戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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第17話『衝撃! バリオゼクターの正体!!』

S.O.N.G.本部の潜水艦・発令所にて………

 

「バリオゼクターの正体は響くんの父親だと!?」

 

「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」

 

「間違い無い………アレは洸小父さんだった」

 

轟からの報告に、弦十郎が思わず大声を挙げ、装者達と雷・劾も驚きを露わにしている。

 

(あの時バリオゼクターから感じていた感覚の正体はそう言う事だったのか………もっと早く気づけていれば………)

 

その轟も、バリオゼクターから感じ取っていた奇妙な感覚に早く気づけていればと内心で悔やんでいる。

 

「如何して、響さんのお父さんが?………」

 

「て言うか、響さんのお父さんの話って、聞いた事無いデスよ」

 

と、1番先に気を執り直した調と切歌がそう声を挙げる。

 

「………本当なら響ちゃんが話すべき事なんだが、事態が事態だ。俺から説明させてもらう」

 

一瞬考えた後、轟は皆に向かって響の家庭事情について話した。

 

あのツヴァイウイングのライブの悲劇で、生存者となった響が家族ごと謂れの無い誹謗中傷を受けた事………

 

その最中に、父親である洸が、仕事先で響が生存した事を周りに喧伝していた事で孤立し、プライドをズタズタにされた事で酒に溺れ、家庭内暴力を働くまでに堕落し………

 

最終的にはまだ誹謗中傷に晒されていた響達を………家族を見捨てる様に行方不明となってしまった事を………

 

「アイツ………そんなモン抱えてたのかよ」

 

普段は響の事をバカ呼ばわりしているクリスも、まさかそんな事情を抱えていたとは知り、表情を陰らせる。

 

「「…………」」

 

誹謗中傷の原因とも言える翼と奏に至っては言葉も出なかった。

 

「今、響さんは?」

 

「流石にショックが大き過ぎた………寮の自室に引き籠ってる。未来ちゃんが一緒に居てくれてるが、真面に食事も取って無いらしい」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

響を心配するセレナに、轟がそう返すと、装者達全員が驚愕を露わにする。

 

好きな物はごはん&ごはんと公言している食べる事が大好きな響が食事も真面に取っていない………

 

それだけでどれだけのショックを受けているか、十二分に理解出来た………

 

「ですが、幾ら確執が有ったとは言え………響さんのお父様は本当にフーマに組みしてしまったのでしょうか?」

 

「………フシギ教

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

と、慎次がそう口を挟むと、雷がボソリとそう呟き、一同の視線が集まる。

 

「響ちゃんの親父さんは、多分フシギ教に入信してしまったんじゃないのか?」

 

「有り得るな………その時の洸小父さんの精神状態なら、フシギ教の誘いに乗ってしまうだろう」

 

「人の心の弱さや闇に付け込んで利用するのはフーマの常套手段です。そしてそこから催眠や洗脳に発展させて行くのも………」

 

雷が言葉を続けると、轟と劾ともそう同意する。

 

「もし響の親父さんが操られてるんなら、アタシ達で何としても取り返すぞ! 響の為にもな!!」

 

と、奏がそう声を挙げた瞬間、緊急通信が入った事を知らせるアラームが鳴った。

 

「緊急通信です!」

 

「! コレは………発信者は未来ちゃんです!」

 

「!? 何だとっ!?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

朔也とあおいかの報告に、弦十郎が声を荒げ、他の一同も驚きと共に嫌な予感を覚える。

 

「繋ぎます!」

 

『響が! 響が!!』

 

回線を繋げると、未来が錯乱したのかと思う様な取り乱しぶりを見せていた。

 

「落ち着くんだ、未来くん!!」

 

「未来ちゃん! 如何したんだっ!?」

 

弦十郎が落ち着く様に言う横で、何があったのかと問い質す轟。

 

『響が! フーマに呼び出されて1人でっ!!』

 

「!? 何だとっ!?」

 

「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

慌てたままの未来から齎された報告に、発令所に居た一同は騒然となるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時間は遡り………

 

「…………」

 

