嵐によってもたらされた豪雨。
木々を吹き飛ばす強風と共に熱を冷ますかのような冷たい雨粒が襲う中、ある島国の国家に存在する首都圏内に在住の天才的なゲームクリエイターにしてゲーマーでもある高校生がいた。
余りの天才的なゲームクリエイターとしての実力に多くのゲーム会社から推薦状がやってくる程の人物だった。
その人物の名は三上 英雄。
[天才ゲーマー兼天才ゲームマスター ヒーロー]
それが、彼に与えられた渾名だった。
そんな彼は憂鬱になっていた。
彼はあまりの天才的な
彼の成果を横取りしようとする者もいたが、彼の作ったゲームのクオリティによって盗作だとバレて逮捕される輩が多かった。
「はぁ‥‥‥(どうしてこうなったんだろうな)」
余りの憂鬱さに、彼の瞳は虚だった。
信じようにも自分の制作ゲームを勝手に盗まれては紹介され、でも制作技術の違いによって盗作された代物である事から被害者として警察沙汰にする事もできはするものの、裁判所などからは彼に関する裁判件数が多いことからいい加減にしろと言わんばかりな表情をされた事もあった。
そんな彼は、自分がゲームクリエイターとしての道を進もうとした思い出のある一冊の本を取りだした。
本には「アーサー王伝説」と題名されていた。
「あの頃は楽しかったな‥‥」
まるで老人が後悔を胸にしているかのような発言だった。
彼の光を灯さぬ瞳から一筋の涙が溢れだした。
頬を伝っては書籍へと落ちていった涙。
これが、とんでもない事象を引き起こしたのだった。
彼の落とした涙が書籍へと落ちた際に、書籍が光り出した。
「っ!!?」
光が増し続け、英雄を覆い尽くし部屋をも光へと呑まれていった。
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光が止み英雄が目を開いた。
すると、彼の目に映ったのは彼がいた西暦2021年の建築物などとは打って変わって古めかしい建築と広大な大地を有した世界だった。
「ここは‥‥何処?」
困惑しながら出てきた言葉に応えてくれる者など誰もいるはずもない。
先程まで手にしていた一冊の書物が何時の間にか消えていた。
英雄は周りの風景を見渡していくと、自身の身体に関して気がついた。
運動しやすそうな服装だった。
家内ではラフな格好で休暇を楽しんでいた。
にも関わらず、その格好とは別の服装になり、戦闘が起きても言いような格好だった。
「‥‥こんな服を買った覚えはないんだけどな‥‥」
英雄は更に困惑を隠しきれずにいる中、背後に何やら気配を感じ取り、其方へと視線を向けた。
視線の先にいたのは、オールバックの様な髪型で一房の髪の毛を前髪として出した同い年ぐらいの青年と、黒髪で首元に赤い豚の刺青を持つ露出度の高い服を纏い、右目元にほくろを持つ妖艶な女性がいた。
「ほう。アーサーに続いて面白い奴がいるな」
妖艶な女性がそう言いながら左手を口元に添えて微笑んでいた。
「やぁ。私はアーサー・ペンドラゴン。君の名前は?」
青年は自身をアーサー・ペンドラゴンと名乗った。
「俺の名は、ヒデオ・シロガネ」
これが、後に世界の運命を別つ二人の王様と、その王を育てた一人の魔術師の出会いだった。