戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

66 / 162
第3話『青き宇宙刑事』

日本・都内某所………

 

炎の海と化している集合住宅街にて………

 

「マルチパック! ファイヤーバージョン!」

 

「消火ビームッ!」

 

「ハイドランダーッ!」

 

ウインスペクターの『バイクル』が背負った装備『マルチパック ファイヤーバージョン』………

 

ソルブレインの『ソルドーザー』が両肩に装備された消火ノズル………

 

そして、エクシードラフトの『キース』が万能消火レスキューツール『ハイドランダー』で、燃え盛る炎を鎮圧する。

 

「ケルベロススラッシュッ!」

 

「「ビルドライバー! リボルドライビング!!」」

 

そこで、ソルブレインの『ナイトファイヤー』が可変式装備『ケルベロス-Δ(スラッシュモード)』で、エクシードラフトの『シンクレッダー』『ブルース』が多機能ハンドガン『リボルバックG-3』を合体させた密閉空間からの脱出・救出作業に特化したツール『ビルドライバー』『ディスクソウモード』『ドリルモード』で瓦礫を除去する。

 

「しっかりするんだ!」

 

「もう大丈夫です!」

 

その炎が鎮圧され、瓦礫が撤去された場所を、ウインスペクターの『ファイヤー』と、ソルブレインの『ソルジャンヌ』が、酸欠になっている要救助者に『マルチパック エアバージョン』『エアーマスク』で酸素供給を行いながら外へと避難させて行く。

 

「しっかり掴まっていて下さい!」

 

「ボスワインダーッ!」

 

更に、屋上に取り残されていた要救助者達も、ウインスペクターの『ウォルター』が背中に装着される飛行用の翼『ディスライダー』で飛行し、ソルブレインの『ソルブレイバー』がフック付き特殊カーボンファイバー製ロープを射出するツール『ボスワインダー』を使ってのロープ降下で救助して行く。

 

外に待機しているマシン、『ファイヤースコード』『ソルドレッカー』『ソリッドステイツ-I』『スクラムヘッド』『バリアス7』も、99マシンと共に消火活動を行っている。

 

「ウオオオオオオォォォォォォォッ!」

 

そんなレスキューポリス達に負けじと、響も自慢の拳で壁を突き破りながら、次々に要救助者達を救助して行っている。

 

「誰かぁっ! 誰か居ませんかっ!?」

 

炎の中を走り回り、要救助者が居ないか探す響。

 

「……た………けて………助けて………」

 

「!!」

 

そこで、微かに声が聞こえて、響がその方向へ向かうと………

 

階段の踊り場に倒れている少年を発見する。

 

「大丈夫っ!!」

 

すぐさま駆け寄り、少年を抱き抱える響。

 

その直後に、フラッシュオーバーと思われる凄まじい炎が、響と少年の居る階段を駆け上って来た!

 

「!?」

 

響は咄嗟に少年を庇う様にし、炎に背を向ける。

 

そこで………

 

「ビルドディスチャージャーッ!!」

 

何処からともなく現れたゴーゴーファイブの『ゴーレッド』が、手にしていた特殊消火器『ビルドディスチャージャー』で、一瞬にして炎を鎮圧した!!

 

「! 貴方はっ!?」

 

「ゴーレッドだ。君がS.O.N.Gの装者か…………勇敢だな」

 

驚く響に、ゴーレッドがそう言うと………

 

「マトイ兄!」

 

「マトイ兄ちゃん!」

 

要救助者に肩を貸している他のメンバー………『ゴーブルー』『ゴーグリーン』『ゴーイエロー』『ゴーピンク』が現れる。

 

「この建物の要救助者はコレで全員だ」

 

「良し! 一旦退避するぞ! 君も付いて来るんだ!!」

 

「! ハイッ!!」

 

ゴーレッドに促され、響は助けた少年を抱えて、一旦建物内から退避するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

ロンドンのライブ会場では………

 

「スパークボンバーッ!!」

 

「「「「「シュワシュワッ!?」」」」」

 

繰り出したスパークボンバーで、ミラクラー達を数体纏めて倒すシャリバン。

 

「「「「「シュワシュワッ!!」」」」」

 

と、着地の瞬間を狙って、別のミラクラーの一団が、シャリバンを取り囲む様に飛び掛かる!

