山賊のアジトで手に入れたアイテムを売り、お金を手に入れると、リベラ達はそれまでの貯金をはたいて装備を整えることにした。
その結果、チャモロはモーニングスターと貝がら帽子を購入した。
後者は彼にとって待望となる頭の防具だった。
それでもまだお金が余っていたため、彼はそれまで身に付けていたはがねの鎧を売却して身かわしの服を購入した。
さらにリベラははがねの剣を売却して破邪の剣を購入した。
装備を整えた後、彼らはマーズの館にやってきた。
そこで一行はグランマーズからアークボルトに行く前に一旦職を解除した方がいいことを伝えられ、続けざまにその場所に関する情報を色々教えてもらった。
リベラ「なるほど。ここの武器屋にはこれまで見たことが無い、新しいものがあるんですね。」
「そうじゃ。まあ、値段はそれなりに高いがのう。」
「確かにそうですね…。」
所持金のほとんどを使い切ってしまった彼らにとって、新しい武器と防具は雲の上のような存在だった。
「でも、いずれ買える時は来るじゃろうから、頭の中には入れておいてほしいのう。」
「分かりました。これからまたコツコツ集めていきます。」
「行っといで。頑張るんじゃぞ。」
「はいっ!」
リベラは威勢よく返事をした。
一行はまずダーマ神殿に行くと全員職を解除し、それから現実世界に戻ってきた。
そして戦闘を避けながらアークボルトを目指した。
目的地の近くまでやってくると、そこでホイミスライム6匹に出会った。
一旦は戦闘態勢に入ったリベラ達だったが、あまり戦おうという意図は感じられなかった。
しかも、その中の一匹は他の5匹から盾にされるような形でリベラの前に押し出されてきた。
(何だろう?6匹の中の先鋒として戦うのかな?)
リベラが疑問に思っていると、そのホイミスライムはガタガタと震え始めた。
どうやら(戦ったら間違いなくやられる…。)とでも思っているのだろう。
「どうした!かかって来ないのか!」
「こちらから先制攻撃といきましょうか?」
ハッサンとチャモロはあおるように声をかけた。
すると、そのホイミスライムは何かを叫びながら一目散に逃げだしていってしまった。
何を言っているのかはリベラ達には理解出来なかったが、どうやら「怖いよおっ!」と言っていたようだった。
「あっ、こら!逃げるな!」
「戦えよ!この臆病者!」
他の5匹のホイミスライムは、リベラ達には理解出来ない言葉で叫んだ後、その場を立ち去っていってしまった。
ミレーユ「一体何だったのかしらね?」
アモス「ただ出くわしちゃっただけでしょうかねえ。」
2人がそう言っているかたわらで、バーバラは胸に手を当てて(良かった。戦闘にならなくて。)と思いながら、ハアハアと息をしていた。
一行はアークボルトに到着すると、入口に待機している兵士に、中に入れてもらえないか聞いてみた。
すると、その兵士はガルシアという名前で、入りたいのなら実力を見せてみろと言わんばかりに自分と1対1での勝負を申し込んできた。
「勝負か。面白そうだな。それじゃ、俺がやってやるぜ。」
リベラ達が話し合いをするよりも先に、ハッサンが真っ先に名乗り出た。
「そうか。良かろう。ではよろしくお願いします。」
「おう。よろしくだぜ。」
2人が礼をすると勝負が始まった。
先制攻撃はガルシアで、身かわしきゃくを使用してきた。
一方のハッサンは持っていた炎のツメを道具使用して、メラミを当てた。
次のターンではガルシアが通常攻撃、ハッサンがせいけん突きでダメージを与えた。
お互い攻撃力は高いものの、どちらもタフな体力の持ち主のため、勝負はなかなかつかなかった。
そんな中、ガルシアは飛びひざげりでこちらに向かってきたが、ハッサンはうまく攻撃をかわした。
そして彼は転職で覚えた気合ためを初めて使うことにし、大きく息を吸い込んだ。
(ん?攻撃してこない?)
ガルシアはチャンスとばかりに通常攻撃をヒットさせた。
一方のハッサンはそれをこらえると、一気に力を解き放ち、強烈な一撃をくらわせた。
「ぐわっ!」
予想だにしない大ダメージを受けたガルシアは思わずよろけてしまったが、それでもダウンせずに踏みとどまった。
そして彼はお返しとばかりに会心の一撃(※痛恨では響きが悪いので、会心にさせて頂きます。)を繰り出し、こちらもヒットさせた。
「ぐおおおおっ!」
ハッサンは一瞬倒れそうなほど体制が崩れたが、何とか踏みとどまった。
(ここは何とかこらえたが、そろそろHPに気をつける必要があるな。とはいえ、俺には回復がホイミしかないから、到底追い付かない。勝負途中でアイテム受け渡しは禁止だから、ゲントの杖を借りることも出来ない。こうなったら、これに賭けてやるぜ!)
とっさに何かアイデアを思い付いた彼は、再び大きく息を吸い込んだ。
(このリアクションをしたということは、次のターンで大ダメージが来るということなのか。だったら、ここで決着をつける!)
ガルシアは意を決して再び会心の一撃を繰り出してきた。
(くらってたまるか!)
