プリニー〜ダンジョンで俺が最強って解釈違いじゃないッスか⁈〜   作:ジャッキー007

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ディスガイアシリーズのファンがこんなに居るなんて…嬉しい反面ね


人を見掛けで判断しちゃいけませんッ!

情報とは、時として何よりも強く、恐ろしい武器になり得る。

 

SNSの普及により、誰もが情報を発信する世の中になったが、その拡散力はとてつもないものだ。

 

青少年が若気の至りと行った一つの悪ふざけが、瞬く間に世界中に晒され、人生を棒に振る…なんて事も少なからず。

 

 

そんな情報ネットワークだが、SNSはおろか、携帯電話が普及するよりも遥か昔から、拡散力の強いものは存在した。

 

 

お姉様会談…所謂、井戸端会議だ。

 

近隣のスキャンダルからお買得情報、最近出来た穴場スポットに至るまで、何処から入手したのか、彼女等は集まって情報交換を行っている。

 

人の口に戸は建てられないと言うが、まさにその通りで、お姉様方は持ち帰った情報を違う場所で話し…そうして、一気に拡散されていく。

 

 

さて、何故唐突にこんな話をしているかと言うと。

 

 

「それでね、またうちの旦那が…」

 

「そうなんスね、いや〜…そりゃ旦那さんが悪いッスよ」

 

現在進行形で、お姉様会談に混ざっているからだ。

 

街の情報を知るには、街の人に聞くのが1番なんだが、井戸端会議ほど様々な情報が耳に入ってくる事はない。

 

お姉様方の話に付き合っていると、不意にガラガラと車輪の音が聞こえた。

視線を横にずらせば、ガネーシャ・ファミリアの団員が数人がかりで、やたらとデカい箱を積んだ大八車のようなものを引いている。

 

「…何スか、アレ」

 

「あぁ、もうそんな時期なのね。レンさんは最近来たばかりだから怪物祭(モンスターフィリア)は初めてかしら」

 

ただの荷物運搬にしては、物々しい雰囲気の様子に首を傾げていると、お姉様の1人が教えてくれた。

 

 

どうやら、オラリオでは毎年怪物祭(モンスターフィリア)と呼ばれる祭が行われているそうだ。

ギルドとガネーシャ・ファミリアが主催のイベントのようで、ダンジョンで捕らえたモンスターを衆人の前で調教するらしい。

 

「変わった祭もあるもんッスね」

 

ぽつりと、思った事を口にする。

 

まぁ、生前でもトマトを投げ合う祭やら変わった祭は世界中にあったが。

とはいえ、ダンジョンのモンスターを地上にかぁ…

 

「何事もないと良いんスけど…」

 

思わず、そう呟かずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言おう、あの時の呟きはフラグだった。

 

いざ怪物祭当日、街は人でごった返し、絶好の機会と露天商の人々が鎬を削りあっていた時にそれは起きた。

 

モンスターの脱走である。

 

街はパニックになり、冒険者で動ける者は事態の鎮圧に協力するようギルド職員から要請が入るなか、俺はというと。

 

「紛らわしい格好してるオレにも責任があるッスけどねぇ…人を見掛けで判断しちゃいけませんッ!」

 

『す、すみません…』

 

数人の冒険者に説教していた。

 

というのも、要請を受けた冒険者のうち数人が俺をモンスターと勘違いして攻撃してきたのである。

 

そのうち何発かは良いとこに入ったのか、俺の頭には人の頭程のタンコブが出来ている。

 

ついにプッツンした俺は全員を超手加減をした千年殺しで鎮圧、硬い石畳の上で正座させていた。

 

 

「…はぁ、今回は仕方ないッスけど…次間違えたら、ケツに大根捩じ込むッスよ?」

 

『サーセンでしたぁッ!』

 

 

のんびりしている場合ではないので、俺は説教を切り上げて街中を走る。

街の人々もそうだが、クラネル少年たちが心配だ…何か、嫌な予感がすると思っていた時だった。

 

「白髪の奴がシルバーバックに追われてダイダロス通りに入っていった」

 

そう話す人の声を、俺の耳が捉えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その男は、ダイダロス通りに並ぶ民家の屋根から地上を見下ろしていた。

 

敬愛する女神からの頼みで、ある人間に課した試練に横槍が入ろうとしたら、それを阻む。

 

男にとって、女神の命令は絶対。不本意なものであっても従うほか無かった。

 

「…チッ」

 

彼の目が、小さな影を捉えた。

 

それは、真っ直ぐ女神が試練を与えた者に向かって突き進んでいる。

 

であれば、自身はそれを阻むのみ。

 

 

その最速の足を以て、男は影に向かって肉薄した…のだが。

 

 

「ゴ…ッ!」

 

宙を舞ったのは、男の方だった。

 

ぶつかった勢いが強かったのか、錐揉み回転をしながら数分にも感じる滞空を経て、男は地面に落ちた。

 

 

「うわ〜…マジか、人撥ねちゃったよ。お〜い、生きてるッスか?」

 

薄れゆく意識の中、目にしたのは鳥を模した奇妙な被り物。

 

まさか、こんな奴に自分は負けたのか。

男…アレン・フローメルは、そう思ったのを最後に意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モンスターの脱走というトラブルに見舞われたその日の夜。

 

フレイヤの元に団長であるオッタルが訪れていた。

 

「アレンがやられたと言う話は本当?」

 

「…はい」

 

フレイヤ・ファミリアといえば、レベル5や6の冒険者を抱える、オラリオでも最強と言われるファミリアだ。

そんな団員の中でも有数のレベル6であるアレンを倒した存在…気にならない筈がなかった。

 

「目が覚めた本人から聞いた話では…鳥の被り物に撥ねられた、と話しています」

 

 

オッタルのその言葉を聞いた瞬間。

 

 

 

 

フレイヤはスン…とした顔で遠くを見ていた。




アレンvsレン

状況を簡単に表現するなら
「いっけなーい、遅刻遅刻ー!」
からの
ゴーカートとホウルトラックの接触事故

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