プリニー〜ダンジョンで俺が最強って解釈違いじゃないッスか⁈〜 作:ジャッキー007
ヘスティア・ファミリアへの勧誘にセレスは、当初興味が無さそうだったが、俺がファミリアに入っている事を知るや見事なまでに手のひらを返し、速攻でファミリア入りを決めた。
その様子に、ヘスティア様達も思わず苦笑いをしながら恩恵を刻む事となり、ヘスティア様はセレスを連れて地下室へ向かっていった。
「…あの、レンさん」
「ベル様?」
教会の中に入ると、不意にクラネル少年に呼び止められる。
リリルカは、少年の様子に首を傾げるが、それを他所に、彼は言葉を続けた。
「セレスさんって、レンさんと同じ魔界に居たんですよね?」
「そうッスね…それがどうかしたんスか?」
俺の問いに、少し間をおいて、クラネル少年は口を開いた。
「セレスさんって…どのくらい強いんですか?」
「うぬぬ…」
ヘスティア・ファミリアのホーム、その寝室に置かれたベッドの上で、ヘスティアは唸っていた。
その原因は、彼女に背中を惜しげもなく曝している女性…セレスにあった。
セレス
crass ヘカーテ
Lv.9600
HP 64599884
ATK 19273272
DEF 14544425
RES 17239062
INT 17239062
SPD 50
属性耐性
火 +50%
水 +25%
風 0%
星 0%
状態異常耐性
毒 75%
麻痺 25%
睡眠 75%
ど忘れ 25%
これまで、レンのステイタスを何度も目にしてきたから発狂したりするまではない。しかし…。
「いつ見ても、君達魔界の子達はぶっとんだステイタスだなぁ…」
乾いた笑みを浮かべながら羊皮紙にステイタスを写すと、ヘスティアはセレスへそれを手渡した。
「そうかしら?魔界じゃ私たちより強い奴なんて、わんさか居るわよ?」
「それはレン君からも聞いたんだけどね〜、それでも、ボク達からすれば目玉が飛び出るほどの値なんだよ」
受け取ったステイタスの写しを一瞥しながら首を傾げるセレスに、ヘスティアは苦笑いを浮かべ、再び口を開いた。
「…セレス君は、レン君が好きなんだよね?」
「えぇ、勿論…それが、どうかしたのかしら?」
切り出した話題は、セレスがレンに抱く好意について。
好きな人が居る、という点でヘスティアは、彼女にシンパシーを感じていた。
「うん…君も魔界に居たんなら、きっとレン君の…プリニーの事は知ってるだろうと思ってね」
「…そういう事」
ヘスティアの言葉に、セレスは何が言いたいかを理解した。
レン達プリニーは、罪を償う為に仮初の体を与えられた者。
贖罪を終えた魂は清められ、新たに生まれ変わる。
それは即ち、これまでの全てを忘れるという事だ。
「ダーリンが生まれ変わって、私を忘れても…また探し出して好きになるわ。それは、貴女もでしょ?」
「…うん、勿論さ」
それでも。
たとえ、生まれ変わって忘れられても、探し出してまた恋をする。
そう言うセレスに、ヘスティアは共感を覚えた。
超越存在であるヘスティアは、年をとらない。
いずれは、ベル達と別れる時が訪れるが…ヘスティアもまた、セレスと同じように。
ベルが生まれ変わって自分を忘れても、また恋をするだろう。