You Are There   作:地球の星

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Quest.16 四人と二組

 仲間達がパーティーとしての活動を一時休止し、各自で行動している中、リベラはこの日も痛み止めの薬を服用した後、自分の左手で右肩の患部にホイミを唱え続けた。

 すると、そこに手術を担当した医師の男性が入ってきた。

「そんなことをしても治りませんよ。」

「それでもやらせてください。結果的に無駄になっても構いません。やれることは全てやりたい。やらずに後悔だけはしたくないです。」

「そうですか。君は強い意志の持ち主ですね。」

「はい。僕だけ何も出来ないままじっとしてはいられません。僕は熟練度がみんなと比べて遅れをとっていますから、何とかして少しでも取り返したいんです。」

「分かりました。では、君の体の状態を今からチェックさせてください。」

 医師の男性はそう言うと、リベラにベッドから出て、歩くように指示を出した。

(一体何をするつもりなんだろう?)

 彼は疑問に思いながらも病室の中をゆっくりと歩き、さらには左手を動かすように指示を受けたため、それに従った。

「先生、どうしてこのようなことを?」

「確かに少しだけではあるが、ホイミの効果はあったようだな。」

「本当ですか?」

「うむ。これなら良かろう。1時間だけ外出を許可する。」

「本当ですか?」

「はい。少しでも早く治したいという君の強い気持ちが回復を早めたようだからな。」

「ありがとうございます!」

 リベラは満面の笑みを見せた。

 ただし、走らないことや時間を厳守すること。そして一切戦闘に手出しをしないことという条件が付いた。

(それならむやみに外出をするわけにはいかないな。何とかしてこの時間を有効活用しなければ。)

 彼は医師の男性が病室を出ていった後、どうすればいいのかをじっと考えた。

 

 それから10分後。バーバラが「おっはーっ!元気いっ?」と言いながら一人で病室にやってきた。

「まあね。一方でバーバラはすごくうれしそうだね。」

「うんっ!これまで自分で貯めたお金やチャモロ達がくれたお金、さらにはモーニングスターを売ったお金を合わせて、ついに念願のはがねのムチが手に入ったの!」

 彼女はその場でうれしそうに素振りをした。

「その武器があれば、立派に戦力になりそうだね。」

「最初はそう思ったんだけれど、魔法使いの状態では思ったほどの効果が無いのよね。多分、あたしが通常攻撃で活躍するためには武闘家にならないといけないと思うの。」

「そうなんだ。でもまだ転職はしないの?」

「もう少しの辛抱よ。何としてもイオラを覚えたいし、それに…。」

「それに?」

「また過呼吸にならないように、心の状態を整えるための時間が欲しいのよ。ところで、リベラは何かうずうずしているようね。いいことでもあったの?」

「実はね。」

 リベラは自分が1時間だけ外出を許可されたことを話した。

「良かったわね!」

「うん。これまでの努力が報われて良かったよ。」

「それで、その時間をどう使うつもりなの?」

「そうだなあ…。まずハッサンの状態を確認しておきたいし、ターニアにも会いたいし…。」

「じゃあ、あたしが今からハッサンのところに行くわ。彼に何か伝えておきたいこと、ある?」

「僕としては、彼に魔法使いに転職してもらってメラミを覚えてもらえればと思っているんだけど。」

「えっ?あっ、そうか。彼はこれまで何度かメラミを唱えていたけれど、それって炎のツメによるものだったわね。」

「そうなんだ。その炎のツメはアモスさんが持っているから、このままではメラミが使えないし、攻撃力自体も大きく落ちているからね。」

「でも、彼はHPが下がる職業を嫌がっていたけれど、果たして同意してくれるかしらね。」

「それを確かめてほしいんだ。行ってくれるかな?」

「OKよ。じゃあ、あたし今からマーズの館に行って、そのことを伝えてくる。」

「ありがとう。頼んだよ。」

「うんっ!」

 バーバラはうれしそうな表情をしながらその場を後にしていった。

 

 その後、彼女が病室に戻ってくると、ハッサンが1回限定で魔法使いに同意してくれたことや、その場所に居合わせたグランマーズの要望で何かを退治してほしいことを伝えられた。

