You Are There   作:地球の星

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Quest.38 海底宝物庫

 海底にやってきたリベラ達は宝物庫に行く前に、あちこちの場所を探索して回った。

 その結果、取り逃していた小さなメダルなどを手に入れただけでなく、カルベローナの住民だった女性に会って、詳しい情報を聞くことが出来た。

(カルベローナの人の中で、実体を残している人は彼女だけなんだろうか。もしかしたらこの人が…。)

 リベラは彼女とバーバラが同一人物だったらという淡い期待を抱いたが、話の内容からしてどうやらそうではなさそうだった。

(ということは、融合出来ないわけか。でも、もし融合したら彼女は年老いた姿になってしまう…。そうなったら、今の関係を維持出来るんだろうか…。)

(私もつらい過去があったけれど、バーバラは住んでいた場所そのものを攻撃されたわけね。)

(何の罪もないバーバラがカルベローナの住人というだけでこんな目にあわされるなんてな…。)

 未だに実体が見つからないことを不安がるリベラに対し、ミレーユとハッサンは彼女のために何かしてあげたいという気持ちになった。

 他の仲間達もそのような気持ちを抱いたものの、何も出来ることが無いため、結局黙ったままだった。

 

 その後、ついに海底宝物庫にたどり着いた彼らは、入口で男性と女性の姿をした石像が複数並んでいるのを見かけた。

「何かこの像、気味が悪~い。」

「このまま通過したいですね。」

 バーバラとチャモロは彼らを無視して進もうとした。

 すると石像が突如動き出し、「引き返せ!」、「引き返しなさい!」、「引き返した方がいいぞ!」、「引き返した方がいいですよ!」と言い出してきた。

「ワーーーッ!本当にしゃべりましたね!」

「これ…、すごく…不気味…、ギルルルン…。」

 アモスとドランゴをはじめ、誰もがビックリ仰天する中で、テリーは至って冷静だった。

「フンッ!誰が引き返すものか!」

 彼は一足先に戦闘態勢に入るとらいめいの剣を道具使用して、フライング気味にダメージを与えた。

 するとダメージを受けた石像こと動く石像4体のうちの2体(Aが男性、Bが女性)が怒って次々と襲いかかってきた。

 しかしそれより前に行動したドランゴは激しい炎を吐き、ミレーユはベギラゴンで攻撃したがどちらも強耐性のため、威力を半減されてしまった。

 Aは通常攻撃、Bは踏みつけをしてきて、テリーに集中攻撃を浴びせた。

(どうやら色々耐性を持っているようだな。でも、テリーのライデインはまともに通じていたようだったし、だったら!)

 リベラはギガスラッシュを放ち、一気に勝負をつけてしまった。

「すげえな、お前。正真正銘のエースアタッカーじゃねえか。」

「ずる~い。あたしがこれからしんくうはを放つつもりだったのに!」

 ハッサンがリベラをほめる一方、バーバラは不満顔を浮かべていた。

 すると残りの2体が動き出し、今度は残りの4人が相手をした。

 先制で行動したバーバラは今度こそしんくうはを放ち、多少軽減されながらもダメージを与えた。

 次にチャモロはおたけびをあげ、男性のCをひるませた。

 一方、ひるまなかった女性のDはお返しとばかりにチャモロに踏みつけをくらわせた。

 ハッサンはばくれつけんを使い、Cに3回、Dに1回ダメージを与えた後、アモスはバーバラにバイキルトを唱えた。

 次のターンでハッサンはCにしっぷう突きを使って動きを止め、続いてバーバラは通常攻撃、チャモロはせいけん突きで一気に勝負を決めた。

 

 一行が奥に進んでいくと、そこには一人の兵士が立っていた。

「おおっ!石像が動き出したから、誰か来たということは分かったが、まさか君達、その一団を倒してきたのか!?」

「ああ。俺達がぶっ飛ばしてきてやったぜ。」

 テリーはキザな表情で言い放った。

「それなら、ここの宝物を取りに来たというわけか?」

「そういうことだ。おっさん、そこを通してくれ。」

「おっさんとは失礼な。私にも名前はある!」

「何て名だ?」

「私はキラと申す。君は?」

「俺はテリーだ。」

 彼に続き、リベラ達は次々と自己紹介をしていった。

「では、君達の中で、4人ずつどちらかの通路を通ることを許可しよう。」

チャモロ「4人ずつですか。」

「そうです。」

 キラの提案を受けて、まず4人が一方の通路に行くことにした。

 

