一般高育生の日常   作:平田しか勝たん

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彼女に振られた腹いせに初投稿です。


プロローグ

 うわっ、不良ばっかじゃん。おかしくね?ここ確か国立の高校だったはずだよな。

 

 窓側の最後列に座ってる奴なんて、ロン毛に黒シャツで机に脚のっけてるし、なんか見るからに堅気じゃない黒人さんいるし。てかみなさん髪色奇抜すぎません?

 周りを見渡せば、赤、青、ピンク、黄、紫、、、もしかして来る学校間違えたんかな。

 

 そうやって席について今後の学校生活への絶望に浸っていると、隣のギャル軍団から話しかけられた。

 

「ねね。私、真鍋志保っていうんだけど、君は?」

 

 かわいい。めっちゃかわいい。類に漏れず髪色が奇抜なのが気になるけど、それも似合っているかわいさ。日本人顔なのに黄緑の髪色が似あうなんて、地毛なんかな。てか他の子もレベルたっか。

 

 グループで話してる中、いきなり新しく来たやつに話しかけられるってことは、この真鍋って子がこのグループのリーダー的存在なのかな。入学して数分で早すぎないか。やっぱり女の子はすごい。

 

「俺は仁科亮介。よろしく」

 

 爽やかスマイルを心がける。顔面力には多少自信がある。

 

「よろしく!仁科くんはどこから来たの?」

「埼玉のド田舎から来てさ、今都会の人の多さにビビってるところ」

「うそでしょ?埼玉って都会じゃん!私なんて岐阜だよ?それに仁科くんめっちゃ遊びなれてるっぽいし」

「そんなことないって。いまも真鍋さんと話すのめっちゃ緊張してる」

「ほんとにぃ?そんな風に見えないけど」

「まじだって。こんなかわいい人地元にいなかったから」

「え待って、私今口説かれてる?」

 

 

「ちょっと二人だけで盛り上がってないであたしたちも混ぜてよ~」

「ごめんごめ~ん」

 

 ギャルグループの一人が割って入ってきて、真鍋との会話は終了し、その後他の三人とも自己紹介を交わした。五人で会話している中に途中から園田正志という男子も加わり、最終的にその六人で一つのグループのような形になったところで、先生らしき男性が教室に入ってきた。

 

 俺たちは一旦話をやめ、先生(坂上という名前だった)のこの学校に関する説明、主にSシステムに関する説明を聞く。この学校ではプライベートポイントというものが通貨の役割を果たしていて、1ポイント=1円扱いになり、なんとひと月で10万ポイントももらえるらしい。

 

 それを聞いた途端、クラスが大きな歓喜に包まれていた。真鍋たちも、どんなブランドの服を買うだのと話をしている。かくいう俺も舞い上がっていて、園田とともに10万ポイントの使い道について話していた。しかし、

 

「うるせえ!少し黙れ」

 

あの主人公席に座っていたロン毛君の一声によって教室内は静まり返った。

 

「最初からそうやって静かにしろ。坂上、早く続けろ」

 

 やべえよ、あいつ。本当に義務教育受けてきたのかよ。進学、就職の希望を百パーセント叶えるような学校に来るような人間じゃないだろ明らかに。

 

「龍園君、先生を呼び捨てにするのはどうかと思いますが、彼の言う通りです。10万という学生にとっては大金に盛り上がるのもわかりますが、もう少し静かに話を聞きましょうね。さらに言えば、この敷地内でプライベートポイントで買えないものはありません。ご利用は計画的に、というわけです」

 

 買えないものはないってことはキャバクラとかも行けるのか!?いや、さすがに未成年はだめか。てかそもそもこの学校の敷地には学生しか住んでないんだからキャバクラとかないか。

 

「ただ、恐喝などしてカツアゲするのはやめてくださいね。プライベートポイントの個人間のやり取りは自由ですが、そのようなことが発覚した場合は、重い罰則が科せられるでしょう。いじめに関しても、厳しく取り締まります。もっとも、日本の未来を担うようなあなたたちがそんなことをするとは思いませんが」

 

 それを聞いた途端、ロン毛君は「フンッ」と鼻を鳴らした。先生は多分君に言ってるぞ?他にもカツアゲとかしそうなやついるけど。

 

