アモス達がジャミラスと戦っている頃、リベラ達4人はパーティーを二手に分けることになり、リベラとバーバラはカルカドに残った。
一方、アークボルトにやってきたハッサンとミレーユはサラの両親に会って会話をしていた。
「そうか。娘もHPが3ケタになったのを機に、ついに旅に出ていったのか。」
「それは喜ばしいことですが、母親としてはどうか元気で帰ってきてほしいです。」
彼らはサラの活躍を期待しながらも、彼女の無事を願っていた。
「それは心配ないと思うぜ。ガルシアさんがきっと彼女を守ってくれるだろうからよ。」
父親「おおっ!あのガルシアと一緒に行動しているのか?」
ミレーユ「はい。2人はお互い良きパートナーですから、助け合いながら頑張っているはずです。」
母親「それなら心強いです。いい報告が出来るといいですね。」
ハッサン「それにしても彼女は身長が25cmも低いのに、あそこまで仲良くなるなんて不思議だよな。」
ミレーユ「きっと彼らにはそれを乗り越えられるだけの何かがあるんでしょうね。」
4人が楽しそうに会話をしていると、ふと空から誰かがこちらに向かっているのが見えた。
「えーっと…。あの服装からしてガルシアか?」
「それにもう一人はサラさんのようね。無事のようね。」
ハッサンとミレーユの言うとおり、彼らは確かにガルシアとサラだった。
しかし彼女は空中で何か懸命に呪文を唱えており、何やら切羽詰まったような雰囲気が見て取れた。
「一体どうしたんだ?」
「何かあったのかしら?」
両親がそうつぶやくと2人は城の入口から少し離れたところに降り立った。
そしてサラは何度もホイミを唱え続けていたが、すでにMPは底をついていたため、呪文が発動しなかった。
明らかに様子がおかしい彼女を見て、ハッサン達4人はその場に駆け寄った。
「どうしたんだ?ガルシアに何かあったのか?」
「あっ、お父さんお願い!ガルシアさんを助けて!彼を絶対死なせないで!」
サラは泣きじゃくりながら、無駄と分かっていてもまだホイミを唱えていた。
母親「これはひどい傷ね。早く手当てをしなければ。」
ハッサン「じゃあ、医務室に運び込もうぜ。」
「待って!その前に救命処置をしなければ!」
ミレーユは早速ベホイミを唱えた。
「その呪文では不十分だ。ここは私にやらせてくれ!」
サラの父親は彼女に代わってベホマを唱えた。
すると、ガルシアが「うっ…。」と言いながらうめき声をあげた。
「あっ!気が付いたのね!」
サラはボロボロ涙を流しながらも、うれしそうな表情をした。
「喜ぶのはまだ早いぞ、サラ。ベホマを唱えればわずかに回復はする。しかしそれも一時しのぎだ。つまりこれから何度も何度もベホマを唱え続けなければ、彼は帰らぬ人になってしまうぞ。」
「そんな…。じゃあ、お父さんのMPが無くなったら、ガルシアさんは…。」
サラは再びわなわなと震え始め、顔を押さえて泣き崩れてしまった。
それを見た母親は娘のそばにやって来ると、両腕で優しく包み込んだ。
「うわあああっっ!!」
「大丈夫ですよ。あなたにお礼も言わないまま、遠くに行ってしまうもんですか。」
「だってだって…!!」
サラは母親の腕の中で泣いてばかりだった。
するとそこにグランマーズがワープするように突如姿を現した。
「おばあちゃん!どうしてここに?」
「決まっておろう。これは緊急事態じゃ。おとなしくじっとしていられるわけがないじゃろう!」
彼女はミレーユにそう言い放つと、自分もベホマを唱えることにした。
「おばあちゃん、私達にも何か出来ることある?せめてベホイミでも貢献したいの。」
「俺もよ。ホイミでいいから役に立ちたいぜ!何か手伝いをさせてくれ。」
「ベホイミなら何とか2、3分程度の生命維持にはなるが、回復にはならん。ましてホイミでは焼け石に水じゃ。それより、ミレーユとハッサンはリベラとバーバラと合流してダーマ神殿に行き、少しでもMPを増やすために全員魔法使いになってここに戻ってきなさい!」
「分かったわ。」
「了解したぜ。」
彼らはすぐにルーラでカルカドに向けて飛び立っていった。
すると、入口にいた門番から話を聞いたブラストがやってきた。
「おおっ!ちょうどいいところに来てくれた!」
