翌朝。目を覚ましたリベラは、一つの大きな山場を乗り越えたことにとりあえずほっとしていた。
しかし、まだ体に痛みが走る上に、世界が本当の意味で平和にならないことが気になって、気持ちは晴れずにいた。
そんな中、彼はこれからどうすればいいのかが分からずにいた。
そしてみんなが目を覚ました後、そのことを仲間達に打ち明けた。
「それなら、おばあちゃんに会って聞いてみたら?」
「あっ、言われてみれば確かにそうだね。」
「困った時のおばあちゃん頼みってわけね。」
「それじゃ、これからマーズの館に行こうぜ。」
ミレーユの提案を受けて、リベラ、バーバラ、ハッサンはすぐに賛成した。
そして宿屋を後にし、朝食を済ませると、5人は今後に関するヒントをもらうために、マーズの館に向かった。
館ではグランマーズが夢見のしずくを使って仕事をしていた。
そして彼女はリベラ達に気が付くと、そこで手を止めた。
「お前さん達、ご苦労さんだった。よく無事で戻ってきたのう。」
グランマーズはさえない表情の彼らを笑顔でねぎらった。
リベラ「うん、何とか無事で戻れました。でも…。」
「まあ、それ以上は言わんでもよい。お前さん達の気持ちは分かっておる。」
グランマーズはそう言った後、まず下の世界のレイドック城に行ってみることを勧めてきた。
「そこでムドーを倒した褒美をもらえるはずじゃ。」
「どんな褒美なんですか?」
「行けば分かる。とにかく行ってみるがよい。」
「分かりました。」
グランマーズのアドバイスを受けて一行はレイドック城に行き、レイドック王からいかずちの杖を受け取った。
「これが褒美かよ。もっといい物かと思っていたのに。」
もらえたものが期待外れだっただけに、ハッサンは残念な表情を浮かべていた。
実際、攻撃力は炎のツメ、破邪の剣、はがねの剣、モーニングスターより低そうだったため、リベラ、ハッサン、ミレーユ、バーバラが使うには不向きだった。
「他に使う人がいないのであれば、私が引き取りましょう。」
リベラ「いいの?チャモロ。」
「はい。攻撃力はゲントの杖より上ですし、杖と言うからには道具使用も出来そうですから、MPを節約したい時には役立つでしょう。」
彼は素振りをした上でそれを装備し、正式に武器として使うことにした。
「それじゃ私も武器を毒蛾のナイフに持ち替えることにするわ。というわけで、破邪の剣を返却するわね。」
ミレーユはそれをリベラに差し出してきた。
「えっ?そのまま持っていても良かったのに。」
「でもやっぱり申し訳ない気がしたのよ。」
「大丈夫。僕はハッサンが持っていたはがねの剣を使うから。」
「そう?でも、攻撃力は破邪の剣の方が上なのに。」
「気にしないで。お金をためて買えばそれで済むから。」
リベラはあくまでも自分の考えを曲げなかった。
そしてミレーユはとうとう折れたため、破邪の剣を正式に自分の武器として使うことにした。
(一体どうしたのかしらねえ。思えばムドー戦の時から彼はメラミばかりで、通常攻撃を一切していないし…。)
彼女はリベラがまだ痛みを抱えていることにいまいち気づいていないこともあって、彼の考えを理解出来ずにいた。
レイドック城での要件が済むと、一行は道具屋で毒蛾のナイフを売り、再びマーズの館に戻ってきた。
するとグランマーズは次なるアドバイスとして転職を勧めてきた。
リベラ「転職ですか?」
「そうじゃ。実はムドーが倒されたことで、夢の世界のダーマ神殿に行けるようになったんじゃ。そこで転職して新たな能力を身に付ければ、きっとこれから役に立つじゃろう。」
グランマーズはダーマ神殿への行き方や、そこで選択出来る職業の種類。さらには覚えられる呪文や特技などについて詳しく教えてくれた。
「これは使えそうだ。早速行こうぜ!」
ハッサンは早速リベラにルーラを唱えてもらえるように頼んできた。
「まあまあ、そんなに慌てるでない。確かに転職は便利じゃが、必ず何らかの能力は下がってしまう。下手したら長所を失うことになるし、短所が余計に顕著にもなる。そうなったら今まで勝てていた敵にも勝てなくなってしまうことも十分に有り得る。じゃから事前によく考えておくと良いぞ。」
グランマーズはそう言ってリベラ達にアドバイスをしてくれた。
そして一行はそれぞれ自分が何になればいいのかを考え始めた。
リベラ(僕はこれまで武器による通常攻撃がメインだったけれど、これを機に呪文や足技も駆使したいし、そう考えると魔法使いか僧侶か武闘家かな。でもその前に、ちょっとこんなことを提案してみようかな。)
ハッサン(俺としてはやっぱり戦士だな。ムドー戦の時にはチーム事情もあって回復役もやってみたが、やっぱり俺は相手をぶっ倒すのが一番似合っているだろうからよ。そして次は武闘家で決まりだ!とにかくHPが減る職業はごめんだぜ。)
ミレーユ(リベラから破邪の剣をもらったおかげで、ひとまず攻撃役としても活躍出来そうだけれど、私としてはやっぱり呪文も捨てがたいわね。出来れば両方の面で活躍してみたいけれど、基本職ではどちらかをあきらめなければならないし、どうしようかしら。)
バーバラ(今まで足を引っ張ってきた分を取り返すために、魔法使いになってメラミ、ベギラマ、イオラ、ベギラゴンといった攻撃呪文を覚えたい。そして今まで回復をほとんど他の人にやってもらってばかりだったから、僧侶にも就いてホイミ、ベホイミ、ベホマを覚えることにするわ!)
