体育祭が行われた日。
その日、木場は雨の中、帰っていた。
それは彼にとって、大きな出来事。
成し遂げなければならない事を思い出したからだ。
だが、それを思い出したとして、それを達成するには、どうすれば良いのか。
それが分からず、雨の中を彷徨うように歩いていた。
「こんな雨の中で、傘をささずに歩いて、どうしたんだい少年」
聞こえた声。
それはねっとりと、まるで粘りつくような声だった。
その声を聞き、木場はすぐに振り返る。
そこに立っていたのは、1人の男だった。
黒いスーツを身に纏い、不気味な雰囲気を出す男。
すぐに常人ではない事を察した木場は、その手に魔剣を造り出す。
「おいおい、そんなにすぐに殺気を出すなよ。
危なくて仕方ないだろぉ」
そう、造り出していたはずの魔剣は何時の間にか持ち手を残したまま刀身が無くなっていた。
見れば、その男の手には何時の間にか握られていたのか、剣があった。
それも放たれる剣のオーラから考えても、明らかに普通ではない。
だからこそ、覚えがあった。
「エクスカリバーっなんで!」
「あぁ、そこで拾ったんだよ。
あぁ、けど、いらねぇな、こんなの」
そう男はまるでゴミを捨てるように、軽々とエクスカリバーを捨てた。
その事に、木場は驚きを隠せずに見ていた。
「お前、悪魔なんだろ。
それも、かなり良い闇を抱えているじゃないか」
それと共に、そのまま男は、そのまま近づく。
警戒しながら、何が起きてもすぐに対応できるように。
そう考えていた時だった。
後ろから聞こえる音。
それに一瞬、気を取られた。
「おいおい、俺から目を離すなよ。
油断は大敵だぞ」
その言葉と共に、すぐに振り返る。
見ると、男は何時の間にか日本刀を手に持っていた。
そのまま日本刀の刀身が木場の方へと向けられていた。
その一撃を避けられない。
だが、その一閃は当たる事はなかった。
その刀身の狙いは、木場ではなく、木場に攻撃をしようとしていた存在だった。
すぐに振り返ると、そこには巨大な怪物がいた。
裏の世界でも多くの生物を見ていた木場だが、その存在は、まるで見た事がなかった。
「ゼットンか。
まぁ、狙っていた奴だから、十分だけどな」
そう、その生物の正体が分かるように男はニヒルな笑みを浮かべる。
「あなたは、あの怪獣を知っているんですか」
裏でも、未だに不明な事が多い存在を知っている。
その事に木場は驚きながら聞く。
「くくっ、あぁ、知っているよ。
だけど、お前に教える必要はあるかなぁ?」
それと共に木場に向けて、そう言いながらも、ゼットンを見るのを止めない。
いや、木場を敵とすら見ていない。
「さて、そろそろ来るな。
ウルトラマンがな」
「ウルトラマン」
それは、光の巨人の名。
その事しか知らない。
だが、まるで、その存在を知っているように、男は言う。
それと同時だった。
『ディメンションロード! ウルトラマンネクサス』
聞こえた音と共に、見れば、そこには確かに銀色の巨人がいた。
巨大な見上げる程の銀色の巨人。
これまでの巨人とは違い、胸元にはハートを思わせる赤いランプがある。
「あれは」
「ウルトラマンネクサス。
かつては神と同等とされた存在が弱体化した姿だ」
「あなたは、一体」
そうしている間にも、戦いは始まろうとしていた。
「ゼットーン……」
その唸りのような声に続けて「ピポポポポポポ……」という電子音じみた音を発するという、生物としては異質な鳴き声を発しながら、目の前にいるウルトラマンネクサスを見つめる。
そんなゼットンに対して、ウルトラマンネクサスもまた、ゆっくりと構える。
それと同時だった。
一瞬で、ゼットンの姿が消える。
その事に驚きを隠せないウルトラマンネクサス。
だが、次の瞬間、背中に燃える衝撃が襲い掛かる。
急いで、振り返ると、そこには火球を放ったゼットンの姿だった。
ゼットンは火球を放ちつつ、ウルトラマンネクサスへと迫る。
そして、火球の爆発と同時に拳を放つ。
それは見事に命中し、吹き飛ばされたウルトラマンネクサスは地面を転がった。
それでも何とか立ち上がろうとすると、今度は蹴りが腹部へ命中する。
そのまま地面に倒れ伏す。
そんなウルトラマンネクサスに対して、ゼットンは容赦なく火球を放ってくる。
すぐにウルトラマンネクサスは地面を転がりながら、それを避ける。
すると、またもやゼットンは姿を消した。
「ピポポポポポポ……ピポポポポポポ」
