新条から麻中はその話を聞いたが、とても信じられない内容だった。
それは、こことは違う世界で、神に近い存在になった事。
その世界において、自分が気に入らない人に対して、怪獣を作り、殺した事。
それらの罪を今でも忘れないように、涙を流しながら、告白した。
同時に、麻中は、その話の中にある確信を持てた。
「だからこそ、狙ったのか」
それは、新条の中にある怪獣を作り出す事ができる能力。
この世界に戻ってから、その能力はなくなったと聞いた。
しかし、それを何かの方法で力を発揮する可能性がある。
「ははっ、幻滅したかな」
「それは、どうだろうな。
昨日今日会ったばかりだからな。
それでも、自分の罪と向き合っているんだたら、良いんじゃないか」
「なんだか、軽いね」
「そうでもないよ。
何よりも、自分の罪を向き合っているのは、ウルトラマンもだから」
「ウルトラマンも」
その言葉に新条は、見つめる。
「ウルトラマンの事を知っているならば、分かるはずだろ。
ティガさんに、ヒカリさんも」
「…そう言われると」
ウルトラマンティガは、今でこそ光の巨人だが、古代では闇の巨人として、人を殺していた。
ウルトラマンヒカリもまた、ボガールの復讐の為に、多くの罪を背負った。
これまで、数多くのウルトラマンが、確かに罪を背負っている。
「だからこそ、罪と向き合っていくしかないんだ」
「そっか」
そう言った、新条は、どこか納得していた様子だった。
「向き合うしかないよね」
そう考えていた時だった。
麻中と、新条を睨むような影。
それに気づき、見る。
そこに立っていたのは、一人の巨人。
どこかウルトラマンに似た巨人であり、どこかメカニクルな印象があった。
「グリッドマン」
その言葉と共に、新条は見つめる。
グリッドマンはそのまま、麻中達に、襲い掛かろうとした。
だけど
「騙されないよ。
あの時の事を覚えているグリッドマンとは違うから」
まるで、その意思と共にグリッドマンの腕が徐々に剝がれていく。
それと共に見えたのは、一つ目の巨人、金属生命体アパテーだった。
同時に、麻中は懐からディメンションナイザーを取り出す。
『ディメンションロード!ウルトラマンリブット』
ディメンションナイザーから鳴り響く音声と共に現れたウルトラマンリブットは、そのまま地上へと降り立つと同時に、目の前にいるアパテーと対峙する。
アパテーもまた、ウルトラマンリブットの存在を感知すると共に、その右腕を槍へと変え、そのままウルトラマンリブットに向ける。
対して、ウルトラマンリブットもまた、その手に光の槍であるスプレッダーロッドを手に取り、構える。そして、両者が動き出す。
まず先に動いたのはアパテーであり、その全身を変化させながら、槍として突き出す。
だが、それをスプレッダーロッドによって弾くと、今度は逆にウルトラマンリブットの方から攻めていく。
そのスピードを活かした移動により、一瞬にしてアパテーの背後に回り込むと、そのまま勢いよく回し蹴りを叩き込み、更に空中に飛び上がってから踵落としを決める。
だが、それでもアパテーを倒すには至らない。それどころか、攻撃を受けたはずのアパテーの体には一切の変化はなく、まるでダメージを受けていないかのように振る舞う。
それに対して、驚きながらも冷静さを失わないウルトラマンリブットは、すぐさま距離を取る。
同時に、アパテーは、その身体を複数の槍へと変えると、一斉にウルトラマンリブットに向けて放つ。しかし、それらは全てスプレッダーロッドによって弾き飛ばされてしまう。
だが、それは予想していたのか、アパテーはすぐに槍の形を変えると、再び一つの大きなランスとなる。そして、そのまま大きく振りかぶると、一気に突き刺そうとする。
それに対し、ウルトラマンリブットはスプレッダーロッドを突き出す。
光の槍と、アパテーの巨大な槍が激突する。
火花を散らしながら、両者は拮抗するが、やがて力負けしたのか、徐々にスプレッダーロッドが押し込まれ始める。このままでは串刺しになると判断したのか、すぐにその場から離れる。
そのまま、アパテーはウルトラマンリブットに追撃するように接近すると、今度は巨大なランスとなったその体で何度も突きを放つ。
それに対して、ウルトラマンリブットも回避行動を取りつつ、反撃の機会を探るように立ち回る。
だが、いくら避けても、どれだけ攻撃をしても、アパテーにダメージはない。
それでも、ウルトラマンリブットは冷静に、逆転の一撃を狙おうとする。
そんな中、ふいにアパテーの動きに変化が現れる。
先ほどまで、ひたすら直線的な動きしか見せなかったアパテーだったが、突如として軌道を変えながらの攻撃を開始する。
まるで、立体的に移動しつつ、ウルトラマンリブットを攻撃するかのように……。
それに気づいた瞬間、ウルトラマンリブットはその狙いに気付く。
ウルトラマンリブットを召喚した麻中を狙っての動きだった。
すぐにウルトラマンリブットは、麻中を守る為に真っすぐと飛ぶ。
『ブロッカーエフェクト!』
そう、ウルトラマンリブットの叫び声と共に麻中を守るように、巨大な光の盾を出現させる。
そして、その盾に向かってアパテーが突進してくる。
それはまさに砲弾のような勢いであった。
だが、それを受けてもなお、光の盾は壊れない。
逆に、突進してきたアパテーの方がダメージを受けていた。
そんなアパテーに対して、今度はウルトラマンリブットもまた、構える。
『ギャラクシウムブラスター!』
右肘の前に左手を当て、腕をL字に組んで必殺光線を放つ。
その光線が直撃したアパテーは、そのまま空へと吹き飛ばされる。
なんとか、耐えようとするが、耐えきれず、そのまま空中で爆散する。
それが戦いの決着だった。
「ふぅ、なんとかなったか」
「それにしても、そう思ったらうぅん」
戦いを終えると、新条は少し悩んでいる様子だった。
「新条」
「いや、怪獣を間近で見たら、少し興奮して」
「えぇ」
あまりにも緊張感のない様子に、思わず呆れてしまう麻中だった。
今回の話にて、2巻の間の麻中の話は終了となります。
次回からは3巻の内容となっています。
その際、3巻のキーワードである聖剣と復讐。
そのどちらかと該当するキャラをゲストキャラを選ばせてもらいました。
よろしく、お願いします。
麻中と一体化しているウルトラマンは
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ギンガ
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ビクトリー
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X
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オーブ
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ジード
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ロッソ
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ブル
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タイガ
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ゼット
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トリガー
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デッカー