戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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第33話『地球フーマ化計画』

遂に、都庁の上空にその姿を現した、キャロルの世界解剖機関………『チフォージュ・シャトー』

 

父親から託された命題と言う名目をかなぐり捨ててでも、世界の分解を成そうとするキャロル。

 

そんなキャロルを止める為、宇宙刑事達と装者達は決戦が始まる。

 

先ずは小手調べと言わんばかりにキャロルは、アルカ・ノイズ達を繰り出すのだった。

 

 

 

 

 

都庁前の広場………

 

「ディメンジョンボンバーッ!!」

 

突き出した両拳でアルカ・ノイズ達を次々に赤い霧へと変えて行くギャバン。

 

だが、着地を決めると、新たなアルカ・ノイズ達が取り囲んで来る。

 

「流石に数が多いな………」

 

「スパークボンバーッ!!」

 

と、ギャバンが呟いた瞬間、アルカ・ノイズ達の一角をシャリバンがスパークボンバーで粉砕し、ギャバンの隣に並び立つ。

 

「シャリバンッ!」

 

「ギャバン、妙だ………決戦だと言うのに、フーマの連中の姿が見えない」

 

ギャバンが呼び掛けると、シャリバンがそう言って来る。

 

シャリバンの指摘通り、決戦のこの場に出て来ているのはキャロル以外は全てアルカ・ノイズ達だけであり、フーマの手勢はミラクラーの1体も見当たらない………

 

「確かに………この前で戦いで幹部の殆どを倒したとは言え、それでフーマがそれで引き下がるとは思えない」

 

「シャイダーによれば、ヘスラー指揮官は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と言っていたらしい」

 

「ソイツが如何言う意味かは分からんが、そうであれば尚更キャロルを援護する筈だ。それが無いと言う事は………」

 

「連中に取ってキャロルはもう()()()って事か………」

 

クライムバスターとシルバービームを放ちながら、そう結論付けるシャリバンとギャバン。

 

「気を付けろ。必ず何か仕掛けて来るぞ」

 

「ああ………って、そうだ! お前、響ちゃんと未来ちゃんに何を教えてんだよ!!」

 

とそこで、ギャバンは響と未来が、シャリバンから聞いたと言っていたバード星の重婚制度の事を追求する。

 

「おっ? その様子だと、遂に響ちゃんと未来ちゃんから告白されたのか?」

 

しかし、シャリバンは悪びれもせずにそう返す。

 

「結果的にはそうなるかも知れんが、そうなったのはお前が原因だぞ! あの2人は俺にとっては『()()()()』なもんで………」

 

「『()()()()』であって、『()』じゃないだろう」

 

「っ!………」

 

「結果的だろうと、如何だろうと、2人の好意を知ったお前には答えを返す義務が有るんじゃないのか?」

 

「…………」

 

口籠るギャバン。

 

とそこで、大型のアルカ・ノイズが、2人に襲い掛かる。

 

「ギャバンパンチッ!!」

 

「マグナムチョップッ!!」

 

だが、即座にギャバンとシャリバンの反撃を喰らって赤い霧となり雲散した。

 

「後で覚えてろよっ!」

 

「覚えてたらなっ!」

 

2人はそう言い合うと、アルカ・ノイズ達の相手に集中するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………

 

キャロルの元では………

 

「ウオオオオオオォォォォォォォッ!!」

 

「!!」

 

拳を振り被って突っ込んで来る響に対し、魔法陣を多重に展開して盾にするキャロル。

 

「ダアアアアアアアッ!!」

 

だが、ガントレットが変形してブースターが点火されると、後ろ腰のブースターの推進力も上乗せされた拳は、魔法陣を容易く粉砕してキャロルに迫る!

 

「! チイッ!!」

 

キャロルは寸前のところで上空に飛んで躱す。

 

「ハアッ!!」

 

そして、響に向かって両手から糸を放つ。

 

「させませんっ!!」

 

しかし、シャイダーがウィップ状のレーザーブレードを振るい、逆にキャロルが放った糸を絡め取る。

 

「!!」

 

「ハアアアアアアァァァァァァァッ!!」

 

慌てて糸を外そうとしたキャロルだったが、そうはさせないとシャイダーがそのままキャロルを振り回す!

