ダンジョン都市で正義を騙るのは間違っているだろうか   作:kuku_kuku

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属性過多ヒロイン同士が手持ち属性で殴り合うバトルパート的第六話(たぶん嘘ではない)
クーデレポンコツ潔癖エルフ vs ツンデレドジっ子暴力雄猪獣人


第六夜 「お造り」と「極東の醸造酒」

 

 これは夢だと、すぐに分かった。

 

 闇派閥の全てを殺し尽くした五年前のあの夜。

 火の海と化した都市の一角、火の粉が舞い落ちる路地裏。共に戦った彼女とも別れ、朽ち行くのをただ待ち望みながら眺めていた赤く染まった夜空。

 

 邪悪に笑う道化師のような女神は、そんな御伽噺に出てくる地獄のような夜を背負って俺の前に現れた。

 

 焼け焦げてしまって、もう所々思い出すことが出来ない記憶、神様との始めての会話が、夢の中で断片的に蘇る。

 

「大層な名前持った極悪人がどんな面しとんのか気になっとったけど、目つき以外は随分と可愛いらしいガキンチョやないか」

 

「……」

 

「ハッ、無視かいな。ああ、それとももう口利けへん程に死にそうなんか? こんな街の片隅で一人死んでくなんて、極悪人にはお似合いの最期やな」

 

「……別に、会話する理由がなかったからな。お前の眷族の復讐が理由なら、好きにしろ。お前、ロキだろ? お前の眷族は……知ってるだけでも三人殺した」

 

 そう返せば、神は邪悪な笑みを消して、「なんや、まだ元気やないか」とため息混じりにそう呟いた。

 

「自分に直接やられたんは五人や。やけど復讐する気はあらへん。その代わり、償いたいとか謝罪したいとか、少しでもそういう気があんのなら、質問に答えや」

 

「お前、頭大丈夫か? 俺が自分の意志で殺したのに、償いたいとか謝罪したいとか思っていい筈ねえだろ。まあ、別に質問には答えるが」

 

 意味の分からない交換条件にそう返せば、ロキは戸惑いや怒りや悲しみが入り乱れたような複雑な顔で再度ため息を吐いて、問いかけて来た。

 

「《悪》って、何なんや?」

 

 神は、続ける。

 

「うちの子を殺した時、悪やから尊い人の命を理不尽に奪い殺す、なんて言ったそうやないか。やけどうちは、自分が妹を人質に捕られて闇派閥に協力させられとったんを、大切なもんを守るために戦っとったんを、もう知ってしまっとる。にも関わらず自分は自ら悪を名乗り、そんで敵も味方も関係なく、全員から何の疑いも無く【純粋悪】なんて呼ばれとった。かつての闇派閥の親玉が掲げとった【絶対悪】でも、正義の神が認めた【必要悪】でもなくや。悪の根源を識り、体現する。その背中に刻まれた神聖文字(ヒエログリフ)の意味が、うちの子を殺した悪ってもんの正体が、一体全体何やったんかを、うちに教えてや」

 

「絶対だとか必要だとか純粋だとか、何だその言葉遊びは? 頭に大仰な枕詞をつけたって、例えどんな理由があったって何かを傷つければその行為は須らく悪で、それ以下でもそれ以上でもねえだろ。俺のスキルに何を期待してたのか知らねえけど、悪の根源を識るって言っても、成された《悪》が誰の手によるものか見れば分かるってだけの、それだけの力だ」

 

「……何かを傷つければ、その行為は須らく悪、か。確かに真理ではあるな。やけど質問に対する答えにはなっとらん。自分は成した結果やのうて、原因である己の存在そのものを《悪》と称した。それも、まだ因果が果たされる前にや。やったら自分は、何を以って《悪》を名乗ったんや? 何を以ってその行為の原因そのものを──人を、神を、怪物を、悪と証明するんや?」

 

「何をって、そんなの──悪を成す意志を持って名乗れば、それが証明に決まってんだろうが。それ以外に何か証明が必要で、それ以外に何か証明できるものがあるとでも思うのか?」

 

 俺の返答に、ロキは満足そうに少しだけ口角を上げた。

 

「ハッ、えらくまた単純な答えやな。じゃあ例えば何の罪もない人間を何十人殺した奴でも、自分で名乗りさえせんかったら、行為はともかくとしてそれを成した奴そのものは悪やないんか? それどころか、極端な事言えば何をしたって悪さしとる自覚がなけりゃ、それは悪とちゃうんか?」

 

「ああ、そんなのはただの馬鹿だろ。馬鹿は馬鹿だから勝手に死ぬし、馬鹿だから自分が悪を成した事も分からずに恨み買って誰かから殺されるか、危険だからって排除される。まあ、結果だけみりゃあ悪も馬鹿も同類で一緒か」

 

