戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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第20話『失われた繋がる手………』

超神ザババ・1達の戦いが繰り広げられていた頃………

 

夕焼けの某・河川敷にて………

 

「ハアッ!!………ハアッ!!………此処まで………来れば………」

 

病院を脱走した洸が、息を切らしている。

 

入院着姿のまま脱走して来たので、時折通り掛かった通行人から怪訝な目で見られている。

 

「ハアッ!!………ハアッ!!………響………すまない………」

 

罪悪感で苦悶の表情を浮かべている洸。

 

とそこへ………

 

「やっと追い付きましたよ………」

 

「!?」

 

後ろから聞こえて来た声に、洸が驚きながら振り返ると、そこには轟の姿が在った。

 

「君は………」

 

「お久しぶりです、洸小父さん。ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした」

 

戸惑う洸に向かって、轟はそう言いながら軽く頭を下げる。

 

「!? ま、まさか!? 十城士くん!? 十城士くんなのか!?」

 

「思い出して頂けましたか………」

 

洸が驚愕するのを見ながら、轟は何処か嬉しそうな笑みを浮かべるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数10分後………

 

「そうか………君が宇宙刑事ギャバンだったのか………」

 

「色々と有りまして………」

 

土手に座り込み、沈む夕日とその光を反射してオレンジ色の輝いている河川を見ながら、轟は行方不明になった経緯とコレまでの事を説明した。

 

「響の事………今まで守ってくれていたんだな。ありがとう」

 

「いえ、そんな………」

 

「いや………俺にこんな事を言う資格なんてないな」

 

「洸小父さん………」

 

とそこで、轟が立ち上がると、洸に向かって手を差し出す。

 

「病院へ戻りましょう。そして響ちゃんが目を覚ましたら会って下さい」

 

「………会えるワケないだろう………俺は響を………家族を見捨てたんだ」

 

だが、洸は轟から顔を背けながらそう呟く。

 

「それどころか………俺は………響をこの手で………」

 

ワナワナと震える両手を見ながら絶望の表情を浮かべる洸。

 

「それは洸小父さんの所為じゃありません。全てはフーマの所為です」

 

「だとしても、あの時に言った言葉は俺がずっと思ってしまっていた事だ!!」

 

洸の所為では無いと言う轟だが、それを遮る様に洸が悲痛な叫びを挙げる。

 

「………あの日、誹謗中傷に晒される家族を見捨てて出て行ってから………俺は宛ても無く町から町を彷徨い………やがて誘われるがままにフシギ教に入信した」

 

「やはりフシギ教に………」

 

「そこから先の記憶はあやふやだが………あの時、響と戦っていた時の記憶はハッキリと残ってる………俺は………自分の事を棚に上げて響の所為だと!!」

 

頭を抱え込む洸。

 

「あのライブに悲劇から、響が生還してくれて俺は嬉しかった………なのに、その響の所為だと、俺は!!………」

 

「でも、貴方は立花 響の父親だ」

 

「!!」

 

だが、轟がそう言うと、洸は驚いた表情となって顔を上げ、轟の事を見上げる。

 

「例え何があろうと、その事実からは逃げられない………」

 

「十城士くん………」

 

「だったら………『よろしく勇気』で向き合うしかないでしょう」

 

お決まりの台詞を言い放つ轟。

 

「………俺は………」

 

「行きましょう、洸小父さん」

 

そう言って、轟は洸に向かって再度手を差し出す。

 

「…………」

 

洸は一瞬躊躇した様子を見せながらも、握手する様にその手を取ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間軸は再び現在へ戻り………

 

バロム・1とザババ・1が不思議獣とミカに勝利した神社の境内では、消防や自衛隊、S.O.N.G.のエージェンド達が集まって、事後処理に当たっていた。

 

「コッチの気も知らないで!」

 

「偶には指示に従ったら如何だ?」

 

そんな中で、クリスと弦十郎が、ミカと遭遇したにも関わらず、連絡を寄こさなかった切歌と調に説教をしていた。

 

「独断が過ぎました」

 

「これからは気を付けるデス」

 

だが、調と切歌はそんな2人を真っ直ぐに見返しながら、ハッキリとした口調でそう返す。

 

「!………」

 

「珍しく素直に見えるが………」

 

そんな2人の堂々とした様子に、コレ以上の説教は無意味だと察したクリスと弦十郎は苦い表情となる。

 

「2人供………」

 

とそこで、雷が姿を見せる。

 

「「! 雷っ!!」」

 

「良い表情してるな」

 

「私達が背伸びしないで出来るのは、受け止めて受け入れる事………」

 

「けど、この戦いで間違った事はしてないと言い切れるデス!」

 

雷が笑いながらそう言うと、調と切歌も笑いながらそう返す。

 

「そうか………なら、今日は帰りな。もうすぐ日が暮れる」

 

「「はい(デス)!」」

 

「あ! 1つ聞かせてくれ! 君達が戦って居た場所に、別の何者かが居なかったか?」

 

と、帰路に着こうとした切歌と調に、弦十郎がそう問い質す。

 