バリオゼクターの正体が、自身の実の父親である立花 洸であった事を知った響は多大なショックを受け、ベッドの上で膝を抱えて顔を伏せていた。

 

「響、お腹空いたでしょ? ごはん用意したから食べようよ」

 

そんな響を心配し、食事の用意をした未来であったが………

 

「ゴメン、未来………今は何も食べる気がしないよ………」

 

響は顔を伏せたまま未来にそう返す。

 

「響………」

 

だが、未来は響が泣いている事を察している。

 

しかし、掛ける言葉が見つからない………

 

幾ら無二の親友だとしても、コレばかりは響自身の問題であり、未来が口を挟める問題では無かった………

 

「…………」

 

親友が苦しんでいるのに何も出来ない自分自身に歯がゆさと怒りが湧き上がる未来。

 

と、その時………

 

部屋のテレビの画面が、()()()()()()()()()()()()()、点灯した。

 

画面には砂嵐が映っており、ザーッと言う不快な音が室内に響き渡る。

 

「? アレ? おかしいな?………」

 

故障かと思い、テレビに近づく未来。

 

と、その瞬間………

 

『そこに居ますね………立花 響』

 

砂嵐が消えたかと思うと、画面に神官ポーの姿が映し出された!

 

「!? キャアッ!?」

 

「! 未来っ!?」

 

思わず未来が悲鳴を挙げ、漸く異変に気付いた響が、涙の痕が残っている顔を上げると、テレビ画面に映っている神官ポーの姿に気付く。

 

「! フーマの神官ポーッ!?」

 

『良くご存じの様子で………さて、知っての通り、貴方の父親である立花 洸は今や我がフーマの一員です』

 

「!!」

 

何時もと変わらぬ涼し気な様子で神官ポーがそう言うと、響の表情が、様々な感情で強張る。

 

「お父さんは………お父さんは何処っ!?

 

「ひ、響………」

 

響の見た事も無い表情の響に、未来は僅かに恐怖を示す。

 

『会いたいですか? なら此方へ来なさい………会わせて差し上げますよ』

 

そう言って、テレビ画面越しに響に向かって手を差し出す神官ポー。

 

「…………」

 

響は僅かな沈黙の後、神官ポーが映っているテレビ画面に向かって手を伸ばす。

 

「! 響っ! 駄目っ!!」

 

そこで漸く我に返った未来が、響を止めようと手を伸ばしたが………

 

僅かに、響の方の手がテレビ画面に触れたかと思うと………

 

響の身体が不思議な光に包まれ、テレビ画面に吸い込まれて行った!

 

未来が伸ばした手は虚しく空を切る。

 

「! 響いいいいいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーっ!!」

 

未来の悲鳴の様な声が木霊した瞬間、テレビ画面はまたも独りでに消えてしまう………

 

その後、未来は慌てた様子のままS.O.N.G.本部へと緊急通信。

 

何とか未来を落ち着かせて詳しい状況を知った装者達と宇宙刑事達は直ちに出動し、手分けして響の捜索に入ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

チフォージャー・シャトーのキャロルの間………

 

「コレで装者達と宇宙刑事達の目を眩ます事が出来ました。ミカ・ジャウカーンの作業は予定通りに進められる筈です」

 

「「「…………」」」

 

神官ポーからの報告を、キャロル・レイア・ファラがムスッとした表情で聞いている。

 

現在、修復を終えたミカは、都内のエネルギー経路を埋設した、地下溝………共同溝へと侵入し、ある事を調べている。

 

それが終わるまでの時間稼ぎをフーマ側から買って出られていたのだ。

 

「………神官ポー。1つ聞かせろ。あのバリオゼクターとやらの中身………立花 響の父親だと知って仕立てたのか?」

 

「当然でしょう。まさかあの立花 響の父親がフシギ教へと入信していたのには此方としても驚きましたが………」

 

口ではそうは言っているものの、態度は淡々とした様子でそう言う神官ポー。

 

しかし、実際に響の父親を発見していたのは、気まぐれに入信者のリストに目を通していた際に偶然にも『立花』と言う苗字を発見し、調べてみたらそうだったと言う偶然であった。

 

だが、それを利用しないフーマではない………

 