「なるほどな、なら次や。自分にとっての正義は何や? いや、この質問はちゃうな。自分は、正義をどう証明するんや?」

 

 神からの問い掛けに、俺はすぐに答えることが出来なかった。

 俺にとっての正義とは、彼女の事だった。だけど、それをどう言葉にすればいいのか、すぐには分からなかった。

 

「知らねえよ。そんなの、考えた事もない」

 

「今考えたらええ。そんで、うちに答えを聞かせてや」

 

「……正義が悪の反対なら、他人からそう認められたら、少なくともその人にとっての正義にはなるんじゃねえの? ああ……だけど、違うか。リオンは俺を救った。だから俺はその行為を成したあいつが正義なんだと思った。だけどあいつは自分が正義じゃないって、もう正義を掲げられないって言ってた。だから結局正義も、意志が必要なのかもな」

 

 まるで一貫性のないそんな俺の答えに、ロキは小さく笑う。その笑みは邪悪なようで、しかし、慈愛に満ちたような不思議な笑顔だった。

 

「《悪》とは意志を持って自ら名乗るもの。《正義》とは他者から認められ、覚悟を持って自ら掲げるもの。ああ、ええ答えなんやないか。うん、ええな。うちは好きやで。それで、結局自分は何がしたかったんや? 闇派閥を潰したんは、正義にでもなりたくてやったんか?」

 

「正義どころか悪に決まってんだろうが。俺自身のための、妹の復讐だったんだから。ああ……でも、リオンに救われて、憧れて……だから、そうかもな。正義の真似事をしてみたいって、思ってはいたのかもな。まあ、■■■■■■■■■■」

 

 焼き切れた記憶が歪む。

 闇派閥の残党を灰燼へと化すために焚べた、大切だったはずの想い出とそれに伴う心は、神との会話へも容赦なく影響を及ぼしていた。

 

 過去の俺と神様の会話を、もう思い出すことが出来ない。

 記憶の中の俺が何かを言えば、記憶の中の神様は、呆けて、大きく笑う。笑い過ぎてその瞳には涙すら浮かんでいた。

 

 昔の俺は神様と、一体何を話したのだろう。

 

「──なあ。もう死んでくだけなら、生きる意味がないんなら、うちのとこに来んか?」

 

 断片的に聞こえる、記憶の中の神様のそんな声。

 

「物好きだな。街の火が消える頃には、この記憶も想いも全部燃え尽きて廃人同然になってるかもだけど、その時の俺がいいって言うんなら、好きに使ってくれよ。ああ、でも、もし俺がまだ動けてるなら、一つだけ頼まれてくれ──」

 

 彼女に対して何か大事な願いを託した気はするが、やはりその大事な願いが何だったのかは、もう今の俺には分からない。 

 

 ロキは俺と少しだけ言葉を交わして、そして自信に満ちた笑顔で俺の頭を乱暴に撫でて、俺の背中に道化師を象る神聖文字、【神の恩恵(ファルナ)】を刻みながら、都市を焼く業火を掻き消すような大声で宣言した。

 

「──ニルス・アズライト。これからは闇派閥(イヴィルス)の【純粋悪】やのうて、うちの家族(ロキ・ファミリア)として【正義の味方】を名乗り。自分には、それが相応しい。うちが誰にも文句は言わせん」

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「ニルス、どうしよう……。ベートさん、傷ついて一人で泣いてないかな……?」

 

 太陽は既に数時間も前に外壁の向こうに沈み、夜も深まって来た頃。魔石灯に照らされ、一日の仕事を終えた人々の喧騒で賑わう都市の大通り。

 隣を歩くアイズがオロオロと不安そうに周囲を見回しながら、冗談にしては全く笑えないそんな心配の声を零した。

 

「あー……、泣いてはないけど、そこら辺で悶ながら転がり回ってはいるかもな」

 

 俺はそんな彼女に適当な相槌を打ちながら、現実逃避のために今日見た夢を思い返していた。泣いてるベートを想像したら吐き気を催して来てしまったのだ。

 

 神様と初めて会った時の夢なんて珍しいものを見た原因の一つは、最近昔のことを思い出す機会が多かったせいなのだろう。

 先日のオッタルとの一戦での会話だったり、四日前の闇派閥との一件、特に当時の幹部との思いがけない再会だったりと、どちらにしろ碌な出来事じゃない事は確かだ。

 

 だが直接的な原因は、昨夜、都市の一角が火に包まれ燃え征く様を見てしまった事なのだろう。

 

 闇派閥と協力関係にあったイシュタル・ファミリアの根城である歓楽街。

 俺達が近日中に調査に踏み込もうとしていた矢先、何があったのかは知らないが、それよりも早くフレイヤ・ファミリアの手によって拠点は燃やされ主神は天界へと送還され、イシュタル・ファミリアは潰された。