「最後に、この学校では学年を上がる際のクラス替えはありませんので、私が三年間あなたたちの担任となります。三年間、よろしくお願いします」

 

 クラス分けないってことは三年間あのロン毛と同クラかよ。てか文理選択とかどうなってんの?理系一択とかだったら詰むんだけど。もっとちゃんとパンフレットとか読んどけばよかった…

 

「何か質問のある方はいますか」

 

 坂上先生がそう言うと、なんとあのロン毛が立ち上がった。

 

「10万ポイントは毎月もらえるのか」

 

 どういう質問だ?教室内もまたザワザワし始めた。坂上先生は毎月初日にポイントが振り込まれるって… 10万ポイントとは言われてないのか?でもわざわざそんなことする意味は何だろうか。いずれにしても坂上先生の答え方次第で

 

「申し訳ありませんが、それについてはお答えできません」

 

 分からなかったよ…でもわざわざ沈黙するってことは毎月もらえるわけじゃないってことなのか。もらえるポイントは変動する。原因は勉強とか、もしかしたら部活動とかか。周囲のザワザワがより一層増した。前の席の園田も難しそうな顔をして、後ろを見てきた。

 

「毎月10万はもらえないかもしれないってことか?」

「かもしれない。テストで赤点取ったら毎月のポイントが下がるとかあるんじゃない?」

「うわっ、まじで?きっつ」

 

 私立高校の特待生みたいだな。成績が下がったらポイントが下がるみたいな。ポイントが上がるかどうか微妙だから勉強やらないと。特に理系。

 

「そういうことかよ」

 

 ロン毛はどこで合点したのか、それだけ言って着席した。

 

「他に質問がないようなので、ここから入学式まで自由行動にしたいと思います。どこへいくも自由ですが、きちんと入学式が始まるときには着席しているように」

 

 え、もう終わり?ガイダンス的なやつ。入学式まで自由ってすごいな。

 早くも出来上がった真鍋グループで入学式の後どこへ行くのか話していると、見るからにガリ勉なメガネくん(しかしこれまたなぜか髪色は金髪)が急に立ち上がって発言を始めた。

 

「先生からは自由にしてていいと言われましたが、せっかくの機会ですので自己紹介をしませんか?これから3年間同じクラスになることですし」

 

 おお、よく言ってくれた!

 

「さんせーい」

「いいんじゃない」

 

 早速真鍋たちが賛成し、俺も続く形で声を上げる。その後も同意の声が多く上がり、自己紹介が始まった。

 

「では言い出しっぺの私から。金田悟と申します。部活はまだ決めていませんが、文化部に入るつもりです。3年間よろしくお願いいたします」

 

 そんな堅苦しい空気で始まったリレーも、小宮や近藤のおちゃらけた自己紹介で穏やかになり、ついに俺の番がやってきた。自己紹介に大事なのは内容よりも喋り方だ。ハキハキと喋ることを心がける。

 

「仁科亮介です。中学までサッカーをやっていたので、この学校でもサッカー部に入るつもりです。音楽、小説、漫画と多趣味なので話が合う人多いんじゃないかと思います。ぜひ仲良くしてください」

 

 そこそこウケはよかったみたいだ。俺の後に園田も自己紹介を行い、園田と俺で仲良くサッカー部に入ることをクラス中に知らしめた。

 そして最後の1人、ロン毛ぼっちに自己紹介が回ってきた。てっきりこういう会はめんどくさいと言って帰ってしまうようなタイプだと思ったが、友達が欲しくなったのかな?あの先生に対する態度を初っ端からかました後だと難しいと思うけど。

 

「龍園翔だ。石崎って言ったか、そこのお前。放課後俺について来い。逃げても無駄だぜ」

 

 まさかの初日から喧嘩売ってる…石崎君かわいそうに。でもなんか好戦的な顔してるしどっちもどっちか。

  

 

 入学式も終わり、放課後になった。ロン毛は石崎君を連れてすぐに出ていった。入学式には律儀に出るのね。あとこの学校は校歌がないらしい。練習させられると思ったから、最高だった。

 一度みんな寮に戻った後、今は真鍋グループの6人でショッピングモールに向かっている。

 

 10万ポイントあるし何に使おうかなー。服とか食器とかバスタオルとかは送ってもらったし、電子レンジとか冷蔵庫とかは寮に備え付けであると言われたので、買うとしたら洗剤とか化粧水…あれっ?

