You Are There   作:地球の星

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 今回は前書きにちょっとした作品を掲載します。
 場面はQuest.39でリベラとハッサンがNGを出してしまい、それをざんげするものです。


「さあ、あなた達。今回の件をざんげしてください。」
リベラ「はい、分かりました。」
ハッサン「目一杯ざんげするぜ。」
 2人はチャモロに促されると、目を閉じたまま手を合わせて立っている神様(←アモスです。)の前に座った。
 そして、ハッサンは2人がかりでバーバラを抱え上げた時、続いてリベラは船内で彼女を抱えてベホイミを唱え続けていた時に「あたしのどこを触ってんのよ!」と怒鳴られてビンタされたことを打ち明けた。
ハッサン「あれはわざとではありません。本当に反省しています。」
リベラ「どうか神様。このNGを、どうかお許し下さい。」
 2人は神様の前で懸命に祈り続けた。
 そしてBGMに続いて、神様の出した結論は…。

 バシャーーーーッ!!

「まあ…、予想はしていたけれどよ。」
「それにしてもこれ、多過ぎじゃね?」
 ハッサンとリベラは落ちてきた水の量が予想よりもはるかに多かったことで、あっけにとられていた。
「わりいな。バケツじゃつまんねえと思ったからよ。」
「だから…、たらいに…変更…。これ…、アドリブ…。」
 水を落としたテリーとドランゴがツッコミを入れた後、今度はハッサンとリベラの頭に何かが当たり、辺りには「グワンッ!」という音が響き渡った。
ハッサン「ちょっと!これは聞いてねえぞ!」
リベラ「マジで痛いんだけど、これ!」
 2人は頭を抑え、顔をしかめながら上を見た。
「ごめんね。私達、マルが出た時の紙吹雪役の予定だったのよ。」
「でもこのままじゃあたし達の出番が無くなっちゃうから、アドリブでやってみたのよ。」
 ミレーユとバーバラからもイジられ、ハッサンとリベラはただただ苦笑いを浮かべるしかなかった。

 …というわけで、ここから本編です。それじゃ、いってみよー!





Quest.39 離したくはない

 海底宝物庫でチャモロ達が戦っている間、リベラ、ハッサン、ミレーユ、バーバラの4人はキラという名の兵士に連れられて、別の通路を進んでいった。

 すると突き当りに鉄格子のような扉があり、奥には何か宝箱が2つ置かれていた。

「おおっ!あの中に貴重な装備品があるというわけか!」

「そのようね。何があるのか分からないけれど、楽しみね。」

「それがあたしに装備出来るものだといいな。」

 ハッサン、ミレーユ、バーバラはうれしそうな表情を浮かべた。

リベラ「でも、ただでは行かせてくれないですよね。」

「その通り。その武器を手に入れるのにふさわしい実力を持っているのかを見極めさせてもらう。」

「どんな形で見極めるんですか?」

「このモンスターと戦ってもらう。」

 キラはそう言って合図を送ると、姿を現したのは何とキラーマジンガ2体だった。

「げっ!よりによってこいつらかよ!」

「恐ろしい相手を呼び出したわね。」

 ハッサンとミレーユは顔が青ざめるほどビックリした。

「どうかね?戦ってみるか?もしこの場ですぐに引き返すのであれば見逃してやるぞ。」

 キラはリベラに質問をしてきた。

(確かにキラーマジンガは強敵だ。先制攻撃されれば誰かはやられてしまう…。)

 リベラは誰も倒されたくないという思いから、一瞬迷ってしまった。

「どうかね?迷っているのであれば、戦闘を開始しますよ。」

 キラにせかされたリベラは他の3人を見た。

 ハッサンとミレーユは撤退を考えている中で、バーバラだけは(やってやるわ!)と言わんばかりの表情をしていた。

(分かった。行こう。)

(うんっ!)