バロム・1の存在は本部でも感知していたが、詳細が分からなかったので、現場に居た2人に尋ねたのだ。

 

尚、猛と健太郎は事後処理の部隊が来るまでには現場を立ち去っていた。

 

曰く、『悪が居なくなれば、ヒーローはサッと立ち去るものさ』と………

 

「「…………」」

 

切歌と調は一瞬顔を見合わせたかと思うと、また笑い………

 

「「正義のエージェントです(デス)」」

 

そう言い残して、逃げる様に走り去って行った。

 

「あ、オイ!………正義のエージェント?」

 

「…………」

 

弦十郎は訳が分からず首を傾げるが、雷は分かっているかの様に笑みを浮かべている。

 

「何時の間にか、あんなに堂々とする様になって………」

 

と、その雷の隣にマリアが現れ、そう呟く。

 

「子供って言うのはちょっとした切っ掛けで大きく成長するものさ」

 

「そうね………」

 

そこで何処か嬉しそうな表情を見せるマリア。

 

宛ら、今の雷とマリアの様子は、子供の成長を噛み締めている父親と母親の様であった。

 

(先輩が手を引かなくたって、いっちょ前に歩いて行きやがる………アタシとは、違うんだな………)

 

しかし、同じく見送っていたクリスは、内心でそう思っていたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日………

 

無事峠を越えた響が目覚めたと言う連絡を受け、装者達と宇宙刑事達、そして弦十郎が響の病室へと向かった。

 

途中、轟が洸を連れに行き、残るメンバーで病室へと押し掛けると、そこには………

 

「…………」

 

そこにな頭と身体に包帯が巻かれたままの状態でベッドの上に上半身を起こし、虚ろな目でボーッとしている響の姿が在った。

 

「響っ!!」

 

響の姿を見た未来がいの一番に駆け寄り、そのまま響に優しく抱き着く。

 

「響! 響っ!! 良かったっ!!」

 

無事に目を覚ました事に安堵し、やや取り乱しながら涙を流して喜びを露わにしている未来。

 

「立花!!」

 

「もう大丈夫なのか、響?」

 

「ったく、心配掛けやがって!」

 

「取り合えず、一安心ね………」

 

「響さん………」

 

「良かったデース」

 

「御無事で何よりです」

 

「心配したぞ、響くん」

 

「怪我の具合は如何だい?」

 

「何か欲しい物とかありますか? 遠慮無く言って下さい」

 

それを皮切りに、翼・奏・クリス・マリア・調・切歌・セレナ・弦十郎・雷・劾が次々と言葉を掛ける。

 

「…………」

 

しかし、響はそんな一同の事を虚ろな瞳のまま見つめている。

 

()()()()()()()()()()()()()………

 

「? 響?………」

 

その様子に未来が違和感を感じた、その時………

 

「失礼するよ、響ちゃん」

 

ノックと共に轟が病室に姿を見せる。

 

「あ、轟お兄ちゃん………」

 

「さ、小父さん………」

 

「あ、ああ………」

 

そして、その轟に連れて来られた洸が姿を見せる。

 

「!………」

 

洸の姿を見た未来が険しい表情を見せる。

 

「「「「「「「「…………」」」」」」」」

 

装者達の表情も複雑そうなものに代わる。

 

「うっ………」

 

「ホラ、洸さん」

 

そんな未来や装者達の視線を受けてたじろぐ洸だったが、轟がやや強引に病室内へと入れる。

 

そこで装者達はサッと左右へと分かれる様に道を開け、洸と轟を響の傍へと通す。

 

「…………」

 

未来だけは響に抱き着いたまま、やはり険しい表情を浮かべてまま洸を見据えている。

 

「あ、響………その」

 

そんな未来の抗議の視線を受けながらも、洸は響へと話し掛ける。

 

だが………

 

「………誰?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「! 響ちゃんっ!?」

 

響が呟いた思わぬ言葉に、一同と轟は驚きを露わにする。

 

「ひ、響………ハ、ハハハ………そうだよな………俺の事なんか………そう思って当然だよな………」

 

洸もショックを受けながら、自虐の様に笑う。

 

「響! まだ目が覚めたばかりで疲れてるよね! 今は休もう! ねっ!!」

 

と、コレ以上洸と関わらせるのは良くないと思った未来が、響にそう呼び掛ける。

 

すると………

 

「響?………()()()()()()()?」

 

「………えっ?」

 

響から返って来た予想外の言葉に、未来は呆然となる。

 

「ひ、響?………」

 

「まさか………」

 

流石に洸も様子がおかしいと感じ、轟の脳裏に最悪の想像が過る。

 

「………此処は何処?………私は………誰?」

 

そこで響は、未来に抱き着かれたまま、虚ろな瞳のまま包帯の巻かれている自分の手を見ながら、そう呟いた。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

「ひび………き」

 

「冗談だろ、オイ………」

 

その呟きに一同は愕然となり、未来に至ってはこの世の終わりの様な表情を見せ、轟でさえも頭を抱えたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後………