 

「! グアアアッ!?」

 

「ええいっ!!」

 

遠心力で生み出された凄まじいGにキャロルが思わず悲鳴を漏らした瞬間、シャイダーはそのままキャロルを投げ飛ばす。

 

「! クウッ!!」

 

錐揉みしながら空中にぶん投げられたキャロルだったが、すぐに体勢を立て直す。

 

「オオオオオオォォォォォォッ!!」

 

そこへ今度は、まるで車輪の様に身体を高速回転させている響が再度突っ込んで来た。

 

「ハッ! 回転で浮力を得たとて、所詮通常状態のシンフォギアで空中戦は出来まいっ!!」

 

そう言って突っ込んで来た響をアッサリと回避するキャロルだったが………

 

何と!

 

避けた筈の響が、空中でまるでブーメランの様に旋回して再びキャロルに向かって来た!

 

「!? 旋回しただとっ!?」

 

驚きながらも回避行動を続けるキャロルだったが、響は緩やかだった旋回から急に直角に曲がり、キャロルを肉薄した!

 

「!?」

 

「V3マッハキイイイイィィィィーーーーーーックッ!!」

 

嘗て、空を飛ぶデストロンの空中戦を得意とするツバサ一族に苦戦した仮面ライダーV3が死に物狂いの特訓で編み出した必殺技………

 

『V3マッハキック』が、キャロルに叩き込まれた!!

 

「!? グアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

全身の骨が悲鳴を挙げ、そのまま地面に叩き付けられるキャロル。

 

「「…………」」

 

激しい粉煙が舞い上がる中、着地した響はシャイダーと並び立って油断無く構えを執っている。

 

「響ちゃんっ!」

 

「シャイダーッ!」

 

とそこで、アルカ・ノイズ達を片付け終わったギャバン達が合流する。

 

「クククククク………」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

粉煙の中から笑い声が聞こえて来て、一同が身構えると、口の端から血を垂らしているキャロルが姿を見せる。

 

「相変わらず俺の想像の上を軽く行ってくれるな、貴様等は………」

 

口の端の血を拭いながら、キャロルがそう言う。

 

その戦意はまだ揺らいでいない

 

「「キャロルちゃん………」」

 

その姿に響とシャイダーが悲し気に呟く。

 

「だが! このダウルダブラの力がこの程度だとは思わない事だ!!」

 

とそこで、キャロルがそう吠えたかと思うと、上空へと飛び上がり、両手の中に光の塊を形成する。

 

「! 何をする積りだっ!?」

 

翼がそう声を挙げた瞬間………

 

 

 

 

 

嗚呼、終焉への追走曲(カノン)が薫る

 

殺戮の福音に血反吐と散れ

 

 

 

 

 

「!? コレはっ!?」

 

「歌だとっ!?」

 

歌い始めたキャロルに、クリスと奏が驚きの声を挙げる。

 

 

 

 

 

微分子レベルまで解剖して

 

反逆を永劫に断つ

 

 

 

 

 

すると、歌い始めたキャロルに呼応するかの様に光の塊の輝きが増して行く。

 

 

 

 

 

るLuリRぁ…宇宙が傾き

 

RゥるRiラ…太陽が凍る

 

Genocide&genocide

 

 

 

 

 

不意に両腕を左右に広げたかと思うと、ダウルダブラの背中の部分を展開され、弦が激しく振動しながらスパークを発する!

 

 

 

 

 

血液一滴残らず

 

憎悪と力で掻き毟る

 

 

 

 

そして、キャロルの背後に金色の魔法陣が展開されたかと思うと、金色の4つの竜巻が放たれた!!

 

「! 避けろっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

ギャバンが叫ぶと、装者達と宇宙刑事達は慌てて散会!

 

4つの竜巻は纏まって1つの巨大竜巻となり、先程まで宇宙刑事達と装者達が居た場所を抉り取る様に破壊した!

 

その威力は、コレまでの比では無い!

