戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達 作:宇宙刑事ブルーノア
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ご了承ください。
記憶喪失となった響を未来に任せ………
装者達と宇宙刑事達は、キャロル達とフーマの行動を読み、聖遺物の保管施設である『深淵の竜宮』………
そして、レイラインのポイントである要石の在る『風鳴邸』に向かう事となった。
深淵の竜宮には、装者組がクリス・切歌・調、宇宙刑事達から劾が同行。
風鳴邸へは当然ながら翼と彼女の相棒である奏、そしてマリアと雷。
轟とセレナは、不測の事態に備えて本部で待機である。
風鳴邸班………
邸宅の前に、慎次の運転する車と雷の車が停まる。
慎次の運転する車から翼と奏が降り、雷の車の助手席に乗っていたマリアも降車する。
「此処が?………」
「風鳴八紘邸………翼さんの生家です」
立派な日本家屋を見たマリアが呟くと、慎次がそう説明して来る。
「10年ぶりに………まさか、こんな形で帰るとは思わなかったな」
「アタシも、こんな形で翼の家に遊びに来る事になるとは思ってなかったぜ」
何処か重々しく呟く翼に対し、奏は何処かお道化た態度でそう言う。
「…………」
しかし、翼はそれを気にした様子を見せず、淡々と門に続く石段を登り始める。
「翼………」
(思い詰めてるな………親父さんと会うのが気まずいのか?)
そんな翼の様子に奏は何と言えなくなり、雷はそう推測する。
その後、雷達も門前に移動し、八紘邸に入る準備をしている中、慎次が本部から連絡を受ける。
「クリスさん達も、間も無く深淵の竜宮に到着するそうです」
「此方も伏魔殿に飲み込まれない様に気を付けたいものだ」
翼がそう言った瞬間に準備が整ったのか門が開き、一同は八紘邸内に足を踏み入れる。
そして、邸宅の前で問題の要石を発見する。
「要石………」
「アレが」
「思ったよりもデカいな………」
予想していたよりも巨大なサイズだった要石に、雷がやや圧倒される。
「………お?」
とそこで奏が、屋敷から出て来た眼鏡を掛けた和服姿の壮年の男性とその護衛と思われる黒服2名に気付く。
「翼さん………」
慎次が声を掛けた事で、翼達もその人物………
内閣情報官であり、翼の父親である『風鳴 八紘』に気付いた。
「お父様………」
八紘の姿を見た翼が少し目を伏せる。
(アレが翼の親父さんか………)
雷も八紘に注目する。
「御苦労だったな、慎次」
しかし、当の八紘は先ず慎次に労いの言葉を掛けると、今度はマリアの方に視線を向けた。
「それにS.O.N.Gに編入した君の活躍も聞いている」
「あ、ハイ………」
続いて八紘が視線を向けたのは奏だった。
「天羽 奏………コレまでの協力に改めて感謝する。本当に良くやってくれた」
「気にすんなって、親父さん」
またもお道化た態度を執る奏だったが、八紘はそれを気にする事も無く、雷へと視線を移動させた。
(あ~、こりゃあ翼の親父さんだなぁ、間違い無く………)
「甲賀 雷………いや、宇宙刑事シャリバン。君には感謝してもし切れない。マドーの危機から日本、そして地球を救ってくれて、本当にありがとう」
そんな八紘の姿に翼を重ねている奏の事など知らず、八紘は雷に向かって深々と頭を下げる。
「俺は宇宙刑事としての使命を果たしただけです。それに、マドーを倒せたのは俺だけの力じゃありません。翼達の様な素晴らしい仲間が居てくれたお陰です」
サラリと翼へのフォローを入れながら、雷はそう返す。
「…………」
しかし、当の翼はやはり目を少し伏せたままである。
「………アーネンエルベの神秘学部門より、アルカノイズに関する報告書も届いている。後で、開示させよう」
そして八紘も、娘である翼には声を掛けず、事務的に話を終え、踵を返して屋敷内へ戻ろうとする。
「! お父様!………ぁ」
思わず翼の方から声を掛けたが、何と言えば良いか分からず、言葉が出て来ない………
「………沙汰もなく、申し訳ありませんでした」
やがて絞り出すかの様に、コレまで連絡出来なかった事を謝罪する。
「お前がいなくとも、風鳴の家に揺るぎはない」
「!」
「務めを果たし次第、戦場に戻るが良いだろ」
だが、八紘からは冷たい言葉が返って来て、翼は一瞬ショックを受けた様子を見せる。
傍から見ると、とても親子の会話とは思えない………
「待ちなさい! 貴方、翼のパパさんでしょ!? だったらもっと他に………」
「マリア! 良いんだ………」
そんな様子を見ていられなくなったのか、マリアが八紘に向かって怒り混じりに声を掛けるが、当の翼が止めて来る。
「でも!?」
「良いんだ………」
「マリア、落ち着け。コレは飽く迄翼と親父さんの問題だ」
「!………」
食い下がるマリアだったが、翼が更にとめ、雷も踏み込み過ぎだと言って来て、漸く落ち着く。
「…………」
八紘はそんな喧騒も気にした様子を見せず、屋敷に戻ろうとする。
「! 誰だっ!?」
「!!」
そこで、雷が気配を感じて叫び、慎次がノーモーションでその気配がする場所へ発砲!
