少しでも望む未来へ   作:ノラン

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波乱の幕開け

 

 

 

ロズワールとの話し合いが終われば、呼び出されたハヤトとラムは自然と解散するもの。その後の行動に予定があるわけでもなく、そうなれば自室に戻るだけ。

 

その上、主人に「今日は、もう寝ろ」と言われたとなれば、本日のお勤めは終了し、各々の時間を過ごすだけである。

 

 

「あー、めちゃくちゃ動いたからマジ(ねみ)ぃ。部屋に帰ってとっとと寝よ。今日はよく眠れる気がするな」

 

「そのまま寝坊なんてことにならないでね。起こしてくれる人間がいなくとも、自分一人で起きなさい。それが、働く人としての当然だわ」

 

「どの口が言ってんだよ。毎朝、レムに起こされるお前にだけは言われたくねぇ。それがなきゃ、確実に熟睡キメる奴がほざくな」

 

 

ロズワール邸、最上階。西棟と東棟を中継する踊り場を抜けて回り階段を降りる二つの声が、廊下に木霊する。

 

次から次へと響き渡る楽しげな声の正体は、隣り合って歩く大柄な男と小柄な女——ロズワールの執務室から退出した、ハヤトとラムだ。

 

エミリアの感性を養う機会と称した王都観光の付き添い役を終えた二人は、今現在、主人の言葉もあって自室に移動中。

 

ラムの自室は三階。ハヤトは二階。同じ西棟ということもあってその道筋は自然と重なり、別れるまでの短い時間、軽い談笑が二人の間で生まれていた。

 

 

「体もあちこち(いて)ぇ。痛みが引かねぇ打撃を受けたのは久々だ。エルザの野郎ぉ、俺が本調子になったらボッコボコにしてやっから覚悟しておきやがれ」

 

「傷はベアトリス様に治されたと聞いたけど?」

 

「傷は、な。打撃の痛みが地味に残ってんだよ。多分、体が鈍ってんだと思う。一ヶ月ぶりに動いたせいだろうが、流石にここまでとは思わなかった」

 

 

レム、ラム、ハヤト、テン——使用人四人を結ぶ線は、未曾有の事態が起ころうとも切れることがない程に頑丈。故に、この中の誰かと誰かが同じ空間に身を置けば、必ず会話が生まれる。

 

お互い、頭の中を空っぽにして話せる相手。全く中身のない話が無限に湧いて、湧いて、気の許せる存在との心地よいやりとりは、長い時では一時間以上も続いたり。

 

 

「また、全身筋肉痛になる気がする。あのときよりかはマシだろうが、ちょっと無理しちまったな。朝起きて激痛……いやでも、それはないと信じたい」

 

「それなら、あのときみたいにラムが揉み解してあげてもいいけど?」

 

「遠慮する。まだ死にたくない」

 

「どういう意味よ」

 

「そういう意味だよ」

 

 

もはや、「あのとき」の一言だけでお互いに意思疎通していることに関しては、何の違和感もない。いつの、どの場面のことを考えているのか、説明せずとも分かる。

 

そんな会話が続くものだから、二人からすれば三階の踊り場に到着するのはあっという間。

 

一段一段を踏み締める足が開けた空間に辿り着き。体感的には数秒もない中身のない会話は、途切れることになる。

 

足を止め、向き合う二人。まるで、会話の終わりを惜しむような雰囲気のある両者は、己の視線を相手の視線に絡め、

 

 

「それじゃ、ラムはこっちだから。おやすみ」

 

「おう。おやすみ。ゆっくり休め」

 

「脳筋もね。もし、起きられなかったらテンテンの代わりにラムが起こしてあげるから、安心して寝なさい」

 

「朝っぱらから蹴り打っ込まれんのは嫌だな。ちゃんと起きるよ」

 

 

 手を振り、軽口を言い、笑むラム。

 手を振り、軽口を言い、笑むハヤト。

 

談笑の終わりを軽口で閉じ、唇を綻ばせるラムが親しい人間にしか見せない表情をふっと見せると、釣られるハヤトが頬を上げて優しく笑う。

 

それが、別れの挨拶。笑みを受け取ったラムが背を向け、歩き出す。向かう先は自室。心身ともに疲労した自分を労り、明日からの日々に備えるために。

 

ハヤトも同様。もう一つ下の階に自室がある彼は、踊り場から立ち去ろうと一歩踏み出し、

 

 

「——あのよ」

 

 

 ふと、思い出す。

 

なんの予兆もなく、本当に突然に、脳裏に過ぎったものがあった。正確には、過ぎった音声があった。外側ではなく内側から響く声は、記憶の中から波紋するものに違いない。

 

呼び止められ、「なに?」と顔だけ振り返るラム。スイッチを仕事から休息に切り替えようとした彼女の眠そうな目に、ハヤトは「今、思い出したんだが」と、

 

