戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達 作:宇宙刑事ブルーノア
今から2年前………
風鳴 翼と天羽 奏は、ツインボーカルユニット『ツヴァイウィング』として初の大規模ライブを開催。
このイベントには、未来に誘われた響も参加していた。
しかし、当の未来は親戚の急な怪我でライブに来れなくなり、響は1人で初めてのライブを楽しんでいた。
だが………
実はこのライブは特異災害機動部二課が完全聖遺物である『ネフシュタンの鎧』の起動実験の為に、翼と奏の他、観客達のフォニックゲインを利用しようと企画したものでもあった。
目論見は成功したかに見えたが、急激なフォニックゲインの高まりに、ネフシュタンの鎧は暴走。
ライブ会場で爆発事故を起こした。
更に、発生したフォニックゲインがノイズを呼び寄せてしまい、ライブ会場は一瞬にして地獄と化したのだ!!
ライブ会場………
「ノイズだーっ!!」
「助けてくれーっ!!」
「落ち着いて下さい! 誘導に従って避難して下さい!!」
我先にと逃げ惑う人々を、スタッフ達が懸命に避難誘導している。
と、そのスタッフにノイズが襲い掛かろうとする!
「! ハッ!!」
だが何と!!
スタッフは何処からともなく取り出した刀で、
「クッ! まさかこんな事になるなんて………」
ノイズを斬り捨てたスタッフはそんな事を言いながら、会場の中心に視線を向ける。
そこにはシンフォギアを纏ってノイズと戦っている翼と奏の姿が在った。
剣のアームドギアでノイズを次々に斬り捨てて行く翼に、槍のアームドギアを突き刺し、穂先から竜巻を発生させてノイズを消す飛ばして行く奏。
「アレは………え?」
その様子を、響は客席から呆然と見ていた。
突然ツヴァイウィングの2人が鎧の様な物を纏ってノイズと戦い出した事に目を奪われ、逃げるのを忘れてしまっていたのだ。
そこで、奏のアームドギアから放たれていた輝きが鈍くなる。
「! 時限式はココまでかよ!」
愚痴る様にそう呟く奏。
奏のシンフォギアへの適合率は低く、人為的に適合率を引き上げる制御薬………『LiNKER』を投薬する事で適合率を上げているのだが、薬である以上、効力には時間制限が在るのだ。
「! キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!」
と、その時!!
ノイズの攻撃の余波で、響が居た観客席が崩落!
響は瓦礫と共にライブ会場の中心部に落下してしまう。
「ッ、痛った~………!?」
足を負傷し、痛みに顔を歪めながら響が起き上がろうとすると、それに気付いたノイズ達が向かって来る。
「!!」
響の顔が絶望に染まる。
ノイズに接触すれば人は炭化して死ぬしかない………
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」
だがそこで、奏が限界を迎えている身体に鞭を打ってノイズを斬り裂く。
「駆け出せっ!!」
「ッ!!」
奏にそう言われ、響は痛む足を引き摺りながら逃げようとする。
するとノイズ達は、自らの身体を弾丸の様に飛ばし、次々に奏に襲い掛かる。
「クウッ!!」
奏は槍を身体の前でプロペラの様に回転させてそのノイズ達を防ぐが、纏っているアーマーにはどんどんヒビが入って行く。
「! 奏ぇっ!!」
その様子に気付く翼だが、戦っている内に離れてしまい、更に自身も大量のノイズに囲まれ、助けに行けない。
必死に響を守ろうとする奏を嘲笑うかの様に、今度は大型の強襲型ノイズが、液体状の物を吐きかけて来る。
「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」
更に槍を激しく回転させる奏だが、遂にアーマーが耐え切れなくなり、砕け散り破片となって飛び散った!
「!?………」
更に運悪く、その内の1つが、逃げようとしていた響の胸元を直撃!!
鮮血を飛び散らせながら、響はブッ飛ばされ、瓦礫に背中から叩き付けられ、床に倒れた。
「! オイ、しっかりしろ! 目を開けてくれっ!!」
慌てて槍を投げ出して響に駆け寄る奏。
「生きるのを諦めるなっ!!」
「…………」
奏のその言葉が届いたかの様に、僅かに目を開ける響。
「!…………」
それを見た奏は、何かを決意したかの様な笑顔を浮かべる。
「何時か………心と身体、全部空っぽにして、思いっ切り歌いたかったんだよな」
響を瓦礫に背を預けさせる様にすると、投げ捨てた槍を拾い、迫り来る大量のノイズ達に向かって歩いて行く。
「今日はこんなに沢山の連中が聞いてくれるんだ………だから、あたしも………出し惜しみ無しで行く」
そして、槍を右手だけで握り、天に掲げる様に構える。
「とっておきをくれてやる………『絶唱』」
『絶唱』………
それはシンフォギア装者の奥の手にして禁じ手である。
歌唱にて増幅したエネルギーを一気に放出し、絶大なダメージを与える反面………
強大な反動により、装者自身の肉体に多大なダメージを与えるのだ。
ましてや奏は現在、LiNKERが切れて適合率が下がっている状態………
そんな状態で絶唱など使えば、間違い無く死に至る………
「! いけない奏! 歌っては駄目ぇーっ!!」
奏が絶唱を使おうとしている事に気付いた翼が必死に叫ぶが、彼女には止める事は出来ない。
「…………」
遂に奏が絶唱の為の歌詞を口にしようとした………
その瞬間!!
