戦車道告白録 第1話 ある車長と装填手の場合 作:通りすがりの戦車乗り
pixivに同じもの上がってます。
明日は大洗女子学園の学園艦の寄港日だ、寄港日になると西住みほは普段は戦車道で同じ戦車に乗るあんこうチームのみんなと一緒に行動するのだが他の四人はそれぞれの用事があり今回はバラバラになった。
他のチームの人たちと行動しようかと自室で考えてたとき、みほのスマホに着信が鳴る、相手は誰かと確認すると聖グロリアーナ女学院の戦車道隊長のダージリンだった。
慌てて通話ボタンを押すとダージリンの声がみほの耳に入ってきた。
「ごきげんよう、お久しぶりですわねみほさん。」
「こ、こんばんは!ダージリンさん!」
いきなりダージリンに声を掛けられて思わず声が裏返ってしまう。
「夜分遅くごめんなさい、今大丈夫かしら?」
「は、はい!大丈夫です!」
「あら?それならちょうどよかったわ、明日聖グロリアーナの学園艦も大洗と寄港日が被りますの、それでうちのペコが貴女と二人っきりで話しがしたいと言っているのですけど……。」
「ふえっ!?私ですか?」
「そうなのよ……駄目かしら?」
「いえそんなことないです!で、でも何でオレンジペコさんが……」
「さあ?私は何も聞いてませんからわかりませんわ」
ダージリンから明日のこの時間に喫茶店でオレンジペコが待ってるから来てほしいと言われる。
電話を切るとみほはベッドの上で頭を抱えて考え込んだ、何故オレンジペコさんが私と話したいのか不思議でしょうがなかったのだ。
(なんだろう?まさか知らないうちになにか失礼なことをしてたのかな?)
結局いくら考えても答えが出るはずもなく明日になればわかることだと思って考えることを止めた、みほは枕元にあるボコぐるみを抱きながら眠りについたのであった。
翌日、失礼がないよう待ち合わせの時間よりも少し早くみほは喫茶店に着いた。
店の外から覗いてみると一番奥の席にオレンジペコの姿が見えた。
店に入り彼女と合流しようとした。しかし……
「あれって大洗の西住みほ選手じゃない!?」
「西住さんファンです、サインお願いします!握手してもらえませんか?」
「一緒に写真を撮っていただけないでしょうか!?」
途端周りにいた女性達が一斉にみほに集まり始めた。
サインや握手を求められたり、写真を撮りたいと言われたりしてパニックになる。
が、不器用な彼女なりに精一杯笑顔で対応し握手やサインに応じる。
こんな自分を応援としてくれる人がいることにみほは感謝しつつ頑張って対応した。
ようやく落ち着いた頃には約束の時間から30分は過ぎていた。
「ご、ごめんなさい!遅くなりました……」
バツの悪そうな顔をしてみほはオレンジペコに話しかける。
「ファンの人たちは大事にしなくてはいけませんから仕方ありませんよ」
店の中から様子が見えていたのかオレンジペコは微笑みながら言った。
「はい……ありがとうございます……」
みほはテーブルを挟んでオレンジペコの向かい側に座る、紅茶を一口飲んで落ち着くとオレンジペコはみほに話しかけた。
「き、今日お呼びしたのは理由があるんです」
オレンジペコの言葉を聞きみほは少し緊張しながら耳を傾ける。
オレンジペコは深呼吸した後ゆっくりと言った。
「西住さん好きです…」
「ふえっ!?」
突然の出来事に驚き思わず変な声が出てしまった。
(今私告白されちゃったの!?しかもこんな人が多いところで……)
周りの視線が気になって仕方がないがとりあえず返事を返すことにする。
「あ、あのう……それはどっちの意味でですか……?」
恐る恐る聞いてみるとみほに衝撃的な言葉が返ってきた。
「も、もちろん恋愛感情として好きと申し上げたのです……」
(恋愛感情としての好き!?ということはつまり……恋人になりたいっていうこと!?)
