戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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第6話『銀河連邦警察・科学技術部所長』

S.O.N.G.本部の潜水艦・発令所にて………

 

「君が………」

 

「陸街 劾、宇宙刑事シャイダーです。本日付けを持って、地球担当となります。よろしくお願いします。風鳴司令」

 

「うむ、良く来てくれた。心強い」

 

宇宙刑事シャイダーこと劾と固く握手を交わす弦十郎。

 

「漸くお前も地球に配属か」

 

「そのタイミングでフーマが本格的に活動を始めるとはな………」

 

と、握手を終えた劾の傍に、轟と雷がそう言いながら立つ。

 

「轟さん。雷さん。お久しぶりです」

 

「ああ、訓練学校以来だな」

 

「同期だった俺達が全員偉大な先代宇宙刑事のコードネームを受け継いで地球担当になるだなんて、奇妙な運命だな」

 

軽く笑みを浮かべながらそう言葉を交わす3人の間には、同期ならではの気安い雰囲気が在った。

 

「あの人も轟兄の同期なんだ………」

 

「良いもんだな、男の友情ってのも………」

 

そんな3人の様子を見ていた響が呟き、奏が何処か羨ましそうにする。

 

「早速だが、劾くん。君が出会ったキャロルと言う少女を助けていた時に不思議獣が現れたと言うのは本当だね」

 

「ハイ、間違いありません」

 

とそこで、弦十郎が劾に確認すると、メインモニターにシャイダーのコンバットスーツが記録していたガリィに抱えられたキャロルの姿が映し出される。

 

(やっぱりあの子………フーマの仲間だったんだ)

 

それを聞いた響は、何処か残念そうな様子を見せる。

 

「そしてそのキャロルと回収していった女性………恐らく、ロンドンで翼達を襲撃し、雪音くん達が交戦したのと同じ存在だろう」

 

弦十郎がそう言うと、メインモニターの映像が、ガリィの方にクローズアップされる。

 

「恐ろしい奴だったぜ………」

 

「明らかに人間では無かった………感覚としては、まるでロボットと戦っていた様だった」

 

レイアと交戦したクリス、ファラと交戦した翼がそう戦闘した感想を口にする。

 

「コレまで幾度と無くフーマらしき影の存在を感じて来ましたが、不思議獣が確認されたのは今回が初めてです」

 

「いよいよ本格的に動き出したという事でしょうか………」

 

あおいの報告に、慎次が懸念を露わにする。

 

「ですが、目下最大の問題は………」

 

とそこで、朔也がそう言うと、メインモニターの映像が破損した状態のアメノハバキリとイチイバルのギアペンダントに切り替わる。

 

()()()()()()()()()()()()新型のノイズか………」

 

「「…………」」

 

そう呟く弦十郎の後ろで、翼とクリスが苦い顔を浮かべている。

 

「どちらもコアとなる聖遺物の欠片は無事でしたが………」

 

「エネルギーをプロテクターとして固着する機能が損なわれている状態です」

 

「勿論、直るんだよな?」

 

朔也とあおいの報告を聞いたクリスが、了子とウェルに問い質す。

 

「ええ、修理自体は可能よ。けど………」

 

「敵の攻撃の正体が分からない事には、直したとしてもまた同じ事の繰り返しになりますね」

 

了子とウェルは、憮然とした表情でそう返す。

 

「その事に関しては、例の保護した人物が色々と知っているらしい」

 

「エルフナイン()()………いや、エルフナイン()()()?………どっちだ?」

 

弦十郎の言葉に、轟がそう疑問を呈する。

 

例の保護した人物………『エルフナイン』についてだが、中性的な見た目をしているので、男の子なのか女の子なのか判断しかねていた。

 

「うむ、何と言って良いか………」

 

轟の問いに、何故か口籠る弦十郎。

 

「? 如何したんだよ、弦さん」

 

「すまない。コレについては後で話すという事にさせてくれ」

 

「??」

 

ハッキリとせず後回しにした事に、轟は首を傾げる。

 

「なあ、アタシの方は如何なんだ? まだLiNKERの効果時間が残ってた筈なのに、シンフォギアが解除されちまった事は?」

 

とそこで、奏が了子達にそう質問する。

 