 フレイヤ・ファミリアも都市の壊滅を巡る一連の事件に関与し始めたのかとも思ったが、神様曰くどうやらそういう訳ではないようだ。フレイヤとイシュタル、はた迷惑な美の神同士の男を巡った争いだとかいう意味不明な噂もあるが、真偽のほどはまだ定かでない。

 

 考え事をしながら当てもなくアイズと共にオラリオを彷徨い歩き、約束の時間が来たこともあって迷子の狼の捜索は打ち切ることになった。

 そしてそのままの足で二週間ぶりとなる『豊穣の女主人』へと赴けば、今日も賑やかな店内の最奥、何時ものカウンター席の二つ隣に見知った灰色の狼獣人の姿を見つけた。

 

 こいつ人が苦労して探し回ってたってのに、よりによって何でここにいるんだ。

 

「で、何でゴミカス狼ちゃんがここにいるんだよ?」

 

「いちゃあ悪いかよ? クソザコナメクジ……って、おい、何でアイズまで連れて来てんだよ……」

 

「先ずはお前が質問に答えろよ。ああ、すみません。その幼稚なおつむじゃあ簡単な質問に答えることも難しかったですかね?」

 

「借金返済なんてダセぇ理由で通ってるてめぇと違って、俺はこの女に声かけられて来た立派な客だ。これで満足か?」

 

 カウンター席に座ったままこちらを振り向き、顔を引き攣らせながらベートが親指で指し示した先には、エールが入ったジョッキと豆が盛られた小皿を俺の席とその隣へと置くリオンさん。

 

「随分と酔った状態で街を歩いていましたので」

 

 リオンさんは端的にそう答えて、座らないのですか? と小さく首を傾げる。

 先日の一件はリオンさんも現場にいたのだから、彼女が気を回した理由は察せた。

 

「ほんと、ゴミカス察して狼ちゃんですね」

 

「おい、俺にも酒だ。財布が来たんだからもう文句はねえだろうが」

 

「どうぞ、エールです」

 

 不穏なやり取りと共にカウンターを挟んでベートの手に渡ったジョッキを思わず目で追うが、しかし一気にエールを飲み干したベートは何も答えない。

 リオンさんを見てみれば、またしても少し不思議そうに小首を傾げていた。なんか可愛い。

 

「ローガさんは今手持ちがないので、冒険者さんに付けてくれと聞いています」

 

「糞狼、お前客じぇねえじゃねえか」

 

 が、そんな感想は瞬時に吹き飛んだ。この狼、本当に相変わらずクズだな。

 無視するベートにため息を吐いて席に座る。そして元気そうなベートの姿に安堵しつつも若干気不味そうに俺の後ろに隠れていたアイズを促し、無理やりベートの隣に座らせた。

 

「アイズが心配してたぞ。つい嫌いって言ってしまったから、傷ついて泣いてないといいけど、って」

 

「ごふぉっ……!」

 

 面白いようにむせ返るベートを無視して、何時ものように焼き魚が出てこないことを少し不思議に思いながらも、俺はリオンさんが注いでくれたエールを飲み干す。

 隣ではアイズがわたわたしながら、リオンさんにぺこりと頭を下げていた。

 

「あの……リュー、急に来てごめんね? 迷子のベートさんを探すのを偶然会ったニルスに手伝ってもらってて、ついでだからって誘われて」

 

「いえ、遠慮しないで下さい。アイズであれば何時であろうと私個人としても歓迎します。以前は確か、アズライトとリヴェリア様と一緒に来て下さったのでしたか。あれからもう三ヶ月は経っています。それで、大丈夫ですか? ローガさんと何か揉め事があったようですが、必要であればアズライトとローガさんにはお帰り頂きますが」

 

「え……? ニルス、もう帰るの?」

 

 ほのぼのとしたやり取りに騙されかけたが、何故か俺がベートのせいで店を追い出されかける事態になりかけていたので、最早悪意なのかと疑う不思議な解釈をしている天然(アイズ)を遮り、二時間ほど前に聞いた事情をリオンさんに話して聞かせた。

 

「この糞狼、リオンさんと会う前までは、別の酒場でアイズと飲んでたんですよ」

 

「はい、先程伺いました。ロキ・ファミリアで少し揉め事があり、一時的に拠点から出ることになったローガさんにアイズが付いて来たという内容を、随分と嬉しそうに話してくださいました。揉め事の内容や、どうしてアイズと別れ一人でいたのかは話したくないようでしたが」

 

「おいこらクソエルフ、ううう、嬉しそうとか適当な事を──」

 

「はいはいはい、うるせーですよゴミ狼。てめぇ仮にも一時追放処分中の身分で何嬉しがってるんだよ」

 

 顔を真っ赤にしてアイズをちらちらと見ながらリオンさんに突っかかるベートを黙らせ、リオンさんからお代わりのエールを受け取り再度飲み干す。が、水だった。今日は魔法を使って喉が乾いていたから丁度良い。

