異世界転移!?転移先は<七つの大罪>   作:森雄

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1話

 とある崖の上に一軒の円錐状の家があった。

 

 その家の中では何やら騒ぎ立っていた。

 コップ同士がぶつかり合う音までも鳴り響いていた。

 

「ほいよ!大ジョッキ5つお待ち!」

 

 金髪の碧眼の少年が五つのジョッキを丸いテーブル席の客人へと届けた。

 

「おーい!席3つ空いてるか?」

 

 新たに増えた客人たちをテーブル席へと案内した少年は注文を受けた。

 

「注文は?」

「酒と飯を頼む」

「あいよ」

 

 少年は注文を受けると、カウンターの先にある厨房にて先から黙々とフライパンやお鍋といった生活雑貨の中にある食材を炒めたり、茹でたりとしながらしている青年ほどの容姿をした黒髪の男が料理していた。

 

「適当に美味い食事(もん)を頼む!」

「わかった」

 

 少年の注文(オーダー)を聞いた青年は匠の速度で調理を行ない、僅か10分ほどで十人前の料理を作り出した。

 

「へい!お待ち!!」

 

 作られた料理とはフルーツの盛り合わせで出来たパイやビーフシチューにフライドポテトと酒のつまみや通常の食を調理しては、新たに注いだお酒入りジョッキも一緒にカウンターに置いていった。

 

 置かれた数々の注文に少年が次々に席へと持っていった。

 

 ジョッキや料理が置かれては手を差し伸べる客もいれば、見た事もない料理に訝しむ表情で睨み付ける客もいた。

 しかし、そんな客は恐る恐ると料理に手を伸ばしては掴んだり、スプーンで掬っては口に運び込んだ。

 

『っ!!・・うっ・・・・まぁああああああい!!!!』

 

 客達は口に含んだ瞬間。

 口内に広がる香ばしい味わいが客達の食道を通り、胃袋を満たしていく。

 

「おい。俺の残飯はまだかよ・・」

 

 そう言って調理している青年の元に歩み寄る人語を話す謎のピンク豚だった。

 

「店仕舞いまで床掃除で我慢してくれホーク」

「しゃねえな。後で上手いの頼むぜ!」

 

 ホークはそう言うと、床に落ちて残飯となった料理などを綺麗に嘗め取り、食していた。

 

 そんな中、一人の客が息を切らし慌ただしい表情で店へと入ってきた。

 

「────本当だって!あれは間違いなく<さまよう錆の騎士>達だ」

 

 どうやら、この近くで亡霊の様に彷徨う錆び付いた鎧を纏った騎士がいるらしく、客はその事を伝えに来たらしい。しかし、酒に酔っている他の客達はあまり話しを真に受けてはいなかった。

 

「それは子供を叱るための方便だろ。悪い事すっと<七つの大罪>が来るぞってな!」

「<七つの大罪>?」

「・・・・・・・」ピクリ

 

<七つの大罪>という単語が聞こえると少年と青年が反応した。

 

「そうか。若い店主(マスター)さんや店員さんは知らないか」

 

 客の一人がそう言うと店の看板へと視線を向けた。

 

「<七つの大罪>──────10年前に王国転覆を謀った大罪人」

「こいつらって、まだ掴まってないんだろ?」

「ああ。一人たりとも‥‥一部じゃ全員死んだって噂もあるけど‥‥」

「死んでるね。聖騎士達が許すわけないよ」

「でも、この手配書毎年更新されてるぜ?聖騎士も必死に捜しているってことじゃねえの?」

 

 そう口々に告げていく客人たちの話しを耳にしながらも青年と少年は食器洗いや酒の追加などをしていた。

 

「────なぁ。小僧の店員さんはどう思う」

 

 客達の話しが店員たちに意見を尋ねられた。

 

「小僧じゃねーよ。店主(マスター)のメリオダス!こっちが店員の・・・」

「ヒデオだ」

 