ロンドンでのファラとの戦いの中で、まだLiNKERの効果時間が残っていたにも関わらず、シンフォギアが強制的に解除されてしまった奏。

 

「「「…………」」」

 

その事は、同じくLiNKERに頼ってシンフォギアを纏っているマリア・切歌・調にとっても他人事では無く、共に了子達に視線を向ける。

 

「その事なんだけど………」

 

「天羽 奏さん………如何やら、貴方の身体にLiNKERに対して()()が出来てしまって来てる様です」

 

「!? 耐性っ!?」

 

「「「!?」」」

 

了子とウェルから返って来た言葉に、奏とマリア・切歌・調が驚きを露わにする。

 

「LiNKERは元々、適合率の低い者を無理矢理装者に仕立てる為の物………謂わば()()よ」

 

「勿論、色々と改良が進められていますが、元が劇薬………完全に副作用を無くす事は出来ません。その為に、LiNKER使用装者は戦闘後に体内洗浄が必要になる………」

 

「けど、それでも徐々に身体に耐性が付き始めていて………奏ちゃんの場合、あの戦闘で遂に効果時間に影響が出てしまったのよ」

 

「じ、じゃあ………もうアタシは………戦えないのか?」

 

愕然としながらもそう問う奏。

 

「投与の量を増やせば、また効果時間を延ばす事は出来ると思うけど………」

 

「只でさえ身体への負担が大きいLiNKERの投薬量を増やせば、それこそ先に身体が参ってしまう可能性が有ります。例え大丈夫だったとしても、何れはまた耐性が出来て………最悪、薬物中毒になりかねませんね」

 

「そ、そんな………」

 

「「「…………」」」

 

奏が絶望した様な表情となり、マリア・切歌・調の表情も曇る。

 

奏に起こっている事は、将来的に自分達にも起こる事だからだ………

 

「奏………」

 

「奏さん………」

 

項垂れる奏を励まそうとする翼と響だったが、掛ける言葉が見つからない………

 

発令所に重苦しい空気が漂う………

 

 

 

 

 

と、その時!!

 

通信が入った事を知らせるコール音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

「如何した!?」

 

「衛星軌道上に出現した宇宙船より通信が入っています! この周波数とシグナルは………! 銀河連邦警察の物です!」

 

弦十郎が問い質すと、朔也がそう報告を挙げる。

 

「何だとっ!?」

 

「繋ぎます!」

 

回線をオープンにする朔也。

 

『もしもし、S.O.N.G.本部? 応答願います』

 

すると、女性と思われる声が響いて来た。

 

「!? この声!?………」

 

「もしかして!?」

 

その声を聞いた調と切歌が驚愕を露わにする。

 

「セレナッ!?」

 

マリアも思わず叫び声を挙げる。

 

何故ならそれは、彼女の妹………セレナの声だったからだ。

 

『! 姉さん! マリア姉さんっ!!』

 

『マリアですか、久しぶりですね。元気でしたか? 切歌と調も………』

 

と、通信先の相手………セレナが嬉しそうな声を挙げると、今度は別の女性の声が聞こえて来た。

 

「! マムも!!」

 

「「!!」」

 

それはマリア・切歌・調にとって母も同然の人物………ナスターシャだった。

 

「2人供、退院出来たの!?」

 

『ハイ、姉さん。心配掛けて御免なさい。私もマムももう大丈夫です』

 

「良かった………」

 

「もう~! 帰って来るなら連絡して欲しかったデース! 盛大な退院お祝いパーティを開いたのにデース!」

 

久しぶりに聞いた身内の声に、マリア・切歌・調が燥ぐ。

 

『ゴメンね、切ちゃん』

 

『帰還の連絡を入れなかったにはワケがあります。私達は『ある方』の宇宙船に便乗させて貰っているのです』

 

「? 『ある方』?」

 

「一体誰?」

 

『詳しくは直接会ってお話します。貴方達だけではなく、二課………いえ、今はタスクフォース『S.O.N.G.』でしたね。そのシンフォギア装者全員にとっての朗報を持って来ました』

 

「「「「!?」」」」

 

装者全員への朗報と言う言葉に、響・翼・奏・クリスも反応する。

 