 

「ケエアッ!!」

 

「「「「「シュワシュワッ!?」」」」」

 

だが、シャリバンは再度跳躍し、ミラクラー達を弾き飛ばす!

 

「クライムバスターッ!!」

 

そして高所に着地したかと思うと、クライムバスターを薙ぎ払う様に発射し、一気にミラクラー達を葬り去った!

 

「片付いたか………マリア! そっちは如何だ!?」

 

ミラクラー達が全滅したのを確認すると、クライムバスターをガンスピンさせながらホルスターに納め、マリアに通信を送る。

 

『苦戦してるわ! 敵はかなり強いわ! 如何やら狙いは私達装者みたいだから、今ハイウェイを通って人気の無い場所まで誘導しているところ!』

 

「分かった! 俺もすぐに行くっ!!」

 

マリアからの返信を聞くと、シャリバンはすぐさま赤い光球となって、一旦ライブ会場の外へ出る。

 

「モトシャリアーンッ!!」

 

そして、モトシャリアンを召喚すると、夜のハイウェイを疾走して行ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、日本………

 

火災現場では………

 

『火災現場での救助活動は順調よ』

 

「心強い連中が揃ってるからな」

 

あおいからの通信に、まだ炎が迫っていない広場に居たクリスが、もう殆ど消えかけている炎が上がって居る場所で活動しているレスキューヒーロー達の姿を見てそう言う。

 

「コッチもコレで大丈夫………」

 

「コレ以上炎が広がるのは防げたデース」

 

そこで、得物を構えていた調と切歌がそう声を挙げる。

 

コレ以上の炎上を防ぐ為、無人となっていた建物を破壊すると言う少々荒っぽい手段を執っていたが、それももう必要無くなった事で安堵の息を吐く。

 

『現在、火災は粗鎮火に向かっている様子です。しかし、炎上は広範囲に及んでおり、復興には時間が掛かるものと思われます』

 

と、火災が落ち着いて来たから、報道のヘリが駆け付け、現場の様子を映しながらレポーターが実況している。

 

「おお! アレはテレビのヘリデスか!? 調! ピースするデス!」

 

「切ちゃん、今時それは無いよ………」

 

その報道ヘリの姿を見た切歌が無邪気にそう言うのを聞いて、調が呆れた様な様子を見せる。

 

「ったく、何やって………」

 

クリスがそう言いかけた、その時!!

 

3人の耳に、コインを弾いた様な音が聞こえたかと思うと、続いて鈍い金属音が聞こえた。

 

その直後に………

 

報道ヘリが爆発四散した!!

 

「「「!?」」」

 

爆発した報道ヘリを驚愕の表情で見上げた後、すぐさまそれを行った者が居るであろう場所に視線を向けるクリス・切歌・調。

 

「…………」

 

そこには無機質な目で3人を見下ろしている黄色い衣装の女性の姿が在った。

 

その女性も、ロンドンで翼達と戦っているファラと同じく、生気が感じられなかった………

 

「「!………」」

 

「この仕業はお前か!?」

 

切歌と調が女性の異様な雰囲気に若干気後れするのに対し、クリスはそう問い質す。

 

「…………」

 

だが、女性は何も答えず、只その無機質な瞳でクリス達の事を見下ろしている。

 

「コイツ………」

 

そんな余裕ぶった女性の態度に、クリスは歯軋りする。

 

「………アレは」

 

そんなクリス達の様子を覗き見る、ローブを纏った小柄な人物が居た。

 

「………!」

 

と、そこで!

 

女性が動き、()()をクリス達に向かって投げ付けて来た!

 

「!!」

 

クリスは反射的にボーガンのアームドギアで、エネルギーの矢を放ち、投げつけられた()()を撃ち落とす!