 話し合いの結果、チャモロ、テリー、アモス、ドランゴが行くことになった。

「よろしい。では、こちらに向かって進むがよい。」

 キラの案内を受けて、彼らは通路の奥へと進んでいった。

 

 扉の前までやって来ると、そこに待ち受けていたのはキラーマジンガとガーディアンだった。

「えっ?これらのモンスターを倒すんですか?」

「ちょっと!そんなの聞いてないですよ。」

 チャモロとアモスは驚いて思わずキラに聞き返した。

「宝物が欲しいのであれば、こいつらを倒していくがよい!」

「面白い。だったらぶっ倒してやるまでだ!」

「私達…、戦う…、ギルルルン…。」

 テリーとドランゴは驚きもせずに冷静で、早速戦闘態勢に入った。

「よろしい。では、今から勝負開始だ。」

 キラが合図を送ると、いよいよ戦闘が始まった。

 キラーマジンガとガーディアンは先制攻撃をしてきて、前者はドランゴに強烈な2度攻撃を浴びせてきた。

 これまでの仲間は1ターンでKOになっていたが、ドランゴはHPが非常に高いこともあって、危険ゾーンに入りながらもかろうじて踏みとどまった。

 ガーディアンは仲間を呼び、ベホマスライムを呼び出した。

 次のターンでもキラーマジンガは先制攻撃をしてきて、今度はテリーをターゲットにしてきた。

 彼は最初の攻撃こそ受けてしまったが、次の攻撃はうまくかわしたため、KOを免れた。

 ガーディアンはさらに仲間を呼び、ベホマスライムがもう一匹加わった。

 (今はとにかく回復をしなければ。)

 チャモロはとっさにベホマを唱え、ドランゴのHPを完全回復させた。

 テリーはらいめいの剣でライデインを放ち、全員にダメージを与えた。

 ドランゴははやぶさぎりでキラーマジンガに攻撃をヒットさせたが、ベホマスライムAはベホマを唱えたため、彼女が与えたダメージをリセットされてしまった。

(私は回復に専念することになりそうですね。)

 アモスはベホマでテリーのダメージをリセットさせた。

 次のターンでキラーマジンガはチャモロをターゲットにしてきた。

(この攻撃をまともに受けたらまずい!)

 ヘルクラウド城での戦闘で一撃KOされたことがある彼はとっさに防御をした。

 そのおかげでHPを半分以下に減らされながらも踏みとどまった。

(ふう…。助かりましたね、ドラゴン職に就いていて良かったです。しかし防御していては攻撃も回復も出来ませんね。)

 チャモロはこの後どうすればいいのかが悩みの種になった。

 テリーは自身にバイキルトをかけ、攻撃力を上げた。

 次にドランゴは凍える吹雪を吐き、ベホマスライムAを追い返した。

 しかしガーディアンからドラゴンぎりを受けたため、かなりのダメージを受けてしまった。

 さらにこのタイミングでベホマスライムBがガーディアンにベホマを唱えたため、HPを全回復されてしまった。

 アモスはベホマラーを唱え、チャモロとドランゴを回復させた。

 キラーマジンガはそのアモスに狙いを定めてきた。

 幸い、彼が狙われるということを先読みしていたチャモロがタイミングよくベホマを唱えたため、アモスは間一髪でKOを免れた。

 しかしガーディアンが痛恨の一撃を放ってきたため、今度はチャモロが大ピンチになってしまった。

 テリーはせいけん突きをキラーマジンガにヒットさせたが、次の瞬間、ベホマスライムBがベホマを唱えてきた。

(くっ!せっかくの俺の行動をご破算にしやがって!)

 思わず頭に血がのぼったテリーだったが、ドランゴが凍える吹雪を吐いてベホマスライムBを追い返してくれた。

「ありがとよ、ドランゴ。」

「お互い様…。ギルルルン…。」

 彼らにはいつの間にか信頼関係が芽生えていた。

 そしてアモスはチャモロにベホマを唱えた。

 しかしせっかくの回復もむなしく、チャモロはキラーマジンガの2度攻撃を受けて倒れ込んでしまった。

「鼻が…、鼻血が…。」

 彼は激痛の走る鼻を両手で抑えながら、その場にのたうち回った。

(くっそ!こうなったら早くぶっ倒してやるぜ!)