「ナスターシャ教授、風鳴 弦十郎です。今S.O.N.G.本部は○○港に入港しています。そちらまでお越し頂けますか?」

 

『了解しました、風鳴司令。すぐに向かいます』

 

最後に弦十郎がそう指示を出し、セレナとナスターシャが便乗させて貰っていると言う銀河連邦警察の宇宙船は、○○港へ降下するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数刻後………

 

○○港へ降り立った宇宙船から、セレナとナスターシャ………

 

そして宇宙船の主である人物が、S.O.N.G.本部の潜水艦へと乗船して来た。

 

発令所に、セレナとナスターシャに加え、眼鏡を掛けた一見すると地球人と変わらない姿の壮年の男性が姿を見せる。

 

「姉さん!」

 

「セレナッ!!」

 

「「マムッ!!」」

 

「切歌、調………元気そうで何よりです」

 

マリアがセレナ、切歌と調がナスターシャに抱き着く。

 

「お久しぶりです、ナスターシャ教授」

 

「ご無沙汰しております、風鳴司令。本日より、私とセレナもS.O.N.G.へ加入させて頂きます」

 

「御2人の着任を心から歓迎致します。それで、そちらの方は?」

 

弦十郎とナスターシャが挨拶を交わし終えると、背後に控えていた男性について尋ねる。

 

「ご紹介致します。コチラの方は………」

 

『所長』っ!?」

 

『ベン所長』じゃないですか!?」

 

「如何して地球に!?」

 

ナスターシャが紹介しようしたところ、それを遮る様に轟・雷・劾が、男性の事をベン所長と呼んで驚きを露わにした。

 

「久しぶりだね、轟くん、雷くん、それに劾くん」

 

ベン所長は轟達を見てフッと笑う。

 

「轟兄?」

 

「雷、知ってる人なの?」

 

響が轟、マリアが雷に尋ねる。

 

「知ってるも何も………」

 

「コチラの方は、銀河連邦警察・科学技術部の所長である、『レイク星人』の『ベン所長』だ

 

「! 科学技術局の所長だと!?」

 

思わぬ高官の登場に、弦十郎は驚きを露わにする。

 

「僕達が使っているコンバットスーツやメカニックの近代化改修をしてくれていて、今宇宙刑事達が使っているコンバットスーツは皆ベン所長が設計した物なんです」

 

「謂わば、銀河連邦警察の頭脳とも呼びべきお方なワケだ」

 

「そんなにスゲェのかよ………」

 

劾と轟の説明に、クリスが思わずそう呟く。

 

「勿論だ。アメリカに送られた放射能の除去装置なんかは、ベン所長が11歳の時に完成させた物だぜ」

 

「じゅ、11歳の時に!?」

 

ウェルが驚愕の声を挙げる。

 

「その言い方は語弊が有るな。私は父であるドクター・バーンズから研究を引き継いだだけだよ。殆どの基礎理論は父が作ってくれていたから、私はそれを参考に完成にこぎ着けたまでさ」

 

「それでも十分凄いわよ………」

 

謙遜するベン所長に、了子が呆れた様に言う。

 

「それで、所長。どうして地球に」

 

「うむ。コム長官の命令で、私も本日付けでS.O.N.G.の技術班に出向する事となった」

 

「! 所長自身がですか!?」

 

科学技術部の事実上のトップであるベン所長が出向となった事に驚く雷。

 

「無論、私が出向となったのには理由が有る………シンフォギアの事だ

 

「「「「「「「!!」」」」」」」

 

ベン所長の口からシンフォギアの事が出て来て、今度は装者達が驚く。

 

「シンフォギアの事?………」

 

「如何やら、早速トラブルが起きている様だね」

 

「「「!!………」」」

 

「「「…………」」」

 

ベン所長の言葉に、ギアを破壊されてしまった翼とクリスに、LiNKERへの耐性が出来てギアを纏えなくなってしまった奏が苦い表情を浮かべ………

 

将来的に奏と同じ状態になる可能性が懸念されているマリア・切歌・調の表情に陰りが出る。

 

「コム長官は今後戦いが激化すると予想し………シンフォギアをパワーアップさせる必要が有るとお考えだ。そのパワーアップの改造の為に、私が来たというワケだ」

 

「改造って………そんな簡単に………」

 