 

コイン?………」

 

「さっきヘリを落としたのもコレデスか!?」

 

撃ち落とされて散らばった()()………コインを見た調と切歌がそう言い合う。

 

その間にも、クリスは女性に向かって攻撃を続ける。

 

「…………」

 

しかし、女性は明らかに人間が出来る筈が無い動きで、クリスの雨の様な攻撃を躱して行く。

 

(この動き、人間離れどころじゃねえ………人外そのもの!

 

「!!」

 

と、女性が放たれていたエネルギー矢の1発を手で掴んで見せたかと思うと、そのまま握り潰す。

 

「つまり! 遣り易い!!」

 

だが、クリスは相手が人間で無いなら遣り易い上に慣れている為、遠慮無く更に仕掛けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、響の方は………

 

「お願いします!」

 

救助した少年を救急隊員に預ける。

 

「ありがとうございます!」

 

少年の母親が、響にお礼を言いながら、共に救急車に乗り込み、病院へと向かう。

 

「よし! まだ要救助者が居る筈だ! 次の現場に向かうぞっ!!」

 

「「「「了解っ!!」」」」

 

同じ様に、救助した人達を救急隊員達に預けたゴーゴーファイブが、現場へと戻って行く。

 

「私も………!」

 

響もそれに続こうとして、ふと何かを感じて上を見上げると………

 

燃えていない建物の渡り廊下の上に立って居る人物を見つける。

 

あの魔法使いの様な格好をした少女だ。

 

「…………」

 

その脳裏には、まるで魔女裁判の様に火炙りにされる男性の姿が過っていた。

 

「………消えてしまえば良い思い出」

 

そう呟く少女の眼から、涙が溢れる。

 

「そんな所に居たら危ないよっ!!」

 

「!?」

 

響の声でハッとしながら眼下を見下ろす少女。

 

「パパとママと逸れちゃったのかな!? そこは危ないから、お姉ちゃんが行くまで待って………」

 

人が良い響は、明らかに不審な様子の少女を迷子だと思い、助けに向かおうとするが………

 

「黙れっ!!」

 

少女はそう言い放つと、緑色の円形………魔法陣の様な物を空中に展開させる!

 

「!!」

 

その瞬間、殺気を感じた響は、反射的にその場から飛び退いた!

 

直後に、少女が出現させた魔法陣から強力な竜巻が発生し、先程まで響が居た場所を抉った!

 

「!? コレはっ!?」

 

『敵だ! 敵の襲撃だ! そっちは如何なってる!?』

 

未知の力に驚いている響の耳に、クリスからの通信が木霊する。

 

「敵!?………まさか!?

 

そこで響は、再度少女の姿を見上げる。

 

「…………」

 

少女は響を冷たく見落ろしながら、右手に元素記号の様な物を出現させている。

 

「………君………フーマなの?」

 

出来れば外れていて欲しい………

 

そんな表情で少女に問い質す響。

 

「………俺は『キャロル・マールス・ディーンハイム』。俺の錬金術が世界を壊し、万象黙示録を完成させる!」

 

「! 世界を壊すっ!?」

 

世界を壊すと言う宣言に、響は目を見開く。

 

「俺が奇跡を殺すと言っている!」

 

キャロルはそう言い放つと、今度は右手の元素記号を4つの重ねた魔法陣に変えると、再度左手に元素記号の様な物を出現させ、魔法陣に重ねる。

 

すると、4つの魔法陣が重なって1つになり、その周りに小さな魔法陣が多数出現したかと思うと、その小さな魔法陣全てから竜巻が放たれる!

 

「! ウオオオオオオォォォォォォォッ!!」

 

響はレーザーブレード・Dを抜き放つと、迫って来ていた竜巻群に向かって振り下ろし、その全てを雲散させた!

 

「フン、流石だな………」

 

予想以上だった響の強さに感心しながらも、キャロルは渡り廊下から跳ぶと、響の前にフワリと降り立つ。

 

「………如何して世界を壊そうとするの? 理由を教えて!」

 

油断無くレーザーブレード・Dを構えながらも、響はキャロルにそう問い質す。

 

「理由を言えば受け入れるのか?」

 

「ううん、きっと無理………多分、私には理解出来ない事なんだと思う」

 

「ならば………」

 

「けど! それでも知りたい! 世界は破壊させない! そして………貴方の事も救いたい!!」

 

「!! 俺を救うだと?………思い上がるな!!