 

 

 

 

 

震え怖じよ…世界の崩れるLove song

 

 

 

 

 

その様子に、キャロルが満足そうな笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

S.O.N.G.の潜水艦の発令所………

 

その様子は、本部の方でも観測されていた。

 

「交戦地点のエネルギー圧、急上昇っ!!」

 

「照合完了! この波形パターンは!?………」

 

「『フォニックスゲイン』だとぉっ!?」

 

朔也とあおいが出したデータに、弦十郎は驚愕しながら思わず席から立ち上がる。

 

「驚いたわね………こんな形でフォニックスゲインを利用して来るなんて………」

 

了子にとっても予想外の出来事だったのか、驚きを隠せずに居る。

 

「コレは………キャロル………の………」

 

そんな中で、顔色の悪いエルフナインが苦しそうに漏らす。

 

「? エルフナインちゃん、如何したの? 顔色が悪いわよ?」

 

と、そんなエルフナインの様子に気付いたあおいが心配そうに声を掛ける。

 

「い、いえ! 大丈夫です………大丈………」

 

何でも無いと返そうとしたエルフナインだったが、そこでその小さな体がグラリと揺れ、席からずり落ちた。

 

「!? エルフナインちゃんっ!!」

 

慌てて席を離れてエルフナインに駆け寄るあおい。

 

「!?」

 

「如何したっ!?」

 

「!!」

 

それに気付いた朔也と弦十郎も驚き、了子はあおいと同じ様にエルフナインの元へ駆け寄る。

 

「ハア………ハア………」

 

その間にもエルフナインの顔色はドンドン悪くなっており、呼吸も途切れ途切れになって行っている。

 

「! ドクター・ウェル! 指令室に来て! エルフナインちゃんが………」

 

「いえ………無駄です………如何やら………寿()()が………来たみたい………です………」

 

自分だけでは手に負えないと思った了子が、ウェルを呼び出そうとしたが、他ならぬエルフナインがそう言って止める。

 

「!? 寿命って!?………」

 

「僕は………元々………キャロルの………予備の身体として………作られましたが………失敗作だった………出来損ないホムンクルス………なんです………だから………寿命も………短く………なっていて………」

 

「「「「!?」」」」

 

驚くあおいに、エルフナインの口から衝撃的な真実が語られた!

 

「何でそんな大事な事、黙ってたの!?」

 

「僕のせいで………皆さんに………心配を掛けてしまっては………キャロルを………止められなくなるのではと………思って………」

 

「馬鹿っ!!」

 

自分のせいでキャロルを止める事に支障が出てはいけないと思ったエルフナインは、今までずっと黙っていたのだと言う。

 

「僕は良いんです………それよりも………キャロルを………キャロルを………止め………て………」

 

「「エルフナインちゃんっ!!」」

 

呼吸の途切れる感覚が長くなって行くエルフナインを見て、了子とあおいが悲鳴の様な声を挙げる。

 

するとそこで………

 

その小さな身体が誰かに抱き上げられる。

 

「あ………」

 

「まだ諦めるのは早いぞ。何より君には結果を見届ける義務が有る」

 

声を漏らしたエルフナインに、抱き上げた人物………ベン所長がそう言う。

 

「「「ベン所長っ!」」」

 

「エルフナインくんに事は私達に任せてくれ。宇宙刑事達と装者達には戦闘に集中させるんだ」

 

「! お願いします!」

 

驚きの声を挙げる了子・あおい・朔也を横目に、ベン所長は弦十郎にそう言い、エルフナインを医務室へ連れて行くのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

都庁前の広場………

 

「この威力! まるで………」

 

「すっ惚けが利くものか! これは『絶唱』だっ!!」

 

捲れ上がった地面の影に隠れて爆風を凌いでいた翼とクリスがそう言い合う。

 

キャロルが行った攻撃は、正にシンフォギア最大の武器である『絶唱』そのものであった!

 

その間にも、キャロルからは金色の竜巻が次々に放たれる。

 

「絶唱を負荷も無く口にする!………」

 

「錬金術ってのは、何でも有りデスかっ!?」

 

絶唱クラスの攻撃を連発するキャロルに、調と切歌が戦慄を覚える。

 

今のところ回避には成功しているが、余波で街はドンドン瓦礫の山と化して行っている。

 

「だったらS2CAで!!………」

 

「止せっ!!」

 

「あんな威力じゃ、響の身体の方が持たないよっ!!」

 

絶唱ならばS2CAでコントロール出来ると考えた響だったが、あの威力では響の身体の方が持たないと思った奏と未来が止める。

 

その間にもキャロルは歌い続け、とうとう高まったフォニックスゲインが衝撃波を発するまでのレベルとなる!