フィーネの知識が在ったとは言え、自身が心血込めて作り上げたシンフォギアを簡単に改造すると言って来たベン所長に、了子は訝し気な表情を浮かべたが………

 

「………櫻井女史。コレは私が君の理論をベースに考えた改良シンフォギア・システムの設計図だ。見てくれるかね?」

 

とそこで、ベン所長は自身が考えた改良シンフォギア・システムに設計図を取り出し、了子に差し出す。

 

「ん~?………」

 

設計図を受け取ると目を通す了子。

 

「!? コレは!?………そんな、まさか!?………! こんな方法が!?………! この発想は無かったわ!………す、凄い!………凄過ぎる!」

 

途端に了子は興奮した様子で何度も驚愕の言葉を漏らす。

 

「!? こ、こんな物が………信じられない………どれ1つとっても革新的な技術だ!!」

 

横から覗き込んだウェルも、興奮を露わにしている。

 

「了子? そんなに凄いのか?」

 

「凄いなんてモンじゃないわ!? コレならLiNKER無しでギアを纏える上に、負荷は10分の1以下! 性能は2倍以上になるわ!」

 

「!? 何だとっ!?」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

了子の言葉に、弦十郎と装者達が信じられないと言う表情になる。

 

「ホ、ホントにこんな改良が出来るの!?」

 

「何、幾つかの技術はコンバットスーツから流用出来る事が分かったからね。既に試作品も出来ている」

 

「試作品?」

 

「セレナくん」

 

「ハイ」

 

と、ベン所長がセレナに呼び掛けたかと思うと、セレナが首元に手を入れ、ギアペンダントを引っ張り出した。

 

「! それはっ!?」

 

「ベン所長さんがアガートラームを参考に作ってくれた改良シンフォギアの試作品です。既に性能テストは済ませてあります。信じられないくらい負荷が軽いのに、オリジナルのアガートラーム以上の性能でした」

 

驚くマリアに、セレナはニッコリと笑ってそう返す。

 

「流石ですね、ベン所長。仕事が早い」

 

「フフ、『こんなこともあろうか』と思ってね」

 

感嘆に言葉を漏らす轟に、ベン所長は何処かの技師長の様に不敵に笑って見せた。

 

「………私、自分の事を天才だと自負してたけど………世界………いや、宇宙って広いのね………」

 

「上には上が居るって思い知らされましたよ………」

 

逆に、才能の差を思い知らされた了子とウェルは、力無い笑みを浮かべていたのだった。

 

「………了子」

 

そんな了子をフォローしようとした弦十郎だったが………

 

「ああもう! こうなったらベン所長! 貴方の持つ技術………余す事無く教えて貰うわよ!」

 

「僕も科学者とプライドとして、このままでは居られません! 是非学ばせて貰いますよ!」

 

「私にもよろしくお願いします。S.O.N.G.の技術班に配属となる以上、半端な仕事は出来ませんから」

 

了子、ウェル、そしてナスターシャは良い意味で科学者としてもプライドを刺激され、ベン所長の技術を学び取ろうと燃えて出した。

 

(要らぬ心配だったが………)

 

内心で苦笑しながらも、妻達のバイタリティーにホッとする弦十郎だった。

 

「弦さん、シンフォギアに関してはコレでもう問題無いだろう。ベン所長に任せておけば問題無い。そろそろ例の子の事の方を頼む」

 

とそこで、改めて轟が、弦十郎にエルフナインの事を尋ねる。

 

「うむ、そうだな………コレは直接本人から話聞いた方が良いだろう………慎次」

 

「ハイ、エルフナインさんをお連れしますね」

 

弦十郎は慎次に呼び掛け、保護した人物………エルフナインを迎えに行かせるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しして………

 

慎次が、件のエルフナインを連れて戻って来た。

 

尚、エルフナインの格好は、ローブにパンツだけと言うのは流石にアレであった為、着替えさせられているが、保護時に持っていた箱の様な物は携えたままだ………

 

「あ、えっと………」

 

連れてこられたエルフナインは、勢揃いしている装者達と宇宙刑事達を前に、やや萎縮した様子を見せる。

 

「取り合えず、初めましてだな。エルフナイン『ちゃん』? それともエルフナイン『くん』かい?」

 