 2人は以心伝心をするように無言で会話をすると、戦闘に備えて身構えた。

 それを見てハッサンとミレーユも覚悟を決め、表情を引き締めた。

「分かった。では、今から勝負をしてもらう。命までは狙わんが、多少の大けがは覚悟してもらうぞ!」

 キラは再度警告をしてきたが、それでもリベラ達の気持ちは変わらなかった。

(バーバラ、頼んだよ。)

(まかせて。リベラもね。)

(うん。)

 2人は顔を合わせて役割を確認した。

 それを見たハッサンとミレーユも自分の役割を判断した。

「では、勝負開始!」

 キラが合図をすると、キラーマジンガ2体が一斉に先制攻撃をしてきた。

 ターゲットはAがバーバラ、Bがミレーユだったが、ハッサンが一瞬早く身代わりとなってバーバラの前に立ちはだかった。

 彼は1回目の攻撃はまともに受けてしまったが、2回目はうまく受け流した。

(くっ!チョウゼツいてえぜ!だがやられずに済んだから、これで良しとしよう。)

 ハッサンはダメージを受けた箇所を押えながらバーバラに後を託すことにした。

 一方、ミレーユは一瞬スクルトを唱えようとしたが、自分がターゲットになってしまったことを察知して素早く防御に切り替えた。

 その甲斐あってダメージが半分になったため、危険ゾーンに入りながらもダウンを免れた。

(本当に強烈な攻撃ね。これが私の役割になってしまったのは悔しいけれど、後は頼んだわ。)

 ミレーユが痛がりながらバーバラを見た時、彼女の体はまぶしく輝いていた。

 一方のリベラは気合いをラミアスの剣に込めながら振りかぶった。

「くらえ!マダンテーーーーーッ!!!」

「ギガスラッシューーーーーッ!!!」

 2人が大声で叫ぶと、彼らは恐ろしいまでの威力の攻撃を放った。

「何っ!?確かこれらの技は伝説の魔法使いと勇者しか使えないはずでは!?」

 キラはこれらの攻撃について聞いてはいたものの、それらを使える2人が目の前にいる光景を見て、思わずビックリだった。

 彼らの放った一撃は相当なもので、これらをまともに浴びたキラーマジンガ2体は一気に大ダメージを受け、動きを停止してしまった。

「まさかこんな展開になるとは…。」

 まだ驚きを隠せないキラはキラーマジンガを何とか動かそうとしたが、全く動き出す気配が無かった。

「これは…完全に負けだな…。」

 彼はガックリと肩を落とした。

「おっさん!これで文句は言わせねえぜ。」

「私達の勝ちということでよろしいですね。」

 ハッサンとミレーユはキラに問いかけた。

「確かにこの勝負は君達の勝ちだ…。だが、今度は私と勝負だ。このままあっさりと宝物を渡すわけにはいかぬ。」

 彼は素早く気持ちを立て直し、再度勝負を申し込んできた。

「あのな、おっさん。往生際が悪いぞ。」

 ハッサンは顔をしかめながら詰め寄った。

 一方、キラは動かないままのキラーマジンガを見つめながら呪文を唱えてきた。

 すると彼の姿は何とキラーマジンガそっくりになった。

「ええっ!?そんなの聞いてないですよ!」

「おじちゃん!反則じゃないの、それ!」

 ミレーユとバーバラは思わず顔をしかめた。

 しかしキラは女性を攻撃しないという条件を付けた上で、今一度勝負を申し込んできた。

「僕は構いません。受けて立ちます。」

 4人の中でリベラだけは至って冷静だった。

「おい!お前なあ!これで俺がやられたらどうすんだよ!」

「ダメージを受けるのは僕でいい。ハッサンは安心して攻撃をしてくれ。」

「まあ…、それなら参加してやってもいいけどよ…。」

 ハッサンは何か嫌な予感を感じながらも参加を決意した。

「では、勝負の前に君達のHPを全回復させる時間を与えよう。」

「分かりました。じゃあミレーユ、ベホマを頼む。」

「分かったわ。」

 リベラの提案を受けて、彼女は自分とハッサンにベホマを唱えた。

(回復したとはいえ、まともに攻撃を受けたらリベラといえども無事では済まなさそうね。)

 すでにマダンテでMPを使い果たしているバーバラは、自分に何が出来るのかを考えた。

 それから間もなく戦闘が開始となり、キラとリベラは真っ向勝負を挑もうとした。

 するとその瞬間、彼らの目の前に誰かが立ちはだかるのが見えた。

(ええっ?)