グランマーズは彼を見るなり、マホトラでMPを分けてもらえるようにお願いした。
「分かりました。命を救うためなら喜んで差し上げましょう。」
ブラストは即答で同意した。
すると、サラの父親もマホトラで減っていたMPを補充した。
リベラ達が全員魔法使いになってアークボルトにやってくると、ミレーユとバーバラは交代でベホイミを唱えた。
一方、ホイミしか使えないリベラとハッサンはマホトラを唱えられる人にMPを供給し、間接的に生命維持に貢献した。
そうしているうちに医師の男性と看護師の女性は治療の手はずを整えてくれた。
そしてガルシアの容体が徐々に安定してきたことを確認すると彼を手術室に運んでもらい、その後もベホマやベホイミを唱えてもらいながら手術を開始した。
手術の間、みんなのMPは次第に減っていき、いつ終わるのか分からない緊張感の中でリベラ達の疲労の色も次第に濃くなっていった。
そして全員の数値がもうすぐ底を尽きそうになった時、看護師の女性は「先生、もう大丈夫ですよね。」と言って、医師の男性の顔を見た。
「うむ。一時はどうなるかと思ったが、命の心配はもうない。みんな、安心してくれ。」
その言葉を聞いて、一行は一斉に安どした。
すると、気持ちを懸命に抑えていたサラは途端にこらえきれなくなり、母親に寄り添われながら泣き出してしまった。
リベラ達は何も言わず、彼女をじっと見つめていた。
サラは気持ちが落ち着いた後、ジャミラスとの戦闘で起きた出来事を話してくれた。
『よくもガルシアさんを!ガルシアさんを!!』
自分の目の前で彼が重傷を負った後、彼女はかたき討ちとばかりにムチ攻撃をした。
するとジャミラスの目にヒットし、彼がひるんだため、その隙にチャモロは炎のツメを奪い取り、ホイミンはメラミをヒットさせた。
アモスは体当たりをくらわせて大ダメージを与え、それを見たピエールがゲントの杖でアモスのHPを回復させた。
(早く何とかしないと、ガルシアさんが帰らぬ人になってしまう!)
サラはそう考えると『みんな、後をお願い!』と言い残して、彼を引きずりながら距離を取った。
そして即座にリレミトを唱えて戦闘から離脱し、外に出るとルーラを唱えてアークボルトに向けて飛び立っていった。
「そうか。ボス敵との戦闘でガルシアさんがそんなことに…。」
「多分そのジャミラスはムドーよりも強かったでしょうね。」
「そうなると、チャモロ達がどうなったのか気になるわね。」
「きっと彼らなら何とかしてくれると信じたいけれどよ…。」
リベラ、ミレーユ、バーバラ、ハッサンは残されたメンバーのことが心配でたまらなかった。
「それでもあの状況でよく戻ってくることを選択出来たのう。見事じゃったぞ。」
グランマーズは落ち込むサラを優しく励ましてくれた。
「本当ですか?」
「うむ。もしそのリレミトが戦闘終了後じゃったら、ガルシアは間違いなく手遅れになり、お前さんの笑顔を見ることは2度となかったじゃろう。じゃから、お前さんの判断が彼を救ったんじゃ。」
「でも私、みんなを置いてきてしまった…。みんなを不利な状況にしてしまった…。もし私が離脱したせいでみんながやられてしまったら…。」
「そうか。それなら、わしがその戦闘のその後を見せてやることにしよう。」
グランマーズは持ってきた水晶玉を発動させた。
すると彼らは本気ムドー戦の時と同様、満身創痍の状態になりながらも何とかジャミラスを倒し、それを見た手下のモンスターは一目散に撤退をしていった。
「そういうことじゃ。彼らは無事に勝てたぞい。」
「本当なのね?嘘じゃないわよね!?」
「本当じゃよ。だからお前さん、胸を張りなさい。」
「はい…。」
サラはグランマーズのおかげでみんなを置いてきた自責の念から解放され、ようやく安どの表情を浮かべた。
そして彼女はガルシアのそばにいることを望んだため、ガルシアを手術室から病室に移動させると、両親とその場に残ることにした。
一方、グランマーズはわずかに残されていたMPを使ってルーラを唱え、マーズの館に戻っていった。
彼女を見届けた後、MPが0だったバーバラはマホトラでハッサンから5ポイントのMPを補充し、それを使ってルーラを唱え、カルカドに向かっていった。