 

「揉め事の原因はお察しの通り、四日前のあの暴言のせいですね」

 

 まだ店に人が残っている時間帯な事もあり、ぼかしながらリオンさんに説明する。

 とは言えリオンさんも四日前の事件に参戦していたのだから、それだけで十分に伝わったらしい。

 

 四日前の事件。

 

 神々の言葉で【都市の破壊者】を意味するエニュオと呼ばれる頭目が率いていると推測される一派と、堕ちた精霊に付き従う怪人達、そして闇派閥の残党達。

 二ヶ月前から活発に動きを見せているそれらの三つの組織の潜伏先は、ダンジョンに隣接し一部接続する形で作り出された《クノッソス》と呼ばれるもう一つの人造の迷宮であることが判明した。

 

 未だ全容は掴めないものの、悠にダンジョンの中層程度までは存在していると思われる巨大な人造迷宮(クノッソス)。そんなものがオラリオの表側では今までその存在すら把握されていなかったというのだから、二重の意味で驚愕するしかない。

 

 ダンジョンへのもう一つの入口の候補としてオラリオの地下水路を探っていたロキ・ファミリアは、敵に誘い込まれる形でクノッソスへの入口の一つを発見し、そして敵の挑発にのって迷宮へと踏み込むことになった。

 

 クノッソスにはダンジョン以上に悪辣な罠が仕掛けられており、稼働する迷宮の壁や床の仕掛けによって物理的に強制的に分断されたロキ・ファミリアは、Lv.6以上の力を獲得した怪人レヴィスや、自爆前提の攻撃をしてくる闇派閥の残党と、かつて討ち漏らしてしまった闇派閥の幹部ヴァレッタ、極彩色のモンスター、雇われた暗殺者達、そして挙句の果には圧倒的な力を振るう精霊の分身との戦いを強いられる事となった。

 

 おまけに敵は不治の傷を与える呪詛(カース)が込められた呪道具(カース・ウェポン)を保持しており、受けた傷は魔法による治療や回復薬(ポーション)はおろか、万能薬(エリクサー)でも効き目がなかったのだから、下手をすれば何人も死者が出てもおかしくない戦いだった。

 

 全員で何とか生還は出来たが、正直に言って完敗である。幾つかの情報を手に入れる事は出来たが、敵の本拠地(クノッソス)の全容把握も敵の殲滅も出来ず、命からがらといった様の事実上の敗走をする羽目になったのだから。

 

 そんな致命的な負け戦の最中、あろうことかベートは敵の呪道具(カース・ウェポン)によって瀕死の重傷を負って死にかけていた仲間、それも自身に好意を抱いている少女に対して「だから雑魚は足手まといって言っただろうが」「てめぇも他の連中も無駄死にだ」「自分の甘さと弱さを忘れねえように死ぬほど呪え」など、余りにも余り過ぎる言葉の数々を投げ掛けたのだ。

 

 治療が間に合ったのが偶然以外の何物でもない以上、ベートは死に行く者達への最期の言葉として本気でそんな罵倒を選んだのだから、筋金入りの馬鹿だ。

 

「俺はその時外出してたのでアイズから聞いた話になりますが、今日の夕方にあの時の暴言を聞いていた他の団員達を中心にベートへの不満が爆発して、ティオナやティオネ……幹部層とも大喧嘩をして、団長直々に一時的な追放処分を言い渡されたらしいですね」

 

「なるほど、ローガさんの本意を知らなければ……いえ、仮に知っていても、揉めて当然でしょうね。ロキ様の言葉を借りれば、つんでれ、と言うのでしたか。あれが弱者を守るための励ましの言葉とは未だに信じられません」

 

 理解し難い不可思議なモノを見る目を向けるリオンさんに、ベートが「このクソエル」とまた暴言を吐こうとしたので、「アイズ、ベートが乾杯したがってるぞ」とアイズをけしかけて黙らせる。

 

「で、家出を心配して付いて来たアイズと酒場で飲んでて、酔っ払って来た所にアイズが本当は励ましの言葉だったと正直に言うべきだなんて説得をしてたら、このカス狼、またしても『正直も何も雑魚は雑魚だ』云々と酒場にいた全員に暴言吐いて喧嘩売って、他の客と殴り合いの喧嘩して店を破壊したようですね」

 

 リオンさんに説明しながら、ベートの本意という、色々な意味であやしい言葉に昔の事を思い出す。

 

 あれは、何時だっただろうか。

 二年くらい前にも今回のような事があった。仲間が死にかけて、そしてベートが死にかけた仲間達に暴言を吐いたのだ。

 