(ちょ、ちょっと!)

 リベラとキラは思わずはっとした。

 しかしすでに先制攻撃に入っていたキラは動作を止めることが出来ず、まともに攻撃を当ててしまった。

 そして彼は目の前でその人がバタリと倒れる光景を見ることになってしまった。

 

「バーバラ!しっかりしてくれ!」

「君、大丈夫ですか?」

 リベラと元の姿に戻ったキラは勝負を忘れて、バーバラを揺り起こそうとした。

「いけない!下手に動かしてはダメ!ここは私にまかせて!」

 ミレーユは急いで彼らのところにやって来ると、即座にベホマを唱えた。

 しかしバーバラの意識は戻らず、ぐったりとしたままだった。

 それどころか彼女の姿は少しずつ透明になっていき、徐々に見えなくなりつつあった。

「そんな!バーバラ!起きてくれ!消えちゃダメだ!」

「嘘だろ!こんなことになるなんてよ!」

 リベラとハッサンは信じられないと言わんばかりの表情をした。

「そんな…。こんなことになるとは…。これはもう勝負どころではない。何とかこの娘を助けなければ…。」

 まさかの展開になったことで、キラも動揺を隠せなかった。

 3人がどうすればいいのか分からずにいる中で、ミレーユは祈るようにベホマを唱え続けた。

 しかしそんな気持ちもむなしく、バーバラの姿はどんどん薄れていき、とうとう完全に見えなくなってしまった。

「バーバラ!お願いだ!戻ってきてくれ!」

「もしかして俺達は、2度と彼女と一緒に…。」

 すっかり顔が青ざめたリベラとハッサンは、思わず最悪の状況を想像してしまった。

「大丈夫。彼女はまだ姿が見えなくなっただけよ。」

リベラ「ミレーユ、本当に?」

「ええ。」

ハッサン「それなら良かったぜ。」

「でも、安心するのはまだ早いわ。姿が見えない以上、彼女の状態を確認することは出来ないし、このベホマが果たして効いているのかも分からないわ。」

「それじゃ、僕達は一体どうすれば…。」

「何か俺達にも出来ることはねえのかよ!」

「とにかく一刻も早くおばあちゃんのところに行きましょう!」

「そうだね。グランマーズさんに夢見のしずくをかけてもらえれば。」

「じゃあ、バーバラを連れてすぐに船のところに戻ろうぜ。」

 リベラとハッサンは2人がかりでバーバラを抱え上げ、ミレーユがひたすらベホマを唱えながら彼らはこの場を後にしていった。

 一方、キラはショックのあまり、何も言えないままその場に呆然と立ち尽くしていた。

 

 船に乗り込んだ一行は大急ぎで浮上をしていった。

 その中でリベラは両腕でしっかりとバーバラを抱えながらベホイミを唱えた。

(お願いだ!頑張ってくれ!頑張ってくれ!)

 彼は泣きたい気持ちを懸命にこらえながら、船が海上に出る時をじっと待ち続けた。

 かたわらではアモスがおり、MPが大きく減ってしまったミレーユに代わってベホマを唱えようとしていた。

「とはいえ、リベラさん。あなたがバーバラさんを抱えていると、少々ベホマがかけにくいんですが。」

「でも僕、彼女を離したくはないんです。もしこの手を離したら、本当にこの世界からいなくなってしまうんじゃないかとか、2度と会えない別れになってしまうんじゃないかとか、そんな気がして…。」

「そうですか。」

「わがまま言ってごめんなさい…。どうか彼女と一緒にいさせてください…。」

「分かりました。」

「ありがとうございます…。」

 アモスはリベラの気持ちを理解すると、この状態のままベホマを唱えることにした。

 

 一方、操縦室ではハッサンが舵を切り、ミレーユが指示を出しながらマホトラで彼からMPを少しずつ補充していた。

 かたわらではテリーとドランゴがおり、テリーは未だに鼻血が止まらないまま、壁にもたれかかっているチャモロにベホマを唱え、ドランゴは布切れを新しいものに交換しながら赤くなった布をきれいに洗っていた。

