先日カルカドに行った商人達は、この日もキメラの翼で再び現地に飛んだ。
そこで彼らが見たものは、以前配給された水や食料さえも消費しつくした人達の姿や、町の中にまでモンスターが入り込んでいる光景だった。
あわや戦闘に巻き込まれそうになった彼らは、持ってきたアイテムをその場に置き、それらがどうなったのかも確認出来ないままアークボルトに戻ってきた。
そしてブラスト達にこの町の惨状について伝えた。
(これはまずいな。このままでは町が占領されてしまう。何とか食い止めなければ。)
彼はそう考えると、他の兵士にその現状を伝えた。
その結果、ブラスト、スコット、ホリディの3人は急いで武器や防具をそろえて、現地に向かって飛び立っていった。
一方、ガルシアは仲間を集めてこれから出かけることをサラに伝えた。
すると、彼女は自分も一緒に行くことを申し出た。
「でも、現地ではイオラ一発では勝てないような強い敵が出てくるんだが…。」
「それでも行きます。確かにこの前は怖気づいてしまいましたが、あの後反省をしたんです。お願いだから私も入れてください。」
サラは懸命にガルシアを説得した。
その姿は彼女の両親が自分を説得してパーティーメンバーに入った時とどこか似ていた。
そして彼は考えた末に彼女をメンバーに加えることにした。
「ありがとう、ガルシアさん。絶対に役に立ってみせます!」
サラは満面の笑みで喜んでくれた。
その表情を見ながら、彼は顔を引き締めた。
(彼女を加えたからには、絶対に守ってあげなければ…。思えば、僕はあの時、彼女の両親を守ってあげられなかった。そして大けがをした状態で戻ってきた2人を見た時の、彼女の泣きじゃくる姿は今でも忘れられない。もうあんなことは繰り返さない!)
彼は並々ならぬ決意をしながら、サラと並んで歩いた。
すると、2人は手をつないで仲良く並んで歩いているリベラとバーバラにすれ違った。
「あら?ガルシアさんとサラさん、一緒におデート?」
バーバラが興味津々に聞くと、ガルシアは興奮気味に「そんな目的ではありません!」と言った後、モンスターからカルカドを守りに行くことを話した。
「どうかね?君達も来るかね?」
「えっと…。」
リベラは現時点で通常攻撃が出来ないため、すぐには決められなかった。
「だったらリベラは仲間を集めに行ってくれる?」
「えっ?でも…。」
リベラはかつてバーバラが『離れて旅なんて出来ない。』と言っていたことが気になった。
しかし彼女は大丈夫と言わんばかりに胸を張っていた。
それを見て、リベラもその思惑を感じ取り、仲間を呼びに行くことを決めた。
「じゃあ、頼んだわ。」
「分かった。」
リベラは持っていた貴族の服をその場で装備した。
そして4人は城の外に出ると、ルーラでカルカドに向けて飛び立っていった。
町に足を踏み入れた後、彼はバーバラに「少しの間離れ離れになるけれど、すぐに戻ってくるからね。」と言い残し、自分でルーラを唱えた。
現地ではすでにブラスト、スコット、ホリディが戦っていた。
彼らは通常攻撃に加えて呪文や特技を駆使し、モンスターを追い返していた。
しかし回復手段がスコットのベホマラーしかないため、モンスター達はラリホーややけつく息などで彼の動きを止めようとやっきになっていた。
さらに彼らは水や食料が手に入ることを口コミで広めたのか、本来この近辺にいないはずのモンスターも来ていた。
そしてバーバラ達3人が加わると、早速ラリホーンとくさった死体各2匹に加えて、雲のきょじん、ぬけがら兵、きりさきピエロ、オークマンが各一匹(一人)ずつ現れた。
(これはまずいな。こんなに来られたら攻撃を防ぎきれない。)
ブラストが焦りの表情を浮かべている一方で、素早さの非常に高いサラと星降る腕輪を身に付けているバーバラはお互いの顔を見て、目で合図を送った。
そして2人でほぼ同時にイオラを唱え、何と一瞬で全員を降参させてしまった。
