You Are There   作:地球の星

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Quest.11 手術費用を稼げ

 ターニアの家で一夜を過ごした後、リベラとバーバラはこれからどうすればいいのかについて話し合った。

 そして2人は少しでもお金を稼ぐためにルーラで町を飛び回り、仕事を探しに行った。

 最初はなかなか見つからなかったが、トルッカに降り立った2人は薪を運んでほしいという依頼を受けた。

「じゃあ、ちょうどよかったわ。あたしがそれを引き受けます!」

依頼人「お嬢ちゃん、本当にいいのかい?目的地まで少し距離があるし、外にはモンスターや盗賊もいるのに。」

「あたしならルーラでひとっ飛びだから心配ないわ。だからお願い。きっと役に立つから。」

「そうかい。だったら頼むことにしよう。」

「わーい!やったあっ!」

 バーバラはしばらくの間、誰にも見せることのなかった笑顔を見せてくれた。

「じゃあ、頼んだよ。」

 リベラは思わず「頑張ってね。」と言おうとしたが、それはタブーの言葉だったため、とっさに黙った。

「うんっ!少しでもたくさんのお金を稼いでくるからね!」

 バーバラはそう言うと、依頼人と協力をしながらリヤカーに薪をどっさり積み込んでいった。

 そして彼を連れてルーラを唱え、目的地へと飛び立っていった。

 

 一人になったリベラは、とりあえず自分にも何か出来ることがないか、辺りを歩き回った。

 すると、彼の視界にはエリザが買い物袋を持ちながら弾む足取りで歩く姿が目に入った。

(あの人、以前ビッグとスモックにさらわれた人だ。)

 彼がその少女を見ていると、彼女もまたリベラに気が付いた。

「こんにちは。」

 エリザは自分を救ってくれた恩人をしっかりと覚えてくれていたようで、笑顔で話しかけてくれた。

「こんにちは…。」

 同じあいさつの言葉でも、リベラの口調は明らかに暗かった。

「どうしたんですか?何かあったんですか?」

 エリザはそれまでの笑顔が一変し、心配そうに問いかけた。

「……。」

 リベラは正直に話していいのか分からず、黙り込んでしまった。

「あの、私で良ければ話してください。」

「でも…。」

「お願いします。私を助けてくれた恩返しをしたいと思っていたんです。」

「本当に話していいの?」

「構いません。お願いします。」

「分かった…。」

 リベラは彼女の説得に押される形で、ようやく事情を話した。

「そう…。右肩がそんな状態に…。」

「うん…。それで、手術を受けるためのお金が必要なんだ。でもこんな時に限ってお金が不足していて…。」

「じゃあ、私の家に来てください。私がお父さんにそのことを話して、協力を呼び掛けてみます」

「いいの?」

「私を助けてくれた恩返しが出来るのであれば、きっとお父さんも本望だと思います。ぜひ来てください。」

「分かりました。ありがとう。」

 リベラは頭を下げてお礼を言うと、彼女と一緒についていった。

 

「そうか。では、ちょっとその肩を見せてくれないか?」

「えっ?あっ、はい。分かりました。」

 エリザの父である町長の提案にリベラは一瞬戸惑ったが、すぐに同意をした。

 そして彼は痛みをこらえながら上半身の服を脱いで、右肩を見せた。

「これはひどい。これは素人である自分でも手術が必要と言うだろうな。」

「そうですか…。」

 ここでも厳しい言葉をかけられてしまう結果となり、リベラは落胆してしまった。

「そんなに落ち込まなくてもよい。そうとなれば、みんなでその費用を集めることにしよう。今から町の人達に呼び掛けて、募金活動をしてやろう。」

「町長さん、いいんですか?」

「もちろん。君はあの時、身代金5000ゴールドを払う選択をしてくれた。その恩を今こそここで返す時だと思ったからな。」

「私も協力します。お願いします。」

 エリザも早速協力を申し出てくれた。

「2人とも、こんな僕のために、ありがとうございます。」

 リベラは込み上げそうになりながらお礼を言った。

 その後、エリザと町長は2人で合わせて300ゴールドを差し出してくれた。

 そして外に出ると町の人達に協力を呼び掛けた。

 

