ハイスクールU✕D   作:ボルメテウスさん

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挑戦する仲間達

 麻中と黒歌とモーラットの旅は続いた。

 

 彼らが向かった先は、目的としている場所へと辿り着く。

 

「それにしても、まさかリアス先輩の領地だったとはな。というよりも、悪魔の世界とは」

 

「それよりも、本当に今まで気づかなかった麻中の方がどうかと思うにゃ」

 

「そう言われてもな。そもそも、あのトレギアだから、どこに送りつけるか分からないからな」

 

「トレギア。前から気になっていたけど、あいつは一体何者なんだにゃ? 普通の人間から出せるとは思えないけど」

 

「……ウルトラマンだよ」

 

「にゃ!?」

 

 麻中の言葉に対して、黒歌は目を開いて、驚きを隠せない様子だった。

 

「ウルトラマンって、あんないかにも悪人のような奴がにゃ」

 

「色々、あったんだよ。人間だろうと、ウルトラマンだろうと」

 

 そう言いながらも麻中はそのまま目的の場所へと向かう。

 

 同時に感じたのは、違和感だった。

 

 長い旅の終着点とも言える場所についたはず。

 

 なのに、そこに感じたのは悪寒だった。

 

「これは」

 

「急ごう」

 

 何か嫌な予感がした。

 

 俺達がすぐに向かった先。

 

 そこにはパーティのドレスだと思われる衣装を身に纏っているリアス先輩とスーツを着ている一誠。

 

 そんな2人と対峙しているのはトレギアだが、その手には子猫が首を絞めていた。

 

「あなた、子猫に何をしているの」

 

「なに、そろそろ、目的の人物が来るからね。彼らが来るまでの間に、少し楽しもうと思っただけさ」

 

「目的のだと?」

 

「まぁ、良いじゃないか。それよりも、君もなかなかの極上の闇を持っているじゃないか」

 

 そう言いながら、トレギアは子猫に問いかける。

 

「っ」

 

「姉に裏切られて、つらいだろう。誰も信じられない状況に追い込まれた。だったら、闇の力を使えば良い」

 

「いやっ」

 

「ふふっ、そう言わずに「その汚い手から、妹から離れろ」おっと」

 

 だが、それよりも早く、黒歌が放った魔力弾が、トレギアに当たる。

 

 それによって、トレギアの手から子猫が離れ、同時に麻中がそのまま子猫を抱き抱える。

 

「えっ、お前、麻中! なんで、ここに!?」

 

「あいつにこっちに無理矢理連れてこられたんだ。それで、ずっと冥界を彷徨っていた」

 

「えっ、マジかよ」

 

「おやおや、感動的な再会じゃないか。姉妹との再会は」

 

 同時にすぐに黒歌の方へと目を向ける子猫。

 

 その顔はどこか、怯えていた。

 

 それに対して黒歌は思わず目を向けていたが

 

「ほら、黒歌はさっさと仲直りする」

 

「えっちょ、何をするにゃ」

 

 だが、そんな黒歌の肩を叩き、そのまま子猫の方へと向ける。

 

「子猫ちゃんの話で出てきた姉が黒歌だったら、それを正直に伝えたら良いよ。

 

 本当の気持ちを。

 

 それに子猫ちゃんも、大丈夫だから」

 

「麻中先輩」

 

「こっちで冥界にいる間、黒歌と一緒にいたけど、こいつはたぶん、子猫ちゃんが思うように悪い奴じゃないから。

 

 その間、俺は」

 

「ふむ、本当に厄介だな。

 

 厄介な君には」

 

 その言葉と共に、トレギアが手を上に掲げる。

 

 同時に、その背後から魔方陣が現れ、同時に次々と怪獣が現れる。

 

 湾曲した角が生えたティラノザウルスを思わせる怪獣であるシーグラと昆虫のような頭部に鋏のような形状のブレードが付いた両腕が特徴的なスラン星人。

 

 そして、ウルトラ兄弟を相手に激闘を繰り広げたグランドキング。

 

 その亜種であるグランドキングメガロスが現れる。

 

「こちらをプレゼントだ。

 

 なかなかに良いだろ」

 

「やってやるよ、行くぜ、タイガ!」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンタイガ!』

 

