戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達 作:宇宙刑事ブルーノア
死神谷………
ゴツゴツした岩肌が露出している採石所を思わせる谷間………
その地下に、フーマの秘密基地が存在した。
かなりの規模の基地であり、戦車や戦闘ヘリと言った兵器が基地内で生産されて配備されている程だった。
「良く聞け! コレより我等はこの基地の戦力を全て使い、東京を襲撃する! 憎っくき宇宙刑事と装者共を誘き出し、殲滅するのだ!!」
「「「「「「「「「「シュワシュワッ!!」」」」」」」」」」
ヘスラー指揮官が、集まっているミラクラー達に向かって演説している。
「…………」
そんな様子に興味が無い様子で、相変わらず壁に背を預けて仏頂面を浮かべている響。
と、そこで………
基地内に警報が鳴り響いた!
「! 何事だっ!?」
「シュワシュワッ!」
ヘスラー指揮官が声を挙げると、ミラクラーの1人がコンパネを操作し、メインスクリーンを起動。
そこには、監視カメラが捉えた轟・雷・劾の車と、それに分譲している装者達の姿が映し出される。
「! 宇宙刑事に装者共!?」
「何故この基地の場所が!?」
ギャル4とギャル5が逆に襲撃して来た宇宙刑事達と装者達に動揺するが………
「慌てるな!!」
「向こうから来てくれたのならば寧ろ好都合と言うもの………」
「この死神谷を奴等の墓場にしてくれる!」
ギャル3、ギャル2、ギャル1がそう言い放ち、落ち着けさせる。
「! アイツ………」
とそこで、響もメインスクリーンに映し出されている轟の姿を見て反応する。
「! ううっ!?………」
途端にまた頭痛が襲って来て、響は頭を抱える様に押さえる。
(この頭痛はアイツの所為なの!?………)
やがて、メインスクリーンの轟の姿を睨み付け始める響。
(アイツさえ………居なければ!!)
頭痛の原因が轟だと決め付け、目に殺意が籠って行く………
「!!………」
そんな目をしたまま、響は飛び出す様に部屋を出て行った。
「あ! オイッ!!」
「構わん。如何やら奴等と戦いに行った様だな………」
ギャル5が止めようとしたが、ヘスラー指揮官がそれを遮り、メインスクリーンの宇宙刑事達と装者達に目を向ける。
「愚かな宇宙刑事と装者共め。我々の基地で戦って勝てると思っているのか………ギャル軍団!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
ヘスラー指揮官の声で、ギャル軍団が整列する。
「貴様等の新しい力を宇宙刑事達と装者達に存分に見せてやるが良い」
「「「「「!!」」」」」
ギャル軍団が右腕を構える。
そこには、響のエレクライトと同じ色違いのブレスレットが怪しく光っていた………
死神谷・地上………
宇宙刑事達と装者達を乗せた車が、谷間で止まる。
「此処が死神谷か………」
「殺風景な所だな」
次々と降車して行くメンバーの中で、翼と奏が辺りを見回しながらそう言い合う。
「気を付けろ、俺達の接近にフーマはとっくに気付いてる筈だ」
と、雷が皆に向かってそう注意した時………
一同の眼前にイナズマの様な光と共に、エレクライトを纏った響が現れた!
「! 響さんっ!!」
「お前っ!!」
「「「「「「「!!」」」」」」」
セレナとクリスが声を挙げ、他の一同も身構える。
「…………」
だが響は只1人………轟に殺意の籠った視線を向けている。
「響ちゃん………」
その視線を真正面から受け止める轟。
「飛んで火にいる夏の虫とはこの事だな!!」
「「「「「「「「「「シュワシュワッ!!」」」」」」」」」」
とそこで、そう言う声が響いて来たかと思うと、谷の上の崖にヘスラー指揮官とギャル軍団、そして大量のミラクラー達が姿を現した!!
