プリニー〜ダンジョンで俺が最強って解釈違いじゃないッスか⁈〜   作:ジャッキー007

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路線修正回とも言う

この作品はギャグ、ギャグなんだ…(自己暗示)


な、なんだってー⁈

それは、いつもと変わらない日常を送っていた時だった。

 

「ん〜…?」

 

地上での人脈作りの為、日雇いのバイトで働いた俺は、ヘスティア様に転生費の更新を頼んでいたのだが…どうも、ヘスティアの様子が変だ。

 

最初、俺の背中を見て唸っていた彼女は、羊皮氏にステイタスを写すと、某国宝を見るクマのような表情で改めて写しを確認している。

 

「どしたんスか、変な面して」

 

「主神に対して失礼だな、キミ…それがね、減ってる額が増えてるんだよ」

 

「いやいや、んな訳ないじゃないッスか」

 

ヘスティア様の言葉に笑いながら写しを受け取り、確認すると…

 

 

転生まで残り

999,887,485ヴァリス

 

 

「…本当ッスね」

 

「だろ?」

 

ヘスティア様から受け取った写しを見ながら呟く。

最後に確認した日で999,887,525ヴァリスだったから、今日のバイトだけで40ヴァリスは減っている。

 

いったい、何故急にそうなったのか…俺たちが頭を捻っていると、バタバタと音を立て、ダンジョンに潜っていたクラネル少年が帰ってきた。

 

「レンさん、大変です!」

 

「ベルさん、帰ってきたらまず手洗いうがいって言ってるじゃないッスか〜」

 

「あ、ごめんなさい…って、そうじゃないんですよ、大変なんです!」

 

学校帰りの子供を叱る母親みたいな小言に素直に謝りながらも、クラネル少年は俺たちを見て口を開いた。

 

 

「イワシが…イワシが、値上げされました!」

 

「へぇ〜、イワシが値上げかぁ」

 

「そりゃ大変ッスね、財布の紐を絞めないといけないッス」

 

クラネル少年の言葉に、ヘスティア様と俺は笑いながら答え…ピタっと2人同時に固まった。

 

 

 

 

待て、たった今クラネル少年はなんて言った?

 

イワシが、値上げ?

 

あの、2尾5ヴァリスだったイワシが、値上げ⁈

 

 

『な、なんだってー⁈』

 

漸く、クラネル少年の発した言葉の意味を理解した俺たちは驚愕した。

さながら、陰謀論や未確認飛行物体の謎に迫る記者達が衝撃を受けたようなリアクションにクラネル少年はたじろいでいる。

 

「あ、あの…2人とも、顔…というより画風が変わってます!」

 

「んなこたぁどーだっていいんスよ、どう言う事ッスか⁈イワシが値上げされたって⁈」

 

俺の剣幕にビビりながらも、クラネル少年は経緯を話してくれた。

 

ダンジョンから帰る途中、ふと前を横切った鮮魚店に並ぶイワシに掛けられた値段が、以前見た時よりも大分変わっていた事。

 

思わず二度見してしまい、店主に話を聞くと、この時期に起きた不漁によって赤字が出てしまい…結果、移送費なども加味して値上げに踏み切ったらしい。

 

更に、今後も移送費などの事からこのままでいくそうだ。

 

 

「つまり、今後も…40ヴァリス…」

 

「そうです…40ヴァリスです!」

 

「やったね、レン君!」

 

俺の呟きに、クラネル少年は何度も力強く頷き、ヘスティア様に至っては涙を浮かべてすらいる。

 

 

そうか…もう、毎日ステイタスを見る度5ヴァリスしか減ってない事に背中を煤けさせずに済むのか…。

 

そう思うと、色々込み上げてくる。

年甲斐もないが、此処は素直に喜ぼう。

 

「エイド■■ー■(ピー)!」

 

両手を天に突き上げ喜びを露わにする俺の脳内では、あのボクシング映画のBGMが鳴り響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、叫んでる時のポーズは思い返せばプラ■ーンだったけど、些細な事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

「ヘスティア・ファミリアに居た彼が気になるのか?」

 

レン達が喜びを分かち合う一方、ロキ・ファミリアでは、団長のフィンが、眉間に皺を寄せていた。

 

それを見ていたエルフ…リヴェリアの問いに、フィンは小さく頷いた

 

 

 

 

彼…レンとの出会いは、最悪だと言って良いものだった。

だが、後日。改めて直接話し、僅かながらその人となりを知ったからこそ、フィンは考える。

 

「彼は、悪人と言うほどではない…だからこそ、解らないんだ。何故…神ヘスティアは、彼のレベルを偽った?」

 

フィンが考えるのはそこだった。

騒動に巻き込んでしまったベル・クラネル、そして、主神のヘスティア。

レンやヘスティアは此方にあまり良い印象を抱いてなかったとはいえ、その本質は悪人とは言い難い…寧ろ善人と言って良い。

 

そんな者達が、何故レベルを偽るというリスクの高い事をするのか。

 

レベル5のベートを相手に圧倒してみせた事から、レンのレベルは推定5以上…それを踏まえてフィンは呟く。

 

「隠すということは、相応の理由があるんだろうね…荒唐無稽な所だと、誰も至ってないレベル、とか」

 

「…なるほど。突拍子もない話だが、神に目をつけられない為と考えれば…な」

 

その言葉に、フィンとリヴェリアは小さく笑う。

 

 

だが、2人はのちに知る。

 

その予想は当たっていて…更に、2人の考えるそれを遥かに越えたものである事を。




レンの脳内で再生されてたBGMは「THE FINAL BELL」
ロッキーの終盤で流れてたアレです

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