 1時間後。募金活動の結果200ゴールドが集まり、リベラは合計500ゴールドを手に入れることが出来た。

「町長さん、エリザ。本当にありがとうございます。この恩は忘れません。」

「なあに、気にしないでください。完治する時を楽しみにしてますよ。」

「私達はこれからも募金活動を続けていくつもりです。またこの町に来てください。」

「ありがとう、エリザ。きっとまた来るよ。」

 リベラは深々と頭を下げながらお辞儀をした。

 そして彼らの家を後にすると、痛みをこらえながらルーラで飛び立っていった。

 

 ライフコッドに戻ってきたリベラは、500ゴールドを手に入れたことをターニアに伝えた。

「そう。良かったわね。実は私もあれから村のみんなに呼び掛けてお金を集めたの。」

「本当に?」

「うん。でも、たったの100ゴールドだから、何だか恥ずかしいけれど…。」

「そんなことない。少しでも助かるよ。」

「ありがとう。そう言ってもらえるとうれしいわ。」

 ターニアは申し訳なさそうな表情をしながらも、お礼を言ってくれた。

「それはそうと、バーバラは家にいないようだけれど、どうしたの?」

「彼女はまだ戻ってきていないの。」

「じゃあ、まだ仕事をしているんだろうね。」

「そうだと思うわ。たくさんのお金を持ってきてくれるといいわね。」

「うん。」

 2人はそう言うと、お金を貯金箱にしまった。

 

 1時間後。バーバラはお金を持って戻ってきた。

「あら、リベラ。帰っていたのね。」

「うん。ただいま。」

 リベラは外出中にトルッカに行き、500ゴールドを手に入れたことを話した。

「そんなにお金をもらってきたの?」

 バーバラはそのお金を見て驚いた。

「そうなんだ。エリザを助けてあげた時の恩を彼らはまだ覚えていてくれて、これだけ出してくれたんだ。そして彼女達はこれからも募金活動をするつもりだから、後でもう一度行ってみようと思っているんだ。」

「そうなの。優しい人達なのね。」

 バーバラはそう言うと、自身は薪の配達の報酬として120ゴールドを受け取り、その後、アークボルトで何か仕事を紹介してもらえないか交渉をしてきたことを話した。

ターニア「それで、紹介してもらえそうなの?」

「すぐには無理だったけれど、ブラストさんからは熟練度を上げるための訓練やトレーニングをしに来ませんかと言われたの。」

リベラ「へえ。そんな方法でも熟練度を上げられるんだね。」

「うん。アークボルトの兵士さん達は色々なトレーニングを積み重ねて呪文や特技を習得してきたから。」

 バーバラはそれを聞いて、しばらくの間戦闘から完全に離れ、そちらに専念することを決意した。

(そうか。そんな方法もあったんだな。じゃあ、僕も戦闘以外で熟練度を上げられる方法を模索してみよう。)

 リベラはバーバラのおかげで、自分も成長していくためのヒントをつかんだ気がした。

 そしてバーバラにルーラを唱えてもらい、一緒にダーマ神殿に向かっていった。

 現地に到着すると、彼女は無職から魔法使いに転職し、続いてリベラも新たな職に就いた。

 