 そう言うと、誰もが驚いた様に目を仰天して店員____メリオダスとヒデオに視線を向けた。

 

「小僧が店主!?」

「嘘だろ。てっきりそっちの(あん)ちゃんが店主だと思ってたわ・・」

「よく勘違いされててな。まぁ気にするな」

 

 そう客達の勘違いを気にしていないのかヒデオがそう言った。

 そんな時、店の扉を開けた際の鈴の音が鳴った。

 

「「らっしゃい!!」」

 

 メリオダスとヒデオだけでなく、客人達までもが扉に視線を向けた。

 

 全ての視線を向けられた客人とは錆び付いた全身鎧(フルプレート)姿の騎士だった。

 その姿を目にした客人達は先程まで飲酒していたさいのアルコールが一気に引いたのか、顔色を青ざめては冷や汗を滝のように流し、恐怖に染まった表情で悲鳴を上げながら騎士の隣を颯爽と通り過ぎては店を出て行った。

 

 いっきに客がいなくなり無銭飲食されてしまった事にヒデオは溜め息をはきながら目の前の元凶を睨んだ。

 

 ヒデオは何か言ってやろうとしたが、店主であるメリオダスが調理場から出て行き、騎士の目の前に仁王立ちで立った。

 因みに、ホークは既に調理場にやってきており、カウンター席を壁にして怯えていた。

 

「・・・・・・・・お前誰だ?」

 

 そう真剣な声で尋ねるメリオダス。

 騎士はそれに答える事なく、グラついたと思ったら後ろ手に倒れた

 

「お?」

「は?」

 

 盛大に倒れたその騎士の兜が取れ、その中から可愛らしい銀髪ロングヘアーに左耳にイヤリングを付けた容姿端麗な女の子だった。

 

 ────────────────────────

 

 ヒデオSide

 

「女の子・・・・だぜ」

「だな」

 

 俺とホークも騎士が倒れたことで調理場から出てきてはその騎士の顔を見て感想を言った。

 

「うんにゃ!!」

 

 

 しかし顎に指を負いて考えていたメリオダスが否定した。

 彼は手慣れた動作で鎧をひんむくと、女の子を自室のベットに寝かせた。

 

「この寝顔。この体曲線(ボディライン)。このニオイ。この弾力・・・・やはり女だな」

「当たり前だ」

 

 女性を黒の薄着にまで脱がしたと思えば彼女の周りを移動しながら寝顔を眺めたり、ニオイを嗅いだり、あろうことには豊満な胸部を鷲掴みしては揉み出したりと、明らかなセクハラ行為にポコリと頭を殴った。

 

 そんな時、意識を取り戻した女の子がムクッと上半身を起こした。

 

 彼女は顔を赤面してこの状況に理解が追いついていなかった。

 

「あ・・・あの・・・・・?」

「・・・動悸にも異常なし!」

「あ・・ありがとうございます?」

 

 メリオダスは飄々と嘘をつきながら彼女の胸から手を離した。

 

「こいつ飄々と‥‥」

「セクハラ野郎が」

 

 目を覚ました少女を連れて店内に移動すると、先ずは彼女に飯をご馳走するために口に濯ぎ食べやすい料理をと思ったヒデオは卵粥を調理しては彼女の前に差し出した。

 

「助けてくださっただけでなく、お食事まで・・・」

「気にせずに食べろ。疲労で倒れたんなら、ゆっくり食事した方がいい」

 

 俺はそう言いながら、彼女に食事を与えた。

 

 彼女は配膳された食事に口を付けるためにスプーンに手を伸ばして卵粥を掬い、口に注いだ。

 

「!・・・・美味しい」

 

 少々疲労が残っていた彼女の表情に、安らいだのか微笑んでいた。

 彼女は次々と卵粥を口に入れていく。

 

 そんな彼女を微笑ましく見ていたが、突然奇妙なニオイがした。

 ニオイのする方へと視線を向けると、そこにはフライパンを持ったメリオダスが何やら料理をしていた。

 

