこの歌はっ!! 全銀河の、絶唱おおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!」
魔王ネフィリム・サイコが初めて怯んだ瞬間、響の叫びが木霊し、光が弾ける!
そして、天に向かって7色の流星が昇って行き………
中から光が輝く翼を得た純白のシンフォギア………エクスドライブモードとなった装者達が姿を現した!!
「響き合う皆の歌がくれた! シンフォギアでえええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!」
装者達はそのまま、魔王ネフィリム・サイコに向かって突撃!!
7つの光が1つに纏まり、虹色となって魔王ネフィリム・サイコを貫いたかと思った瞬間!!
宇宙空間を貫く虹色の巨大竜巻が発生!
「グオオオオオオオォォォォォォォォッ!?」
その虹色の巨大竜巻の中で魔王ネフィリム・サイコの身体は粒子レベルで分解され、消滅した………
「やったっ!!」
「魔王サイコを………」
「倒したっ!!」
空中に浮かぶエクスドライブモードの装者達の中で、調・切歌・マリアが歓声を挙げる。
だが………
「いや、まだだっ!!」
「!? 雷っ!?」
シャリバンがそう声を挙げたのを聞いて、マリアが反応した瞬間………
「フハハハハハハハッ!!」
高笑いの声と共に、フロンティアの地面を突き破って、倒した筈の魔王ネフィリム・サイコが現れた!
「!? 魔王サイコッ!?」
「嘘だろっ!?」
「倒した筈だろっ!?」
粒子レベルまで分解して倒した筈の魔王ネフィリム・サイコが再度現れた事に、翼・奏・クリスは驚愕を露わにする。
「馬鹿め! ワシは不死身だっ!! 倒す事は出来ぬっ!!」
そんな装者達に向かって、魔王ネフィリム・サイコは勝ち誇る様に言い放つ。
「だったら、何度でも倒すだけだぁっ!!」
だが、響は一瞬も怯まず、復活した魔王ネフィリム・サイコへ突撃!
「若さってのは諦めない事だっ!!」
ギャバンもそれに続く。
「マリアッ! 切歌ちゃんっ! 調ちゃんっ!」
「「「!!」」」
「付いて来いよ! 戦おうぜっ!!」
「「「! ええっ(うん、デス)!!」」」
そしてシャリバンも、マリア達にそう呼び掛けて続く。
「フッ………怯んでいる場合では無かったな」
「ああ、この程度、もう慣れっこだぜ」
「ホントに付ける薬がねえぜ、アタシ等にはなぁっ!!」
翼・奏・クリスも我に返り、一同は再度魔王ネフィリム・サイコへと立ち向かうのだった。
つづく
新話、投稿させて頂きました。
セレナに励まされ、彼女と共に再度歌を歌うマリア。
その純粋な気持ちが届き、世界中からフォニックスゲインが集まるものの、世界中で続いている大災害で、歌っている人々の数が限られ、予定量が集まらない………
しかしそこで何と!!
初代シャリバンこと伊賀 電がコム長官を通じて、全銀河の人々に協力を要請していた事により、外宇宙から大量のフォニックスゲインが送られて来る!
原作の70億を遥かに超える、全銀河の絶唱です!!
これにより、月の遺跡は再起動!
そしてエクスドライブも解禁されます。
だが、魔王サイコはサイコラーに加えてフロンティアのエネルギーを暴食したネフィリムをも取り込み………
『魔王ネフィリム・サイコ』となります!
原作の最終形態のネフィリムとスーパーヒーロー大戦Zのリ・マジネーション魔王サイコを足し合わせた感じだと思って下さい。
力も強大ながら、粒子レベルで分解されても再生する不死性を持つ難敵です。
果たして、この魔王ネフィリム・サイコと如何戦うか?
いよいよ決着の時です!
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。