ラリホーンA「そんな、ひどい…。」
雲のきょじん「半端ないって!ダブルイオラ半端ないって!」
ぬけがら兵「無耐性だと全員3ケタのダメージ受けるんだもん!」
オークマン「うちら、そんなん耐えられへんもん!」
彼らは泣き言を言いながら別のモンスター達にバトンタッチした。
しかし彼らも先制ダブルイオラの前になす術がないまま、撤退をよぎなくされた。
それからしばらくの間は戦闘にならなかったため、彼らは町に残っている人達と話をして、幸せの国やひょうたん島に関する情報を聞いた。
しばらくすると、リベラがハッサン、ミレーユ、チャモロを連れて戻ってきた。
一方、モンスター達も手はずを整えたようで、再び集団でカルカドにやってきた。
最初の相手はスーパーテンツク、おおイグアナ、メタルスライム各2匹、ポイズンキャロットとバーニングブレス各一匹だった。
戦闘になるとメタルスライムAが通常攻撃でハッサンにダメージを与え、Bがメラでチャモロに小ダメージを与えた(魔法の盾で軽減)。
その直後、バーバラはイオラを、ミレーユはイオを唱えて相手を次々と降参させ、サラが通常攻撃をバーニングブレスにヒットさせて、残りはメタルスライムのみとなった。
男性陣は何とか経験値を得ようとあれこれ模索したが、結局ダメだった。
そして次のターンでメタルスライムが2匹とも逃げてしまったため、戦闘はそこで終了となった。
次の戦闘はようじゅつし3人だった。
サラはメダパニダンスを踊ったが完全耐性ということもあって失敗。バーバラは強耐性を覚悟の上でイオラを唱えて30ポイント程度のダメージを与えた。
ようじゅつしBはバイキルトを唱えたが、ミレーユのラリホーで眠ってしまった(他の2人は失敗)。
ようじゅつしAはメラミを唱えてリベラにヒット(魔法の盾で軽減)させたが、お返しとばかりの彼のラリホーで眠ってしまった。
チャモロはCに突き飛ばしを仕掛けたが失敗。その彼はお返しとばかりに反撃をしてきてチャモロにダメージを与えた。
そのCはガルシアとハッサンの通常攻撃を受けて降参した。
(いつも順番が最後ではまずいな。このままでは女性陣3人に何もかも持っていかれてしまう。こうなったらこれに賭けてみよう。腰がもってくれるのかは分からんが、やってみるしかない。)
ハッサンはそう考えるとしっぷう突きを仕掛け、真っ先にBにダメージを与えた。
バーバラとサラはようじゅつしが眠っていることを利用して一旦攻撃の手を止めさせ、それぞれマホトラとマホトラ踊りで2ターンの間MPを補充することにした。
その間、リベラはゲントの杖で自分のHPを回復させた。
そして2回目のMP吸収の後、ミレーユとリベラはそれぞれいかずちの杖と破邪の剣を道具使用し、チャモロ、ハッサン、ガルシアの通常攻撃で相手をKOさせた。
その後、モンスター達は何ヵ所かに分かれて町に侵入してきた。
それを受けて、リベラ達は3つのパーティーに分かれて戦うことになった。
パーティー1:リベラ、ハッサン、ミレーユ、バーバラ
パーティー2:チャモロ、ガルシア、サラ
パーティー3:ブラスト、スコット、ホリディ
その中で、リベラはまわし蹴り(最大2体まで)、ハッサンはしっぷう突きであれば問題なく使えることを自覚したため、攻撃手段の中に組み込むことにした。
やがて日は西に傾いていき、リベラ、ハッサン、ミレーユ、バーバラ、チャモロ、サラの6人はカルカドから離れることになり、ブラスト、ガルシア、スコット、ホリディが現地に留まって交代で見張りをすることになった。
この時、サラはガルシアと離れることを嫌って自分も留まることを申し出たが、彼の説得により、離れることを了解した。
そしてリベラとバーバラはライフコッドに、ハッサンとミレーユはマーズの館に、チャモロはゲントの村に、サラは両親のもとに向かった。
マーズの館にやってきたミレーユは、グランマーズに会うと早速相談を持ち掛けた。