何処からともなく飛んで来た『カードの様な物』が、奏が掲げていた槍に命中した!!
「!? うわっ!?」
思わず槍を手放し、絶唱を中止してしまう奏。
カードの様な物は、槍に突き刺さっていた。
それは銀色で、裏にJPのマーク………
そして表には『Janperson』と言う文字が刻まれていた。
「!? コレはっ!?」
そのカードを、奏は見て驚愕する。
(あの時と同じ!?………)
奏の脳裏に蘇るある出来事………
彼女の両親は聖遺物発掘チームの一員だった。
ある日、奏とその妹を連れて、発掘現場に向かったところ、ノイズと遭遇。
あわや一家全滅かと思われたその時に………
今と同じ様に、銀色のカードが飛んで来て、『彼』が現れたのだ………
瞬く間にノイズを蹴散らし、何処へと無く去って行った紫の『彼』………
もう1度会いたい………
そう思っていた奏は、後に僅かながらガングニールへの適合が認められると、装者になる事を決意。
ノイズと戦っていれば、また『彼』と出会えるのではないかと思ったからだ………
「まさか………」
と、奏がそう呟いた瞬間………
ライブ会場を光が包み込んだ!!
「うわっ!?」
「!? 何なの!?」
余りの光量に、奏と翼は疎か、ノイズ達まで反応する。
やがて、逆光の中に………
1つの人型のシルエットが浮かび上がった。
黒い革のジャンパーと革のズボンを着用しているが、その顔は機械………ロボットであった。
ロボットがジャンパーの前を勢い良く開けると、紫と銀色のメタリックなボディが露わになり、光を放つ。
そのまま勢い良くジャンパーとズボンを脱ぎ捨てる紫のロボット。
そして顔に、フェイスガードを装着。
目や胸の電飾の様な部分が起動したかの様に光を放つ。
「Janperson, For Justice!」
紫のロボット………『特捜ロボ ジャンパーソン』はそう高らかに名乗りを挙げた!
「ジャンパーソン………」
驚きで目を見開く奏の前に、高所に居たジャンパーソンは跳躍して着地を決める。
「………生きるのを諦めるなと言うなら、先ず君が命を大切にするんだ」
「!!」
「此処は俺に任せろ………」
そして、奏にそう言ったかと思うと、ノイズの方に向き直り、悠然と歩みを進めて行った。
「ジャンパーソン………」
あの時と変わらぬその頼もしい紫の背を見た奏の目に涙が溢れる。
「奏! アイツは一体!?」
とそこで、漸くノイズ達の中から抜け出して来た翼が合流する。
「………あたしの命の恩人さ」
「えっ?」
「それよりも、此処はアイツは任せて、この子を!」
戸惑う翼を尻目に、奏は負傷している響を抱き抱え、避難しようとする。
「ちょっ! アイツに任せてって、本気なの!?」
「大丈夫だ! アイツは………『ヒーロー』だからな!」
「クッ!」
納得が行かないものの、奏を守る為に共に避難する翼だった。
ノイズの大群の前に立ちはだかるジャンパーソン。
そこで止まっていたノイズ達が動き出し、ジャンパーソンに殺到する。
「…………」
ジャンパーソンは冷静に、右腿のホルスターから専用拳銃………『ジャンデジック』を抜き、マガジンを装填すると、レーザーを連射する!
ジャンデジックから放たれたレーザーが次々と正確に命中し、炭になって行くノイズ達。
しかし、それを潜り抜けたノイズ達が、ジャンパーソンに体当たりを喰らわせる。
アーマーから火花を散らすジャンパーソン。
だが、ダメージは無く、逆に体当たりしたノイズが炭となっただけである。
「ジャンバルカンッ!」
と、ジャンパーソンは更に、左手に片手持ちのエネルギーバルカン砲『ジャンバルカン』を握り、ジャンデジックとの二丁撃ちで弾幕を展開!
先程よりも密度を増した弾幕の前に、ノイズ達は成す術も無く炭に変わって行く。
するとそこで、ノイズの一団が大群から分離し、大回りでジャンパーソンの背後へ回り込もうとし始めた。
だがそのノイズ達に、別の弾幕が襲い掛かった!
