5人がメラミとホイミを使えるようになった後、彼らは再びダーマ神殿に戻ってきた。
そしてこれからリベラは武闘家、ハッサンは戦士、ミレーユは僧侶、バーバラは魔法使い、チャモロは盗賊として熟練度を上げていくことになった。
「さてと、これから戦闘などを通じてレベル上げと熟練度上げをすることになるんだけれど、どこか適した場所はないかな?」
「そうですね。イノシシとの戦闘はちょっと場違いでしたし、もうちょっといい狩り場があればいいんですけれどね。」
ハッサンとチャモロが考え事をしていると、バーバラが「ミレーユだったら『こういう時のおばあちゃん頼み』って言うと思うんだけどな。」と提案してきた。
「あっ、そうね。あなたもそういう発想になったのね。」
「それじゃ、これからマーズの館に行ってみよう。」
リベラが提案をすると、他の4人もすぐに賛成したため、彼はその場でルーラを唱えた。
マーズの館では、グランマーズが色々なものを調合して作った薬と呪文で、患者の治療をしていた。
「さあ、これで痛みもだいぶおさまったはずじゃが、立てるかの?」
彼女にそう言われると、患者の女性はベッドから降り、付き添いの男性に抱えられながらゆっくりと立ち上がった。
「あっ!大丈夫です。立ち上がれました!」
「良かったな。お前!」
「はい。グランマーズさん、ありがとうございます!」
夫婦の2人はお礼を言うと治療費を払い、ゆっくりと歩いて外に出ていった。
そしてリベラ達を横目に見ながらキメラの翼で飛び立っていった。
彼らの姿が見えなくなった後、グランマーズは外に出てきて、リベラ達に合流した。
「お前さん達、ちょうどいいタイミングでここに来たのう。では、早速今から相談に乗るとしようかの。」
「ぜひお願いします。」
リベラは熟練度を上げるために適した場所がないか問いかけた。
「上げる方法はいくつかあるが、稽古では時間がかかるし、戦闘が一番早いじゃろう。もし戦闘で上げるのであれば、夢の世界の地底魔城はどうじゃ?」
リベラ「地底魔城ですか?でもあそこはもう用済みでは?」
「まあ地下に取り逃した宝箱が一つあるという程度しか残ってはおらんが、今のお前さん達ならまだ全員熟練度が上がるし、メラミが通用する相手も多いから、フレイムマンなどを除けばメラミ攻めで一気に決着をつけられる。それに戦闘後、モンスターとの交渉次第でアイテムを分けてもらえるかもしれんぞい。」
ハッサン「例えばどんなアイテムがもらえるんだ?」
「フレイムマンからは命の木の実、はねせんにんからは鉄の杖、デスファレーナからは毒蛾のナイフをもらえることもある。確率は決して高くないが、もし手に入ればステータスアップや金策に役立つはずじゃ。」
バーバラ「ふうん。それらが手に入れば絶対に役立つわね。」
「ただ、そのためには盗賊の熟練度を上げて、さらに人数を増やす必要がある。もしそこまでしたいのであれば、全員盗賊というやり方もあるぞい。」
ミレーユ「それでは私達の目指すゴールが遅れてしまうけれど…。」
「確かにそうなるのう。じゃが、考え方は決して一つではない。どれが正解なのかはあって無いようなものじゃから、お前さん達の判断にゆだねるぞい。」
チャモロ「分かりました。ではこれからそこで頑張ります。」
「行っといで。いい報告を待っておるぞ。」
グランマーズは意気揚々と館を後にする5人を見守った。
地底魔城にたどり着くと、彼らは薄暗い中を奥へと進んでいった。
そこには未だにモンスターが住み着いていたが、すでにボスであるムドーの幻が討伐された後だったため、退却していくものもいた。
だが、相変わらず向かってくるものもいた。
最初に戦闘になったのはフレイムマン4匹だった。
この敵はメラ系に完全耐性を持っているため、せっかくみんなで身に付けたメラミが使えない状況だった。
そのため、ミレーユとバーバラは連続でラリホーを唱えることにした。
