異世界転移!?転移先は<七つの大罪>   作:森雄

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2話

 突然の地滑りによって崖の下へと落下したヒデオたち。

 

 そんな時崖の上では一人の男が立っていた。

 

 男は来しに添えた鞘に剣を納めながらに告げる。

 

「おっと……通告にあった人間かどうか確かめるのを忘れておった」

 

 そう言って崖の下を覗くような態勢を取るとこう結論付けた。

 

「決定!身元不明者三名死亡!!」

「あ~ら。確認を取り忘れるなんていけないんじゃな~い」

 

 最初に落ちたヒデオたちを死亡扱いした男は口元に大きな口ひげを生やした中々キャラ感の強い顔をしていた。

 そんな彼に話しかけたのは贅肉だるだるな肥満症なそばかすを持つ女だった。

 

 二人とも騎士団達と違って騎士の全身鎧を身に纏っていた。

 

「ツイーゴ様、リウバタ様。崖下にはアリオーニさまが……」

「なら死んだんじゃない」

「三名死亡にしておけばよい」

 

 そんな平然と味方を死亡扱いする男女にアリオーニと共に来ていた騎士団は非難の声を上げるが、男女二人から自分達も死亡者の数に入れらると恐れ始めた。

 

 しかし、そんな彼等の前に、崖下から上り上がった者達がいた。

 

 それは誰あろうホークや少女、ついでにアリオーニとやらを抱えた俺とメリオダスだった。

 

「お前たち何を勝手に生きておる!!?儂の死亡決定を変更するでないわ!!」

 

 あまりな発言にホークが吠える。

 

「勝手に決定すんな」

 

 ホークの言葉に苦々しい表情を浮かべるツイーゴにリウバタは言った。

 

「まぁ、<七つの大罪>とおぼしき人物の調査ができるんだからいいじゃないかい」

 

 そういって彼女は背中に抱えていた棘鉄球つきの棍棒を構えた。

 

「ふむ。そうだな。しかしどちらとも手配書とは似とらんようじゃが……?」

 

 顎に手を添えながら考えるツイーゴにリウバタも同じ様に考えていた。

 

 そんな時、ツイーゴとリウバタは少女の左耳に輝くイヤリングに視線をやると、先程以上に目つきが強くなった。

 

「これは儂も運が良い……!」

「そして、貴女様は運がないわね~!」

 

 ズンズンと重たい足音が鳴り響かせながら近づいてくる二人。

 

「その耳飾りの紋章は王家ののものだ」

「つまり御身の正体はたった一つの答えのみ────」

「決定!!エリザベス王女!!

 

 そのなを口にされた少女────エリザベスは酷く驚愕した。

 

「エリザベス……」

「王女?」

「エリザベス王女っつったら王国の王女様じゃねーか!?」

 

 俺とメリオダス。そしてホークは助けた人物がまさかの王女様であったことに驚いた。

 とはいえ、先程までの聖騎士の戦準備に関する話しを聞いてやけに詳しいことは気にはなっていたが、王女ならブリタニアで起きている異変を知っていても可笑しくはないとそう思った。

 

「御身には王国から捜索指令が出ておりましてナ。逃げようなどとは思わんことですぞ?」

「生きたまま捕えよとの命ですが────……事故死じゃしかたありませんよね~」

 

 そんな危険な会話を綽々と話す二人の隙を突いて森へと走り出した。

 

「走れ!!」

「私はまだ捕まるわけには……諦めるわけにはいきません!!」

 

 走りながらも二人の言葉を拒絶したエリザベスに苛立ったのか。

 

「おお……決定──────っ!!!事故死っ!!!」

 

 ツイーゴは抜剣した際の大きな鎌鼬によって森後とエリザベスを殺そうとした。

 木々を次々に斬り裂く鎌鼬はエリザベスの身体を斬り裂こうとしていた。

 そんな彼女をメリオダスが覆い被さるように地面に伏せさせたので、俺はホークを抱き締めては鎌鼬を回避した。

 

 ツイーゴの放った鎌鼬は森の殆どを切り倒した。

 

 そしてエリザベスを殺したと思ったのかツイーゴは歩いてきた。

 

 俺とメリオダスによって助けられたエリザベスとホークは無事だった。

 無論、俺とメリオダスもだ。

 

「ようっ。ヒデオとホークも無事みたいだな」

「あぁ。ホーク、先に帰ってろ」

「お……おぉ!先に戻ってるぜ」

 

 そういうとホークは店へと豚足を走らせて店へと向かって行った。

 

「豚……?まあいい」

「さぁて。圧死にしたほうが事故死も容易いだろうね」

 

 ツイーゴとリウバタはこちらに視線を向けていた。

 特にリウバタはまるで殺すことに不自然さがなければ殺す事になんとも思っていないようだった。

 

 そんな彼等を見てか、エリザベスは彼等の方へと歩いて行く。

 

