怪人になって1日目の夜、流石に疲れたのか俺はベッドに入るとすぐに寝てしまった。
……手足を伸ばすと落ち着かないので丸まって寝たが、決して俺は猫ではない。
朝になるとお腹に何か違和感が。
"何だあ"と腹を見ると知らない猫が自分のお腹の毛をベッドに寝ている。
俺はそいつに顔を近づけ舌で毛づくろいを……。
危ねえ!今、猫みたいな事するとこだった。
ちび猫?(俺がでかいだけか)を置いて行くのもどうかと思った俺は抱っこして部屋の外に出る。
一応、俺は怪人なので個室を貰っている。
これが戦闘員になるとタコ部屋らしい。秘密結社も世知辛いな。
部屋から出ると、1番会いたくない奴に出会った。
そう、ドクターの野郎だ。
「猫怪人クンおはよう!」
「……」
「無視する姿も可愛い!」
「お前は無敵か!」
駄目だ。こいつと話すと時間が無駄になる。
食堂に行って飯をもらおう。その後は出撃だ。
「そう言えば猫ちゃん見なかった?」
「猫?何の?」
「プロフェッサー……えーと幹部の一人の猫ちゃんが逃げちゃったの。ざまあみろ!」
「最後のは聞かなかった事にしてやる。もしかしてこいつか?」
そう言って俺はちび猫を見せた。
ドクターはびっくりした後にニヤツキだした。
何だこいつ?やっぱりイカれてやがる。
「初日から女の子を部屋に連れ込むとはやりますなあ。」
「肘でグイグイ押してくるな。鬱陶しい。」
「どこまでやったの?A?B?もしかしてC?!うひょお!このプレイボーイ!」
「ちっ、俺は猫じゃねえし、何もしてねえ。起きたら俺の腹でこいつが寝てただけだ。」
「またまた、ご冗談を。後で監視カメラで確認するね。」
「監視カメラ!?プライベートはないのか?」
「ない!ペットの見守りカメラみたいなものだよ!」
「やっぱりお前、俺のことただの猫だと思ってるだろ?」
「ふふふ。」
「何か言えや。」
話をしている内に食堂に着いた。
戦闘員や他の怪人も思い思いに飯を食っている。
俺の飯は何だろう。
そう思いながら食堂のおばちゃんにお盆を差し出した。
「おやまあ、大きな猫ちゃんだこと。キャットフードとチュールで良いかい?」
「俺は猫じゃねえよ。普通に目玉焼きとかが良いんだけど。」
「うーん、にゃーにゃー言ってて分かんないね。」
「おい!ドクター!俺の言葉訳せ!」
「任せといて!おばちゃん!もう一匹いるからキャットフード2匹分お願い!」
「あっ!てめえ!」
「あいよ!猫のご飯2つ!」
適当な席に座り、お盆の上に乗ったキャットフードとチュールを眺める。
左隣の机ではちびが美味そうにキャットフードを食べている。
右隣のアホはチュールを俺に食わせようと必死だ。
無視してアホの朝食を奪い食べようとした。
……ハシが持てねえ、何だこの手は。握るのが難しすぎる。
ええい、犬食いだ。怪人としての大切なモノを失っていく気がするが、
キャットフードを食べるよりかはマシだ。
「おい!新入り!ドクターを無視するとはどう言うことだ?!」
いきなり絡んでくるとは、ご挨拶だな。
前を見るとでかい犬がいた。……俺と同じ被害者か。
思わず右のアホを見る。まだ俺にチュールを食わせようとしている。
俺はそれを奪い、ちびに食わせた。ざまあみろだ。
「あー!猫にエサをあげてる!これって求愛行動?そうでしょ!ねえ!」
「うるせえ!ちびがビックリするだろうが!」
「きゃー!守ってるんだ!絶対昨夜何かあったでしょ!」
「ド、ドクター。俺よりもそいつが良いのか?」
「あっポチ。……私ね犬よりも猫派なんだ。」
「うおーん!ちくしょう!覚えてろ!」
「……そういや何であいつの言葉が俺は分かるんだ?」
「怪人間(かいじんかん)は分かるようになってるんだ。凄くない?猫と犬が会話できるんだよ!」
興奮しているアホは放っておいて、お盆を返却口に返しに行く。
ちびも一緒だ。俺に着いてくる気か?
悪いが俺は町に出て、暴虐の限りを尽くすんだ。
お前とは遊んでられねえ。
「あっ、猫怪人クン。今日は歓迎会あるから出撃は禁止ね。」
「は?歓迎会?何で?」
「規則だよ規則。10時から大ホールでやるから遅れないでね。」
俺の二日目は町への出撃ではなく、歓迎会で終わりそうだ。
ショックを受けた俺は、無意識にちびを抱っこして、毛づくろいをしていたそうだ。
ドクターのアホが興奮して話してくれた。
◆簡単な設定◆
犬怪人(ポチ):でかいゴールデンレトリバー。ドクター作。最悪な名付け。主人公もその内タマになるかも。
猫(ちび):普通の猫。サビ猫。秘密結社の幹部が一人、プロフェッサーの愛猫。プロフェッサーの事はそんなに好きじゃない。猫怪人の事は好き。