その日、兵藤一誠にとっては、最良の日になるはずだった。
これまでの人生で彼女なしの人生だったはずだが、少し前に始めての彼女ができた。
そして、初デート、夕暮れの公園で彼女と過ごす時だった。
「えっ?」
そんな、呆けた声と共に疑問に思う。
「この世界、特有のシステム。
これまで、何度も見てきたが、どうやらこれまでで、一番の代物を持っているらしい。
その力、見せて貰おうか」
どこからともなく聞こえた声。
それと共に。
『モンスロード! ゲネガーグ!』
聞こえた音声。
それに疑問を他所に、地響きがした。
一誠は、ゆっくりと見上げると、そこにいたのは、巨大な怪物だった。
二足歩行の巨大な鮫のような怪物。
その怪物が、一誠に向かって、叫んでいた。
「なっなんだよ、これっ!
逃げようっ」
そう、彼女を連れて逃げようとした時だった。
そこには、既に彼女の姿はなかった。
「えっ、どうなってっ、あれっ」
それと共に、周りを見れば、まるで黄金の輝きのある空間が広がっていた。
疑問を思いながら、戸惑っている間にも巨大な怪獣、ゲネガーグが一誠を食らわんばかりに迫る。
「っ!!」
まさに、絶体絶命。
そう思った時だった。
『ディメンションロード! ウルトラマンメビウス!』
その音声が鳴り響くと同時に、街の上空から現れた巨人は、街で暴れるゲネガーグに向けて、飛び蹴りを行う。
飛び蹴りを受けたゲネガーグは吹き飛ばされながら、すぐに立ち上がる。
そのゲネガーグの目の前に立っていたのは一人の巨人、ウルトラマンメビウスだった。
ゲネガーグは、すぐにウルトラマンメビウスの存在に気付くと共に背中からジェット噴射を行い、メビウスに接近する。そしてそのまま巨大な口を開き、メビウスを攻撃する。
しかしメビウスはその攻撃を軽々と避け、ゲネガーグの背後に回り込み、回し蹴りを放つ。
メビウスの放った回し蹴りを受け、地面に倒れ込むゲネガーグ。
ゲネガーグはすぐに起き上がり、メビウスに向かって走り出す。
メビウスもそれに合わせるように走り出し、互いにぶつかり合う。
その体格の大きさで、ゲネガーグの方が勝っており、そのままメビウスは吹き飛ばされる。
だが、メビウスは後ろに吹き飛ばされながら、メビウスブレスに添えた右手を前に突き出して放つ光刃を放つ。
放たれた光刃に一瞬、怯んでしまうゲネオーグ。
だが、すぐに反撃へと移す。
ゲネオーグの背中と側面の鰓状の穴から拡散光弾を撃つ。
拡散された光の弾丸が襲い掛かる中、メビウスはすぐに両手を広げて形成する∞の形をしたバリアを展開し、街を守る。
拡散光弾による被害は、メビウスが展開したバリアで多少は防がれた。
それが仇となった。
バリアを展開し、動けなくなったメビウスに向かって、ゲネオーグはジェット噴射で再び接近する。
それに対して、メビウスは、身動きを取る事ができずに吹き飛ばされる。
そのまま地面に叩きつけられると共に、メビウスの胸元にあるカラータイマーが赤く点滅し始める。
それを見たゲネオーグは、口からは紫色の光を貯め始める。
すぐに動こうとしたメビウスだったが、後ろに一誠がいる事に気づく。
その場で動けば、メビウスは助かるかもしれない。
だが、それは同時に、一誠が助からない。
まさに絶体絶命な、その時だった。
『ディメンションロード! ガンフェニックス!』
鳴り響く音と共に、メビウスは上空を見る。
そこには、青い光の門を通り抜けるように現れたのは戦闘機。
その形はまるで鳥を思わせる機体。
その名はガンフェニックス、メビウスと共に、数多くの怪獣や宇宙人と戦った仲間だった。
ガンフェニックスは、そのまま、破壊光線を放とうとしたゲネオーグに向けて、光線が放たれた。
その光線によって、ゲネオーグは怯んでしまう。
同時にメビウスとガンフェニックスの操縦席が一瞬、交差する。
それと共に、メビウスは走り出す。
その腕にあるメビウスブレスから開放したエネルギーを左腕に集中させる。
同時に、メビウスの接近に気付いたゲネオーグは再び攻撃を仕掛けようと、背中のジェット噴射を行おうとした。
だが、背後に回っていたガンフェニックスから放たれたビームが、ゲネオーグのジェット噴射を止めた。
地面に叩きつけられたゲネオーグに向けて、メビウスは正拳突きのようにゼロ距離で叩きつける。
叩きつけられた一撃を受けたゲネガーグは、爆発四散した。
「たっ助かったのか?」
そう思っている間にも、空間が解放されていく。
ほっと、息を吐く。
同時に、見れば、そこにいたはずのウルトラマンメビウスも、ガンフェニックスもいなくなっていた。
「結局、あの巨人や戦闘機は一体」
「そうね、けど、良かったわ」
「もしかして」
そう一誠が振り返った瞬間、その胸元は大きく開いていた。
呆けている一誠の目の前には、彼の彼女のはずの夕麻が、その手で形成されている光の槍で貫かれている。
「本当に不幸ね。
まさか、あの現象に巻き込まれるなんて。
けど、結局はこうして、死ぬだけね」
その言葉を最後に、一誠の、意識は徐々に無くなっていく。
「なるほどな、本当に面倒な事を」
そう、巫女の言葉を遮るように、現れたのは、一人の青年、麻中裕太だった。
「お前が、怪獣騒動を起こした張本人か」
その言葉と共に麻中裕太はそのまま蹴り上げる。
それに対して、巫女は軽やかな動きで、攻撃を受け流しながら、そのまま構える。
「まぁ、そうなるね。
こうして、直接会うのは、始めてかな。
ウルトラマンに選ばれた地球人さん」
「あんたは一体」
その言葉に対して、巫女は笑みを浮かべる。
「私はただの巫女。
あなたがウルトラマンに選ばれたように、私もまたアブソリューティアンに選ばれた存在ですから」
それと共に巫女は、その手に持ったディメンションナイザーと似た特徴を持つ黄金のディメンションナイザーを構えていた。
「それにしても、驚きだ。
ウルトラマン、さらにはウルトラマンに味方した存在をも召喚する事ができるとはね。
実に興味深い」
「そういうあんたの目的は一体なんだ」
「なに、それ程、難しくないさ。
この世界は、他のマルチバースに比べても面白い特徴がある。
その力を、取り込む為だよ」
その言葉と共に、巫女はその手に、鞭を構え、薙ぎ払う。
それに対して、麻中はその攻撃を受け流し、構える。
だが、既にそこには巫女の姿はなかった。
「この世界にしかない特徴?
一体、どういう事なんだ?」
そんな疑問を他所に、麻中は気づいていなかった。
その特徴が、まさに近くで行われている事に。
麻中と一体化しているウルトラマンは
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ギンガ
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ビクトリー
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X
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オーブ
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ジード
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ロッソ
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ブル
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タイガ
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ゼット
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トリガー
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デッカー