とあるオタク女の受難(インフィニット・ストラトス編)。リメイク 作:SUN'S
○月《日
織斑一夏と篠ノ之箒の特訓は順調だ。
もっとも私の教えを守れているのかは怪しいが、接近戦での立ち回りは良くなっている。とくに瞬時加速(イグニッション・ブースト)の使い方だ。直線的な加速ではあるものの織斑一夏の加速するタイミングのズレは候補生でも驚くだろう。
ただ、私も調子に乗りすぎた。彼らに教える必要のない技術も与えたため剣術に関しては私の予想とは違う方向へ成長し、ブリュンヒルデが「私の弟は何になろうとしているんだ?」と問うほどおかしい。
それは知らん。
私は教えているだけで織斑一夏の師匠になったつもりはない。むしろ私が聞きたいくらいだ。なぜ、ちょっと見せただけで真似る?私の動きを盗めとは言ったが、そこまでやれとは言っていないぞ。
ああ、それとだ。ブリュンヒルデ、お前の太刀筋を真似ていたから修正しておいた。いくら弟でもブリュンヒルデの振るっているものは根本的に使うことは無理だと教えてある。
男女の骨格や筋肉の違いがある。完璧に真似るのは不可能。それは却って成長を妨げるものだ。まったく弟だからと放置するなよ?
○月〔日
篠ノ之箒に織斑一夏が好きなのかと問われた。しかし、私はハッキリとアイツは無いと答えておいた。だいたい、色恋に現を抜かすほど私は暇じゃない。
ん?ああ、それとだ。
篠ノ之箒、お前が織斑一夏を好いているのは納得した。だが、そう悠長に構えていられる時間は少ないぞ。いや、なぜだと聞かれても他国からハニートラップを受ける可能性は無いわけではないだろう。
私の言葉にハッとした表情を浮かべる篠ノ之箒の肩を掴み、そうならないためにブリュンヒルデはお前と織斑一夏を同室にした。つまり、お前はブリュンヒルデ公認のお嫁さん候補なのだ。
まあ、それが本当かは知らんが。篠ノ之箒よ、お前の一途すぎる愛で織斑一夏を落とせ。そうすれば織斑一夏に近づくものはいなくなり、これからの学園生活は世界最高の彼氏とイチャラブできるぞ。
そう言うと篠ノ之箒は学生寮へと走り出し、私は缶コーヒーを飲みながら、さっきの会話を聞いていたブリュンヒルデに私の推測は合っているのかを問うと「…知らんやつに任せるよりかはいい」と答えた。
実質、織斑一夏と篠ノ之箒は許嫁ということか。そう私が勝手に納得していると訓練機の標準武装「葵」で斬りかかってきたブリュンヒルデに合わせて刀身に蹴りをぶつける。
全く私じゃなかったら怪我しているぞ。
○月<日
あれは織斑一夏によるものなのか。
それとも篠ノ之箒のものなのか。
私は彼らの首筋に出来た虫刺されについて問い詰めたい欲求を抑えつつ、殺意の籠った目で見られる篠ノ之箒にクスリと笑ってしまう。私が唆したとはいえ簡単にくっつきすぎだ。
まあ、そうなりたいと彼らは想っていたのだろうと考えれば当然の結果だ。しかし、なぜお前たちは私に「付き合うことになりました」と報告をする。私がくっつけたみたいになっているじゃないか。
ん?ああ、生徒会長か。
いや、私は恋愛マスターじゃないぞ。ただ、あいつらの反応がイラつくから唆しただけだ。好きなら好きと言えば良いものを、向こうからあっちからと待ちぼうけていては奪われる。
そうなりたくなければやれと言っただけだ。なぜ、私を崇める。私に教示してほしいと言われても無理だ、まず篠ノ之箒のように相手を探せ。そうすればやりようはいくらでもある。