 その夜に神様は俺とアイズにベートを捕獲させ、「第一回、傷の舐め合い会」などと茶化しつつ、まさに今のこの席に連れて来た。

 その席でしこたま飲まされたベートは遠回しではあったが、あの何時もの罵倒は『弱者に発破をかけるのは強者の責任と義務である』という持論に基づいた発言であり、そして罵倒程度で心折られる弱者ならば、せめて戦って死なないように更に罵ってでも戦場から遠ざけたいという願い、今まで大切な人達を失い続けたベートの弱さ(優しさ)故の発言であることを吐露したのだ。

 

 いや、どう考えても流石に遠回し過ぎて伝わらないだろう。これだからおつむが幼稚な察して狼ちゃんは。

 

 まあ、とは言え伝わる人には伝わるらしく、今回特に強烈な罵倒を受けたリーネ、ベートを好いている少女は、そこら辺を理解出来ているようなのだ。

 だから、未だ目を覚まさない彼女の本心は不明ではあるが、今回の件に関しても、死に行く自分への祝福の言葉として受け取っている可能性があり得たりする。凄まじい話だ。

 

 回想もそこそこに、アイズとベート間の揉め事についてもリオンさんへと説明する。

 

「で、アイズとの件は、酒場での喧嘩の後にアイズが『人を傷つけるベートさんのそんなところが嫌いです』って言ったのが原因みたいですね。それがショックでその場から走って逃げ出して、落ち込んで街を彷徨ってたのを、店員さんが拾って帰ったんだと思います」

 

「てめぇ、人が大人しく──」

 

「ベートさん……嫌いって言って、ごめんなさい。でも、お酒で酔っ払って暴力はダメ……だと思います」

 

「お、おう……悪かったよ……」

 

 またしても何か言いかけていたベートだが、続けられたアイズの謝罪と指摘に、しゅんと頭の上の耳を垂れさせていた。

 

 こいつ、ほんとにアイズがいると大人しくなるな。最早、無様である。

 

 

*    *    *

 

 

「本日のオススメのお造りです」

 

 耳慣れない名前と共に俺の目の前と、アイズとベートの中間に置かれた大皿には、薄く切られた色取り取りの魚の切り身が盛り付けられている。合わせて出された小皿には擦り降ろされた緑色の薬味と、独特な匂いのソースが注がれている。

 

「ああん? 何だこれ、生じゃねえか。どうしろってんだよ」

 

「……っ!? 鼻が……これ、辛い」

 

 ベートは魚の切り身、アイズは薬味の匂いを嗅いで、片や顔をしかめ片や涙目になって共に困惑しながらリオンさんを見ていた。

 

「極東の食文化で、生で魚の切り身を食べる料理です。薬味は少し癖がありますので、好みに合うようでしたらソースと一緒に使って下さい」

 

 リオンさんの説明を聞きながら、昔食べた泥臭い生魚を思い出してしまいながらも、とりあえずそのまま食べてみる。

 

「こいつ、何の躊躇もなく喰いやがった……美味いのか?」

 

「ニルス、こっちも」

 

 恐る恐る質問してくるベートと、ソースと薬味を勧めてくるアイズ。

 毒味しろと言わんばかりの二人を無視し、二切れ目を取りソースをつけて食べてみる。そして続けざまに三切れ目に薬味とソースをつけて、口に入れる。

 

「冒険者さん、こちらもどうぞ。極東の醸造酒です」

 

 見計らったかのようにグラスに入った透明な酒を手渡してくれたリオンさん。勧められるままに飲んで、ようやく俺は口を開いた。

 

「すごい。めちゃくちゃうまい」

 

 魚の脂の上品な旨味。甘辛いソースの奥深い味。鼻を突き抜けるような独特な辛味を持つ薬味の香り。そして、甘く爽やかな醸造酒の風味。

 生魚を切っただけの料理と言っていいのかもよく分からないシンプルな料理は、とても美味だった。美味すぎて語彙力が死んだような感想しか出なかった。

 

 俺の言葉にベートとアイズは、自分たちの間にある大皿から恐る恐るといった様子で切り身を取り口に運ぶ。そして俺と同じく意外だったのだろう、目を見開いていた。

 そして無言のまま数切れ食べて、リオンさんに渡されたグラスから酒を一口味わう。

 

「……いけるな、これ」

 

「すごい。お魚、美味しい。お酒も……エールはあんまり好きじゃないけど、これは好き」

 

 俺達三人の幼児のような感想に、リオンさんは無表情ながらも誇らしそうに取り出した瓶を掲げた。

 

「米から作られたお酒で、極東では魚と言えばこのお酒のようです。偶然手に入ったので、ミア母さんにお願いして料理も極東のものにして頂きました。お造り、刺身とも言うようですが、この料理は素晴らしい。綺麗に盛り付けるのは上手くできませんでしたが、切るだけならどうにか私にも出来る」

 

「これ、店員さんが作ってくれたんですか。ありがとうございます」

 