「エリザベス!おい、どこにいくんだよ?」

「……逃げ切れません」

 

 どうやら彼女は大人しく捕まることで俺達を助けようとしていた。

 目の前で森を一撃で伐採するような光景を見れば、力を持たない者からすれば絶望てきな状況下にある。

 

 しかし、エリザベスの考えは浅慮としかいえない。

 既に皆殺しすることをなんとも思っていない彼等には投降など選択肢にすら入ってない。

 

 その証拠にツイーゴが手にした剣を振り上げると、斬撃がエリザベスを襲う。

 メリオダスがその斬撃から彼女を助け出したが、彼等が避けた場所にはすでにリウバタが頭上におり、棘鉄球つきの棍棒を振り下ろした。

 

 俺はその棍棒に蹴りを放つことで着弾点を変更させた。

 振り下ろされた棍棒から放たれた衝撃波はメリオダスたちに届くことはなかったが、薬10cm程直径の円に軽く1kmほどの陥没を起こした。

 範囲攻撃が得意なツイーゴと一点突破型のリウバタ。

 バランスは一応取れてはいるようだ。

 

「大丈夫か?」

「あぁ」

「おねがい……!!あなた達だけでも逃げて下さい!!」

 

 無慈悲な現実に涙を流すエリザベスの懇願した声が俺達の耳に届く。

 

「無理だな」

「オレ達両方殺す気だぞ」

 

 明らかに王女だけでなく、一般人までも無慈悲に殺そうとする彼等の行動を見れば、一目瞭然だった。

 

「私……嬉しかったんです。たった一人で……<七つの大罪>を捜す旅に出て…………旅なんて……したことなくって……凄く不安で……正体がバレないように着慣れない鎧でくたくたになるまで歩いて……けど誰を頼ることも出来なくて……なのに……お二人はどこの誰とも知れない私に……やさしくしてくれて……だから……私は……名前も知らない貴方達を……これ以上……巻き込みたくないの!!!」

 

 ボロボロと涙を流しながら啜り泣くそのひ弱な声から聞こえる言葉は、優しくしてくれた者達の死を悲しむもので、決して己の命に関しての涙ではなかった。

 

 元の世界では一度として他人のために涙を流してくれるような人など、俺の周りにはいなかった。

 

 ただ只管に戦を止める為に自分の命を蔑ろにしてまで……

 ただ死んで欲しくないと心から願うか弱い少女の願いが…………ここで終わって良いはずがない。

 

 そう思えた。

 だから、答えなければいけないんだろうな。

 

「メリオダス。それが俺の名前だ」

 

 それはメリオダスも同じ気持ちなのか自身の名を彼女に名乗った。

 

「え……うそ……まさか……そんな……だって……その姿はまるで……子供……」

 

 彼女はその名に聞き覚えがありすぎた。

 何を隠そう。その名はある紙に描かれている名前と一緒だったからだ。

 

 

 それは先程の店の掲示板にも貼ってあった手配書の一枚に…………

 

 エルザベスの瞳に映った。メリオダスの肩にある獣の……いや、"(ドラゴン)"の印を……

 

 メリオダスの後方に近づいていたツイーゴが容赦なくその剣を振り下ろした。

 

 ズドンッ!!と大きな音が鳴り響くほどの斬撃がメリオダス達を襲う。しかし、すぐさまツイーゴの左頬に一筋の切り傷が付いた。

 

 その後、すぐさま強力な衝撃波がツイーゴを襲った。

 

「ツイーゴ!!」

 

 リウバタはツイーゴに起きた出来事に驚き、声を荒げた。

 それもそのはずだ。

 

 突然のことにツイーゴは何があったのか理解出来なかった。

 ツイーゴは困惑と共に思考の渦に呑まれていた。なぜ仕留めたはずの人物が生きているのか?

 

 起きた出来事に混濁しているツイーゴの眼にメリオダスの左手に握られた武器が映った。

 

「なんだ……それは……刃折れの剣……!!?」

「メリオダス……あなたは本当にあの……」

 

 ツイーゴの攻撃を受けても無傷にして、逆に相手に傷を付けた光景を見て、エリザベスは期待の眼差しで見つめていた。

 

「メリオダス?まてよ貴様の顔には見覚えが……」

「ま……不味いわ!ツイーゴ!!もしかしたらその子供は……」

 

 メリオダスの名を聞いてもしやと思ったツイーゴとリウバタ。

 

「俺が誰だか……わかった?」

 

 そう言いながらメリオダスは静かに剣を構えた。

 

「ま……まさか!!本当に貴様は…………」

 

 剣を構えためりオダスの覇気に恐れたのかツイーゴが両手で剣を握っては振り下ろした。

 しかし、その剣がメリオダスに当たる事はなかった。

 剣が振り下ろされたにもかかわらずメリオダスは無傷であり、代わりにメリオダスは構えていた剣を振った。

 