 その音声と共にウルトラマンタイガが、そのまま地上へと現れる。

 

「タイガ君、1人で良いのかなぁ」

 

「っ」

 

 そうして、すぐにディメンションナイザーで他のウルトラマンを呼ぼうとした。

 

 だが、その状況の最中、迷う。

 

「ぐっ」

 

 タイガの正面に押し掛かるグランドキングメガロス。

 

 すぐに相手をするように向くが、その周りいる囲むシーグラ達が放つ冷凍ガスを避ける。

 

 しかし、避けた先には既に待ち受けていたスラン星人の斬撃によって、タイガは吹き飛ばされる。

 

 そして、そのままグランドキングメガロスの重たい爪が、タイガを襲い掛かる。

 

 数でも圧倒的な不利な状況の最中、助っ人として呼び出すウルトラマンを間違えれば、敗北してしまう。

 

 だからこそ、迷う。

 

 その時だった。

 

「よっしゃぁ!!」

 

「んっ?」

 

 聞こえた声? 

 

 その叫び声が何か分からず、疑問に首を傾げていると共に、麻中の手に持つディメンションナイザーに重なる手があった。

 

 それは赤い籠手であり、その人物が誰か分からなかった。

 

「誰だ?」

 

「俺だよ! 一誠だ!」

 

「兵藤?」

 

 疑問に思い、見てみるが、そこには赤い龍を思わせる鎧を身に纏っている兵藤がいた。

 

「なんだ、それ?」

 

「これは俺の禁手だ。

 

 なかなかになる事が出来なかったが、さっき部長の協力で見事に到達できたぜ」

 

 神器やほとんどの事をあまり知らない麻中にとっては、それはまさに疑問だった。

 

「禁手? 

 

 聞いた事がないけど、それで、どうするだ?」

 

「あぁ、今の俺じゃ、たぶん、助けになれない。

 

 だけど、もしかしたら、こうすれば!」

 

『トランスファー』

 

「なっ」

 

 同時に送り込まれるエネルギー。

 

 それによって、ディメンションナイザーから出てくる力が溢れ出る。

 

「ブーステッド・ギア・ギフトだ。

 

 これで、力が増加できたはずだ。

 

 以前、メビウスさんに助けて貰ったからな。

 

 何よりも、あの人が俺の道標になったからな」

 

「道標?」

 

「あぁ、三大勢力会議の時にハヤタさんに、その名前を教えて貰った」

 

「そうか、だったら、やるしかないな!」

 

 同時に笑みを浮かべると共に麻中は、2枚のカードを取り出す。

 

 溢れ出る力のおかげか、今ならば、できる。

 

「行くぜ!」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンタイタス! ディメンションロード! ウルトラマンフーマ!』

 

 鳴り響く音声と共に、ディメンションナイザーから現れる2つの光。

 

 それは上空へと舞い上がると同時に、別れる。

 

 1つはタイガに再び冷凍ガスを放とうとしたシーグラ達に。

 

 もう1つは、タイガの背後にいたスラン星人に向かって。

 

『プラニウムバスター!』『光波剣・大蛇!』

 

 突然、現れた二人のウルトラマンの攻撃に対応する事ができず、そのまま光の中へとシーグラ達とスラン星人は消える。

 

「お前達!!」

 

 同時に、タイガと並ぶように二人のウルトラマン。

 

 タイタスとフーマが並ぶ。

 

「待たせたな、タイガ!」

 

「あぁ、共に戦おう」

 

「あぁ!」

 

 タイガ、タイタス、フーマ。

 

 三人のウルトラマン、トライスクワッドが揃った。

 

 そのまま、真っ直ぐとグランドキングメガロスがタイガ達に襲い掛かる。

 

 それを正面から受け止めたのは、トライスクワッドで最も力の強いタイタスが受け止める。

 

 同時に、背後に回ったタイガとフーマが攻撃を仕掛けようとするが……。

 

「ふんっ! ぬぅん!!」

 

 その攻撃を、グランドキングメガロスは両手で受け止めた。

 

 二人は、それに驚くが、すぐに追撃を行う。

 

 3人のウルトラマン達の連携。

 

 それは、グランドキングメガロスも予想していなかったのか、少しだけ対応が遅れてしまう。

 