「! フーマッ!!」
「す、凄い数デス!………」
「当然だよ、切ちゃん。此処は敵地なんだから」
劾が声を挙げ、切歌が見た事の無い大軍に若干怯み、調がそうツッコミを入れる。
「宇宙刑事に装者共! 此処が貴様等の墓場となるのだ!!」
「お決まりな台詞だな………」
意気揚々とそう言い放つヘスラー指揮官に、轟が呆れた様子を見せる。
「十城士 轟………」
「おっ? 俺の事、思い出してくれたのか?」
「………お前を殺す!」
軽口を叩く轟を見て、響は更に殺意を高まらせる。
「やれやれ………大分気が立ってるみたいだな」
しかし、そんな響の姿を見ても、轟は余裕の態度を崩さない。
「轟………」
「轟さん………」
「すまない、皆………響ちゃんの事は俺に任せてくれ」
雷と劾が心配そうに声を掛けるが、轟は振り返らずにそう言い放つ。
「元よりその積りだ………」
「頼むぜ、轟」
「アイツを救えんのはお前だけだ」
翼・奏・クリスがそう返していると………
「何をゴチャゴチャと言っている!!」
痺れを切らしたかの様に、響が叫び、エレクライトの背の翼を展開させたかと思うと、目にも止まらぬスピードで轟を肉薄し、エナジーブレイドを振るう!
しかし!!
「フッ!!」
何時の間にかギャバンの姿となった轟は、繰り出されたエナジーブレイドをアッサリと受け止めた!
「!?」
ギャバンの姿を見た響が、驚きに目を見開く。
宇宙刑事ギャバンが、コンバットスーツを蒸着するタイムは、僅か0.05秒に過ぎない!
では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!
「蒸着っ!!」
轟がそう叫び、蒸着ポーズを取ると、それは直ちに地球衛星軌道上の亜空間内にいる超次元高速機ドルギランへと伝わる。
『了解! コンバットスーツ、電送シマス!』
そして、ドルギランより粒子状に分解されたコンバットスーツが轟へと電送される!
その粒子状となったコンバットスーツが、轟の体に吹き付けられる様にスーツを構成していき、蒸着は完了する。
もう1度言おう!
この一連動作………僅か0.05秒!!
「クッ!!」
「おっと! そう邪険にしないでくれよ」
すぐさま離れようとした響だが、そこでギャバンが逆に響を捕まえる。
「! 放せっ!!」
「チュウッ!!」
響が振り解こうとするよりも早く、ギャバンは響を捕まえたまま跳躍!
雷と劾、装者達、そしてフーマから距離を取った!
「頼むわよ、轟」
「響さんをお願いします」
マリアとセレナがその光景を見ながらそう言ったところ………
「「「「「「「「「「シュワシュワッ!!」」」」」」」」」」
崖の上に居たミラクラー達が何時の間にか移動して来ていて、雷と劾、装者達を取り囲む。
「ハッ!」
「タアッ!」
「ヤアアッ!」
「テヤアッ!!」
更にギャル軍団とヘスラー指揮官も崖の上から跳躍し、その中へと加わる。
「覚悟しろ、宇宙刑事にシンフォギア装者共!」
「今日こそは貴様等の最期だ!」
「最期になるのはそっちデース!」
「ミラクラー達の数を揃えたぐらいで私達の相手が出来ると思ってるの?」
ギャル4とギャル5の挑発に、切歌と調がそう返す。
「フフフ………」
「我々を今までの我々と同じだと思ったら大間違いだぞ」
「ああん? ハッタリかましてんじゃねえぞ!」
「雪音! 油断するな!!」
「奴等の事だ。何を仕出かしてもおかしくないぞ」
不敵な態度を執るギャル3とギャル2にクリスが怒声を返すと、翼と奏が窘める。
「ならば見せて遣ろう………我等の新しい力をな!」
「「「「!!」」」」
と、ギャル1のその声で、ギャル軍団が一斉に右腕のブレスレット構えた!
「! アレは!?」
「まさかっ!?」
それを見た雷と劾が嫌な予感を覚えた瞬間………
「「「「「エレクライト、スイッチオンッ!!」」」」」
ギャル軍団がそう叫んだかと思うと、その身体からスパークの様な物が放たれ………
全員が其々のコスチュームと同じカラーリングの『エレクライト』を身に纏った姿となった!!