 

「エルザが、テンの名前を知ってやがった」

 

「は?」

 

 

予想の立てようもない一言に、ラムの口から極小な素の声が漏れる。普通に放たれた言葉に対して咄嗟の処理が追いつかず、感情の一切が含まれない。ただ、息を吐いただけの反応。

 

しかし、それもほんの僅かな間。高速で稼働する思考が言葉の処理を終え、脳が意味を理解。理解の波紋が心を揺すると一瞬にして眠気が吹き飛び、赤色の瞳が覚醒した。

 

その瞳に浮かび上がるのは、困惑の二文字。言葉自体の意味は理解できても、生じた疑問の解消には結びつかない。

 

 

「どうして?」

 

 

だから、ラムは問いかける。自室に向かう体を反転させて振り返り、ハヤトから離れた分だけ距離を詰める。

 

数秒もないうちに体二つ分にまで距離を縮めると、澄ました顔を僅かに顰め、

 

 

「どうして、あの黒女がテンテンのことを?」

 

「知らねぇ。けど、エルザがアイツのことを知ってたのは確かだ。エルザ自身が名前を言ったんだしよ」

 

 

 ーーあなたは、ソラノ・テン?

 

 

徽章奪還において、最初で最後だったループ。この世界とは別の世界線でのエルザの音声を耳の奥深くで聞きながら、ハヤトは語る。

 

どういうわけか、エルザはテンの名前を知っていた。エミリア陣営に属する人間か、アーラム村の住民しか知らないはずの青年の名前を、その二つとは全く関係のないエルザが当然のように口にした。

 

それは、あり得ない。

 

だって彼の始まりは、ハヤトと同じくメイザース領の森の中で、この世界に飛ばされてから今日までの約四ヶ月間、その領土の中から出たことなど一度しかないのだから。

 

尤も、今日を除けばの話だが。今日を入れたら二度、彼はメイザース領から出ていることになる。

 

どちらにせよ、その少ない機会でソラノ・テンの名が世界中に知れ渡ったわけでもなければ、他人の注目を強く浴びたわけでもない。普段から目立ちたがるハヤトでもあるまいし。

 

彼が、ハヤトの真反対な性格であることを踏まえると尚のこと。エルザのような者ならばテンの名前はおろか、存在すら知らないはずだ。

 

なのに、知っていた。知って、ハヤトがその名前であるか聞いてきた。

 

 それはつまり、

 

 

「あの黒女の雇い主が、テンテンを知っていると。そう言いたいわけ?」

 

「エルザの持ってる情報が、全てエルザの雇い主から与えられたものになるなら、そういうことになるな」

 

 

これまでの流れからして、素直に考えれば簡単に行き着く推測だ。しかし、決して簡単に行き着いていい推測ではないことを、二人の頭は理解している。

 

顔つきが深刻なものになり、顰めっ面が顔面に張り付くハヤトも。生じた困惑の処理が完了し、いつもの気丈夫そうな澄まし顔に戻ったラムも。その推測が何を意味するのか、考えずとも答えは出ていた。

 

もし、エルザの雇い主がテンを知っているのなら、黒幕の範囲は更に縮まる。

 

テンを認識している人間などこの世界にはごく僅かという事実を考えると、他陣営からの妨害工作——その前提条件すら覆しかねないほど範囲は縮まり、

 

 

「テンテンを知っている人間——ラムたちの身近な人間の中に、あの女を雇った黒幕がいる」

 

「ざけんな。なわけねぇだろ。俺らの誰かが、もしくは、アーラム村に住むやつらの誰かが、真犯人ってか?」

 

「あくまで推測よ。すぐアツくならない」

 

 

声に熱が入りかけたハヤトを軽く制し、ラムは考え込むように口元に手を添える。その真正面では、誰も疑いたくない意志を露出させるハヤトの顰めっ面が更に深まっていた。

 

そんなわけがない。そんなことあっていいわけがない。自分の信頼する仲間の中に、そのような輩が隠れているだなんて、絶対に思いたくない。疑いたくない。

 

ラムも、レムも、エミリアも、パックも、ベアトリスも、ロズワールも、アーラム村の大人たちも、子どもたちも、悪い人なわけが——。

 

 

 ーーロズワール?