「おばあちゃん。私、今日はハッサン達のおかげで何とか持ちこたえられたけれど、途中でまた倒されるんじゃないかとヒヤヒヤしたの。」
「まあ、魔法使いの状態でまともに戦ったら、やむを得んじゃろうのう。」
「そうなのよ。バーバラの時のような苦労はしたくないし、何かいい方法は無いかしら?」
「そうじゃのう…。」
グランマーズは少し考えた後、水晶玉に手をかざして占いを始めた。
そして「この特技を身に付ければ役に立つかもしれんのう。」と言いながら、ミレーユに水晶玉のところに来るように勧めてきた。
そこには、2人の女性が動画(?)の解説をしていた。
『今日は商人が熟練度5で覚える「おたけび」について解説をしていきます。』
『商人はあまり有用な職業ではないから、そもそもなったことないし、この特技も使ったことないな。』
『うまく使えば、すごく役に立つわよ。それでは早速説明していくわね。』
『よろしく頼んだぜ。それじゃ、』
2人『ゆっくりしていってねー。』
『メンバーは主人公、ハッサン、ミレーユ、バーバラの4人で、ミレーユがおたけびを覚えた状態で星降る腕輪を装備させておくわね。』
『ふむ。何でミレーユなんだ?』
『彼女ならほとんど確定で先制おたけびが出来るからね。』
『確かに彼女は最も素早いキャラだからな。それで、ようじゅつし3人と出会ったな。確かこの敵は強耐性が多くて厄介な敵だったが。』
『でも実はおたけびに無耐性なのよ。だから、ミレーユに先制でおたけびを使わせると、ほら、このとおり。』
『おっ!全員すくんだな。つまりこのターンではノーダメージが確定したってことか?』
『そのとおりよ。ただし効果は1ターンだけだから彼女は毎回おたけびということになるわ。』
『声が枯れそうだな。大丈夫か?』
『それは気にしてはいけないことよ。そしてバーバラはマホトラでMPを補充。主人公はジワジワと攻撃。ハッサンはゲントの杖でHPを回復させていくわ。』
『おっ!ダメージを与えながらMPとHPが回復したな。』
『やることが済んだら3人で総攻撃よ。ほら、これでほとんど攻撃を受けることなく撃破したわ。』
『楽勝だな。こんなのがまかり通ったら戦闘バランスが壊れそうだな。』
『でも、先にこれを覚えておけば魔法使いに転職しても一軍で出せるようになるわ。』
『確かに、攻撃されなければHPが低くても関係ないもんな。』
『今回の敵は無耐性だったけれど、たとえ強耐性を持っていたとしても、集団で出てくれば誰かは効くでしょうから、相手からの攻撃を減らすことが出来るわ。だから、覚えてしまえばガンガン使っていけるわよ。』
『そうだな。私も早速誰かを商人に転職させてみることにするぜ。』
『というわけで、今回はおたけびの有用性について解説したわ。それではみなさん、』
2人『まったねえーっ。』
「そういうわけじゃ。早速やってみるかの?」
「ええ。少し回り道にはなるけれど、それ以上の収穫が得られそうだから、やってみるわ。」
ミレーユは迷うことなく商人になることを決意した。
翌日。彼女は転職を済ませた上でリベラ、ハッサン、バーバラと合流し、カルカドに向かっていった。
現地ではすでにチャモロ、アモス、ホイミンがおり、夜勤明けのブラスト達と交代で警備をしていた。
彼らに合流すると、ミレーユはおたけびを覚えるために商人に転職したことを話した。
するとホイミンがそれに興味を持ったため、ミレーユは彼を連れて一旦ダーマ神殿に行き、転職を済ませた上で戻ってきた。
その後、町にやってきたモンスターと戦闘をした結果、彼らの熟練度はぐんぐん上がっていった。
この作品を読んでいて、主人公(リベラ)、ハッサン、ミレーユ、バーバラの4人パーティーでの描写が目立っていることに気づいた人も多いと思います。
これは前作でもそうでした。
ゲームであればメンバーをローテーションで入れ替えながら起用しているところですが、これが僕のお気に入りの組み合わせなので、何卒ご了承ください。