「あ、僕は『ホムンクルス』なので、性別は有りません」

 

その緊張を解く様に、轟が屈み込んで視線を合わせながら問い質すと、エルフナインから思わぬ答えが返って来た。

 

『ホムンクルス』?………」

 

「性別が無いって………」

 

「言葉通りの意味です」

 

響と切歌が首を傾げていると、朔也が声を挙げ、メインモニターにエルフナインの映像が映し出される。

 

「エルフナインちゃんの検査結果です」

 

「念の為に『彼女』………えぇ、『彼女』のメディカルチェックを行ったところ………」

 

「「「「「?」」」」」

 

朔也が『彼女』と言う部分をやや言い淀んでいた様子に、一同は首を傾げる。

 

「身体面や健康面に異常は無く、またインプラントや高催眠と言った怪しいところは見られなかったのですが………」

 

「彼女………エルフナインちゃんに性別は無く、本人曰く『自分は只のホムンクルスであり、決して怪しくは無い』と」

 

「つまり………『人造生命体』と言う事ですか?」

 

朔也、あおいの報告に、雷がそう結論を導き出す。

 

「「「「「「「!!」」」」」」」

 

その言葉で、装者達の視線が再びエルフナインに集まる。

 

「その通りです………僕はキャロルによって作られ、命じられるまま、巨大装置の一部の建造に携わっていました」

 

そこで、エルフナインが語り出す。

 

「ある時アクセスしたデータベースより、この装置が世界をバラバラに解剖する物だと知ってしまい、目論見を阻止する為に逃げ出してきたのです」

 

「世界をバラバラにたあ、穏やかじゃねえな」

 

「如何にも悪役がやりそうな事だけどな」

 

クリスと奏がそう口を挟む。

 

「それを可能にするのが錬金術です。ノイズのレシピを基に作られた『アルカ・ノイズ』を見れば分かるように、シンフォギアを始めとする万物を分解する力は既にあり、その力を世界規模に拡大するのが建造途中の巨大装置『チフォージュ・シャトー』になります」

 

『アルカ・ノイズ』………それがあのノイズの正体ね」

 

マリアが、翼のシンフォギアを分解したノイズ………『アルカ・ノイズ』の事を思い出しながらそう言う。

 

「ベン所長。僕達のコンバットスーツは大丈夫なんでしょうか?」

 

とそこで、劾がベン所長に尋ねる。

 

アルカ・ノイズの特製が事実なら、シンフォギアだけでなく、コンバットスーツでも防げないのではと思ったのだ。

 

「心配するな。コンバットスーツは1度粒子レベルに分解して装着者の身体に再構成させると言う特性上、分解と言った攻撃は効かない様に設計されている。君達の改良型には私が更に手を加えているから、尚問題無い」

 

「それを聞いて安心したぜ」

 

しかし、ベン所長からは心配は要らないと返って来て、轟は安心の笑みを浮かべる。

 

(凄い………この人の科学力は錬金術よりも上かも知れない………)

 

エルフナインも、そんなベン所長に舌を巻く。

 

「それで………装置の建造に携わっていたと言う事は、君もまた、錬金術師なのか?」

 

「ハイ………ですが、キャロルの様に全ての知識や能力を統括しているのではなく、限定した目的の為に作られたに過ぎません」

 

「という事は、貴方は計画については良く知らないのですか?」

 

翼の問いにエルフナインがそう返すと、今度はセレナがそう尋ねる。

 

「ハイ………装置の建造に必要な最低限の錬金知識をインストールされただけです」

 

「インストール、と言ったわね?」

 

「必要な情報を、知識として脳に転送複写する事です………残念ながら、ボクにインストールされた知識に、計画の詳細はありません。ですが………世界解剖の装置『チフォージュ・シャトー』が完成間近だという事は分かります」

 

「エルフナインちゃん………1つだけ確認させて貰っても良いですか?」

 

とそこで、劾がエルフナインに質問する。

 

「ハイ、何でしょう?」

 

「彼女………キャロルちゃんは、フーマと繋がりが有るのですか?」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

フーマの名が出た途端、宇宙刑事達と装者達の顔に緊張が走る。

 

「キャロルとフーマは協力関係にあります。元々キャロルは、チフォージュ・シャトーの建造に、別の組織から支援を受けていました」

 