 リオンさんから瓶を受け取り彼女のグラスに注げば、調理法だけでなく味も気に入っているのか、幸せそうに魚と酒を味わっていた。

 そしてほっと一息ついて、リオンさんは続けて俺の前に何時もの不格好な焼き魚を置いてくれた。

 

「どうぞ、冒険者さん。こちらもお酒に合うはずです」

 

 

*    *    *

 

 

「それで、あれから四日ずっと女の巣に転がり込んでたんだ。やることはやって来たんだろうな?」

 

 一通り食事を堪能し終え、ゆったりと酒を飲んでいると突然ベートがそんな事を言い始めた。

 

「ローガさん、今何と……?」

 

 冷たく瞳を細めるリオンさんに、ベートが笑って返す。

 

「何とも何も、言葉の通りだ。この燃え滓野郎はあの後からずっと外の女の家に引き篭もってたんだよ。しかも三人も侍らせてたって話だぜ」

 

「アズライト……。貴方の行いにとやかく言うつもりはありませんが、貴方の想い人の件は──」

 

「誤解です」

 

 極寒の瞳を向けてくるリオンさんの言葉を遮って、溜息を吐く。

 

「泊まってたのはヘファイストス・ファミリアの鍛冶場で、椿さんと新しい槍を作ってただけですよ」

 

「……そういうことでしたか。疑ってしまい、申し訳ありません」

 

「そういえばニルス、槍は? あと、薬も」

 

 しゅんとするリオンさんに返答しようとしたが、それよりも早く興味津々と言った様子でアイズが三日間の成果を尋ねて来た。

 

「今日、新しい槍は無事に出来た。ちゃんと前のよりも熱に強いのが。けど、薬はもう少し時間がかかるみたいだな」

 

 この三日間は二大鍛冶師系派閥ヘファイストス・ファミリアに泊まり込んで、都市最高の鍛冶師である椿・コルブランドに、先日の猪との戦いで消失した槍の代わりに、新たな槍を鍛えてもらっていた。

 鍛冶を手伝えない俺が泊まり込んでいたのは、戦争遊戯の際に数百を超える武具を提供してもらった謝礼として、儀式魔法によって生み出した炎を鍛冶に使いたいという彼女の要望に応えるためである。

 ついでに俺自身の血も新たな槍の素材として大量に提供させられたが、その成果もあって武器は以前のものよりも格段に性能が向上したという話だ。

 

「薬とは、例の不治の呪詛(カース)の治療薬のことですか? そうすると、先程ローガさんが言った三人とは」

 

「はい、残り二人はアミッドさんとアスフィさんです。俺の血から解呪薬を作れないかって話になって、急を要するので同じ場所で作業してたんですよ」

 

 都市最高の治療師にして希少な《神秘》のアビリティを持つ、巨大製薬系派閥ディアンケヒト・ファミリア団長アミッド・テアサナーレ。

 【万能者(ペルセウス)】の二つ名で知られる、《神秘》持ちの稀代の魔道具作製者(アイテムメーカー)であるヘルメス・ファミリア団長アスフィ・アル・アンドロメダ。

 

 オラリオの未曾有の危機への対処のためにロキ・ファミリアと協力関係を結んだ二つの派閥の団長、二人の《神秘》持ちの目的は、厄介過ぎる不治の呪詛(カース)への特効薬を作ることだった。

 アミッドさんの完全回復魔法と俺の儀式魔法しか敵の呪道具(カース・ウェポン)への対応策がない現状、特効薬の完成はこの戦いの鍵を握っていると言っても過言ではない。

 

「そう言えばクソザコナメクジ、てめぇ何で今まで魔法の能力を隠してやがった。オッタルと戦った時の最後の一撃もそうだが、あいつらを救った解呪の力もそうだ。あんな事が出来るなら言っとけよ、てめぇのせいで余計な事言っちまっただろうが。これだから頭が雑魚な奴は」

 

「『リーネを、あいつらを救ってくれて、恩に着る』でしたか? 同一人物の言葉とは思えないですねぇ」

 

「ば、馬鹿野郎、誰がそんな事を言ったんだよ!? ふざけんのも大概にしやがれ!」

 

 懲りないベートを適当にあしらったが、しかしリオンさんとアイズも気になるようでじっと俺を見つめていたので、ため息を吐いて正直に答えることにした。

 

「隠してたんじゃなくて、急に使えるようになっただけだ。あの猪に殺されそうになった時に気付いたら何時もと違う追加詠唱が浮かんで、解呪の時は神様の言葉がきっかけだった。まあ今は新しいスキルのお陰で、ある程度自由に使えるようになってるが」

 

 自傷型儀式魔法【アグニ】は、火力を高めた炎を、追加詠唱によって最後に周囲へと一気に解き放つ事が出来る魔法だ。

 それがオッタルとの一戦では、何時もと異なる追加詠唱を歌うことで、炎を武器へと高密度で収束させ雷の形で放つ事が出来た。

 先日は、呪詛によって弱り行く仲間に対して何も出来ない自分を呪っていた時、神様の『自分の炎なら呪いやって焼き祓えるわ。うちのこと信じでやってみ』という言葉で、不浄を祓う炎を生み出せた。