最初の一発目は2匹に成功、2匹失敗だったが、バーバラによる2発目が成功したため、結果的に全員を眠らせることが出来た。
続いてチャモロがバギマを唱え、一気に3匹をダウンさせた。
残った一匹はそこで目を覚ましたが、リベラの通常キックを浴びそうになるとあっさりと降参してしまった。
彼らは全員が目を覚ますといさぎよく負けを認め、一目散に逃げていった。
(うーーん、アイテムは手に入りませんでしたね。こちらから粘り強く交渉をしてみる必要がありそうですね。)
チャモロはこれから盗賊として熟練度をさらに上げていく必要性を感じ取っていた。
次の相手はストーンビースト3匹だった。
以前なら相当苦戦した相手だったが、リベラ達はすでにかなりの実力を身に付けているため、物おじすることなく立ち向かっていった。
最初に行動したのはミレーユで、彼女はメラミをBにヒットさせた。
しかし強耐性を持っていることもあってダメージを軽減されてしまい、一撃で仕留めるまでには至らなかった。
するとBがお返しとばかりにベギラマを唱えてきたため、リベラ達は全員がダメージを受けた。
(この呪文は危ないですね。早く数を減らさなけば。)
チャモロはいかずちの杖をふりかざし、3匹を一斉に攻撃したが、これも軽減されてしまった。
次にバーバラはメラミを唱えてBに命中させ、まず一匹目をお釣りが来るくらい余裕でダウンさせた。
(あらら、メラミ2発で良かったんですね。ということなら私もメラミにするべきでした。)
チャモロは思わず顔をしかめた。
次にAが通常攻撃をしてきてバーバラにヒットさせた。
「きゃああっ!」
魔法使いの彼女はただでさえ低いHPがさらに低下しているため、この時点でフラフラの状態になってしまった。
(このままではまずい!)
バーバラが危ないことを悟ったリベラはとっさに彼女をかばい、Cが唱えてきたベギラマのダメージを肩代わりした。
(ふう…。何とか仲間を守れた。)
リベラはベギラマをダブルで受けたこともあってフラフラになりながらも、安どの表情を見せた。
そしてハッサンがせいけん突きでAを攻撃してヒットさせ、ダウンさせた。
次のターンでバーバラは自分でホイミを唱え、リベラは持っていたゲントの杖で自身のHPを回復させた。
一匹だけ残されたストーンビーストCはミレーユに通常攻撃をしてきたが、身かわしの服の効果もあって、彼女はうまくかわした。
続いてチャモロのメラミとミレーユの通常攻撃でCをダウンさせた。
戦闘は無事に終了し、安どの表情を見せる中で、やられそうになってしまったバーバラに笑顔はなかった。
しかもハッサンが「お前、弱いな。」と言ってきたため、その言葉が彼女の心にグサッと突き刺さった。
「そんな言い方しなくったっていいじゃない!」
「だってよ!」
「だってじゃないの!」
「……。」
ミレーユに厳しい言葉をかけられ、彼は黙り込んでしまった。
「バーバラ、大丈夫?」
「ごめんね…。リベラにまで迷惑をかけて…。」
「謝らなくていいよ。君の頑張りは、はっきりと伝わっているから。」
「でもあたし、今までずっとみんなに迷惑をかけてばっかりで…。」
「そんなことないよ。」
リベラに慰められても、彼女は落ち込んだままだった。
(あたし、頑張ってみんなの役に立たなきゃ…。役に立たなかったら、戦力外になってしまう…。そうなったら、あたしはまた一人ぼっちになってしまう。もし一人ぼっちになったら、あたしはどこにも行くあてが無いまま、また寂しい日々を過ごすことになってしまう…。そんなのは嫌。絶対に役に立たなきゃ…。)
バーバラは口には出さないものの、心の中ではかなり焦っていた。
その後、リベラ達は地下深くまで降りていき、まだ開けていなかった宝箱から踊り子の服を手に入れた。
そこに至るまでの間に彼らははねせんにんやダークホビット、フェアリードラゴンなどと戦闘をした。
ムドー討伐前ならともかく、今は全員でメラミ攻めが出来るため、数が少なければ苦戦することはなかった。