態々テスラ博士から奪ったバリオゼクターを素人でも十分に力を発揮出来る様に改良し、その装着者に仕立てた。

 

響は元より、他の装者と宇宙刑事達への人質になる上、精神的な動揺を誘えると考えたのだ。

 

「…………」

 

だが、その悪趣味極まりない作戦に、キャロルは心底から嫌悪感を感じている。

 

それは彼女自身が、父からの命題と思ってい込んでいる世界分解を成そうとしている事からも来ていた。

 

「では、私はコレにて………失礼致します」

 

そんなキャロルの心情など露知らず、神官ポーはキャロルの間を後にする。

 

「…………」

 

「マスター………」

 

「言うな、レイア………例え何を踏み躙ろうとも………俺は止まるワケには行かん」

 

キャロルの心中を察しているレイアが何か言おうとしたが、それを遮る様にキャロルはそう言う。

 

(本当はキャロルちゃんだって気付いているんじゃないですか! こんな事をしても何にもならないって!!)

 

「!!………」

 

そこで劾に言われた言葉が胸中を過り、キャロルは奥歯を噛み締めるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、神官ポーの誘いに乗ってしまった響は………

 

テレビ画面の中へと吸い込まれた響が、再び姿を現したのは何処かの廃工場内だった………

 

「此処は?………」

 

キョロキョロと辺りを見回す響。

 

するとそこで、金属音を伴った足音が聞こえて来た。

 

「!!」

 

響がすぐさま音が聞こえて来た方向を見やると………

 

「…………」

 

そこには、右手に赤いレーザーブレードを手にして、歩み寄って来ているバリオゼクターの姿が在った。

 

「お父………さん」

 

「…………」

 

響が絞り出す様に呟く中、バリオゼクターは響から少し距離を取った位置で立ち止まる。

 

「「…………」」

 

睨み合いの様に向かい合って佇む響とバリオゼクター。

 

「お父さん………如何して!!

 

と、響がバリオゼクターに向かってそう叫んだ瞬間………

 

「…………」

 

バリオゼクターは無言のまま響に左手を向ける。

 

「!!」

 

嫌な予感を感じ取った響は、咄嗟にその場から飛び退く。

 

直後に、バリオゼクターの左手から赤い鏃状の光線………『キラービーム』が放たれる!

 

先程まで響が居た場所に直撃したキラービームが爆発を起こし、飛び退いた響を爆風が襲う!!

 

「!!」

 

Balwisyall nescell gungnir tron

 

その爆風に吹き飛ばされながら、響は聖詠を唱え、シンフォギアを身に纏い、着地を決める。

 

「お父さん!」

 

「!………」

 

再度バリオゼクターに呼び掛ける響だったが、バリオゼクターは無言のままに突撃して来て、レーザーブレードを縦に振るう!!

 

「!!」

 

咄嗟に真剣白刃取りの様に、レーザーブレードの刃を両手で挟み込んで受け止める響。

 

「!!………」

 

「グウウウウウウウッ!!」

 

バリオゼクターは無理矢理押し込もうとし、響の口から声が漏れ出す。

 

「だああああああっ!!」

 

「!?………」

 

だが、不意を衝く様に刃を反らして、その勢いでバリオゼクターを投げ飛ばす!

 

「オオオオオオォォォォォォッ!!」

 

「!!」

 

そして、倒れたバリオゼクターに殴り掛かったが、バリオゼクターはまるで映像を巻き戻しした様な動きで素早く立ち上がり、響の拳は地面を砕くに終わった。

 

「!!」

 

「! グウッ!?」

 

バリオゼクターはそこから回し蹴りを繰り出し、響の横っ面を蹴り飛ばす。

 

「フッ!!」

 

地面を転がった響だが、すぐに起き上がるとレーザーブレード・Dを抜き放つ。

 

「!!」

 

「ハアアッ!!」

 

バリオゼクターに赤いレーザーブレードと、響のレーザーブレード・Dが斬り結び、鍔迫り合いとなる。

 

「レーザーブレードッ!!」

 

「!!」

 

そのまま、両者共に赤いレーザーブレードとレーザーブレード・Dにエネルギーを注入。

 

刀身が輝き出し、激しく火花が散る。

 

「グウウウウウウウッ!!」

 

「!!………」

 

だが、両者は鍔迫り合いを続け、互いに刃を押し込んで行く。

 

火花が更に激しく散り始める!