「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」
驚愕を露わにする雷と劾、装者達。
「驚いたか?」
「コレこそ、テスラ博士の最高傑作………『エレクライト』だ!!」
そんな雷と劾、装者達に向かって自慢する様にギャル2とギャル4が言う。
「! テスラ博士のだと!?」
「その通り」
「テスラ博士はバリオゼクターを元に、更なる新しいコンバットスーツの開発を進めていたのだ!」
「奴からバリオゼクターの情報を抜き取る際にそれを発見出来たのは幸運だったぞ」
雷が声を挙げると、ご丁寧にギャル3、ギャル5、ギャル1がそう説明する。
「そのテスラ博士を殺しておいて、何言ってやがる!!」
「奴はフーマ………そして大帝王クビライ様の偉大なる野望を理解しようとしなかった。愚かな奴だ。もっと利口であれば長生き出来たと言うものを………」
クリスが怒りに、さも当然の様にヘスラー指揮官がそう返す。
「「「「「「「!………」」」」」」」
そんなヘスラー指揮官の傲慢と悪意に溢れた態度に、装者達は嫌悪感を露わにする。
「お喋りはココまでだ………征伐っ!!」
「「「「「「「「「「シュワシュワッ!!」」」」」」」」」」
とそこで、ヘスラー指揮官からお決まりの号令が掛かると、ミラクラー達が一斉に武器を構える!
「赤射っ!!」
「焼結っ!!」
すぐさま雷と劾がそう叫ぶと、その身体が光に包まれ、コンバットスーツを身に纏った!
「宇宙刑事っ! シャリバンッ!!」
「宇宙刑事っ! シャイダーッ!!」
シャリバンとシャイダーが、雄々しく名乗りを挙げて、見栄を切る様にポーズを決めた!
宇宙刑事シャリバンは、僅か1ミリ秒で赤射蒸着を完了する。
では、赤射プロセスをもう1度見てみよう!
「赤射っ!!」
雷がそう叫び、赤射ポーズを取ると、それは直ちに地球の衛星軌道上で待機している超次元戦闘母艦グランドバースへと伝わる。
すると、灼熱の太陽エネルギーが、グランドバースの増幅システムにスパークする!
増幅された太陽エネルギーは、赤いソーラーメタルに転換され、シャリバンに赤射蒸着されるのだ!
もう1度言おう!
この一連の動作………僅か1ミリ秒!!
宇宙刑事シャイダーは、僅か1ミリ秒で焼結を完了する。
では、その原理を説明しよう。
「焼結っ!!」
劾の焼結コールが送られると、すぐにそれは地球衛星軌道上の亜空間内にいる超次元戦闘母艦バビロスにキャッチされる。
そして、バビロス号からプラズマ・ブルーエネルギーが、劾に向かって照射される。
宇宙刑事シャイダーは、バビロス号から放たれるプラズマ・ブルーエネルギーを浴びて、僅か1ミリ秒で焼結を完了するのだ。
もう1度言おう!
この一連の動作………僅か1ミリ秒!!
Imyuteus amenohabakiri tron
Croitzal ronzell gungnir zizzl
Killter Ichaival tron
Seilien coffin airget-lamh tron×2
Zeios igalima raizen tron
Various shul shagana tron
そして装者達も、次々に聖詠を唱えて、シンフォギアを身に纏う。
「行くぞっ!!」
「「「「「「「「!!」」」」」」」」
シャリバンの声で、一同はヘスラー指揮官とエレクライトを纏ったギャル軍団、そして大量のミラクラー達へと向かって行くのだった。
◇
一方、その頃………
リィデアンの学生寮・響と未来の部屋では………
「轟さん達、大丈夫かなぁ?」
部屋の窓から空を見上げながら、不安げにそう呟く弓美。
「けねろ。宇宙刑事の皆さんも装者の皆さんも皆強ぇはんで」
「けど………」
小里が励ます様にそう言うが、弓美は不安そうな表情のままだった。
「今は信じて待つしかありません」
「もどかしいね………」
「只待つと言うのは辛いです………」
詩織と創世、エルフナインも、何処か落ち着かない様子でそう言い合う。
只待つしかないと言う状況が、どうしても不安を駆り立てていた。
「…………」
そんな中で、1番不安であろう未来は、テーブルに付けた椅子に座って目を閉じ、両手を組んでテーブルの上に置いていた。
まるで何かを考えているかの様に………
「? ヒナ? 大丈夫?」
と、そんな未来の様子に気付いた創世が、如何したのかと思って声を掛ける。
「………駄目」
「えっ?」
「やっぱり駄目っ!! 只待ってるだけなんて出来ないっ!!」
そこで未来は、そんな声を挙げながら、椅子を蹴倒して立ち上がる。
「うわっ!?」
「小日向さん!?」
「「「!?」」」
その様子に創世達が驚く。
「ゴメン、皆………私、行って来るっ!!」
そんな創世達を横目に、未来はそのまま、部屋から飛び出して行こうとする!