すると弾丸が、突然発生した竜巻で粉微塵となる。
そして竜巻が弾けたかと思うと………
中からポーズを執ったファラが姿を現した!
「ファラかっ!!」
「野暮ね? 親子水入らずを邪魔するつもりなんてなかったのに………」
雷が叫ぶと、ファラがいけしゃあしゃあとそう言い放つ。
「! あの時のオートスコアラーッ!」
ファラの姿を見た翼が、ロンドンでも屈辱の敗戦を思い出し、苦い顔をする。
「レイラインの解放………やらせていただきますわ」
「やはり狙いは要石か!」
「ダンスマカブル」
マリアがそう言うと、ファラは結晶をばら撒き、アルカ・ノイズ達を出現させる。
「ああ、付き合ってやるとも!」
Imyuteus amenohabakiri tron
Seilien coffin airget-lamh tron
Croitzal ronzell gungnir zizzl
翼はそう言うと聖詠を唱えて、マリア・奏と共にシンフォギアを纏う。
「赤射っ!!」
雷もそう叫ぶと、その身体が赤い光に包まれ、コンバットスーツを纏った!!
「宇宙刑事! シャリバンッ!!」
そして、ポーズを取りながら、高らかに名乗りを挙げる。
宇宙刑事シャリバンは、僅か1ミリ秒で赤射蒸着を完了する。
では、赤射プロセスをもう1度見てみよう!
「赤射っ!!」
雷がそう叫び、赤射ポーズを取ると、それは直ちに地球の衛星軌道上で待機している超次元戦闘母艦グランドバースへと伝わる。
すると、灼熱の太陽エネルギーが、グランドバースの増幅システムにスパークする!
増幅された太陽エネルギーは、赤いソーラーメタルに転換され、シャリバンに赤射蒸着されるのだ!
もう1度言おう!
この一連の動作………僅か1ミリ秒!!
「ハアアアアアアァァァァァァァッ!!」
叫びながら剣を振るい、アルカ・ノイズ達を次々に斬り捨てて行く翼。
「フッ! ハアッ!」
マリアも出現させた無数の小太刀をアルカ・ノイズ達に投げ付け、接近して来た奴に対しては蛇腹剣で対処する。
「オリャオリャオリャオリャアッ!!」
奏は槍を頭上で振り回し、近づいて来たアルカ・ノイズ達を次々に粉砕して行く。
「クライムバスターッ!!」
そしてシャリバンは、跳んだり跳ねたりしながらのクライムバスターでの曲撃ちで、アルカ・ノイズ達を薙ぎ払う。
「此処は私達が!」
「うむ、務めを果たせ」
翼が八紘に下がる様に頼むと、八紘はやはり事務的にそう返して戦場から離脱する。
「…………」
その様子に一瞬翼の顔が曇ったが、すぐさま気を取り直した様に剣を振るい、またアルカ・ノイズ達を次々に斬り捨てて行く。
「さあ、掴まえて御覧なさい!」
すると、ファラがそんな翼に狙いを定め、足元に竜巻を出現させると、それに乗って飛行しながら襲い掛かる!
「クッ!」
次々と繰り出される竜巻に乗っての突進を躱す翼。
蒼ノ一閃
そして、一瞬の隙を衝いて、大型化したアームドギアから斬撃波を飛ばす。
「フフ………」
だが、ファラはソードブレイカーを抜き放って振るったかと思うと、刀身から怪光線の様な風が放たれ、翼の蒼ノ一閃を相殺した。
「ならばっ!!」
天ノ逆鱗
そこで翼は跳び上がり、巨大な剣をライダーキックの様に蹴りながらファラに叩き込む!
