とあるオタク女の受難(インフィニット・ストラトス編)。リメイク 作:SUN'S
「おはようござ、シュトロハイム様!?」
「おや、ボーデヴィッヒ少佐?」
私は教官の居るであろう寮母室を訪ねるとリヒャルト・シュトロハイム様がいた。なぜ、どうして、こんなところに?私はあまりにも突然の出来事に驚きつつ、すぐに姿勢を正す。
ゆっくりと深呼吸を繰り返しながら教官の寝室にいらっしゃる理由を問う。そんなもの分かりきっているというのに私は期待しているのだ。
シュトロハイム様は偶然にも教官の寝室に来ていただけだと。しかし、私の期待はあっけなく砕かれた。シュトロハイム様は教官を訪ね、私はたまたま居合わせただけである。
「ラウラか。なにか用事でもあるのか?」
「あっ、いえ…何でもありません」
がちゃりと音を立てて開かれた寮母室の扉から出てきた教官を見て、私は情けなさと惨めな気持ちに押し潰されそうになる。
あまりにも教官がキレイだったのだ。
私のように煤けた兵器の臭いを纏うものとは違う。
まさに教官はシュトロハイム様とお似合いの気品溢れる女性だ。私は逃げるようにその場を去り、だんだんと涙のせいで視界が滲んでいく。
「ハァ、ハァッ、くそ、なぜだ!?」
私の様なものが話し掛けることすら烏滸がましい高貴な御方と恋仲となった教官を羨んだ事はあれど憎んだ事は一度もない。
彼女は私を強くしてくれた。
「それなのに…どうして、胸が痛いんだッ」
私は誰もいない更衣室の壁際に座り込み、シュトロハイム様が言って下さった「強くなったな」という言葉を思い出す。
シュトロハイム様のかけてくれた、何気無いな一言が教官の言葉より師匠の言葉よりも心に残っている。私は教官を憎んでなどいない、いないはずなんだ。あの人のおかげで、私は強くなれたんだ。
「辛い、辛いのです、シュトロハイム様……」
ぽつり、ぽつり、私は独り言を呟く。決して誰にも届くことのない、私の、ラウラ・ボーデヴィッヒの醜い嫉妬を吐き出す。
どれだけ欲深く求めようと届かないと知っていながらシュトロハイム様に見初められた教官を羨み、自分のほうが先に好いていたのだと叫び、彼女を妬んでしまう浅ましい自分に嫌悪する。
ああ、もしも叶うのなら……
私はシュトロハイム様の愛を授かりたい。
浅ましく醜い感情で埋め尽くされながら私はシュトロハイム様と仲睦まじく逢瀬に出掛けていくときに教官の見せた優しげな笑みに、ぎりっと歯を食い縛るように耐える。
「うっ、うぅ、ああぁぁあ…うあぁぁぁッ!!!」
ああ、やっぱり、だめだ。