 それを見た俺は血の気を引くような感覚に襲われた。

 

「・・・おいメリオダス。何を作ってんだ?」

 

 俺の声を聞いてか、ホークも同じ様に固まった。

 少女だけはどうしたのかと首を傾げていた。

 

 そんな俺とホークの様子など気にすることなどなく、メリオダスが作ったハンバーグが出来上がり、皿に盛り付けて彼女に渡した。

 

「お待ち!コレも食べてみな」

「は、はい!」

「「・・・・」」

 

 ナイフとフォークを使いハンバーグを切り分けては口に含む彼女だったが、入れた瞬間ムグッ!?と悲鳴を上げた。

 

「どうだ?不味いだろ?」

「は・・はい・・」

『やっぱし・・』

 

 彼女の言葉に誰もが予想通りの感想を言われたことになんとも思わなかった。

 

 しかし、メリオダスの激マズ料理を食した彼女の頬に一筋の涙が流れた。

 

「でも・・・すごく美味しい」

 

 料理の温度という温もりではないんだろう。メリオダスが作った料理に彼の思いが込められている。

 そして、その思いが彼女にとってはとても良かったんだろう。

 

 そんな彼女に質問をしようとした矢先に店の扉を叩く音がした。

 

 ────────────────────────

 

 扉の向こうでは、5名ほどの騎士見習いたちが集まっていた。

 そんな中でその5名の騎士見習いの中で一番偉い人物がドンドン!ドンドン!と扉を叩いている。

 

「開けろ!!村人から通告があった!!我々はふもとに駐留する聖騎士様配下の騎士団!<七つの大罪>とおぼしき錆の騎士を捕えに来た!」

 

 そう言ってきた。

 その後何やら外では<七つの大罪>がどれ程の凶悪な存在なのかを大声で要件を言っていた騎士が他の騎士に話していた。

 

 どうやら王国の聖騎士75名もたった七人で殺害したという凶悪犯らしい。

 しかし、聖騎士の実力は一騎当千たる孤立の武軍とも言える実力者。そんな実力者が嘗て王直属の騎士であり英雄とさえ言われた七人の大罪に殺されたことに他の者は大きく風潮しているだけだろうと思い、素直に聞き入れようとはしなかった。

 

「おい!さっさと出てこい!!」

「なんだ?」

 

 いい加減煩わしくなったのか、メリオダスが応対した。

 俺はというと、彼女が来た際に逃げていった客人達によって汚された床や散らかった食器を片付けていた。

 

「なんだ貴様は!?」

「オレは店主だ」

「錆の騎士はどこにいる!?そいつを出せ!!」

 

 そう言ってくる騎士団に少女が付けていた錆ついた騎士鎧を所々に装備したホークがとんとこっと豚足を歩んでいった。

 

「こ、この豚が<七つの大罪>ですか!?」

「んなわけないだろ!!」

 

 明らかに馬鹿にされた対応に、騎士団の纏め役たる人物がブルブルと憤っていた。

 

「なななんと!俺は残飯処理騎士団団長なんだぜ!」

「そんな騎士団があるか!!?」

 

 油に火を付けるようなことをさらっと言ってしますホーク。

 仲間思いで良い奴なんだが、残飯とアホさが玉に瑕だ。

 

 あまりの愚弄の数々に怒りが頂点に達したのかメリオダスの胸ぐらを掴んで持ち上げた。

 

「騎士を愚弄するとは、いい度胸だな!!」

「そのへんにしてしておけ小僧」

 

 俺は一瞬でメリオダスの胸ぐらを掴む男の腕にそっと乗せるように手を置いた。

 腕を下ろさせるために手に少々力を入れて下げさせた。

 

「っ!!?」

 

 突然横に俺が現れた事に驚く騎士団たち。

 