 

と、その響の言葉に、キャロルは忽ち激高!

 

両手を頭上に掲げる様に構えたかと思うと、自身を包み込む様に黄色い魔法陣を展開!

 

一旦左手を下げてフィンガースナップしたかと思うと、またも元素記号の様な物を出現させ、魔法陣に組み込む!

 

「お前と違い、戦ってでも欲しい真実が、俺には有る!!」

 

「戦っても欲しい真実!?」

 

「そうだ! 父親に託された命題だっ!!」

 

「!?」

 

父親と言う言葉を聞いた瞬間………

 

響の脳裏に、自身の父………

 

家族を捨てて蒸発し、行方不明となっている『立花 洸』の事が過り、硬直する。

 

「世界ごと! ブッ飛べええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」

 

「!? しまっ………! ウワアアアアアアッ!?」

 

その瞬間にキャロルの攻撃が発動し、硬直していた響は真面に喰らってしまい、ブッ飛ばされる。

 

「ガッ! ハッ!?」

 

受け身も取れずに地面に叩き付けられ、そのまま転がる。

 

「う、ううう………」

 

起き上がろうとするものの、身体が言う事を聞かない………

 

「お前の何もかもを打ち砕いてやる………」

 

そんな響に向かって容赦無く右手を向けるキャロル。

 

 

 

と、そこで!!

 

 

 

「立花さん!」

 

「大丈夫ですかっ!?」

 

「貴様か!? この災害の元凶は!!」

 

そう言う台詞と共に、ファイヤー、ソルブレイバー、シンクレッダーが現れ、響を守る様にキャロルの前に立ちはだかった!!

 

「! 皆さんっ!!」

 

「フン! 救助用の強化服如きが、何をする?」

 

驚く響に対し、キャロルはファイヤー達を所詮は救助用の強化服の集団と見下す。

 

だが、それは………

 

()()()()()であった。

 

「マックスキャリバー、ジョイント!」

 

『ギガストリーマー』『マックスキャリバー』をジョイントさせるファイヤー。

 

「ケルベロス-Δ、装填!」

 

『パイルトルネード』にケルベロス-Δを装填するソルブレイバー。

 

「エンブレード、装填!」

 

『ヘビーサクイロン』『エンブレード』を装填するシンクレッダー。

 

3人が一斉に、キャロルに狙いを定める。

 

「………は?」

 

救助用の強化服の集団と思っていた連中が、いきなりゴツイ重火器の様な武器を構えた事に、キャロルは思わず間抜けな声を挙げて呆ける。

 

「ギガストリーマー! マキシムモードッ!!」

 

「トルネードバーストッ!!」

 

「サイクロンノバッ!!」

 

その次の瞬間には、プラズマ光波弾・プラズマエネルギー光球・プラズマビームの一斉射撃が襲い掛かった!!

 

「!? グアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

断末魔の様な悲鳴と共に、キャロルの姿が大爆発の爆炎に飲まれた………

 

「えええええぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

その光景に思わず響が仰天の声を挙げる。

 

やがて爆炎が治まると、キャロルの姿は何処にも無かった………

 

「やったかっ!?」

 

「いや………如何やら逃げられた様だ」

 

シンクレッダーの声に、ファイヤーがそう返す。

 

『隊長達! すぐに戻ってきて下さいっ!!』

 

『要救助者がまだ居ます!』

 

とそこで、まだ火災が残っている現場に居る仲間達から通信が入る。

 

「分かった! 立花さん! 動けますか!?」

 

「あ、ハイ………あ!」

 

ソルブレイバーに問われた響が、ヨロヨロとながらも立ち上がろうとしたが、再び倒れる。

 

「無理はしないで下さい」

 

と、ファイヤーがそう言って、響に肩を貸す。

 

「俺は立花さんを救急隊員に預けて来る。2人は先に現場に戻っていてくれ」

 

「「分かった!」」

 

ファイヤーにそう言われ、ソルブレイバーとシンクレッダーは現場へと戻って行く。

 

「さ、立花さん!」

 

「す、すみません………」

 

申し訳無さそうにしながら、ファイヤーに肩を貸されて、救急隊員の元へ向かう響。

 

(父親に託された命題だっ!!)

