聖騎士を止める為に動くブリタニア王国王女エリザベスと出会った俺と<七つの大罪>団長メリオダス。そして喋る豚ホークは次なる目的地をバーニャ村へと決め、向かう中、エリザベスのボロボロな服装を店の看板娘としての制服をエロ店長ことメリオダスによって着替えさせられるという出来事もあったが、無事バーニャ村にやってきた。
「看板メニューを用意するから、酒の方は頼むぞメリオダス」
「おう。それじゃあメニュー頼むな」
メリオダスとエリザベス、そしてホークの二人と一匹に頼んだ俺はすぐさまメニューの下準備をしていた。
煮込み料理などの時間の掛る料理はすぐさま準備を行ない、酒の肴として一番合うモノも用意したりとしていく中、突如店の扉が開いた。
「ん?随分早い戻りだなメ……誰だその子は?」
魔力で誰が入ってきたのかわかった俺は振り向きながらメリオダスに事情を聞こうとしたが、俺が見たのは何やらそばかすのある子供を連れた、顔の至る所に石でも投げられて負った様な傷を受けているメリオダスだった。
「バーニャ村のとこの子供だ。何でも<七つの大罪>の友達だと」
「ほう……」
メリオダスと同じ<七つの大罪>を友達か……
それはとてもいい情報を得ているだろうな。
「さて、お前の友達が<七つの大罪>っていうのは本当か?」
「言いたくないね」
その子供は中々話そうとしてくれなかったが、店が酒場であることから、料理を食わせろと言ってきた。
その条件として料理を振る舞ったら、美味しいと喜んでくれた。
「それで、お前の友達が〈七つの大罪〉ってのは本当か?」
「旨すぎて忘れた」
成る程な。
「要するに、君は〈七つの大罪〉とは友達ではないということか」
「なっ!?違げぇよ!」
俺が彼……ウィードの言う〈七つの大罪〉と友達だというのは嘘だと思い口にすると慌てたように否定してきた。
しかし、店に帰ってきたエリザベスの話ではどうやらウィードは村内で色々と悪戯をしてきたようだ。
彼女が自分の事を話したことで共感でもしたのか、彼は話してくれた。
彼の両親はこの村にやってきた矢先に流行り病で亡くなり、天涯孤独となった彼を村は良くしてくれたそうだ。
しかし、血の繋がりのない者と血のつながりのある者との愛され方の違いに、彼は悪戯と方法でしか愛情表現を感じられなかった。
恐らく、村人たちも薄々ながらもウィードの行いを理解はしていたのだろう。
そしてある日。
ある一人の聖騎士がこのバーニャ村で作られるバーニャエールの中で今作一の酒をご賞味してもらった。しかし、聖騎士から返って来た答えは…………
【不味い。牛のふんよりはマシだ】
あまりに侮辱的な発言に我慢ならなかったウィードは、村人たちの代わりにその聖騎士のグラスへと虫の幼虫を投げ入れた。
それに怒る聖騎士は魔力の帯びた剣を大地に突き刺し、地下水脈を止めたのだった。
それがバーニャ村での出来事だった。
「だが、<七つの大罪>と友達だと言ったのはなぜだ?」
「だ、だって……悪い聖騎士が追ってるてことは、そいつらは良い奴だってことだろ!」
ウィードのとても子供な考えによる発言は、ある意味的を得ていたのだろう。
俺とホーク、そしてエリザベスはメリオダスを見ていた。
「ん?なに?」
メリオダスは理解しているはずもなく、唯々バーニャエールの入ったジョッキを傾けて口に注ぎでいた。
そんな彼に俺たちは内心その通りだと思い、微笑んでいた。
突如新たな騒ぎがバーニャ村からやってきた。
ウィードは慌てて村へと向かう。俺たちも村へと颯爽と向かった。
無論、火元はちゃんと処理した上で……
そして村へと到着すると、何やら騎士の者が騒いでいた。
「いいかお前ら!今日中にこの剣を抜けなかったら、収税を10倍にする!」
「こともあろうに大罪人と友達と言ったのだ。それぐらいは当然の処罰だ!」
騎士たちの横暴な収税の上乗せに異議を申し立てる村人たちだが、そんなことを騎士たちが受け入れるわけがない。それどころか、まるで苦しむさまを見て楽しんでいるのだ。
最初から受け入れるはずもない。
そして、<七つの大罪>と友達と言ってしまった責任を感じているのか。それとも聖騎士のグラスに行った悪戯に対しての責任か。
あるいはその両方なのか。
いずれにしろウィードは先んじて突き刺さった剣の使を手にし引っ張った。
そんなウィードに酒の肴として笑いものとして楽しもうとしていた騎士たちはうざったそうにウィードを見ていた。