 その日の夜。3人が寝る準備をしていた頃、玄関の扉をたたく音が聞こえた。

「誰かしらね。」

「あっ、僕が出るよ。」

 玄関に向かおうとしたターニアをリベラは制止し、自分が行くことにした。

 そこにいたのはチャモロだった。

「こんばんは。夜分すみません。」

「大丈夫です。ところで、今回は何の用ですか?」

「実は、あれから私達でお金を集めてきたんです。手術代としてどうぞ。」

 彼はお金が入った袋を手渡してくれた。

 中を見ると、500ゴールドが入っていた。

「このお金をどうやって?」

「実は私、あれから再度盗賊に転職し、アモスさんと一緒にアイテム集めをしたんです。そうしたら、キメラの翼や旅人の服などが手に入ったので、それらを売ったんです。」

「こんなにたくさん…。ありがとう。」

「どういたしまして。でも、本当はハッサンとミレーユさんにも盗賊になってもらって、アイテム集めに参加してほしかったんですが、ハッサンは『俺は戦士でいく。」と言って盗賊を拒否しましたし、ミレーユさんはまだショックから立ち直れていなくて、来てくれなかったんですよ。彼らがいればもっとアイテムが集まったと思うんですが…。」

「それでも十分だよ。気持ちはしっかりと伝わったからね。」

「ありがとうございます。私達は明日も同じことをするつもりなので、お金に関しては気にしないでください。」

「ありがとう、チャモロ。そしてアモスさんにもありがとうって伝えてくれ。」

「分かりました。」

 チャモロは冷静な表情のまま、お辞儀をした。

「あっ、それから、もう一つお願いしてもいいかな?」

「何ですか?」

 リベラは会話の声がバーバラに聞こえないようにするために外に出て、扉を閉めた。

「もし、僕の手術代を確保したら、次はバーバラのために命の木の実を集めてくれないか?」

「バーバラさんのためにですか?」

「うん。」

 リベラは彼女のHPをどうにかして伸ばしてあげたいことを伝えた。

「これは長い道のりになりそうですね。」

「うん。すぐに出来ることではないけれど、お願いしてもいいかな?」

 チャモロはこれまで目立った実績を残していない彼女のために、果たしてそこまで出来るのだろうかという思いを感じ、しばらく考え込んでしまった。

「頼む。僕達は誰一人が欠けたってパーティーとしては成り立たないと思っているんだ。だから…。」

「いいでしょう。かしこまりました。では地底魔城に行き、フレイムマンに会おうと思います。」

「ありがとう!」

「まあ、私もバーバラさんにプレッシャーをかけてしまった責任がありますから。」

 チャモロはそう言うと、彼女に会えないか頼みこんできた。

「それは僕から伝えておくよ。それから、僕からみんなにもう一つお願いがあるんだけれど。」

「何ですか?」

「もし今度バーバラに弱いとか役立たずとか言いたくなったら、彼女を育てられなかった僕のせいにしてほしい。もし彼女をパーティーから追い出したくなったら、まず僕を追い出してほしい。僕はみんなから何を言われても構わない。でも、彼女が傷つくのを見るのは耐えられない。それは分かってほしいんだ。」

 リベラは彼女のためにただならぬ覚悟を決めていた。

「分かりました。今まで彼女を弱いと言っていたことは謝ります。そして彼女のHPを伸ばしていけるように努力します。」

「うん、頼んだよ。そして僕はバトルマスターをあきらめて、スーパースターになる。そのために今日ダーマ神殿に行って、マネージャーに転職したんだ。そしてなるべく短い期間でパーティーに復帰して勇者になって、絶対にそれまでの空白期間を埋めてみせるからね。」

 リベラの心には新たな目標が芽生えていた。

「分かりました。それまでの間は、私達がその穴を埋めてみせます。任せてください。」

 チャモロも新たな決意を胸に秘めて、夜のライフコッドを後にしていった。

 




 主人公のリベラがこの度就いた「マネージャー」という職業は、ゲームで言う「遊び人」です。
 僕は作品を書く中で遊び人という名前に抵抗を感じており、何か別の名称がないかなと考えた末にこうしました。
 この職業では自身が戦闘にあまり直接関与せず、監督またはコーチのような立場でみんなの状態を観察したり、戦闘の指示を出したりしながら熟練度を上げるという感じです。
 また、この職業についている間は新・桃太郎伝説の「本」や「書物」のように、アイテムでも経験値(さらには熟練度)稼ぎが出来る設定にしています。
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