みほの顔が一気に真っ赤に染まる。
みほは年頃の女の子だし(自称)恋愛マスターの武部沙織ほどではないが恋愛ごとに少し興味はあったりする。
だけど実際に告白されるなんて夢にも思ってなかったので頭が真っ白になり固まってしまうのだった。
それにオレンジペコとみほは交流はそんなにない。
彼女はどちらかといえばみほと同じあんこうチームでオレンジペコと同じ装填手の秋山優花里や同じ一年生の澤梓との交流の方が多い。
挨拶ぐらいはするが特に仲が良いというわけでもないのにいきなり呼び出されて告白されたのでみほは驚いてしまうのだった。
「だ、駄目ですよね?私みたいな人間と西住さんじゃ釣り合わないですもんね……。ごめんなさい、忘れてください!」
みほの表情を見て引かれていると思ったのかオレンジペコは慌てて謝った。
このままでは駄目だと気を取り直してなんとかみほは言葉を絞り出した。
「い、いやでもなんで私なんかを……?////」
疑問に思ったことをそのままぶつけるとみほに意外な答えが返ってくる。
「け、決勝戦の黒森峰との試合中ずっと見ていました!お姉さんのまほさんと戦う貴女の真剣な顔とってもかっこよかったです!」
(私がかっこいい?)
みほにとっては全く予想外の反応だったので思わず目を丸くする。
オレンジペコは目をキラキラ輝かせながら言った。
あまりにも恥ずかしすぎる褒められ方をされてみほは戸惑ってしまう。
「そ、そんな大げさですよ~!///」
「そんなことはありません!それに大学選抜チームとの試合で島田愛里寿さんと戦っている時の貴女はもっとかっこよくて胸が高鳴ってしまいました!……ってすみません私何を言ってるんだろう……!本当にごめんなさい、忘れて下さい……!」
みほは考えた、まさか彼女がここまで自分のことを慕ってくれてたなんて思わなかったからだ。
彼女の上目遣いや照れながら話してるところを見てると、みほはドキドキしていた。
小さな体、可愛らしい声に優しい顔、こんなにも可愛い人に慕われたら誰でも嬉しいものだ。
答えが出たみほは席を立ちオレンジペコの隣まで移動し彼女に話しかけた。
「お、オレンジペコさん、ありがとうございます……。
こんな私のことを好きだと言ってくれてとても嬉しいです。だ、だから……その……」
みほは俯きながら顔を赤くして小声で何か言っている。
オレンジペコは不思議そうな顔をしてみほの口元に耳を近づけた。
「よ、よろしくお願いします……///」
「えっ?」
みほは勇気を振り絞ってオレンジペコに想いを伝えた。
オレンジペコは一瞬驚いた後笑顔になって答えてくれた。
「こ、こちらこそよろしくお願いします!!」
こうして二人はお互いの気持ちを確認し合い交際することになったのだった。
それからしばらくして紅茶を飲み干し、喫茶店を出た二人は近くの公園に行きベンチに座り語り合うことにした。
オレンジペコはみほの手を握る。
彼女の手はとても温かく柔らかい。
みほもそれに応えるように優しく握り返す。
「あのう……一つお願いがあるんですが……いいですか?」
「な、なんですか?」
「私のことはペコって呼んでほしいんです」
「ペコ?」
「はい、それと敬語もやめてほしいんです」
「は、はい……じゃなかった、うん、わ、わかったよ」
「ありがとうございます」
「じ、じゃあ私のこともみほでいいよ」
「わかりました、みほさん!」
オレンジペコは嬉しそうに笑う。
みほも釣られて笑顔になる。
オレンジペコの可愛らしい笑顔は見ているこっちまで幸せな気分にしてくれる。
みほはオレンジペコの笑顔をもっと見たくなりある提案をする。
(そうだ、写真撮ろう)
みほはスマホを取り出しカメラを起動し二人の写真を撮る。
「はい、チーズ」
パシャリという音とともに撮影された一枚の写真。そこには満面の笑みのオレンジペコと少しぎこちないながらも笑顔の西住みほがいた。
みほは撮影した写真をオレンジペコに見せる。
「あ、可愛い♪」
「本当?良かったぁ……ペコにも送ってあげるね」
「あ、ありがとうございます……!」
その後しばらく談笑した後、日が暮れてきたのでみほはオレンジペコを送るために聖グロリアーナの学園艦の近くまで一緒に歩いていくのだった
「今日はとても楽しかったです」
「私もとっても楽しかったよ」