だが相手が多数で、しかもバーバラに複数回攻撃をしてきた時は例外で、彼女はその度にフラフラになり、ストーンビースト3匹と2度目の戦闘でとうとうダウンをしてしまった。
「本当に弱えな、お前はよ!」
ハッサンは気を失っている彼女に冷たい言葉を浴びせた。
「やめてよ、ハッサン。それよりここでの探索はここまでにして、バーバラの治療に行こう。」
「そうね。じゃあ私は今からリレミトを唱えるわ。外に出たら、リベラはルーラをお願いね。」
「分かった。」
5人は城の外に出ると、ライフコッドに向かっていった。
なお、戦闘をしたモンスターからは降参した証としてゴールドをくれることもあったが、結局アイテムをもらうことは出来ないままだった。
(うーん…。これでは別の職業の方がいいのかもしれませんねえ…。)
チャモロは心の中で迷いを感じていた。
「ターニア、突然で申し訳ないけれど、バーバラの面倒を見てもらってもいいかな?」
「いいわよ。お兄ちゃんの頼みなら何でも聞いてあげる。」
ターニアは喜んで引き受けてくれた。
そしてみんなで家の中に入っていくと、バーバラはベッドに横になった。
「これは復帰まで少しかかりそうね。治療は私が責任もってやっていくつもりだけれど…。」
「僕達にも何か出来ることあるかな?」
「そうねえ。私としては薬草をすりつぶして患部に塗ってあげたいわね。お兄ちゃん達は薬草を持ってる?」
「ええっと、ちょっと待って。」
リベラは袋を開けて中身を調べた。
「あっ、ホイミに頼ってばかりだったから、切らしたままだった…。」
「じゃあ、買い出しに行く必要があるわね。お兄ちゃん、お願いしてもいい?」
「うん、分かった。では、早速行ってきます。」
バーバラを除く4人は玄関の扉を開けて外に出ていった。
彼らがたくさんの薬草を持って戻ってくると、ターニアはいくつか受け取り、早速薬草をすりつぶし始めた。
するとそこにリベラがやってきて、自分も手伝うと申し出た。
「それは助かるわ。でも、塗る時になったらミレーユさん以外は家の外に出ていってもらってもいい?」
「えっ?」
「当然でしょ。腕だけに塗るわけじゃないんだし、お兄ちゃんは異性なんだから。」
「分かった。じゃあ、すりつぶし終わったら外に行くよ。でも…。」
「でも、何?」
「その塗り薬を僕にも分けてくれないかな?」
「えっ?」
兄から意外なことを言われ、ターニアは思わず驚いてしまった。
「戦闘をする以上、けがとは常に隣り合わせだし、いつでも塗れるように準備をしておきたいんだ。」
「そう…。」
ターニアはけがをしたのであればホイミを唱えればいいのにと一瞬言いたくなった。
しかし何か思惑があるのではと思ったため、いさぎよく兄に同意をした。
塗り薬が出来上がると、リベラはターニアから薬を分けてもらった。
そしてハッサン、チャモロと一緒に外に出ていき、踊り子の服を売った後、再び熟練度を上げに行った。
一方、ミレーユは家に残り、ターニアと協力をしながらバーバラの治療に取り掛かることにした。
その後、リベラはまわし蹴りなどの足技を使いこなせるようになったため、一旦ダーマ神殿に行き、今度はベホイミを覚えるために僧侶に転職した。
その時、チャモロはリベラのキック攻撃に興味を持ったこともあって、武闘家に転職した。
この時点で彼らが覚えた主な呪文や特技は次の通りだった。
リベラ … まわし蹴り
ハッサン … 気合ため
ミレーユ … バギ
バーバラ … 特に覚えたものは無し
チャモロ … タカの目
気づいた人もいると思いますが、僕は戦闘後に敵からゴールドやアイテムを有無を言わさずに取っていくという記述を控えることにしています。
実は僕自身、小さい時にゲーム(またはアニメ)と現実を混同して考えてしまい、大きな過ちを犯しそうになった経験がありました。
その反省から、死に関する記述だけでなく、何かを奪い取る記述も控えることにしています。
読者の皆様にはその点をご理解いただければと思います。