プリニー〜ダンジョンで俺が最強って解釈違いじゃないッスか⁈〜 作:ジャッキー007
セレスが新たにファミリアに加わり、団員が4人に増えて数日が経ち、ギルドに訪れた時のことだった。
「ん?」
入り口から中に入るや、エイナ女史が見覚えのある女性と話しているのが見えた。
後ろに居たクラネル少年も、気づいた様子なのだが、その女性を見た途端、顔を赤くして固まった。
どうやら、向こうも気づいたようで女史と…アイズ・ヴァレンシュタインがこちらを振り向いた。
次の瞬間、何を思ったのかクラネル少年が逃走を図ろうとしたので、とりあえず服を掴んで阻んでおく。
「ちょっ、レンさん…離して…!」
「いや、どんだけヘタレなんスかアンタ。チキンにも程があるッスよ」
「チキ…⁈」
クラネル少年は必死に逃げようとするが、俺の手から逃げる事は叶わず、服がギチギチと音を立てる。
服が破れたら繕うの大変なんだがなぁ…と考えていたら、ヴァレンシュタインが未だ逃げようとする少年の前まで来た。
が、その瞬間。
「あ」
ビリ、という限界を迎えた服の断末魔が聞こえ、遂に衣服が破れた。
さて、ここで問題。
Q.一方向に強く働こうとする力を無理矢理押し留め、その手を緩めたらどうなるか?
A.一気に解放され、吹っ飛ぶ。
「へぶっ⁈」
服が破れた事で抑えが効かなくなったクラネル少年の体は前へつんのめり、その顔は…ヴァレンシュタインの胸元へダイブした。
『⁈』
ギルドに居た人々が、俺達の光景を見て言葉を失った。
そりゃそうだろう…事故とはいえ、あのアイズ・ヴァレンシュタインに違うファミリアの男が抱きついたのだから。
「…大丈夫?」
ヴァレンシュタインは、クラネルの事を案じる様子を見せるが、クラネル少年はそれどころじゃなく。
「…きゅう」
自身が陥っている状況に脳がキャパオーバーを起こし、ヴァレンシュタインの胸に顔を埋めたまま、顔を真っ赤にして気絶した。
「本っ当にすみませんでした!」
気絶した少年を介抱すべく、俺達はギルドの相談室を借りることになった。
それから30分後、少年は目覚め、ヴァレンシュタインを視界に捉えるや見事な土下座を披露して謝罪していた。
被害者であるヴァレンシュタインは事故だから気にしてないということで話は手打ちとなった。
「そう言えば、もう10階層まで行けるんだね」
「いえ、僕なんてまだまだです…。戦い方も駆け出しのままだし…」
話題を切り替えるようにヴァレンシュタインが切り出した話に、クラネル少年は肩を落として返答する。
「…戦い方を教えてくれる人、いないの?」
「うぐ…っ」
首を傾げながらのヴァレンシュタインの問いに言葉を詰まらせる。
以前、一度だけ戦い方を教えてくれと頼まれた事があるが…頓挫した。
というのも、戦い方が違うのもあるが…俺の教え方に問題があって、全く参考にならなかったのだ。
「ね、簡単でしょう?」と、どこぞの絵画教室のようにやってみるが、求められるステイタスのハードルが高いとヘスティア様に言われてしまった。
更に、分かりやすく口で伝えようとしたものの…全く自覚してなかったが、擬音を連発して、何を言ってるか分からないらしい。
生前でも、魔界でもそんな事言われなかっただけに自分でも何故そうなるのか疑問なまま、結局はクラネル少年の指導は適任者が居ないままなのが現状で。
「…私が教えようか?」
ヴァレンシュタインの言葉は、渡りに船だった。
だが…クラネル少年に、大きな試練が待ち構えている事など、この時の俺達は知る由もなかった。
レンのヒミツ その1
実は、戦いの教え方がかなり雑
「相手が攻撃してきたら、バッと避けてダーっていってズドンっス」
『ちょっと何言ってるか分かんない(です)』