You Are There   作:地球の星

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Quest.31 配置転換

 グラコスとの戦闘で声が出なくなったミレーユは、診察を受けた後、筆談で医師からバーバラにバイキルトをかけないように宣告されていたことを打ち明けた。

『バーバラ、黙っていてごめんね。』

「気にしないで。ミレーユもきっとつらかったと思うから。あたしもあの時怒っちゃってごめんね。」

『ありがとう。』

 彼女達は笑顔で仲直りした。

 そしてバーバラは呪文の使えないミレーユに対し、これから職業をどうするのか問いかけた。

『私は(賢者がベホマラーを覚える熟練度)5まで頑張るわ。』

「でも、それまでに呪文を唱えられるようにならなかったら?」

「……。」

 ミレーユは何も答えられず、うつむいてしまった。

リベラ「バーバラ。それは言わないことにしようよ。」

「えっ?あっ、ごめんね。」

『いいの。気にしないで。』

 ミレーユは笑顔でバーバラを許してくれたが、少しするとまた落ち込んでしまった。

 しばらくそっとしておいた方がいいと思ったリベラは彼女を連れてマーズの館に行き、グランマーズにケアをしてもらうことになった。

 

 2人になった後、リベラは一つアイデアを思い付いた。

「バーバラ。こうなったら君も賢者になってくれないか?」

「えっ?あたしが?」

「うん。もしミレーユがこのまま呪文を使えなかった時のことも考えておきたいんだ。だから、魔法使いに転職してくれないか?」

「でもあたし、しんくうはを覚えたし、これで再び戦力になれる目途が立ったのに…。」

「僕だって無理にとは言わない。でも出来ることなら頼む。」

 リベラはしばらくの間みんなで熟練度上げに専念するアイデアを打ち明けた。

「それならいいわ。魔法使いになったらあたしはその間、戦力になれなくなるから。」

 バーバラは突然の提案に戸惑いながらも、リベラの提案を受け入れてくれた。

 そして彼女は熟練度上げ目的では久しぶりに魔法使いに転職した。

 

 アークボルトにやってきた2人はサラの両親に会った。

 リベラとバーバラは彼らに自分達の近況を話し、出来るだけ戦闘を避けながら熟練度を上げたいという思いを打ち明けた。

「それならちょうどいい。僕達がコーチになりますので、修行をしてみませんか?」

「私達はアモスさんとチャモロさんを指導した実績があります。いかがでしょう?」

 サラの両親は2人の気持ちを理解した上でそのような提案をしてきた。

「本当ですか?それならぜひお願いします。」

「あたしからもお願いします!」

 リベラとバーバラは喜んで依頼を引き受け、彼らのもとで熟練度を上げていくことになった。

 サラの父親はなるべく早く魔法使いをマスター出来るようにメニューを工夫しながら、バーバラにラリホーマやマホカンタを教えてくれた。

 そしてサラの母親はハッスルダンスやムーンサルトについて色々コツを教えてくれただけでなく、相手を見とれさせる作戦を授けてくれた。

 

 その日の修行を終えた後、4人のところにサラとガルシアがやってきた。

 サラはレベルアップでHPが伸びない以上、HPの低さをどうしても克服出来ず、ガルシアは通常攻撃こそ出来るようになったものの、かわされてばかりのため、事実上炎のツメとゲントの杖の道具使用でしか役に立てなかった。