 

 そしてその後、新たに【千偏万火】というスキルを得て【アグニ】にはまだ可能性があることを自覚した。

 

「まあ、簡単に言うと最大火力は変わらないが、火力の調整だったり性質の変化が出来るようになった。アミッドさんとアスフィさんは浄化の炎を出せる俺の血にその特性も宿ってるって思って素材にしてたけど、そう上手くは行かなかったみたいで、今はアミッドさんが自分の血を素材して色々と試してる。ああ、そういえば店員さん、これ、アスフィさんからです。失敗作だから何の力もないみたいですけど、店員さんに渡してくれって」

 

 外套のポケットからアスフィさんから預かっていたペンダント、中に灯る火が静かに揺れている、小さな砂時計のような形状のそれを取り出して、リオンさんに手渡す。

 

「アスフィさんは薬じゃなくて、呪詛(カース)への対抗能力がある装備を作ろうとしてましたが、ダメだったみたいですね。一応魔道具(マジックアイテム)ではあるんですが、ただ火が消えないだけのアクセサリ以外の何物でもないらしいです。『三日間ここに泊まっていたのは、この通り仕事ですので誤解しないように』と伝えてくれって言われたんですけど、会う約束でもしてたんですか?」

 

「いえ、特にそのような約束はしていないはずですが……。 まあ、アンドロメダには今度礼を言っておきます。いざという時に、ダンジョンで灯りとして使えそうだ。冒険者さんもありがとうございます」

 

 記憶を辿るように不思議そうに首を傾げながらも、アスフィさんのペンダントを気に入ったようで、リオンさんは僅かながらに柔らかく微笑んでいた。俺が作った訳ではないが、気に入って貰えたのなら材料提供者としては一応喜ばしい事なのだろう。

 

「お前ら、なんつーか、それでいいのかよ……」

 

 少し呆然とした様子で問いかけて来たベート。どういうことかを二人して少しばかり悩んでいると呆れたようにため息を吐かれ、そしてふと思い出したようにリオンさんに視線を向けた。

 

「そういや店員、お前、さっきクソザコナメクジの想い人がどうとか言ってたが、あれはどういう意味だ? 嫌味にしても妙な言い回しだったが」

 

「嫌味、ですか? 何を言いたいのかよく分かりませんが──」

 

 そこでリオンさんは一度言葉を区切り、話しても問題ないのかと視線で問いかけて来た。別に隠してる話ではないので、俺は酒を飲みつつ小さく頷く。

 

「言葉通りの意味です。冒険者さんがかつての切り札(スキル)の代償で、昔の記憶を失っているのはご存知でしょう」

 

「……? ああ、妹との思い出どころか、顔も声もまともに思い出せねえんだろ? だから最期を看取ったお前が、たまにこのクソザコナメクジに妹の事を語って聞かせてるって話だったか」

 

 不思議そうに、そして少しだけ気不味そうにそう返したベート。別にベートが気に病む必要なんてないと言うのに、変な所で気を使う奴だ。

 

「思い出せないのは彼女の事だけでなく、かつての想い人の事もなのです。冒険者さんは今でもその女性の事を探しているのですが……そうですか、話していなかったのですね」

 

「はあ!?」

 

「え、初耳……」

 

 驚愕するベートとアイズにため息を吐いて、俺は補足した。

 

「……そんな話、わざわざ自分からする訳ないですよ。そもそもそんな人がいたことすら俺は覚えてなくて、後になってリオンさんから教えてもらったんですから」

 

「いや、え、はあ!? お前、マジかよ……え、誰なんだよそいつは?」

 

「私も存じ上げません。五年前に、妹以外の唯一の救いたい大切な想い人だとしか伺いませんでしたし……今更誤魔化しても仕方ないので正直に言いますが、当時はそれどころではなく、何かの会話の流れで偶然聞いたそのような話に、まるで興味もありませんでしたので」

 

「ニルスは、その人に会いたいの? 今でも大切に思ってるの……?」

 

 困惑するベートと、少しだけ申し訳無さそうに顔を伏せるリオンさん。そして気遣うようにそう問い掛けて来るアイズ。

 

「五年前、数人の第一級冒険者がいた闇派閥を全滅させる火力が出せた位には大切な人で、大切な記憶だったんだろうけど、今となっては手がかりが全く無いからな。探してるって言っても、当時の俺なんかに好かれても相手側は実は困ってた可能性もあるし、偶然会えたらそれだけでも十分、くらいの気持ちだな」

 

 嘘偽りなく苦笑しながらアイズにそう返せば、ベートが「お前、まさか」と面白いくらい混乱しながら続けて問いかけて来た。

 