 

「10万ポイントじゃ足りなくね?」

「急にどうしたの?」

「いやさ、シャンプーとか洗剤とか色々買ったらさ、10万ポイントじゃ足りなくね?食費もあるし」

「え待って、そうじゃん!全然足りないかも!」

 

 真鍋や他の女子たちが焦り始める。不思議そうな顔をした園田が口を開いた。

 

「寮にあるやつでいいんじゃねえの?」

「いい訳ないでしょ!あんなの自分にあってるか分からないし、自分の好きなのが使えないのは嫌!」

 

 ちょっと怒ったような口調の真鍋に面食らってるが園田、その程度でビビってたらギャルと付き合うなんて夢のまた夢だぞ。

 でも少しかわいそうだから助け船でも出してやるか。

 

「ショッピングモールで買い物をするのってほとんどがここの学生だから、あんまり品数なさそうじゃない?早めにドラッグストアとかに買い行こうぜ」

「それマジだったらヤバいじゃん!早くいこ!」

 

 今まで静かだった女子、諸星さんが同調してくれた。眼鏡で三つ編みと、このグループだと少し浮いている容姿だが、空気を読む力は一級品らしい。

 

 そうして訪れたドラッグストアには、俺たちを驚かせるものがあった。

 

「無料コーナー?」

「ここ全部無料ってこと!?」

「でもシャンプー安物ばっかだー」

「あ、あたしの使ってるのあった!」

「え~、それ使ってんの趣味悪くない?」

 

 ポイントを使い切った人への救済措置だろうか。毎月もらえるポイントが変動するって考えると、こういうのが必要になってくるのか。傍で女性の先輩が大量に無料商品を抱えていた。まさか新学期初日から節約してるのか、それとももらえるポイントが少なすぎてこれくらいしかないのか。

 おそらく後者だ。話を聞いてみたかったが、もし赤点取りまくってもらえるポイントが減っている人だったら、地雷を踏みかねない。

 

「どうしたん?仁科くん」

「いや、ロン毛君の言ってたことは本当だったかもって」

「毎月ポイントが変動するってこと?」

 

 俺たちの中では、あのロン毛はロン毛君で定着していた。ちなみに金田はマッシュルーム。

 

「こんなに無料商品があるってことは、これがないと生活が苦しい生徒が多少はいるってことなんじゃないかな。毎月もらえるポイントが減ってる人とか」

「確かにねー。やっぱりポイントが減る原因ってテストの点とかかな」

「先生は生徒の実力をはかるって言ってたし、そうなんじゃない?あとは部活動とか。でも部活動は強制参加じゃないから、いい成績残したらポイントアップみたいな感じかも」

「仁科くんってもしかして頭いい?」

「マッシュルームほどじゃないよ」

「マッシュルームが勉強できるかまだ知らないじゃん。確かに勉強できそうだけど」

 

 そう言いながら真鍋はゲラゲラ笑う。その下品さに園田は少し引いた顔をしていたが、俺はこういう下品な笑い方をする女子は結構好感度高い。

 

「話変わるけどさ、仁科くんのつけてるブレスレットめっちゃきれいだよね。もしかして女の子にもらったやつ?」

 

 ニヤニヤした表情のまま真鍋が聞いてきた。

 どう答えたものか…

 

「男にもらったようなもんだよ」

「じゃあもらったのは女の子じゃん」

「男だって」

「怪しいなぁ」

 

 なんでだろうか、見た目も声も雰囲気も全然違うのに、しゃべり方だけあの人に似ている。

 

 結局買い物した後にカラオケに行って、その日は解散した。

 

 

 

 五月一日。教室の教卓をたたく音が大きく響いた。

 

「今日から俺がこのクラスの王だ。文句のあるやつはかかってこい」

 

 厨二病は中学で卒業しようぜ…ロン毛君。




高育の設定が全くなくてすみません。許さなくていいです。
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