 そのため、パーティーの中で非常に苦しい立場に置かれており、その悩みをみんなに打ち明けた。

「それならサラさん。ミレーユのコーチになってくれますか?」

「コーチ?」

「うん。彼女に通常攻撃で活躍出来るようになってほしいから。」

 リベラはミレーユがおたけびや呪文が使えず、しかも通常攻撃の能力が低下しているため、彼女を鍛える必要があることを話した。

「おおっ!それはいいチャンスだ。サラ、ぜひ彼女を指導してやってくれ。」

「あなたは剣道やフェンシングも得意ですから、きっといい先生になれますよ。」

「でもお父さん、お母さん。私はミレーユさんよりも年下ですし、コーチなんてこれまで考えたことも無かったから、果たして出来るのかどうか…。」

 サラは自分に自信が持てず、答が出せなかった。

 するとそこにガルシアが割って入り、「それなら僕が協力することにしよう。」と提案をしてきた。

「ガルシアさん、いいんでしょうか?」

「ああ。君が悩むのであれば、その悩みを僕にも分けてほしい。君一人に背負わせたりはしない。僕も手伝うよ。」

 彼は右手をサラの左肩に置き、微笑みながら説得をした。

 それに後押しされて、サラはガルシアや両親と一緒ならという条件でミレーユの指導を引き受けてくれた。

「それならガルシアさん。ミレーユだけでなく、ハッサンを鍛えてもらってもいいですか?」

「彼に何かあったのか?」

「はい。」

 リベラはハッサンの右手がひどい内出血を起こした上に疲労骨折寸前の状態だったため、しばらく特技どころか通常攻撃すら難しい状態になってしまったことを打ち明けた。

「そうか。分かった。では、僕が腹筋やスクワットなどで彼を鍛え上げることにしよう。」

 ガルシアは喜んでコーチを引き受けてくれた。

「それなら明日からはあたし達みんなで一緒に修行をしましょう。」

「それがいいね。じゃあ、バーバラは彼らを呼んできてくれるかな?」

「いいわよ。早速彼らのところに行くわね。」

 バーバラはリベラの依頼を受けて、ミレーユとハッサンのところに飛んでいった。

 

「そうですか。ハッサンとミレーユさんがそんなことに…。」

「バーバラさんも魔法使いになった以上、戦うのは厳しそうですね。」

 翌日の修行を終えたリベラから3人の近況を知ったチャモロとアモスは、熟練度上げのために魔術師の塔へと向かった。

 するとそこにはバトルレックスのドランゴがおり、ホイミン、ピエール、エスカと一緒に行動をしていた。

 ドランゴはリベラに気が付くと、途端に申し訳なさそうな表情になり、フーセンドラゴンに通訳をしてもらいながらバーバラのその後について問いかけてきた。

 リベラは「彼女なら大丈夫。気にしないで。」と言って簡単に済ませようとしたが、チャモロとアモスにちゃんと話した方がいいと言われたため、正直にすべてを打ち明けることにした。

「私、そんな大けがをさせてしまった上に、武闘家の特技を使えなくさせてしまった。バイキルトをかけてあげられなくさせてしまった。本当にごめんなさい…。出来れば彼女に会って直接謝りたい。何か償いをしたい。」

 ドランゴは深々と頭を下げながらリベラに向かって謝罪をした。

(※フーセンドラゴンに通訳をしてもらっているおかげで、彼女のセリフが流ちょうな上に、「ギルルルン」がカットされています。)

「その気持ちは僕から伝えておきますから、もう気にしないでください。バーバラは事故を乗り越えて明るくふるまっていますし、彼女もきっとそれを望んでいるはずです。」

「分かりました。彼女のために頑張ります。」

 リベラの励ましを受けて、ドランゴは前向きな気持ちになった。

 そして彼女はホイミン、ピエール、エスカと旅に出ることにした。

「あっ、それなら、これを持っていってください。」

 チャモロはそう言うと、袋からグラコスの槍を取り出し、ドランゴに渡した。

「ありがとう。」

 彼女はありがたく受け取ってくれた。

 そしてホイミン達はさらにまじんの鎧やきせきの剣などを受け取り、装備を充実させていった。

 

 彼らに加えてリベラが塔を後にしていった後、チャモロとアモスは塔にいるモンスター達と一緒に修行をすることになった。

 そして戦力外になり、住む場所を失ったモンスター達を喜んで迎え入れ、彼らを捕らえる目的で偵察モンスター達がやって来ると、一緒に戦って撃退をした。

 

 ある日。リベラとバーバラはカルベローナにやってきた。

 その場所で、彼女は過去に起きた出来事や自分のルーツについて色々知ることになった。

(そうなんだ…。あたしは全然知らないままだったけれど、そんな過去があったなんて…。)

 記憶の無かった彼女は、真実を知ることが出来てうれしい半面、不安な気持ちにもなった。

 その後、バーバラはカルベローナに代々伝わる究極の呪文であるマダンテを習得するために、長老の家の中に入っていった、

(彼女はこの世界の住人なのか…。)

 リベラはバーバラと住む世界が違うということを知ると、いつか彼女と別れなければならない時が来てしまうのではないかという予感を感じ取った。

 しかしそれを言葉にしたら、今彼女と一緒にいられる幸せそのものが壊れてしまうのではないかと思ったため、黙ることにした。

 