 

その脳裏には、先程キャロルが言っていた父から託された命題と言う言葉が反復している。

 

(託された………私には、お父さんから貰ったモノなんて………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

火災現場から少し離れた路地裏………

 

「ハア………ハア………」

 

息の荒いキャロルが、出血している左腕を右手で押さえながら、ビルの壁に寄り掛かりながら歩いている。

 

魔法使いを思わせる衣装も半分以上が焼けて、ボロボロになっている………

 

「オノレ………高が救助用の強化服と甘く見たか………」

 

完全なる自分の失態だと思い知り、キャロルは屈辱に顔を歪ませる。

 

「! グウッ!?」

 

とそこで、傷が痛み、キャロルはビルの壁に背を預ける様にしてその場に座り込む。

 

(………『ガリィ』、すぐに来い………不測の事態が発生した………)

 

『ガリィ』なる者に念話を送り、迎えに来る様に命令する。

 

 

 

その時………

 

 

 

「君! 如何したんだいっ!?」

 

「!?」

 

突如聞こえて来た声にキャロルが反応すると、そこには()()()()()の姿が在った。

 

「怪我をしてるのかい? ちょっと待ってて………」

 

キャロルの傍にしゃがみ込んだ青年は、怪我をしているのを見て、何かを取り出そうとしたが………

 

「俺に構うなっ!!」

 

それを拒絶する様に、大声で怒鳴るキャロル。

 

「ゴメンなさい、ちょっと触りますね」

 

しかし、青年はそれを意にも解さず、取り出した青いハンカチを、怪我をしているキャロルの左腕に巻き付けて止血しようとする。

 

「オイ! 聞こえないのか!? 俺に構うなっ!!」

 

「あ、ハンカチの事は気にしないで下さい」

 

「そうじゃなくて!」

 

「うん、元気そうですね。これなら大丈夫です」

 

「~~~~っ!!」

 

再三怒鳴っているにも関わらず、マイペースで会話する青年に、キャロルは思わず顔を赤くして怒る。

 

いっそ吹き飛ばしてやろうかとも思ったが、ダメージのせいで錬金術を使う事もままならない………

 

「勝手にしろっ!!」

 

とうとう根負けした様に青年の好きにさせる。

 

「ハイ、応急処置ですけど、これで良いです」

 

そこで、青年がハンカチを巻き終えてそう言う。

 

「あ、自己紹介がまだでしたね。僕は劾。陸街(おかまち) (がい)です」

 

「…………キャロルだ」

 

あからさまに不機嫌な顔をして、青年………『陸街 劾』から視線を反らしているキャロル。

 

「あ、ひょっとしてお腹空いてるんですか? 良かったら、コレどうぞ」

 

すると、そんなキャロルの様子を、空腹なのかと判断した劾が、今度は板チョコを差し出して来た。

 

「! お前、いい加減に………」

 

そこでキャロルが、劾に視線を向けるとそこには………

 

「美味しいですよ」

 

朗らかに笑って居る劾の顔が在った!

 

!?

 

その青年の笑顔を見た途端、何故か頬を赤くして固まってしまうキャロル。

 

「ハイ、どうぞ」

 

そんなキャロルの手に、板チョコを握らせる劾。

 

ドクンッ!

 

「!?」

 

途端に、キャロルの心臓が激しく脈打った。

 

(!? 何だっ!? 今の感覚は!?)

 

初めて経験する感覚に、キャロルは戸惑う。

 

「…………」

 

確かめる様に、再び劾を見やるキャロル。

 

「…………」

 

劾は朗らかな笑顔のまま、キャロルを見つめている。

 

ドクンッ!!

 

「!!(まただ!? コイツの顔を見ると、胸が不自然に高まる! 何故だっ!?)」

 

戸惑いが更に深くなるキャロル。

 

それは、長い年月を生きて来た彼女が、初めて経験する感情だった………

 

 

 

 

 

と、その時!!

