とあるオタク女の受難(インフィニット・ストラトス編)。リメイク 作:SUN'S
私の恋人の一夏と(自称セカンド幼馴染みの)凰のエキシビションマッチを仲良くなれたオルコットや先輩と一緒に座って見守る。
「このバカ一夏ァ!!あたしとの約束も覚えてないくせに、なに彼女なんか作ってるのよおぉ!」
「ぐっ、おわぁ!?約束って…酢豚のことか?あれは断っただろ!」
「ふっざけんなあぁぁぁ!!!!!あたしの一世一代の告白を「いや毎日酢豚は無理だよ、ごめん」ってなによ!?」
ただの痴情の縺れかと勘違いしそうになるが一夏の恋人は私だ。いくら告白していようと断れたのだから諦めるのが筋というものだ。
オルコットはハァ…と深い溜め息を吐きながら「英国紳士なら赤点ですわね、なぜ篠ノ之さんは彼と付き合っているのか理解できません」とつぶやき、先輩は「ふむ、致命傷は避けられているな。特訓の成果とはいえギリギリ及第点だ」と言う。
確かに一夏は女の子に優しくする事が多くモテているのは事実だ。イギリスの紳士というのはよく分からないけれど、私からすれば凰の告白を断ってくれただけで百点満点だ。
「スゥーーーッ、噴ッ!!」
一夏が全身を力ませる。
私のいる観客席にまでギチギチと筋肉の軋む音が聴こえてくる。いったい、なにをするつもりなんだと首を傾げた次の瞬間だ。一夏の振り上げた雪片弐型を起点として突風、いやカマイタチが発生した。
「……Japanese ninja magic」
「オルコット、普通に話してくれ」
「…んんっ、失礼しました。まさか織斑さんが侍ではなく忍者とは知りませんでしたわ。篠ノ之箒さん、あれが日本の忍術"フウトン"なのですわね?ああ、もしや篠ノ之さんは織斑さんの仕えるお姫様なのかしら?それもそれでいいですわね、どうなんですの?私としては主従の関係を越えて結ばれたお二人を応援するのは吝かではありませんが、いえ見守るのも友人として必要なスタンスですわね!」
「む?むぅ?」
オルコットのとてつもない早口に驚くよりも何を言っているのか分からず、チラチラと先輩を見て助けを求める。しかし、先輩は私とオルコットでも一夏と凰でもなく空を睨み付けていた。
ギャリイィィィィンッとアリーナを塞ぐバリアを吹き飛ばし、真っ黒な何かが落ちてきた。あれはなんだろうかと考えようとした瞬間、つんざくような悲鳴が響く。
「リン、お前のなにか知ってるか?」
「ううん、なにも知らないわ。とりあえず、無力化したほうが良さそう、ねぇ!!!」
そう凰が言うと同時にゴウッという二対の大刀を振り上げ、一夏と戦っていた時の無鉄砲な動きとは違う。まるで舞踊のごとく軽やかに空を飛び、侵入者に大刀を叩きつける。
一夏も加勢しているが侵入者の動きは精密で一撃も与えられていない。どうする、どうすればいい?私に何か出来ることはないのか?と考えていると先輩が肩を叩いてきた。
「な、なんですか?」
「ブリュンヒルデに許可を貰った。お前も加勢しにいけば勝機は上がる、いけるな?」
私は先輩の差し出してきたものを見る。
それは
「篠ノ之箒、白鴎…参る!!」
私の身体を包んだISは『白鴎』の名の通り。美しい白色の装甲に翼状のスラスターを搭載しており、カタログでは第三世代最速の機体だ。
「新手かって、箒!?」
「あんたも白色、お揃いなんてずるい!」
「う、うむ、お揃い、ふふ…」
「くっっっっそムカつくわね!」
ぎゃーぎゃーと喚く凰を押し退け、右手に現れた日本刀型装備でレーザーを斬り伏せる。一夏がやっていたから私にも出来るのでは?と考えていたが、これは思っていたよりも怖いな。
「一夏、凰、まずはアイツを倒すぞ!」
〈アリーナ管理室〉
私はハァ…と溜め息を吐いた。
おそらくアイツがお膳立てのつもりで寄越したであろう謎の機体は一夏と篠ノ之、それから凰によって無力化されつつある。
織斑は冷静に攻めているが決め手が使えないことに焦りを感じている。篠ノ之も初戦闘ゆえ拙い戦い方だ。凰は衝撃砲を多用し、視線によって弾道を予測されてしまっている。
「それで?なぜ、お前は動かない」
私は観客席に座ったまま動こうとしない生徒を画面越しに睨み付ける。お前が戦えば数秒で倒せるだろ。どうして、一夏たちに任せるんだ。
しかし、そいつは動くどころか逃げもしない。徹底的に見守ることに集中しているのか、あるいは一夏たちを品定めしているのか。
まったく面倒なやつだ。