「前にラウルに娼館に誘われた時どころか、今までも言い寄って来た雌相手に、操を立ててるとか気持ち悪いこと言って断ってたのは、そっちの雌の方が理由だったのか……?」

 

「あ? それ以外に何があるんだよ? 関係性はもう知りようがねえけど、もし過去の俺が婚約とかしてたら大変だろうが」

 

「大変って……お前、……いや、正気かよ?」

 

 愕然としたベートとは対象的に、リオンさんはどこか嬉し気に、そして満足そうに頷いていた。

 

「先程は疑ってしまい、本当に申し訳ありませんでした。やはり冒険者さんは誠実で尊敬に値するヒューマンだ。冒険者さんの言う通り、想い人がいるのに他の女性の気持ちに答えるのは良くない。それに、娼婦の仕事を否定する訳ではないが、男女の仲というのは、先ずは婚姻の約束を結び、誰もいない夜の森で二人の永遠の愛を月に誓ってから深めるべきだ。冒険者さんは正しい」

 

「愛って、森で月に誓うんだ……勉強になる。リューは物知り、すごい」

 

「いえ、私もエルフの端くれ。この程度は常識です」

 

 大真面目にそう語るリオンさんと、目を輝かせて尊敬の眼差しで彼女を褒め称えるアイズ。

 急に明後日の方向、それも色々とアレな感じに急変した会話の内容に、俺とベートは呆然として思わず目を見合わせていた。

 

 何だこの地獄のような会話は。向かい合うリオンさんとアイズは、森で愛を誓い合うまでは手を繋ぐのはダメだとか、膝枕ならばギリギリ問題ないのではないかとか、最早意味不明な会話を繰り広げている。

 

 ポンコツエルフとド天然、こいつらを組み合わせたら手に負えない。

 

「ああ、そういや、お前の想い人とやらがあの残念猪ってオチはねえよな? あいつ、お前がいねえ時に菓子折り持って、うちの拠点の前でウロウロしてたぞ」

 

 現実逃避なのか、唐突に死んだような表情でそんな事を言い始めたベートに「はぁ?」と素っ頓狂な声を上げてしまった。

 

「ただお前と戦いたかっただけで、決して笑い者にさせるつもりなんかじゃなかっただとか何とか言って、落ち込んだ様子で鉢合わせたアイズに菓子折り預けて帰って行ったんだとよ。ジャガ丸だったか、アイズがアレを持ってたからお返ししといたとか言ってたが……まあ、とにかくまた挨拶に来るらしいぜ」

 

「……何なんだよそのシュール過ぎる光景は。つーか現実逃避してねえで早くこいつらを止めろよ。てめぇが妙な事言い始めたのがそもそもの発端だろうが」

 

 

 

 こうして今回の食事もとい借金返済は、何時も以上に賑やかに、そして遅くまで続くことになった。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

【とうじょうじんぶつ】

ニルス・アズライト

・以前から貴重な素材として何人かの女性に目をつけられていた、全身火属性素材の冒険者さん

・新しいスキルを獲得して戦闘継続可能時間が延びた元超短期決戦型の殺戮者

・かつて大切な妹を救うために、その妹との大切な思い出を犠牲に火を灯し、罪なき人を焼き払った極悪人

 

リュー・リオン

・包丁の扱いだけには比較的自信がある元残飯製造機型ヒロイン

・本日のオススメ料理は自分で作った「お造り」、選んだお酒は「極東の醸造酒」

・古代の価値観よりも酷い拗らせ潔癖ポンコツエルフさん

 

アイズ・ヴァレンシュタイン

・第六話のカウンター席への飛入り客その1

・天然

・主人公とヒロインさんの事を友人と思っている。狼さんの事を強さを求める同志と思って信頼している。

・原作主人公とは着々と絆を深めている

 

ベート・ローガ

・第六話のカウンター席への飛入り客その2

・自分に好意を寄せている少女の最期に、誰にも聞こえないように小さく感謝の言葉をかけた、性根は腐っていないゴミカス狼さん

・でも主人公が土壇場で少女を救ったため、実は生きていた少女がこの先昏睡状態から目覚めた後、どう接したらいいのだろうと悩んでいる残念狼さん

・天然さんを強者として認め好意を寄せている。主人公とヒロインさんの事も強者と認めている。

 

オッタル

・話題にされた人その1

・先日主人公を再度半殺しにした都市最強猪獣人さん

・後になって落ち着いて考えたら、勇敢に戦った主人公を都市全体の笑い者にしてしまったと深く反省して、咄嗟に菓子折りを持って敵対派閥の本拠地に御見舞に訪れたドジっ子属性第二ヒロイン(雄)

・よくよく考えればレベル差が三もあるのに、自分に真っ向から浅くはない傷を与えた主人公に、改めて期待を寄せているツンデレ暴力属性持ち


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