「何かって何だろう?」

「それは教えてくれなかったの。見てのお楽しみだって言っていたわ。」

「とにかく退治するってことは戦闘になりそうだから、それでハッサンはメラミを覚えられそうだね。」

「うん、多分ね。それからね、ミレーユもいたから彼女に事情を話したらついてきてくれることになったわ。」

「分かった。じゃあ、4人でダーマ神殿に行こう。」

「OK!」

 バーバラはそう言うと医師の男性に会いに行き、今からリベラが1時間外出することを伝え、許可を得た上で戻ってきた。

「それじゃ、行くわよーっ!」

「うん。」

 バーバラは右手でリベラの左手を握りしめると、リレミトを唱えた。

 そして外で待機していたハッサンとミレーユに合流し、すぐその場でルーラを唱えた。

(※ちなみにハッサンは腰にサポーターをつけており、グランマーズからの忠告で通常攻撃や特技の使用が禁止されています。さらに素早さが0なので、戦力になるためにはターンの最後にいかずちの杖を道具使用するしかありません。)

 

 4人がダーマ神殿にたどり着くと、バーバラとミレーユは走りながら中に入っていき、それぞれ武闘家と僧侶に転職した。

 続いてハッサンがリベラと一緒にやってきて、彼は魔法使いになった。

 転職が済むと、バーバラは時間を無駄にしたくないという理由でその場でリレミトを唱え、続けざまにルーラを唱えて飛び立っていった。

 

 マーズの館にやってきた4人は、グランマーズから依頼された仕事をする準備が整ったことを伝えた。

「良かろう。では、今から井戸の中に移動させてやるぞい。」

「分かりました。お願いします。」

 リベラが承諾をすると、グランマーズは何か呪文のようなものを唱え、4人を瞬間移動させてくれた。

 するとそこにはいどまじんがおり、こちらに対して敵意をむき出しにしていた。

 ただ、動きは遅いため、ハッサン以外はこちらの先制攻撃になりそうな状況だった。

(みんなでメラミ攻めが出来ればそれが一番だろうけれど、今それが出来るのはバーバラとミレーユだけだから、ここはまず相手の動きを止めるべきかな。それなら…。)

 そう考えたリベラは、ミレーユにラリホー、バーバラにメダパニを唱えるように指示を出した。

 結果、ラリホーは運悪く外してしまったが、メダパニが見事に命中したため、いどまじんは混乱状態になり、リベラ達は攻撃されずに済んだ。

「よし、狙い通りだ。それじゃハッサンは待機していてくれ。」

「分かった。俺もむやみに行動するわけにはいかないからよ。」

 彼が同意をすると、リベラは次のターンではがねのムチの威力を確認するため、バーバラに通常攻撃の指示を出した。

 その結果、3人は彼女の攻撃力を目の当たりにした。

(話には聞いていたけれど、かなりのダメージだな。)

(すごい変貌ぶりだな。本当に同一人物なのか?)

(これなら通常攻撃でも立派に戦力になりそうね。)

 リベラ、ハッサン、ミレーユはバーバラの姿に思わず圧倒された。

 そのせいでミレーユはメラミを唱えることを忘れてしまい、このターンではバーバラしか行動をしなかった。

 一方のいどまじんは自分に攻撃をしてしまい、ダメージを受けた。

 次のターンではミレーユとバーバラがそろってメラミを唱え、ヒットさせた。

 するといどまじんが正気に戻り、気合ためをしてきた。

(この状態で攻撃をされたらまずい。事故防止のために少しでも早く倒した方が良さそうだ。だったら…。)