 

ナースコールをして呼び出した医師によって、響の診察が行われた。

 

そして、出た結果を聞く為、一同は医師の診察室を訪れていた。

 

『全般性健忘』………所謂『記憶喪失』と呼ばれる症状ですね」

 

「やはりそうですか………」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」

 

医者の診察結果に弦十郎が重々しく呟き、装者達と宇宙刑事達の空気も重くなる。

 

「立花さんは強いストレスに晒された上に、頭部を強打しています。この2つが重なった結果、記憶が失われてしまったのかと………」

 

「あああ………俺が………俺の所為で………」

 

医者の言葉を聞いた洸が頭を抱えて蹲る。

 

「響は………響は元に戻るんですか!? 響の記憶は!?」

 

「未来ちゃん! 落ち着くんだっ!!」

 

思わず医者に掴み掛かって行きそうそうになった未来を轟が止める。

 

「………残念ですが、ハッキリとした事は申し上げられません。この症状には確実な治療法が有るワケでは無いのです。過去の事例にしましても、すぐに思い出した例も有れば()()()()()()()()()()()()()と言う例もあります」

 

「そんな………」

 

医者の言葉に、未来の表情が絶望に染まる。

 

「諦めるな、未来ちゃん。希望ってのは、有ると思えば必ず向こうからやって来るもんだ」

 

「轟お兄ちゃん………」

 

「よろしく勇気だよ………」

 

「! うん!」

 

だが、轟の励まして何とか立ち直る。

 

「未来くん。響くんの事は任せて構わないかい? 我々はオートスコアラー達とフーマの次の動きに備えなければならない………」

 

とそこで、弦十郎が心苦しそうにしながらも、未来にそう頼み込む。

 

 

 

 

 

先日の共同溝の異常について、慎次が調査を進めた所、それがミカの仕業であった事が判明。

 

先の都内各所への発電施設への襲撃で、電力量が幾何か低下している中、優先的に電力を回されている施設………

 

つまり、政府施設の場所を調べていたと推測された。

 

その中でも一際目立っていた場所が、海中に在る異端技術に関連した危険物や未解析品を封印した絶対禁区………『深淵の竜宮』であった。

 

キャロル達やフーマが狙うとしては格好の場所だ。

 

それだけではない………

 

慎次が気になる事が有り、調査部を独自に動かしたところ………

 

事故や事件による神社や祠の損壊が頻発していると言う事態が明らかになった。

 

破壊された神社や祠は、何れも明治政府の帝都構想で霊的防衛機能を支えていた龍脈………『レイライン』のコントロールを担っていた要所である。

 

錬金術とレイラインの関係から、此方は主にキャロル達の仕業だと予想されている。

 

そして、そのレイラインの在る場所の1つは翼の実家である風鳴の屋敷に存在する要石だった。

 

今、響が戦闘不能となっている絶好の機会を逃すキャロル達とフーマでは無い………

 

同時に対処する為、装者達と宇宙刑事達は戦力を分ける必要が有った。

 

 

 

 

 

「ハイ! 任せて下さいっ!! 響の記憶は必ず取り戻して見せます!!」

 

そんな弦十郎の頼みに、未来は寧ろ自信満々に胸を叩いて見せるのだった。

 

「頼むぞ………では、すぐに本部に戻って作戦会議に移る」

 

そこで弦十郎が立ち上がると、部屋の隅に居た洸に視線を向ける。

 

「響くんのお父さん。貴方は我々が責任を持って保護させて貰います。響くんが記憶を取り戻しましたら必ず席を設けますので………」

 

「………よろしくお願いします」

 

弦十郎の言葉に、洸はまだ先程のショックを引き摺っている様子を見せながらも頷く。

 

(………何だ?………この嫌な予感は?)

 

そんな中で、得体の知れない嫌な予感を感じている轟。

 

そしてそれは………

 

後に最悪の形で、轟………

 

そして未来に対して降り掛かる事になるのを………

 

この時の轟は、予想だにして居なかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

病院を抜け出した洸を確保した轟。
この作品での洸さんは原作と比べるとしっかり罪悪感を覚えており、響には負い目を抱いています。
他の方の作品だと、洸さんに厳しい事を言うパターンが多いのですが、敢えてそういうのはやらないで行きました。
初代ギャバン・一条寺 烈の魂を受け継ぐ轟としては、厳しい事を言うよりは逃げる事は出来ないと釘を刺しながらも、励ます方がキャラとして良いと思いまして。

しかし………
肝心の響が一命を取り留めかと思ったら、何と記憶喪失に!?
キャロルとフーマの動きに対応する為、響の事は未来に任せて、装者達と宇宙刑事達は戦力を分散させる事になりますが………
響には更にトンでもない事が起きる事になります。

次回からは風鳴邸での戦闘をお送りします。
原作では深淵の竜宮と同時で進行していましたが、小説だと場面転換が忙しくなるので、時間軸的には同時進行ですが、描写的には順序を付けさせてもらいます。
ご了承ください。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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