「別の組織?………」

 

「残念ですが、その知識も僕の中には有りません………けど、その組織とはある日突然支援が打ち切られ、連絡も取れなくなってしまったそうです」

 

「スポンサーが居なくなって困っていたところに声を掛けて来たのがフーマだったと言うワケか………」

 

「………()()()()()()()

 

弦十郎がそう推察していると、腑に落ちない顔をしていた劾がそう漏らした。

 

「劾さん?………」

 

「おかしいって、何がだよ?」

 

「もしフーマの目的が以前と同じなら………奴等は地球を破壊したいのではなく、支配したい筈だ」

 

響とクリスが問い質すと、轟が変わって答える。

 

「確かに………地球はフーマにとって特別な星だしな」

 

「特別な星って………」

 

「如何言う事デスか?」

 

雷もそう同意し、マリアと切歌が更にそう尋ねると………

 

「嘗てフーマは、この地球で『ムー帝国』を名乗り、この地球に来たカストディアン達を支配していたからだ」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

突如様子の変わった調がそう言い、一同が驚く。

 

「! フィーネかっ!?」

 

「久しぶりだな………その辺の事に関しては私から説明した方が良いと思ってな」

 

クリスが逸早く、フィーネに気付き、調(フィーネ)はそのまま語り出す。

 

嘗てのフーマ………

 

『ムー帝国』が支配していた太古の地球の事を………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

S.O.N.G.と合流したシャイダーこと劾。
彼を交えて情報の整理に入りますが………

アルカ・ノイズとシンフォギアの行は一緒ですが、奏のギアが解除された理由はLiNKERへの耐性が出来てしまって来ていたからでした。
薬物って何度も使っていると耐性が出来て効かなくなるって言いますし、だったらLiNKERにもそう言う事が起こるのではないかと思いまして。
で、将来的にはマリア・切歌・調にも起こりうる事で問題となりましたが………

それを解決する為に、セレナとナスターシャを連れてやって来た人物………
銀河連邦警察・科学技術部の所長である『レイク星人』の『ベン所長』
『こんなこともあろうかと』発言から分かると思いますが、恐らくアニメ界最強の技術者である宇宙戦艦ヤマトの真田志郎技師長をモチーフにしていますが、オリジナルキャラというワケではなく、宇宙刑事ギャバン第16話『初恋は宝石の輝き さようなら銀河特急』に登場した少年が成長した姿と言う設定です。
説明の通り、劇中で父親の研究を引き継いで、11歳で放射能クリーン装置の開発に成功しています。
それを狙ったマクーに襲われますが、それを初代ギャバンが助けています。
最後は自分の星へ帰って行ってましたが、その事が切っ掛けで、後の銀河連邦警察に入ったって言う設定を思い付きまして。
11歳でアレだけの発明をしたキャラでしたから、相当な科学者になっているだろうと思い、科学技術部の所長にしてみました。

そして、そのベン所長が考案した改良シンフォギアシステムこそが、奏・マリア・切歌・調のLiNKER組を救う事となります。
そもそも無印編で、奏LiNKER打った後、大量に吐血してるのを見て、『こんな薬を毎回投与して戦ってるのって絶対良くないだろう』と思い、設定でも戦闘後に体内洗浄を行っているってのがあったので、もうLiNKERを使わない方向へ持って行こうと当初から考えておりました。
なら如何するのかと言うのが、『装者をギアに合わせる』のではなく、『ギアを装者に合わせる』って方向………
シンフォギア自体を改造する方向に持って行こうと思いまして。
幸いにも、宇宙刑事シリーズとクロスさせているので、コンバットスーツの技術を流用って事にしすれば筋は通るし、後は真田志郎並みの技術者を投入すればそれぐらいできるだろうと思いまして。
これがこの作品ならではの解決方法です。
勿論、イグナイトも組み込みますので、その辺は原作通りに行きます。

で、キャロルの目的とフーマの目的がズレていると思った劾の話で、地球がフーマにとって特別な星である事………
嘗てフーマが『ムー帝国』と名乗って居た時の事を、フィーネから説明して貰う事になります。
無印編のラストの後書きで語った事をもう少し詰めたものになります。

長くなりましたが、この辺で。

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