 

そして遂に!!

 

行き場を失っていたエネルギーが大爆発を起こした!!

 

「!? ウワアアアアアアッ!?」

 

「!?」

 

その爆発は、響とバリオゼクターを吹き飛ばし、廃工場の屋根に大穴を空ける程だった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「! デスッ!?」

 

「アレってもしかして!?」

 

それを偶々響を捜索して近くまで来ていた切歌と調が目撃!

 

2人はすぐさま、爆発が上がった廃工場を目指して行った!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、大爆発が起こった廃工場では………

 

「う、ううう………」

 

爆風と炎を諸に浴びた響が、身体の上に乗っていた崩れた天井の瓦礫を押し退けながら立ち上がる。

 

「! お父さんはっ!?」

 

ハッとしながら辺りを見回していると、自分と同じ様に身体の上に乗っていた瓦礫を押し退けながら立ち上がるバイオライダーの姿が目に入る。

 

「お父さんっ!!」

 

「…………」

 

再度呼び掛ける響だったが、バリオゼクターは無言のまま赤いレーザーブレードを構え直す。

 

「! お父さん………」

 

まだ正気を失ったままの父に響は苦い顔をしながらも、自身もレーザーブレード・Dを構え直す。

 

(このままじゃ駄目だ………何とか動きを止めないと!)

 

そんな中でも、まだ洸を助ける事を諦めていない響。

 

「「…………」」

 

互いに赤いレーザーブレードとレーザーブレード・Dを構えて睨み合うバリオゼクターと響。

 

「「響さんっ!!」」

 

とそこで、声を挙げながら現場に到着する切歌と調。

 

「「!!」」

 

2人の声が切っ掛けとなった様に、響とバイオライダーは跳躍!

 

そのまま空中で互いに斬り掛かる!!

 

「ヤアアアアアッ!!」

 

レーザーブレード・Dを振り被る響。

 

と、その瞬間!!

 

「………響」

 

今の今まで無言で居たバリオゼクター………いや、洸が初めて声を挙げた。

 

「! お父さんっ!?」

 

正気に戻ったのかと響が淡い期待を抱いた瞬間………

 

「お前さえ………お前さえ居なければ! 俺はこんな目にはあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!

 

「!!」

 

それを打ち砕くが如く挙がった洸の恨み節が冴え渡り、響はショックの余り動きが止まる。

 

その響を、洸………バリオゼクターの赤いレーザーブレードが襲った!!

 

袈裟懸けを喰らい、シンフォギアのアーマー部分がの一部が砕け、血飛沫が飛び散る!!

 

「「!?」」

 

「お父………さん」

 

切歌と調の表情が驚愕で固まる中、響は涙を流しながら意識を闇へと落とし、シンフォギアが解除され………

 

そのまま頭から地面へと落下した!!

 

「「! 響さんっ!!」」

 

その落下音で我に返った切歌と調が慌てて向かう。

 

響の身体には大きな袈裟懸けの傷が入り、溢れ出した血が彼女の服を赤く染め、頭からも流血していた。

 

「…………」

 

そんな響を、バリオゼクターは無感情に見据えている。

 

その手に握っている赤いレーザーブレードの刀身では、付着した響の血が、レーザーブレードのエネルギーで蒸発する音を立てていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

バリオゼクターの正体が判明し、響だけでなく、他の装者達や宇宙刑事達にも動揺が走ります。
そんな中で………
当の響は、神官ポーの誘いに乗って、立花 洸………バリオゼクターとの戦いに引きずり出されてしまいます。
何とか洸を助けようとする響でしたが、その洸から発せられた言葉にショックを受け、その隙を衝かれてやられてしまいます。
果たして彼女は無事なのか?

一応フォローしておくと、洸が言った言葉は心の何処かで思ってしまっていた事を増幅されて口に出てしまっただけで、本心ではありません。
というより、今の洸は正気ですらありませんからね。

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