「ベイビー! 最近のアーティストのライブにはノイズまで来るってのか?」
そう言いながら、2丁拳銃を手にし、背にバズーカの様な物を背負ったグレーのロボット………『ガンギブソン』が姿を現した。
「悪いが、ノイズはお断りだぜ。お引き取り願おうか」
そして、手にしている2丁拳銃………『ガンボルバー』と『ブローソン』でジャンパーソン同様に弾幕を展開し、次々とノイズを撃破して行った。
2人の弾幕により、小型のノイズは瞬く間に殲滅され、残すは2体の大型の強襲型ノイズのみとなった。
ジャンパーソンとガンギブソン目掛けて突進して来る強襲型ノイズ。
「ジャンパーソン! 合体だっ!!」
そこへ、超高性能多目的ロボット『アールジーコ』が現れたかと思うと、その身体が変形し、ジャンデジックと合体。
「セットレディ!」
2連装のキャノン砲………『ジックキャノン』となる。
「ファイヤーッ!」
「ジックキャノンッ!」
アールジーコとジャンパーソンの掛け声で高熱高圧のエネルギー弾が放たれ、強襲型ノイズの一体を消し飛ばした!
「スピンドルキャノンッ!」
更にガンギブソンも、背負っていたバズーカ………『スピンドルキャノン』を放ち、残るもう1体の強襲型ノイズを消し飛ばす!
「「…………」」
静寂に包まれたライブ会場に、ジャンパーソンとガンギブソンが悠然と佇むのだった。
「やってくれたか………ジャンパーソン、ガンギブソン」
その2人の姿を見つめる、あの刀でノイズを斬り捨てたスタッフ。
すると彼は、着ていたスタッフの制服を勢い良く脱ぎ捨てる。
その下から現れたのはまるで忍者を思わせる様なアーマー姿の人物………
『戸隠流三十六代宗家』の『ジライヤ』であった。
先代である戸隠流三十五代宗家『山地 闘破』から戸隠流忍術とジライヤスーツを受け継いだ若者だ。
『ジライヤ。此方のノイズもクリーンアップだ』
『しかし、残念だが多くの犠牲者が出てしまった………』
『しかもその殆どがノイズではなく、避難時のパニックでのものだ』
『シット! 俺達が居たってのに!』
『いや、我々は良くやった』
『そうだ。本来ならばこの会場の全ての人間が犠牲になってもおかしくはなかったのだからな』
そこで、ジライヤの仲間である『世界忍者』達………
『城忍 フクロウ男爵』
『牢忍 ハブラム』
『爆忍 ロケットマン』
『雷忍 ワイルド』
『聖忍 アラムーサ』
『風忍 馬風破』達から通信が入る。
サイボーグである馬風破以外は、全員が先代から名を受け継いだ2代目である。
このライブが完全聖遺物の起動実験であるという情報を掴み、秘かに何かあった場合に備えていたのだ。
「皆、協力ありがとう。けど、まだ一仕事残ってる。引き続き頼むぜ」
皆にそう返すと、ジライヤはライブ会場を後にしたのだった。
こうして、ジャンパーソン達とジライヤ達の活躍により………
ライブ会場に居た10万人の内………
犠牲となったのは100数名に抑えられた。
だが、嘗て先代のジライヤによって倒された悪の忍者集団『妖魔一族』の残党が………
犠牲者達の大半の死因が、逃走中の将棋倒しによる圧死や、避難路の確保を争った末の暴行による傷害致死である事に目を付けた。
ライブの実態が完全聖遺物の起動実験であった事で、情報の殆どが秘匿されていた事を悪用し、この情報を週刊誌に売りつけたのである。
そして目論見通りに生存者狩りが始まると、正義を自称する彼等を支援する事で利益を得て、妖魔一族再興の資金としようと企んだのだ。
しかし、その企みもジライヤ達によって阻止されて暴露された事で………
逆に生存者狩り行為を終結させる切っ掛けとなってしまったのだった………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
今回は幕間話。
あの悲劇のライブが、この作品では如何なっていたかです。
奏が言っていた通り、駆け付けてくれたのはジャンパーソンです。
更に彼は、Gで語られていた奏の家族が犠牲となった神獣鏡が出土した遺跡にも表れており、彼女の家族も救っています。
神獣鏡は原作通り奪われていますが、この作品では奏はそれが切っ掛けで装者に誘われた時、なる決意を決めてます。
恩人であるジャンパーソンにまた会えるかも知れないと思い………
更に彼の頼もしい相棒であるガンギブソンも現れ、ジライヤを始めとした世界忍者達の影ながらのサポートもあったので、犠牲者の数が大幅に減っています。
そして例の生存者狩りの裏には、実は妖魔一族の残党が関与していたのです。
しかしそれも、ジライヤ達が解決してくれました。
これがこの作品でのライブとその後の一連の出来事です。
さて、次回はオリジナルエピソードで、早速オリジナルキャラの犬山 小里が活躍?し、未来達とギャバンが遭遇します。
後の展開の為、1度ギャバンと未来達を会わせておきたいので。
更に、地軸転換装置の場面で出て来る怪人の正体も明らかになります。
お楽しみに。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。