「! 未来っ!!」
「ちょっ! ほずねって!」
すぐさま取り押さえようとした弓美達だったが………
「! うわっ!?」
「キャアッ!?」
先を行っていた小里と弓美が転倒。
「キャアッ!?」
「わあっ!?」
「わわっ!?」
その転倒した2人に引っ掛かって、詩織と創世、エルフナインも転び、5人はもつれ合う様に折り重なる。
「ちょっ!? 退いてよ!!」
「す、すみません! ですが、起き上がれなくて!!」
「つ、潰れる~………」
「落ち着いて!」
「す、すみませんっ! 僕のせいで!!」
もつれ合っている為か中々起き上がれず、ワチャワチャとなる弓美達。
その間に未来は、部屋を飛び出して行ってしまったのだった………
リィデアンの学生寮前………
「響っ! 轟お兄ちゃんっ!!」
弓美達を部屋に残したまま、遂に外へと飛び出した未来。
すると、その未来の姿に影が掛かった。
「?………」
突然影が掛かった事を不可解に思った未来が空を見上げると、そこには………
空に浮遊している宇宙船の姿が在った。
それは、ベン所長が地球に乗って来た宇宙船だった。
「!?」
未来が驚きを露わにした瞬間………
宇宙船から光の柱が降りて来て、未来を包み込んだかと思うと………
そのまま未来の身体を空中に持ち上げ、宇宙船の方へと吸い込み始めた。
「!? えっ!? えっ!? えっ!?」
困惑を露わにしたまま宇宙船へと吸い込まれて行く未来。
さながらその光景は、正にUFOによるアブダクションであった………
宇宙船内………
「!? 此処はっ!?」
「強引な招待になってしまって申し訳無い」
宇宙船内へと入り込んだ未来を、ベン所長が謝罪と共に迎える。
「! 貴方は………ベン所長さん?」
「如何にも………それよりも、何処へ行く積りだったのかね?」
挨拶もそこそこにベン所長は、未来にそう問い質す。
「………響と、轟お兄ちゃんの所に」
「2人が居る場所は戦場だ。戦う力の無い君が行って何になるのかね?」
厳しい視線を向けるベン所長だが、未来は怯まない。
「………確かに私に力は有りません………でも!! 只轟お兄ちゃんに任せて呑気に待ってるだけなんて出来ません! 響がフーマに行ってしまったのは私の責任なんです! だから! 私は響を助けに行かないといけないんです!!」
真っ直ぐにベン所長を見詰めながら、未来はそう言い放つ。
「………そうか」
それを聞いたベン所長は、表情を変えずに頷いたかと思うと………
「ならば、コレを受け取り給え」
そう言ってポケットから、『
「!? コレってっ!?」
その『
「『こんなこともあろうか』思ってな………」
そんな未来の姿を見て、ベン所長はニヤリと不敵な笑みを浮かべたのだった………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
死神谷で始まった宇宙刑事達・装者達とフーマとの決戦。
轟ことギャバンが響を引き受ける中………
何とギャル軍団がエレクライトを纏った襲い掛かる!
果たして、その実力は?
一方………
残されていた未来は、やはり待っているだけなど出来ず、弓美達を振り切って飛び出して行ってしまいます。
そこへ現れたベン所長。
未来に『ある物』を渡します。
ベン所長、この為に出したと言っても良いキャラです。
今後も『こんなこともあろうかと』の一言で事態を解決してくれるでしょう。
いよいよ、あのシンフォギアが復活です。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。