 だが、それでもグランドキングメガロスの方が上だ。

 

 しかし、3人は諦めずに攻撃を続ける。

 

 そして、タイガが拳を振るう。

 

 その一撃は、グランドキングメガロスの顔面を捉えて吹き飛ばす。

 

「今の、ディメンションナイザーならば、使えるはずだ、行けるな!」

 

「あぁ」

 

 同時に、その手に持つタイガのカードが燃え上がる。

 

 それと共に燃え上がったカードは、1つの剣へと変わる。

 

「これって」『どうやら、これが、ウルトラマンの本気の力。俺達の言う所の、禁手のようだ』

 

 その剣を手に持ちながら、構える。

 

 それは炎を思わせる剣だった。

 

 その柄の部分の回転盤を回すと刀身内で炎が渦を巻くように先端へ上り、高く掲げる。

 

 そして、それはタイガ達もまた、手に持ったタイガトライブレードも同時に構える。

 

「燃え上がれ! 仲間とともに!!」

 

「「「「バディ……ゴ────!!!!」」」」

 

 

 

 それと共に、先程までの3人のウルトラマンは1つとなる。

 

 それは、まさしく、その身体は、炎を思わせる姿、トライストリウムだった。

 

「忌々しいっ!」

 

 それを見たトレギアは、トライストリウムへと変わったタイガを見て、呟く。

 

 そうしている間にも、グランドキングメガロスの腕が、タイガに向かって、振り下ろす。

 

 だが、それに対して、タイガはタイガトライブレードで受け止める。

 

 同時にトライブレードから発する炎と共に、グランドキングメガロスの腕を切り落とす。

 

 金属が焼けるような音と共に、切断された腕の断面からは煙が上がる。

 

 そのままタイガは飛び上がると、グランドキングメガロスに向けて急降下していく。

 

 スカイマケットがグランドキングメガロスの顔面に激突すると、グランドキングメガロスはそのまま仰向けに倒れる。

 

 その間に、タイガはタイガトライブレードを構えて、走り出す。

 

 そして、倒れているグランドキングメガロスに接近すると、跳躍して、タイガトライブレードを振り下ろした。

 

 だが、グランドキングメガロスも黙ってはいない。

 

 グランドキングメガロスは起き上がりながら、手を広げると、そこから衝撃波を放つ。

 

 それにより、タイガは吹き飛ばされると、地面に叩きつけられた。

 

 しかし、すぐに立ち上がると、予備動作として剣を3回振う。

 

 黄色、青色、赤色とタイガトライブレードの光が変わりながら、真っ直ぐと剣先から3色の光線を発射する。

 

「「「「トライストリウムバースト」」」」

 

 放たれた光線が、そのままグランドキングメガロスの身体を貫く。

 

 その瞬間、グランドキングメガロスの動きが完全に止まる。

 

 それによって、勝負は完全に決着が着いた。

 

「ふぅ、まったく。

 

 今回の作戦は、ここまでのようだな」

 

 それと共に、トレギアはそう呟く。

 

「待ちやがれっ」

 

 そう言いながら、トレギアを追うとした。

 

 だが、それよりも早く、トレギアは、その姿を変えた。

 

「なっ、あれって」

 

「ウルトラマンですって」

 

 それには、リアス達も驚きを隠せなかった。

 

「それでは、ご機嫌よう」

 

 そして、その手を真っ直ぐと麻中達に向けて雷を放つ。

 

 だが、それよりも、タイガが前に出て、その攻撃を防ぐ。

 

 それによって、トレギアは姿を消した。

 

「はぁはぁ、本当に厄介な事に」

 

 そう言いながらも、麻中は倒れる。

 

 ここまでの旅の疲労と、無理矢理の最強の姿の解放。

 

 それらが重なった影響もあり、そのまま倒れる。

 

 それを黒歌は受け止めると共に。

 

「本当に無理をし過ぎるにゃ。

 

 まぁ、けど、ありがとうにゃ」

 

 そっと、何かを感じた後、そのまま麻中は、ゆっくりと目を閉じていった。

麻中と一体化しているウルトラマンは

  • ギンガ
  • ビクトリー
  • X
  • オーブ
  • ジード
  • ロッソ
  • ブル
  • タイガ
  • ゼット
  • トリガー
  • デッカー

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