ゼットンの声が聞こえるが、その姿を確認する事が出来ない。
ウルトラマンネクサスは、すぐに立ち上がると同時に、周りを警戒するように見渡す。
すると、背後から何かが迫ってくる気配を感じた。
すぐさま、そちらを振り向くと、そこにゼットンがいた。
しかし、その両手には火球が形成されていた。
それを放とうとしているのか、ゼットンは腕を引き絞るようにしていた。
「ピポポポポポポ……ピポポポポポポ」
そんなゼットンに対して、ウルトラマンネクサスは姿を変えた。
先程まで銀一色の姿から一変、青い姿、ジュネッスブルーに変わる。
ジュネッスブルーとなったネクサスはアローアームドネクサスから光の剣を生成すると共に、ゼットンの放った火球を真っ二つに斬り裂く。
それにより、ゼットンの攻撃は失敗に終わった。
その隙を狙って、ネクサスは走り出す。
それに対して、ゼットンは次々と炎球を飛ばして来るが、それらは全て切り裂かれるか、避ける。
そうして、一気に接近したネクサスはそのまま、光の剣を振るう。
ゼットンは咄嵯に後ろに飛ぶ事で、それを回避する。
だが、それは、ウルトラマンネクサスの狙いでもあった。
ウルトラマンネクサスは胸元のエナジーコアの光を右腕のアローアームドネクサスに投影してアローモードを形成、光の弓を引き絞り、そのまま超高速の光の弓を放つ。
放たれた一撃は、ゼットンを真っ二つに斬り裂き、その体を爆散させた。
「ピポポポポポポポ……」
ゼットンの断末魔の鳴き声が響き渡る。
「っ」
それまで、戦いを見ていた木場は、目を見開いていた。
「くくっ、やはり凄まじいなぁ、ウルトラマンは。
まぁ、奴らも未だに本気を出していないからな」
「ウルトラマンの、目的を知っているんですか」
「目的?
そんなの、知らないよ。
俺はあいつらの仲間じゃないからな。
まぁ強いて言えば、この世界を守る事じゃないかな」
「どういう事なんですか」
「それは、本人に聞け。
まぁ、お前はそれよりも解決しないといけない事、あるだろ」
男の言葉に気づき、振り返る。
そこには、男が捨てたエクスカリバーが既に無くなっていた。
男がずっと隣にいた為、男が拾った可能性はないと考えていた。
「この街に、エクスカリバーの奴が」
「それじゃあな、またの機会に会おう」
そう考えている間にも、男は既に消えていた。
それに対して、呆然とする事しかできなかった。
そして、木場の前から消えた男は、ゆっくりと歩を進めていた。
その手には、先程の戦闘で倒された怪獣であるゼットンのカードがあった。
同時に、近くにはディメンションナイザーを手にしていた麻中もいた。
「よぉ、久し振りだな、麻中」
「んっ?」
聞こえた声。
それに麻中は振り返る。
同時に、目の前にいた人物に対して、驚きを隠せなかった。
「じゃっジャグラーさん!」
そう、男、ジャグラスジャグラーがそこに立っていた。
麻中と一体化しているウルトラマンは
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ギンガ
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ビクトリー
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X
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オーブ
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ジード
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ロッソ
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ブル
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タイガ
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ゼット
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トリガー
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デッカー