 

 

 

 

 

クエエエエエエェェェェェェーーーーーーーッ!!

 

奇声と共に、南方の民族的な意匠を感じられる怪物………

 

『不思議獣 バリバリ』が現れた!

 

「!?」

 

(! 不思議獣だと!? 奴等め! 俺を助けて恩を売る積りか!?)

 

驚く劾と、不思議獣の狙いを看破するキャロル。

 

クエエエエエエェェェェェェーーーーーーーッ!!

 

再度奇声挙げると、劾とキャロルに向かって近づいて来るバリバリ。

 

「チッ! オイ、お前! すぐに逃げ………」

 

助けられた恩からか、青年に逃げる様に言おうとしたキャロルだったが………

 

「ウオオオオオオォォォォォォォッ!!」

 

そこで劾がバリバリに組み付いたかと思うと………

 

何と、そのままバリバリを頭上に掲げ上げる様に持ち上げた!

 

「!? なっ!?」

 

「ええいっ!!」

 

そして驚くキャロルの目の前で、数メートル先まで投げ飛ばした!

 

クエエエエエエェェェェェェーーーーーーーッ!?

 

動揺しならが地面に叩き付けられたバリバリだが、すぐに起き上がると、劾を威嚇する様に構える。

 

すると!!

 

「焼結っ!!」

 

劾がそう叫んだかと思うと、その身体が青い光に包まれ………

 

その光が弾けると………

 

中から青く輝くコンバットスーツの戦士が現れた!

 

「お前はっ!?」

 

「宇宙刑事! シャイダーッ!!」

 

戸惑うキャロルの前で、戦士………『宇宙刑事シャイダー』は高らかに名乗りを挙げた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙刑事シャイダーは、僅か1ミリ秒で焼結を完了する。

 

では、その原理を説明しよう。

 

「焼結っ!!」

 

劾の焼結コールが送られると、すぐにそれは地球衛星軌道上の亜空間内にいる超次元戦闘母艦バビロスにキャッチされる。

 

そして、バビロス号からプラズマ・ブルーエネルギーが、劾に向かって照射される。

 

宇宙刑事シャイダーは、バビロス号から放たれるプラズマ・ブルーエネルギーを浴びて、僅か1ミリ秒で焼結を完了するのだ。

 

もう1度言おう!

 

この一連の動作………僅か1ミリ秒!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フーマッ! この宇宙刑事シャイダーが来たからには、もう貴方達の勝手は許しませんっ!!」

 

「…………」

 

雄々しくバリバリに向かって啖呵を切るシャイダーの背中を、キャロルは貰った板チョコを手に、呆然と見上げていたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

レスキューヒーロー達の活躍で、要救助者は次々に助けられ、火災も鎮火に向かいます。
響達も活躍する中、遂にキャロルにレイアと交戦。

この作品での響は、宇宙犯罪組織との戦いの経験から、キャロルと戦う事を躊躇しませんでしたが、トラウマの父親を刺激され、手痛い1撃を喰らってしまいます。
そこへ介入したレスキューポリスの隊長達。
救助用の強化服と侮っていたキャロルは、3人の必殺技を真面に喰らい、負傷。

ガリィを助けに呼んだところに現れた青年………『陸街 劾』
そう!
彼こそが2代目宇宙刑事シャイダーです!
そして、今回ので描写で明らかになりましたが………
彼のヒロインはキャロルになります。
GX編を考えるに当たって、キャロルの事もやはり救済したいと思い、ならばいっその事、2代目シャイダーのヒロインにしては如何かと考えまして。
救済するとなると、必然的にキャロルと深く関わる事になるので、そこから恋愛に発展しても良いんじゃないかと。
幸いにも、メインヴィラン役にはフーマが居ますし。
尚、キャロルは自分の感情の正体を分かっていません。
個人的見解ですが、幼少期に父親を殺されて復讐だけを考えて生きて来たので、真面な恋愛とかした事なんて無いから、恋愛と言う感情すら分かっていないんじゃないかと。
果たして劾に感じた感覚の正体に気付いた時、キャロルは如何するのか?
その辺もご注目下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。