「決定……この……尋常ならざる……力は……あの……伝説の!!!」

 

 するとツイーゴの身体からビシビシと音が鳴り響き、ツイーゴの起こした以上の衝撃がツイーゴへと跳ね返っていった。

 

「<七つの大罪>憤怒の罪(ドラゴン・シン)のメリオダス!!」

 

 

 ツイーゴはメリオダスによって、吹き飛ばされ身に纏う鎧を壊されながら星の彼方へと飛んでいった。

 

「つ……ツイーゴが……」

「お──────あがった。あがった!」

 

 そんなツイーゴの敗北した光景を見て唖然とするリウバタ。

 そして花火のように打ち上げられたツイーゴを見るメリオダスだったが、すぐさま刃折れの剣をリウバタに向けた。

 

「それで……お前もやるか?」

 

 そう言って睨み付ける。

 リウバタは目の前の伝説の聖騎士の力に恐怖していた。

 

 しかし、このまま手ぶらで終わるわけにはいかないと、感情がそう言っているのか。どうにかして手柄を立てようと必死になって思考を舞わしていく中、彼女は悩む頭に一途の光ともいえる希望が見えた。

 

 彼女が俺に視線を向けていたからだ。

 彼女は口元をニヤリと笑うと、棍棒を俺に振り下ろしてきた。

 

「メリオダスは無理でも、<七つの大罪>の協力者を殺したなら、手柄は得られる!!」

「あ……危ない!!」

 

 リウバタが振り下ろそうとする棍棒から俺を護ろうと動こうとしたエリザベスをメリオダスが止めた。

 

「心配すんな」

「でも……!?」

「アレを見てみ」

「え?」

 

 エリザベスが視線をメリオダスからヒデオに向けた時、振り下ろされた棍棒がヒデオの指一本で粉々に砕け散っていた。

 

「……はぁ!!?」

 

 リウバタはあまりの出来事に反応するのが遅れた。

 エリザベスも思わぬ光景に驚いており、そんなエリザベスを見て二シッ!と笑う。

 

「棍棒程度で俺を殺せると思ったのか?」

 

 あのアリオーニに続いて、ツイーゴやリウバタの殺生の感性の無さに静かに憤りを感じていたため、少々言葉に殺気が籠っていた。

 その殺気に当てられてかリウバタは顔色を真っ青になるまで悪くした。

 

「な……なんだ……この殺気は……お前は……ただの一般人じゃ……」

「俺か?俺はヒデオ・ミカミ」

 

 俺は右手の人差し指だけをピンッ!と伸ばした。

 

 

 ────【星突黄撃(ステラ)】────

 

 星々が連なったかのような無数の球体と球体を繋げる光の線。

 その光の線が集う右手の人差し指でリウバタの肥満症たる腹部の中央部にそっと突くように添えると、まるで星の輝きのような破壊力を放った。

 

「…………っ!!?」

 

 圧倒的な破壊力を腹部に突かれたことで、声も出せぬほどの痛みがリウバタを襲い、彼女はその場から流れ星のごとく……飛んでいった。

 

「この世で、最も自由を愛する人間さ」

 

 右手を軽く埃でも払うようにぶらぶらと振った後、メリオダスたちを見た。

 エリザベスはなぜか呆然としていた。

 

「さて、これで一人目が見つかったわけだな……エリザベス!」

 

 そう言いながら自身を指さしながらエリザベスを見るメリオダス。

 彼に話しかけられた事でようやく呆然としていた意識がハッキリとしたの彼女はメリオダスを見る。

 

「一緒に……いくだろ?」

「はいっ……!!!」

 

 エリザベスは俺達と一緒に行く提案を了承した。

 そんな俺達の前に、緑色の化け物級の巨大豚が店を背負った状態で現れた。

 

「来たな」

「ナイスタイミング。ホークママ!!」

「こんな所さっさとおさらばしよーぜ!!」

 

 実はホークを見せに返したのは、この巨大豚ことホークママを呼びつけて、この場から離れるためだった。

 そしてホークによって下ろされた梯子を登ってホークママの背に乗り、ブリタニア王国の王女エリザベスと<七つの大罪>の団長メリオダスに加え、喋る豚と店を運ぶ巨大豚たるホーク母子。そして異世界からやってきたこの俺……三上英雄の冒険が始まった。

 




ヒデオの技解説!

星突黄撃(ステラ)


自身の周囲に無数の星々を作り出しては光の線で繋げていくことで破壊力や身体能力の強化を行ないながら武力で相手を叩きのめす

漫画:オリエントに登場する黒曜の女神の黄刀武士の技を真似てみました。
漫画では幾度も殴りつけていましたが、相手が黒曜の女神の贋物とはいえ、強敵だったからこそできる方法だったため、今回は一撃だけで終わらせました。
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