 

「「「「「グウッ!!」」」」」

 

「「「「「クッ!!」」」」」

 

「! 皆! アレを見てっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

宇宙刑事達と装者達がその衝撃波に耐えていると、マリアが何かに気付く。

 

見れば、チフォージュ・シャトーが琴の様な音を発しながら、明滅を繰り返していた。

 

「明滅?………」

 

「琴?………」

 

「! まさかっ!? 共振しているのかっ!?」

 

翼とセレナが呟いていると、シャリバンがそう推察する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

S.O.N.G.の潜水艦の発令所………

 

「まるで城塞全体が音叉の様に、キャロルの唄に共振………エネルギーを増幅しています!」

 

本部の朔也も、それを裏付ける報告を挙げる。

 

すると、その次の瞬間!!

 

チフォージュ・シャトーの下部から、増幅されたエネルギーが地上に向かって放たれた!!

 

放たれたエネルギーは、十字状に地球を包み込み、更に細かなラインが広がって、地球全体を覆った!!

 

「放射線状に拡散したエネルギー波は、地表に沿って収斂しつつあります!」

 

「コレは………まさかっ!?」

 

あおいの報告に、弦十郎が再度驚愕の声を挙げる。

 

そのエネルギー波が描いている軌跡は、正にフォトスフィアの物だった!

 

「エネルギー波! 堆積地へと収束!」

 

「屹立します!!」

 

そして、遂には………

 

地球に光の柱が立ち上った!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

都庁前の広場………

 

「コレが世界に分解だっ!!」

 

勝利宣言の様にキャロルが両腕を広げて叫ぶ。

 

「そんな事はっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

そうはさせないと、響が拳を構え、宇宙刑事達と装者達も一斉にキャロルへと飛び掛かろうとしたが………

 

「御苦労でした………キャロル・マールス・ディーンハイム」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

そう言う声が聞こえて来て、宇宙刑事達と装者達、そしてキャロルが振り返ると、そこには………

 

「遂に大帝王クビライ様が再びこの地球の支配者として君臨する時が来ました」

 

何時の間にかチフォージュ・シャトーの上に佇んでいた神官ポーの姿が在った!

 

「神官ポーッ!!」

 

「貴様! 何の積りだっ! 最早世界の分解は止められんぞっ!!」

 

シャイダーとキャロルが、神官ポーに向かって叫ぶ。

 

「止める?………何故そんな事をする必要が有るのですか?」

 

「!? 何っ!?」

 

「如何言う事だっ!!」

 

しかし、神官ポーがそう返すと、キャロルが驚き、ギャバンが問い質した、その瞬間!!

 

「フハハハハハハハッ!!」

 

高笑いが響き渡り、チフォージュ・シャトーが粘土の様にグニャグニャと形を変え始めたかと思うと………

 

その城塞正面に………

 

大帝王クビライの顔が出現した!!

 

「! 大帝王クビライッ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

シャイダーが叫ぶと、宇宙刑事達と装者達は驚きを露わにする。

 

「時は来た………今こそ我が野望………『地球フーマ化計画』の瞬間が訪れたのだ!」

 

「! 地球フーマ化計画だとっ!?」

 

「一体………何をする積りなの!?」

 

大帝王クビライが口にした『地球フーマ化計画』に、キャロルと響は驚愕と困惑の入り混じった表情を向けるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

遂に開始されたキャロルとの決戦。
アルカ・ノイズ達を撃滅し、キャロルと対峙する装者達と宇宙刑事達だが………
キャロルは遂に切り札である歌を唄い、チフォージュ・シャトーを起動。
世界に分解を開始する。

………かに思えたが、その瞬間にフーマが動きます。
何と、チフォージュ・シャトーそのものがクビライとなり、制御を乗っ取ってしまいます。
そして明かされるフーマの狙い………
『地球フーマ化計画』とは?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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