危機感を感じたハッサンは気合をためながらも回避にも意識を集中させた。
そのため、ダメージを受けながらもまともな直撃を避けることが出来たため、ダウン寸前になりながらも踏みとどまった。
(こうなった以上、もはやこれに賭けるしか方法は無い。ぶっつけ本番だが、やってやるぜ!)
ハッサンは意を決してせいけん突きを繰り出した。
気合ためとせいけん突きのコンボをまともに受けたガルシアは大ダメージとともに壁に叩きつけられ、のびてしまった。
結果、この勝負はハッサンの勝利となった。
彼は自分にホイミを何度か唱えてHPを回復させた。
そしてガルシアが意識を取り戻すと、彼にもホイミをかけてあげた。
「かたじけない。戦った相手に回復をされるとは。」
「なあに、勝負が終わればノーサイドってわけよ。」
恐れ多い表情のガルシアに対し、ハッサンは笑顔で返した。
そして両者は「ありがとうございました。」と言って礼をした。
そのガルシアに連れられて奥に進んでいくと、その先にはスコットとホリディがいた。
ガルシアは彼らにこれまでの経緯を話した。
「なるほど。彼に勝つとは、なかなかの実力者ということになりますね。」
「ではその実力を私達にも見せて頂きましょうか。」
スコットとホリディは全力で戦える相手がやってきたことをまるで喜んでいるかのようだった。
話し合いの結果、ここでは2対2の勝負をすることになった。
すでにハッサンが参加済みということで、リベラ達は残りの5人から2人を選ぶことになった。
そしてじゃんけんで決めた結果、ミレーユとチャモロが参加することになった。
「さっきのガルシアさんがかなりの強さだということは、この2人もかなり強そうね。」
「そうですね。でも恐れていては何も始まりません。頑張りましょう。」
ミレーユとチャモロはお互い言葉を交わしながら気合を入れた。
そして彼らが向かい合って「お願いします。」と言いながら礼をすると、いよいよ勝負が始まった。
ミレーユとチャモロは先制攻撃でメラミを唱え、ホリディにヒットさせた。
そのホリディはスコットをかばっていたため、彼の行動は運悪く無駄行動になってしまった。
一方のスコットはルカナンを唱えたため、このターンはノーダメージで済んだものの、守備力を下げられてしまった。
ターンの間にミレーユはチャモロに対して次の行動をどうするか素早く話し合い、彼女は覚えたばかりのスクルトを2回続けて唱えることにし、その間の攻撃はチャモロのメラミに任せることにした。
結果、ホリディにはダメージを蓄積させたものの、スコットはまだHP満タンの状態であり、しかも彼がバイキルトを唱えたため、このままではこちらの戦況が悪化しそうな状況だった。
次のターンでミレーユはメラミを唱えたが、運悪くホリディが身を守っていたため、ダメージをかなり削減されてしまった。
(防御していては仕方ありません。対象を変えます。)
チャモロはとっさにスコットにメラミをヒットさせた。
しかしその直後、彼はバイキルト状態での攻撃を受けたため、HPをかなり減らされてしまった。
(ぐわっ!これはいけません!すぐに回復ですね。)
チャモロはとっさにゲントの杖を使った。
ミレーユはホリディがスコットの前に立ちはだかったのを見極めてからメラミを放ち、ホリディにヒットさせた。
さすがの彼でも身代わりと防御を同時には出来ないため、今度はまともにダメージが入った。
その後、ミレーユとチャモロはHPに余裕があればメラミ攻め、HPが減るとベホイミで回復というやり方をメインにすることにした。
一方のホリディは、自分が防御をしている時は攻撃が来ず、スコットをかばう時には自分が集中攻撃を受けるという、ちぐはぐな展開になった。
結果、彼はいまいち実力を出し切れないまま、メラミ攻めの末に降参してしまった。
相手が一人になると、ミレーユとチャモロはメラミで総攻撃を開始した。
相変わらずスコットからの攻撃は強烈で、さらにルカナンを唱えてきたが、ルカナンの時はノーダメージのため、むしろ好都合だった。
「チャンスよ!ここで決めるわ!」
「はいっ!」
ミレーユとチャモロはそう言うと、再び同時にメラミを放った。
この連続攻撃にはとうとうスコットも耐えられなくなり、彼はダウンしてしまった。
まるでいつかのムドー戦を思い出すような勝負は、ミレーユとチャモロの勝利に終わった。
その後、4人は整列して「ありがとうございます。」と言いながら礼をした。
お互い全力の勝負をしていた4人だったが、それが終わった後は全員のHPを回復し、お互いの健闘を称えあいながら親しく会話をした。
その後、ガルシアはまだブラストとの勝負が残っていることを告げた。
「どうでしょう?このまま勝負に行かれますか?」
「行きましょう。頑張らせていただきます。」
アモスが自信ありげに答えると、ガルシアはスコット、ホリディと共に、一行を奥へと案内した。
…今宵は、ここまでにいたしとう、存じまする(←ふ、古い…)。
ハッサンとガルシアは前作「夢のまた夢と言われても」のQuest.9でも1対1で勝負をしています。
しかし、その時は尺の都合のため、ガルシアがハッサンのバックドロップであっさりやられてしまい、それが心残りでした。
そのため、今回ガチで勝負出来て良かったです。