「フフフッ、何かしら?」
しかし、ファラは余裕の笑みを浮かべて、迫って来た大剣に向かってソードブレイカーで突きを繰り出す。
すると、何と!!
ソードブレイカーの刃に奇妙な文様が浮かび上がったかと思うと、天ノ逆鱗がまるで錆び付いて行くかの様に変色!
「!? 何っ!?(剣が………砕かれて行く!?)」
翼が驚きの声を挙げた瞬間には、粉々に砕かれてしまう!!
「うわあっ!?」
衝撃で弾き飛ばされた翼が、地面を転がる。
「! 翼っ!!」
「翼っ! オイ、しっかりしろっ!!」
「ぐうう………」
マリアが悲鳴の様な声を挙げ、奏が慌てて駆け寄り、助け起こす。
もし、ベン所長によってシンフォギアが強化されていなかったら気絶していただろう。
「あの武器………やはり剣に対して効果を発揮するのか?」
と、最後のアルカ・ノイズをシャリバンパンチで粉砕したシャリバンが、コレまでのファラとの戦闘での事を思い出しながらそう推察する。
「私のソードブレイカーは『剣』と定義される物であれば、硬度も強度も問わずにかみ砕く哲学兵装………漸くその力を存分に発揮出来ます」
コレまでフクロウ男爵やシャリバンとの戦いでは役に立たなかったソードブレイカーの特製を存分に発揮でき、ファラは感慨深そうにそう呟く。
「強化型シンフォギアでも敵わないのか?」
「セヤアアアアアッ!!」
慎次が駆る戦慄する中、マリアが果敢に無数の短剣を投擲する。
「! マリア、待てっ!!」
「無駄よ………」
と、何かに気付いたシャリバンが声を挙げたが、その瞬間にファラはソードブレイカーを振るって風の斬撃波を飛ばす。
マリアが投擲した短剣が全て砕かれ、風の斬撃波がマリアに向かう!
「!?」
「マリアッ!!」
そこでシャリバンが赤い光球となってマリアを掻っ攫う。
風の斬撃波が先程までマリアが居た位置を通過し、その背後に在った要石へと直撃!!
巨大な要石が、まるで豆腐の様に呆気無く砕かれた!
「あら? アガートラームも剣と定義されたかしら?」
ファラが意外そうにそう言い放つ。
「クッ! 要石が………」
「哲学兵装…………概念に干渉する呪いやゲッシュに近いのか?」
赤い光球状態から戻ったシャリバンが、守る筈だった要石が破壊されてしまった事に悔し気な声を漏らし………
抱き抱えられているマリアは、哲学兵装の事をそう推察する。
「オノレ………」
「オイ、翼! 無理すんなっ!!」
とそこで、奏に助け起こされていた翼がフラつきながら無理矢理立ち上がる。
「………ココは一旦退かせて貰いますわね。剣ちゃんが万全になったら、改めて貴女の歌を聴きに伺いますって」
するとファラはそんな言葉を残し、自らを竜巻で包み込んで撤退して行った。
「待てっ!………!? グッ!?」
「ホラ、言わんこっちゃない!」
追い縋ろうとした翼だが、ダメージから膝を着いてしまい、再度奏に助け起こされる。
「まんまとしてやられたわね………」
「………おかしい」
と、地面に降ろされたマリアが悔し気に言うと、シャリバンがそう呟いた。
「? シャリバン? 如何したの?」
「フーマが姿を見せていない………」
「! そう言えば………」
シャリバンの指摘で、今までオートスコアラー達と共に現れていたフーマが、今回は姿を見せていない事に気付くと………
「「ウワアアアアアアッ!!」」
八紘が避難して行った咆哮から、悲鳴が聞こえて来た。
「「「!?」」」
「アッチの方向って!?」
「お父様っ!?」
顔面蒼白になった翼が悲鳴の様な声を挙げる。
慌てて一同が悲鳴が聞こえた方向へと向かうと、そこには………
「な、何だ、お前達は!?」
「風鳴 八紘………一緒に来てもらうぞ」
ギャル軍団に捕まっている八紘の姿が在った。
その足元には、既に事切れている護衛の黒服達の死体が転がっている。
「! お父様っ!! させるかあああぁぁぁぁぁーーーーっ!!」
その光景を目にした翼が激高し、ファラから受けたダメージの痛みも忘れて、ギャル軍団に斬り掛かる!