 リベラはそう考えると、ハッサンにも攻撃参加を依頼した。

「分かったぜ。少しでも戦力になってやる!」

 彼はターンの最後にいかずちの杖を道具使用して炎をヒットさせ、これで勝負ありとなった。

 その結果、ハッサンはメラミとラリホーを覚えた。

「ありがとよ、ミレーユ、バーバラ。」

 ハッサンは自分があまり役に立たなかったことを悔しく思いながらも、素直に感謝をしてくれた。

「大丈夫。これまでずっと助けてもらっていたから、役に立ててうれしいわ。」

「たまには女の子が男の子を助ける立場になったっていいじゃない!」

 ミレーユとバーバラは笑顔で返してくれた。

「じゃあ、ここでの仕事も済んだし、おしゃれなバンダナも手に入ったし、外に出ようか。」

「OKだぜ。それじゃ、リレミトを頼む。」

 リベラとハッサンがそう言った時、4人の足元で黒っぽい何かが出現した。

 彼らが何だろうと思いながらそれをよく見ると、何と「あれ」だった。

「イヤーーーッ!!あたしこんなの相手にしたくなーーーいっ!!」

「ちょ、ちょっとハッサン!お願いだから何とかして!!」

 バーバラとミレーユは悲鳴をあげると、リベラとハッサンを盾にした。

「ど、どうしよう、ハッサン。」

「どうしようって、倒すしかないんじゃねえか?」

「まあ、倒そうと思えばハッサンのメラミで一発だろうけれど…。」

「分かったぜ。じゃあ…。」

 彼が初めてMPを消費して攻撃呪文を唱えると、ほぼ同時に4人の体が光に包まれていき、「あれ」がどうなったのかも確認出来ないまま、彼らはその場から瞬間移動をしていった。

 

 移動した先はマーズの館だった。

「お前さん達、ご苦労じゃった。じゃが、まさか『あれ』に出くわすとは、大変じゃったのう。」

リベラ「いえ、今でも十分大変です。あの…、こんなにバーバラに密着されたら、僕…。」

ハッサン「俺もよ、ミレーユの腕のせいで動きにくいんだけどさ…。」

 2人は思わぬ状況に顔を真っ赤にしていた。

「確かにそうじゃのう。とにかくミレーユ、バーバラ。もう大丈夫じゃ。正気に戻りなさい。」

 グランマーズが忠告をすると、彼女達はゆっくりと目を開いた。

 そして自分達が何をしていたのかを理解すると、彼女達も思わず真っ赤になった。

「キャーーッ!ごめんなさい!あたしけが人のリベラに何てことを!」

「ハッサン、誤解しないで!私、そんなつもりじゃなかったの!」

 バーバラとミレーユはとっさに離れた。

 4人はこの姿をグランマーズに見られたことも重なって、顔から火が出るほどの恥ずかしさに襲われていた。

「いやー、なかなかいいものを見たのう。お前さん達、まさに2組のカップルと見て良さそうじゃ。」

「カ、カ、カップルって…。」

「そ、そんなつもりじゃ…。」

 グランマーズにイジられ、リベラとハッサンはすっかり動揺していた。

 それはミレーユとバーバラも同じで、彼女達は何も言えないまま、手で顔を抑えていた。

 

 しばらくして4人はようやく落ち着きを取り戻し、グランマーズにあいさつをした。

 そして彼らはバーバラのルーラで飛び立っていった。

 やってきたのはライフコッドで、リベラは20分間だけそこに滞在することになった。

 他の3人はダーマ神殿に行き、ミレーユとバーバラは魔法使いに、ハッサンは戦士に再び転職することになった。

「お兄ちゃん、お帰り!」

 ターニアは満面の笑みでリベラを迎え入れてくれた。

「ごめんね、心配をかけて。」

「いいのそんなの。とにかく会えてうれしいわ!」

 リベラは妹に会えたことを喜んだが、あくまでも一時外出のため、またすぐにアークボルトに戻らなければならないことや、熟練度を上げるために何か役立ちそうな物を持っていきたいことを打ち明けた。

「じゃあ、あれから新しい本を買ったから、それを持っていく?」

「えっ?いいの?」

「お兄ちゃんの役に立つのなら私はそれで十分よ。」

 ターニアはリベラを気遣いながら笑顔を見せた。

 そして2人は会話をしながら、短い時間を精一杯満喫していた。

 

 その後、リベラがアークボルトに戻る時間がやってきた。

「お兄ちゃん、早く元気になってね。そして退院したら、またたくさん会話をしようね。私、お兄ちゃんのために何か役立ちそうな本を集めておくから。」

「うん、ありがとう。」

 リベラは左手でその本を持ちながら、妹に深々とお辞儀をした。

 そして外で待機していた3人に合流し、ルーラで飛び立っていった。

 




 今回出てきた「あれ」は、MOTHER2を参考にすれば何か分かると思います。
 これまでアークザラッドⅡ、新・桃太郎伝説、スターオーシャン2、ロックマン2から何らかのアイデアを採用しましたが、個人的にはMOTHER2からも採用したいと思っていました。
 その結果、このアイデアを選びました。
(次回はボンバーキングとHECTOR'87です。それにしても、いざ選んでみると2が多いなあ…。)
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