 テリーは再び4倍せいけん突きを繰り出し、さらにドランゴがはやぶさぎりを浴びせ、キラーマジンガをあと一歩のところまで追い詰めた。

 ガーディアンはまた仲間を呼び、ベホマスライムCが加わった。

(回復されてはまずいですね。それなら!)

 アモスは通常攻撃を浴びせてキラーマジンガの動きをようやく止めた。

 次のターンでテリーとドランゴはそれぞれせいけん突きとはやぶさぎりを浴びせ、ガーディアンを倒した。

 残されたベホマスライムは恐れをなしたのか逃げ出したため、彼らはどうにか勝利を収めることが出来た。

 しかしチャモロの顔のけがはかなりのもので、テリーとアモスがベホマを唱えても鼻血が止まらず、まともに戦える状態にはならなかった。

 そして彼は顔に布切れを巻きつけられ、2人に肩を担がれながら通路を引き返していった。

 一方、さいごの鍵を持っているドランゴは扉を開け、その先にある宝箱から小さなメダルと風神の盾を手に入れた。

(これ…、どうやって…使うのかしら…。私…、装備…無理そう…。)

 彼女は疑問に思いながらとりあえず、盾を道具使用した。

 すると突如、突風のような風が巻き起こり、彼女は壁に打ち付けられてしまった。

「イタタタ…。でも…これで…盾の効果…分かった…。敵の数を…減らす…。それ…役に立ちそう…。ギルルルン…。」

 ドランゴはその後も何度か使用して使い方をしっかりと把握した上で、部屋を後にしていった。

 

 他の3人が一足早く通路の分かれ道まで戻ってきた時、そこには誰もいなかった。

「姉さん達、どこに行ったんだろうな。」

「恐らくキラさんの案内でもう一方の通路に行ったんでしょうね。」

「ああ、そういうことか。じゃあ、俺達はチャモロの治療でもするか。」

「そうしましょう。」

 テリーとアモスはベホマを何度も唱えながらその場で待つことにした。

 




 今回登場した兵士「キラ」の名前の由来は、実に単純ですが、「キラーマジンガ」です。


 今回はボツになった当初の最終回のシーンを掲載します。
 ちなみに仲間スライムはホイミン、ピエール、ルーキー、ぶちすけの4匹です。

 海底宝物庫を後にし、地上に出てきた一行は、再び3つのパーティーに分かれて行動することになった。
 仲間スライム達を見送り、そしてドランゴ、アモス、テリー、チャモロを見送った後、リベラ、ハッサン、ミレーユ、バーバラの4人はダーマ神殿に行き、ミレーユは再び賢者に戻った。
 外に出てくると、リベラはルーラを唱えてその場所を後にし、雄大な景色が見られるところにやってきた。
 彼らは西日を見ながら、これまでの思い出について色々語り合った。
リベラ「思えばこれまで、僕達の旅には本当に色々なことがあったね。」
ハッサン「そうだな。うれしいことも辛いこともたくさんあったな。」
ミレーユ「でも、本音を言えばまだまだ思い出だけにはしたくないわね。」
バーバラ「うん。あたし達、これからもずっと一緒にいられたらいいね。」
 彼らはすでにパーティーメンバーという枠を超え、2組のカップルという関係になっていただけに、なおさらずっと一緒にいたいという気持ちが芽生えていた。
 だけど、時間は容赦なく過ぎていってしまう。
 どんなに祈っても、これだけは叶えることは出来ない。
 時間の流れを止めて、ずっと一緒にいることは。
 でも、冒険の日々は決して終わりはしない。
 決して終わらせたくはない。
 出来ることなら、いつの日かこの2組がそれぞれ手をつないで、黒のタキシードと純白のドレスを着て、みんなから盛大に祝福されたい。
 それが叶うのかは、誰にも分からない。
 でも叶えてみたい。
 誰かに夢のまた夢と言われても、きっと叶えてみたい。
 そう考えているうちに、4人は何だか涙ぐみそうになった。
 そして、みんなで手をつなごうということになり、彼らは向かい合いながら時計回りにリベラ、バーバラ、ハッサン、ミレーユという順番に並んだ。
 そして手をつないで輪になると、時計回りにまわり始めた。
(これからも一緒にいようね。出来ることなら、10年たっても、20年たっても…。)
 リベラは3人を見つめながら心の中で約束を投げかけた。
 彼らもそれを受け入れてくれて、自然と笑みがあふれていった。
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