そんな必死になってでも引き抜こうとするウィードの行動に異議を唱える村人たちだったが、村長の一括が彼らの心を奮い立たせ、村人の男たちはウィードと共に剣を抜くことに懸命に力を入れていた。
しかし、聖騎士と村人……守る側と守られる側との間にはそれ相応の実力差がある。
たかだか村人数百人程度では一騎当千たる一人の聖騎士の突き刺した剣など抜けるはずもなかった。
そんな村人の苦労を嘲笑い酒の肴として笑い続ける騎士たちから酒の入ったジョッキを奪い取ったメリオダス。
「酒の味もわからねぇ奴に、この酒を飲む資格はねぇ」
そう言って彼は二つのジョッキの淵に唇を当てて、酒の味を楽しみながら飲み干した。
ちょうど彼が酒を飲み干すのと同時に、村人たちが引っ張ていた縄が柄から解けてしまい、村人たちはドテッ!と転げてしまった。
涙を流すウィードの前にジョッキ二つを置くメリオダス。
「ごちそうさん。悪ぃけど、今持ち合わせがねぇから……」
そう言いながら先ほどまで村人たちが懸命に引っ張っていた柄を掴みながら笑いながら言った。
「これでいいか?」
メリオダスは何の苦も無く剣を引き抜いてみせた。
その光景に唖然となる村人と村人を馬鹿にしていた騎士たち。そんな騎士たちには報復とばかりに魔力で塞き止められていた川の水が一気に吹き上がり、噴水のように騎士たちを飛ばした。
村人たちは盛大に喜び、ウィードの行動を許してくれと懇願した。突然の謝罪にウィードは最初は不貞腐れるような感じであったが、自身の気持ちに嘘がつけられず、彼は泣きながら村人たちのもとへ走り抱き着いたのだった。
バーニャ村の危機が救われたことで[豚の帽子亭]にて宴会が行わえていた。
調理は俺の仕事であり、酒類の運搬にメリオダスとエリザベスが行うのだが、エリザベスはどうやら運動音痴なのか何もないところでコケてしまっては村人たちの顔に酒やパイをぶつけてしまっていた。
そして地に落ちて食えなくなった廃棄料理を残飯としてホークが処理するという形で店が動いていった。
そんな中、バーニャ村へと向かってくる一つの強大な魔力に気づいた。
「メリオダス」
「あぁ。ちょっくら行ってくる」
そう言ってメリオダスが店から出て行った。
因みに村人たちはこの魔力に気づいてはいない。気づいていればパニックになる。しかもこの魔力は村を破壊するほどの威力を秘めている。
だからメリオダスは店から出ていき、迫りくる魔力の対応に向かったのだ。
俺が出て行っても良かったが、メリオダスが出て行く前にエリザベスが先に店から出て行ってしまった為、彼女の励ましの役目もメリオダスが担っている。
はっきり言って、メリオダスにはエリザベスとの間に何かあるように感じる。
そうでなければ、あの時彼が不味い飯を調理してまで、彼女に振舞うとは思えないのだ。
このバーニャ村に行くまでの間に尋ねてもはぐらかす始末。だからこそ、彼に対応を任せた。
そう思っていると、雷鳴の如き轟音が店の近くにまで響き、店内で村人たちは焦りと驚愕に包まれていた。
「落ち着いて!皆さん落ち着いて下さい!」
俺は慌てる彼らを落ち着いた対応で店の外へと誘導した。
俺が安全に案内している間に、先ほどの魔力がやって来た方向へと飛んで行った。
どうやらメリオダスが魔力を跳ね返したのだろう。
そう思いながらもいつの間にか被害が起きている村の存在に気づいた村人たちは颯爽と村へと向かっていった。
俺とホークも同じように向かっていきメリオダスと合流した。
「やはり聖騎士からの攻撃か?」
「あぁ。こりゃさっさと村から出た方がいいな」
「でも、また村が狙われでもしたら……!?」
「聖騎士の狙いは、水を塞き止めていた剣を引き抜いた人物の殺害だ。俺たちが離れれば必然と村の被害もなくなる」
聖騎士からの攻撃を村から離すために村から出て行くことに決めたが、エリザベスは村が再度襲われることを危惧していたが、狙いが俺たちである時点で、俺たちが離れれば、被害はなくなる。
そう考えた俺とメリオダスの考えを伝えると彼女は納得してくれた。
「それで今度はどこに向かう?」
「もちろん<七つの大罪>探しだ!」
「どこにいるのか、わかってんのか?」
ホークのその質問にメリオダスが笑いながら言った。
「それなら、エリザベスが既に掴んでんじゃねぇか」
「へっ?」
「もしかして……」
エリザベスには覚えがあるのか、なにかに気づいた。
「‘白夢の森’だ」
次の目的が決まった俺たちは颯爽と店に戻りこの村から離れていった。