「小僧だと・・・・っ!!」

「小僧以外なにがあるんだ?騎士といっても所詮は聖騎士になっていない弱者だし、聖騎士に言い付けすれば問題ないと思い込んでいるだけのガキ大将となんら変わらないだろ」

「貴様っ!!」

 

 そう言うと騎士はメリオダスから手を離して腰に付けた剣へと手を伸ばしては抜剣しようとした矢先だった。

 錆の騎士たる張本人が店の裏手から彼女が逃走した。

 

 それを偶然にも・・・いや必然的に見つけた他の騎士団員が剣に手をばしていた騎士団員に声を掛けた。

 

「アリオーニさん。裏から女が逃げました!!」

「な・・・何!!?おそらくその女が錆の騎士だ!追えっ!!」

 

 そう言ってアリオーニたちは彼女を追っていった。

 

 ────────────────────────

 

 森林の中を必死になって逃げていく少女。彼女を追い続けるアリオーニたち。

 アリオーニたちは手柄欲しさに血走った目つきで彼女を追い続けていく為、彼女は必死に逃げ惑う。

 

 そんな彼女を助けるために、ホークが騎士団達以上の速さで追いついていき、次々と体当たりをくらわせていき、アリオーニだけにまで減らした。

 

 アリオーニよりも前を走っていた彼女は突如ヒュッ!と姿を消した事で、崖にまで追い込まれたアリオーニはホークの体当たりを受けて崖へと落ちていった。

 

「てめーらに恨みはねーが・・これで今晩の飯の量は2倍・・・!」

「言った本人が料理を作らないのは納得がいかないがな」

 

 そんなホークの隣にまるで最初からいたように俺がいた。

 何時からいたのだと聞かれれば、ホークや彼女達よりも更に颯爽と動き、回り込んでいたのだ。

 

 ホークが傷つくことを懸念しての保険をうったが、その必要はなかったようだ。

 

 そして、アリオーニの前を走っていた彼女はと言うと、俺と同じく何時の間にかやって来ていたメリオダスが彼女を抱えて木の枝の上に乗り移っていたのだ。

 しかも、何の躊躇いもなくセクハラをしながら・・・

 

「さっさと下りてこい!」

 

 セクハラをされても怒らず感謝を告げようとする彼女と平然とセクハラをし続けるメリオダスに嫌気が差し怒鳴り口調で下りるように言った。

 

 そして騎士団から追われていた彼女から話しを聞きだした。

 

 一人で国の兵力ほどの力に匹敵する聖騎士たちが、このブリタニアにて戦争をもたらそうとしているらしい。

 戦争をもたらすために、謀叛を起こしては国王を拘束し、周辺の町や村から人々を強制連行しては重労働を強制させている。

 老若男女に仕事の振り方は別のようだが、それでも護るべき筈の民を奴隷のように扱っていることにかわりはない。

 

 そんな聖騎士を止められるのは<七つの大罪>いがいにいないと彼女は言い切った。

 

 

 七匹の獣の(シンボル)を身体に帰山だし地人の凶悪な大罪人から結成された王国最強最悪の騎士団────それが<七つの大罪>。

 

 しかし、彼等は10年前に王国転覆を謀った疑いにより全聖騎士による総攻撃にて散り散りとなった。

 

 故に、彼女は行く宛てのない彼女はその七人を捜しているらしい。

 

「全員死んだという噂が絶えないようだが・・?」

「・・・そんな凄い人達が簡単に死ぬわけがありません」

「んー・・・・でも、大罪人なんだろ?」

 

 俺とメリオダスの質問に答えた彼女は、今も尚苦しむ人々のことを思っての痛みの声か・・それとも人が傷つくことへの悲しみからなのか・・・

 

現実に人々を苦しめているのは、聖騎士たちなんです!!

 

 彼女のその言葉からは影ながらに蠢く聖騎士たちに対する非難の声はとても重く感じられた。

 

 

 そんな時だった。突如地滑りでも起きたかのように滑り出し、崖の下へと落ちていった。

 

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