テリー「おい、ハッサンおせえぞ!ちゃんと操縦しろ!」

「うるせえな!やってるぜ!」

「早く海上に出られねえのかよ!」

「黙ってろ!」

ミレーユ「テリー、落ち着いて。私達だって一秒でも早くおばあちゃんのところに行きたいの。」

「だったら早くしろよ。」

「お願いだから落ち着いて。」

「……。」

 テリーはまだ何か言いたげな表情をしていたが、相手がミレーユということもあってそれ以上は何も言わず、いさぎよくチャモロの治療にあたることにした。

 

 やがて船が海上に姿を現すとミレーユはすぐに風の帽子を使用し、バーバラをしっかりと抱えているリベラと一緒にマーズの館に向かって飛び立っていった。

(頼みましたよ。一刻も早くグランマーズさんのところに行ってください。)

 アモス祈るような気持ちで遠ざかる3人(見た目は2人)の姿を見送った。

 そして彼らの姿が見えなくなった後、チャモロを連れてゲントの村に向かって飛び立っていった。

 

 マーズの館では、グランマーズが扉の前に立っていた。

「おばあちゃん!バーバラが!」

「早く何とかしてください!」

「うむ。分かっておる。」

 グランマーズは3人が降り立つと、すぐさまバーバラに夢見のしずくをかけた。

 すると彼女の体がキラキラと輝きだし、少しずつ姿が見えるようになっていった。

 そしてバーバラが呼吸をしていることや、口がわずかに動いたことを確認した。

「良かった…。生きていた…。」

 リベラは最悪の事態を回避出来たことを受けて、ほっと一息ついた。

「おばあちゃん、良かったわね。」

「まあ、命は助かったがのう…。」

 グランマーズはバーバラの無事を確認しても、表情はさえなかった。

リベラ「どうしたんですか?彼女の身に何かあったんですか?」

「詳しいことは館の中で話すことにしよう。さあ、行くぞい。」

「分かりました。」

 彼らは館に入っていき、バーバラをベッドに寝かせた。

 そしてグランマーズは彼女のレベルが大幅に下がり、それに伴ってHPやMP、攻撃力、守備力、素早さといったステータスも下がってしまい、戦力にならないほど弱くなってしまったこと。

 さらに今後はマダンテを控えなければならないことや、彼女にバイキルトをかけられないこと、しんくうはやかまいたちを含めて特技が使えないこと、呪文の威力が下がってしまったこと。

 そしてこれからは倒される度に姿が見えなくなってしまうことを打ち明けた。

「さらに言うとな、姿が見えないままこの世界にいればさらに弱くなってしまい、しまいには帰らぬ人になってしまう。じゃから今後は常に夢見のしずくを持っていなければならんし、もしそれが効かなくなれば夢の世界でしか生き続けられなくなってしまうぞい。」

「……。」

 リベラは受け入れがたい事実をいくつも突きつけられ、その場にへたり込んでしまった。

「じゃが、お前さんが今そうやっていられるのは彼女のおかげじゃ。」

「おばあちゃん、それはどういうことなの?」

「もしリベラがあのまま真っ向勝負を挑んでいたら、今頃はお前さんがこのベッドに横になっていたはずじゃ。恐らく彼女はその予感を事前に察知したから、相手の行動を食い止めようとしたんじゃよ。『女性を攻撃しない』という言葉を信じてな。」

「そうだったの…。」

 ミレーユは思わずもらい泣きしそうになり、それ以上何も言えなくなってしまった。

(バーバラ、ごめん…。僕、君を身代わりにしてしまった…。君に大けがをさせて、大きな代償を背負わせてしまった…。謝っても許してもらえないかもしれないかもしれないけれど、どうか許してくれ…。君のためなら何でもする。絶対に戦力になれる状態に戻してみせる。絶対に君を戦力外にはしない。離したくはない。だから、どうか許してくれ…。)

 リベラは目を閉じたままのバーバラの手をしっかりと握りながら、何度も何度も謝り続けていた。

 

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