(※彼女はまだベギラマを覚えていません。)
チャモロ(うーーん、難しいですね。僧侶では私がすでに使える呪文とかぶってしまいますから、ただの弱体化になってしまいますし。魔法使いなら呪文は魅力的ですが、HPがやばいことになりますからねえ…。)
それぞれが色々な考えを持つ中で、リベラは魔法使いと僧侶が最初に覚える呪文に注目をしていた。
そして思いついたアイデアを4人に提案をしてみることにした。
「そういうわけで、最初はみんなで魔法使いと僧侶になってみてはどうかな?そうすればすぐに全員メラミとホイミが覚えられるよ。」
「さーんせーい!その手があったのね!これはナイスアイデアだわ!」
「確かに全員で一斉にメラミを使えば強力な攻撃手段になりますね。」
バーバラとチャモロはリベラの提案をすぐに支持してくれた。
ミレーユも納得する一方、ハッサンはメラミなら炎のツメで出せる上に、HPを下げたくないという理由で、最初は難色を示していた。
しかし、リベラからホイミならすぐに覚えられる上に、覚えれば移動中に自分で回復が出来るようになることを伝えられた。
そして、僧侶で一度戦闘をする程度ならという条件で何とか同意を得ることが出来た。
5人は館の外に出ると、早速ダーマ神殿に向かっていった。
現地に到着すると、リベラ達は転職についてさらに詳しい情報を聞いた。
そして基本職に加えて、それを極めると今度は上級職に就けること。
さらにリベラはバトルマスター、賢者、スーパースター、レンジャーのどれか一つをマスターすると勇者への道が開かれることや、スーパースターが最も早くマスター出来る上級職であることを教えてもらった。
(なるほど。イメージに合った職だけでなく、考え方を変えてみると意外な収穫を得られたりもするんだな。)
リベラは色々な選択肢があり、道は決して一つではないことを実感した。
そして、自分はパラディンと魔法戦士を選ぶべきではないことも確認した。
いよいよ転職をすることになった時、リベラは神官に対し、まず全員がメラミとホイミを覚えられるようにすることを申し出た。
神官「いいでしょう。では、ホイミを覚えていない人はこちらに来てください。」
「はーーい!分かりました!」
「よろしく頼むぜ。」
バーバラとハッサンはそう言うと、神官のところにやってきた。
「それではあなた達、僧侶になったつもりで祈ってください。」
「OKよ!」
「分かったぜ。」
2人はお祈りを済ませると、本当に僧侶になった。
「次にメラミを覚えたい人はこちらにやってきてください。」
その言葉を受けて今度はリベラ、ミレーユ、チャモロが神官のところにやってきた。
そして一緒にお祈りを済ませると、彼らは魔法使いになった。
「これで最初の転職は以上となります。後はあなた達が一度戦闘をしたり、それに近いことをすれば熟練度1の呪文を覚えられます。もし別の職業に就きたくなったのであれば、再びここに来てください。私はいつでもお待ちしています。」
「はーい!分かりました!あたしはホイミだけじゃなくてメラミも覚えたいから、近いうちにまたここに来るわ。その時はまたお願いねえっ!」
バーバラは笑顔でそう言いながら、転職に並々ならぬ意気込みを見せていた。
全員がメラミとホイミを使いこなせるようになった後、彼らは次のようなプランを立てていた。
・リベラ … 賢者を経由するか、バトルマスターを経由するかで迷っていたが、ひとまず武闘家のまわし蹴りと僧侶のベホイミを身に付けるつもり。
・ハッサン … 迷うことなく戦士に転職。その後は武闘家に転職して、バトルマスターになるつもり。
・ミレーユ … 武器や特技重視でいくか、呪文重視でいくかについては未定だが、とりあえず何か極めるとすれば僧侶が無難と判断したため、当面それでいくつもり。
・バーバラ … 迷うことなく賢者ルートを選択。そして、ミレーユが僧侶を選んだことを受けて、魔法使いを選択。
・チャモロ … まだ決めていない。
リベラ「じゃあ、これから熟練度を上げに行こう。そして呪文を身に付けたら再度ここに来て、各自の就きたい職業に転職しよう。」
ハッサン「OKだぜ。みんな頑張ろうな。」
ミレーユ「ええ。頑張りましょう。」
一行は気合を入れながらダーマ神殿を後にしていった。
作中でのパーティーメンバーの転職に関しては、あくまでも一例です。
必ずしもこれを勧めているわけではありません。
さらに、ただ決めるだけではつまらないと思ったため、考え方に個性をつけてみました。