「あの・・・最後にもう一つだけお願いがあるんですがいいですか?」
「うん?どうしたの?」
「・・・目をつぶってもらえませんか?///」
「えっ!?えーっと・・・こ、こうかな・・・?」
みほが言われた通り目を閉じるとオレンジペコはみほの唇にキスをした。
突然の出来事にみほは驚いてしまう。
「ふえぇ!?//////」
「こ、恋人どうしだからこれくらい当然ですよね……?//////」
そう言いながら夕日よりも顔を真っ赤にして学園艦のタラップを登っていくオレンジペコ。
オレンジペコが見えなくなった後も同じようにみほも夕日よりも顔を真っ赤にしてその場に立ち尽くすのだった。
その後みほは足早に寮へと帰った。
そして帰りつくなり真っ先に自分の部屋へ行きベッドに飛び込んだ。
「はぁ~……疲れた……でも……」
今日の出来事を思い出す。
オレンジペコとのやり取り全てがまるで夢のようで。
でもスマホで撮った写真と今も感じている唇に残った彼女の温もりが夢じゃないと教えてくれる。
晩御飯やお風呂を済ませてそろそろ寝ようかと思ってたところでスマホにメールの着信音が鳴る。
相手はオレンジペコだ。
みほは慌ててスマホを手に取り内容を確認する。
「今日は本当にありがとうございました。
初めてだったので上手くできなかったかもしれませんが私はとても幸せでした。
またいつか会えることを楽しみにしています。
大好きです、愛してます、ペコより」
「私もだよ、ペコ」
みほは返事を書いて送信する。
すぐに返信が届く。
内容は「おやすみなさい」という一文だけだった。
みほも「おやすみ」と返して夢の中で彼女にもう一度会うため瞼を閉じるのだった。
「ペコはうまくいったかしら?」
聖グロリアーナ内のカフェテラスでダージリンとアッサム、ルクリリ、ローズヒップがお茶会をしていた。
お茶会での話題はこの場にいないオレンジペコのことだ。
ちゃんとみほと合流できたのか、告白はちゃんと出来たのか、そんなことを話していた。
オレンジペコは恥ずかしがり屋なのも相まって中々一歩踏み出せない性格をしている。
そんな彼女の背中を押すのは仲間である自分たちしかいないと考えていたのだ。
ダージリンは紅茶を一口飲んでから静かに口を開いた。
「大丈夫よ、きっとみほさんはペコを受け入れてくれるわ」
とは言ったものの妹みたいに可愛がっていたオレンジペコが自分から離れていくみたいで寂しいと思ってるのも事実である。
娘を取られた父親?ってこんな感じなのかしら?
私でさえ少し寂しいのにみほさんのお姉さんのまほさんがこのことを知ったらどう思うかしら……?
ダージリンはみほがオレンジペコの告白にOKを出したらまほにこのことを教えてやろうか、と思ったが思い留まった。
(いや、私が言うよりもみほさんに直接言われたほうが面白い反応をしそうね……)
(お姉ちゃん!私、大切な人ができました!!)
ダージリンはそのことを言われたまほの反応を想像してしまい思わず顔を背けて笑ってしまっていた。それを不思議に思った3人は首を傾げる。
「どうかしましたの?」
「い、いいえ、何でもないわ」
ダージリンは3人に気づかれないように平静を装った。
まあ、付き合いの長いアッサムはどうせろくなこと考えてないんでしょうけど、と冷めた目でダージリンを見る。
その時、テーブルに置かれていたダージリンのスマホにメールの着信が届いた、相手はオレンジペコだ。
「あら、噂をしてたら彼女からね」
「告白は上手く行きましたの!?」
ローズヒップはダージリンのスマホを掴んでオレンジペコからのメールを見ようとしたところをルクリリに制止される。
「待て待て!まずはダージリン様からだ、そもそも人のスマホ勝手にイジるじゃない!」
「いいじゃないですの!見せてくださいまし!」
「駄目だって言ってるだろうが!」
「二人とも少し落ち着きなさい」
二人が喧嘩しているところに冷静な声でアッサムが割って入る。
「ルクリリの言う通りダージリンが読んでからよ」
アッサムはローズヒップにデコピンをしスマホを取り返してダージリンに渡す。
彼女はスマホを受け取りオレンジペコからのメールを読む。
その内容を見た瞬間、彼女は微笑み優しい声で言った。
「良かったわね、ペコ」
END
みほペコもっと流行って