「! 翼っ!!」
「翼さんっ!!」
奏と慎次の声が飛ぶが、今の翼の耳には届かない。
「ハアアアアアアァァァァァァァッ!!」
八紘の首にクナイを突き付けているギャル1に狙いを定める翼。
グガアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!
「!? ガッ!?」
しかしそこで、突如姿を現した『不思議獣 グリグリ』が割って入り、手にしていたサーベルで、翼を弾き飛ばす!!
「オノレェッ! 邪魔をするなぁっ!!」
怒りの声と共に立ち上がった翼が、もう一振り剣を取り出してグリグリに斬り掛かろうとしたが………
「ヌアアアアアアッ!!」
「!? ウワアアアアアアッ!?」
またも突然現れたヘスラー指揮官の電光火走りの直撃を喰らってしまう。
何時もの翼ならば対応出来ていたが、八紘の危機に冷静さを欠いてしまっていた翼には無理だった。
「! 翼っ!?」
地面に転がった翼を見て、八紘が初めて感情を露わに翼の名を呼ぶ。
「退けっ!!」
「「「「「ハッ!」」」」」
グガアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!
だが、次の瞬間には、ヘスラー指揮官達は八紘と共に煙の様に消えてしまう………
「! お父様あああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!………あ」
翼が悲鳴の様な叫びを挙げると、限界が来たのか、そのまま糸の切れてたマリオネットの様に倒れ、シンフォギアも解除されてしまった。
「「翼っ!!」」
「翼さんっ!!」
「何て事だ………」
奏とマリア、慎次がその翼に駆け寄る中、シャリバンが要石ばかりか八紘まで守れなかった事に愕然となるのだった………
S.O.N.G.本部の潜水艦・発令所にて………
「八紘の兄貴が攫われただと!?」
『ハイ。現在諜報部を総動員して全力で捜索を続けています』
『すまない、弦十郎さん。俺が居ながら要石ばかりか、八紘さんまで………』
弦十郎が思わず立ち上がって大声を挙げる中、慎次の報告と雷の謝罪が通信回線から聞こえて来る。
「いや、雷くんの所為では無い。敵がコチラよりも上手だっただけだ。それに八紘の兄貴も風鳴の人間だ。そう簡単にくたばったりはしないだろう」
『………八紘さんは必ず助け出します、必ず!』
雷の力強い言葉と共に通信が遮断されると、弦十郎は再び椅子に腰掛ける。
「…………」
しかし、本人は冷静を装っている積りだろうが、その表情は険しく、拳が血が出んばかりに握り締められている。
如何にOTONAな弦十郎も、実の兄の危機には平静で居られない様だ。
「弦十郎くん………」
そんな弦十郎の心中を察した了子が寄り添う。
「弦さん、俺も出る。ドルギランで捜索すればすぐに見つかる筈だ」
とそこで待機班だった轟がそう名乗りを挙げた。
「………頼めるか?」
「任せておけって! セレナ、すまないが後は頼むぞ」
「ハイ、お気を付けて」
少し葛藤した後、弦十郎がそう言うと、轟は待機をセレナに任せて、発令所から出て行く。
その数分後に、ドルギランが浮上した本部潜水艦の傍から飛び立って行ったのだった………
「………我々は予定通りに深淵の竜宮へと向かう。既に敵は潜入している。心してくれ」
と、幾らか冷静さを取り戻した弦十郎がそう言うと、メインモニターに深淵の竜宮の監視カメラの映像が映し出される。
そこにはレイアを伴っているキャロルの姿が映し出されていた。
「キャロル………」
「キャロルちゃん………」
「「「…………」」」」
エルフナインと劾が呟き、クリス・切歌・調も険しい表情となる。
「奴らの策に乗るのは小癪だが、見過ごす訳には行くまい」
S.O.N.G.本部の潜水艦は『深淵の竜宮』に向かって再度潜行を開始したのだった………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
風鳴邸での戦い。
これまでイマイチだったソードブレイカーが遂に効果を発揮し、翼に大ダメージを与えます。
そして原作通りに要石は破壊されます。
しかし何と………
フーマ達によって八紘さんが拉致!?
果たして、フーマは何が狙いなのか?
そして次回、不器用な親子の真意が明らかになる時、あのヒーロー達が現れます。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。