 それからしばらくして、バーバラはマダンテの能力を身に付けた状態で家から出てきた。

「バーバラ。これで強力な切り札を身に付けたね。」

「うん。これでみんなの役に立てればいいわね。でも…。」

「でも、何?」

「これを使ったら、体に一体どんな影響が出るのかしら…。」

 バーバラはドランゴとの戦闘後から、行動に制限が付きまとってきただけに、不安を隠せずにいた。

 一方のリベラも彼女に何て言えばいいのか分からず、だまって彼女と手をつないで歩き続けた。

 

 リベラと一旦パラディンに復帰したバーバラは、武闘家になったアモスと商人になったチャモロに合流し、一緒に不思議な洞くつに入っていった。

(アモスはハッサンに代わってアタッカーになり、チャモロはおたけびを覚えるため、こうなりました。)

アモス「そうですか。バーバラさんはマダンテを覚えたんですね。」

「うん。でも、ここぞという時だけの切り札にするつもりで、普段はかまいたちやしんくうはなどにしようと思っているんだけれどね。」

チャモロ「しんくうはは結構強力ですし、きっと役に立ちそうですね。」

「まだライデインには及ばないけれど、レベルアップすれば威力も上がると思うから、これからどんどん使っていくわね。」

アモス「それにしても、バーバラさんがカルベローナの次期長老だなんて、意外でしたね。」

チャモロ「とはいえ、長老って言われても、何だか困ってしまいそうですね」

「そうなのよ。だからあたしとしてはカルベローナのウ〇娘なんてのはどうかなって思っているの。」

「ウ〇娘って…。」

 リベラは思わず苦笑いを浮かべた。

「そっちの方が合っているでしょ。だからあたし、自分でウ〇耳バンドを作ってみようと思っているの。そして歌だけでなく踊れるキャラになってみたいのよね。」

 バーバラはノリノリで自分の考えを提案する一方、他の3人は渋い表情を浮かべていた。

 

 地下4階にやってきた4人は、伝説の盾が入っていそうな宝箱のところにやってきた。

 しかし箱を開けようとした途端、サイレス、ドラゴンソルジャー、トロル、ハイオーク、じゃしんぞうが現れて先制攻撃をしてきた。

 その際、サイレスはバシルーラを、トロルは突き飛ばしを使ってそれぞれアモスとリベラを離脱させてしまった。

 さらに残りの3匹はチャモロに痛恨の一撃を含む集中攻撃を浴びせてKOさせたため、戦えるのはバーバラ一人になってしまった。

(このままでは次のターンであたしも確実にやられてしまう。こうなったらこれに賭けるしかないわね。使った後であたしの体に何が起きるのか分からないけれど、やってみるしかない!)

 覚悟を決めた彼女は精神を集中させた後、キッと相手をにらみつけた。

「くらえ!あたしの渾身の一撃よ!マダンテーーーーッ!!!」

 彼女が大声で叫ぶと次の瞬間、体がまぶしく光り輝き、全ての魔力を解き放った。

 その魔力は相手に次々と襲い掛かり、彼らの体はまぶしすぎるほどの光に包まれていった。

 

 やがて光は徐々におさまっていき、完全におさまるとそこにモンスター達の姿は無くなっていた。

(ごめんね。こうでもしないとやられていたから。)

 バーバラは正当防衛とはいえ、このようなことをしてしまったことに罪悪感を感じていた。

 そんな気持ちを感じ取ったリベラは彼女のところにやって来ると、そばに寄り添って心のケアをした。

 そして宝箱を開けてスフィーダの盾を手に入れると、バーバラはマホトラでリベラからMPを補充し、大けがをしたチャモロを連れてリレミトで洞くつを脱出していった。

 

 その頃、ホイミン、ピエール、エスカ、ドランゴはグレイス城にやってきた。

ホイミン「あっ、こんなところに下り階段が!」

エスカ「ここに階段があることをなぜホイミン君が知っているのかについては、聞かないことにするわ。」

ピエール「確かに、思いっきりメタいことなので、聞かない方がいいでしょう。」

ドランゴ「君達…、面白い…。ギルルルン…。」

 彼らが手に入れたオルゴーの鎧がその後、リベラに手渡されたのは言うまでもない。

 




 カルベローナでのシーンがダイジェストになってしまっていますが、これは単にアイデアが浮かばなかったためです。
 下の世界でのレイドックと並んで、これらの場面が好きな皆様には本当に申し訳ありません。
 ちなみにDQ6で最も好きなBGMは、カルベローナなどで流れる「精霊の冠」です。
(ドラクエ全体の中では「おおぞらをとぶ」です。)
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