現地ではチャモロ達が人々を連れて町に到着するところだった。
町に残っていた住民は一斉に彼らのところに向かっていき、家族や大切な人との再会を心の底から喜んでいた。
一方、チャモロ達はリベラ達に気が付くと、足早にこちらにやってきた。
リベラ「みんなありがとう。大変な戦いだったと思うけれど、おかげで人々が救われたよ。」
チャモロ「どういたしまして。ジャミラスはかなりの強敵でしたが、何とか勝てました。」
アモス「ですが、あの…、ガルシアさんとサラさんはどうなったんですか?」
ハッサン「心配ないぜ。彼女が唱えたあのリレミトのおかげでガルシアは一命をとりとめたからよ。」
ホイミン「本当ですか?」
バーバラ「本当よ。みんなで魔法使いに転職して、MPが続く限り回復呪文を唱え続けたわ。」
ミレーユ「それ以前に、あと少し戻ってくるのが遅かったら手遅れだったって言われたわ。」
ホイミン「それなら良かったです。本当に心配でたまりませんでしたから。」
彼らがほっとしている中、ピエールは自身があまり貢献出来なかったことや、リベラ達4人が初対面であることもあって、何も言わずにどこか警戒をしていた。
しかし、その4人が笑顔で仲間として迎えてくれたため、次第に警戒心は薄れていき、正式にパーティーに加わってくれた。
その後、チャモロ達はジャミラスを倒した後のことを話してくれた。
「いやー、ボスを倒したのは良かったんですが、まさかその後、城が崩壊する事態になるなんて…。」
「はい。よりによって制限時間内にみんなを連れて脱出しなければならなくなったんです。」
「あの時は死ぬほど焦りました。ただでさえ一人残らず連れ出さないといけませんでしたし。」
「その一方で城内には宝箱がいくつもありまして、ついそれが気になってしまいました。」
すでに傷だらけだったアモス、チャモロ、ホイミン、ピエールは一難去ってまた一難という事態に見舞われただけに、生きた心地がしないような表情をしていた。
とはいえ、宝箱からお金やアイテムを手に入れることが出来たため、彼らはたくさんのお金を手に入れた。
ハッサン「これで新たな装備品を買えそうだな。アモっさん達には本当に感謝だぜ。」
リベラ「それよりもまずガルシアさんの治療費を捻出しよう。そして食料や水も買いたいね。」
バーバラ「それを差し引いてもまだ6000ゴールドは残るから、ミレーユにも月の扇が買えるわね。」
「そうね。でも私は破邪の剣のままで行こうと思っているの。」
「えっ?何で?せっかくあたしのように通常攻撃でも活躍出来るのに。」
「私はおたけびを覚えた後、魔法使いと僧侶を極めて賢者路線でいくつもりだから、呪文主体で行こうと思うの。だから武器のことは心配しないで。」
「でも…。」
バーバラは彼女の決断に納得出来ずにいたが、リベラはすぐに彼女の思惑を受け入れた。
「分かった。ミレーユ、頼んだよ。」
「任せといて。呪文なら誰にも負けないつもりだから。」
「俺からも頼んだぜ。賢者は絶対に必要な職業だからよ。」
「ええ。あなたの期待に応えてみせるわ。」
彼女はハッサンにも笑顔で応対していた。
チャモロ達がジャミラスの居城から脱出する場面は「ファイナルファンタジーV」のカルナック城のシーンを参考にしています。
僕はFFシリーズをプレイしたことがありませんが、FFファンも結構読んでいると思ったので、動画をいくつか見た末にこれを取り上げてみました。
ガルシアとサラの身長差25cmというのは、スターオーシャン2のアシュトンとプリシス(それぞれ180cmと155cm)に由来しています。
僕はバーバラの他にプリシスも気に入っています。
今回はこれまで何度か登場した医師の男性と看護師の女性に加えて、サラの両親も登場しました。
彼らの正式な名前は決めていませんが、とりあえず仮の名前は付けています。
医師の男性 … カーノ
看護師の女性 … ルシア
由来はブレスオブファイアの二次創作で使用したキャラ名です。
サラの父親 … ライス
サラの母親 … バーク
由来は僕が競走馬育成ゲームをプレイしていた時に使用した馬名「ライスフィールド」と「トランクバーク」です。