 

 

そう思った矢先、不意に引っかかるハヤト。

 

あの道化じみたニヤけ面を浮かべるピエロを思い浮かべると、なぜか名を上げた中で最も気になってしまう。自分の中で通過できないものがあるのか、そのまま素通りできずにいた。

 

違和感——言葉にしようのない違和感を覚える。ロズワールという男に対して、なにか、絶対に忘れてはいけないことを忘れているような、そんな気がしてならない。

 

違和感の正体を思い出そうとするも、思い出せない。自分の直感が、ロズワールに突っかかって通り過ぎさせてくれないのに、思い出そうとしても上手く思い出せない。

 

 この違和感は一体——。

 

 

「……ダメね。今日はもう、寝ましょう。考えても答えは出ない気がする」

 

 

結局、思い出す前にラムが話の流れを強制的に断ち切ったせいで違和感の正体は掴めず、声に呼び戻されるハヤトは思考の海から引っ張り上げられた。

 

思考に沈んでいた意識をラムに向けると、「ふぅ」と疲労を思わせる吐息をこぼす彼女はハヤトに背を向け、

 

 

「この話はまた今度。色々と落ち着いて、話す時間ができたら考える。それでいい?」

 

「あぁ……。おう。それまでに考えまとめとく」

 

「そうしてちょうだい」

 

 

 もう疲れた、と。

 

そう言いたげな様子で考えを振り払うラムが頭を小さく横に振り、前髪が揺れる。

 

ハヤトの返事を受け取った直後、これ以上の話し合いは無用だと語る足が動き出し、「おやすみ」と言葉を残して眼前の背は遠ざかっていった。

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 

不穏な話し合いを最後にラムと別れ、ハヤトはようやく自室に到着。開けた扉を閉めて部屋の明かりをつけると、右へ左へふらつく体が吸い寄せられたのは整えられた寝台だった。

 

唯一、人目を無視して完全に羽を休められるふかふかの感触に、手招きされるような錯覚。自分一人の領域に足を踏み入れた直後から声を上げ始めた疲労感のまま、

 

 

「だぁぁぁ」

 

 

溜め込んだ疲労を声にして、顔面ダイブ。力の電源が切れたような勢いで寝台に倒れ込み、ぼふっと音を立てながら望んだ通りの柔らかい感触に抱き留められた。

 

触り心地のいいシーツの中へ体が沈む感覚に脱力し、張っていた気の糸を緩める。頑張った自分を「よくやった」と労い、あくびの浮かぶ口で深呼吸。息苦しさを感じ、シーツに埋めていた顔を横に向けた。

 

そうすると、今日一日分の蓄積した疲労がどっと押し寄せてきた。雪崩れ込むそれらは精神と肉体の両方を苦しめたものであり、睡魔を強く刺激する要素の他にない。

 

 

「……マジで疲れたな」

 

 

気を抜き、寝台に飛び込んだ途端から瞼が重くなり出したハヤト。この瞬間、自分がどれだけ疲れているのかを自覚する。

 

どうやら、限りなく限界に近かったらしい。寝転んだ体勢から、今日はもう動ける気がしない。体がこれ以上は動きたくないと主張している。脱いた力が入らないのは、そのせいだろう。

 

 

「当然っちゃ、当然か」

 

 

まさかのナツキ・スバル性転換。ハヤト自身も死に戻りに巻き込まれる事実。本調子じゃない中で、『腸狩り』エルザ・グランヒルテとの死闘二連続。

 

ループの世界線を含めて、少し今日を振り返っただけでもこの濃さ。たった三つという少なさに反して、一つ一つが濃密すぎる。一度目のループで腕を斬られたことを思うと、右腕が疼いた。

 

その中でも一番はやはり、スバルが女性であることだろう。男性であるはずの存在が女性として登場するなんて、想像もしなかった。

 

想像の領分を、軽く超越している。彼女に呼び止められた瞬間——あのときに飛来した衝撃は、きっと一生忘れられない。

 

となると、自分と同じくテンもスバルが女性であることに驚嘆するはずで——。

 

 

「……アイツ、今頃なにやってんだろ」

 

 

 少し、気にならなくもない。

 

今日、本来ならば自分と共にエルザを打倒するはずだった相棒。隣にいてこれ以上ないほど心強い自分の片割れは今、クルシュ邸でなにをしているのだろうか。

 

否、付き合いの長いハヤトですら行動が読めない男だ、考えても答えは出ない。夜も遅いからどうせ寝てるだろう程度にしか予想が立たず、テンのことはすぐに思考から切り離したハヤトである。

 

 と、

 

 

「——ん?」

 

 

不意に、鼓膜を叩く小さな音が部屋に流れ込み、ハヤトは喉を低く鳴らす。うつ伏せから仰向けに体勢を変えて上体を起こし、音の方向に視線をやった。

 

音の源は扉。とんとん、と。外から叩く音が二回ほど聞こえてきた。なら、誰が扉を叩いたのかと思うのが普通の反応であり、

 

 

「ハヤト君。レムです」

 

 

その疑問を解消する声が、間隔を空けずに聞こえてくる。聞き慣れた優しい声、名乗った通りのレムの声だ。

 

こんな時間に彼女が来るとは珍しい。てっきり既に寝ていると思っていたのだが、ハヤトの勝手な想像であった。

 

 

「少し、お話があるのですが。お時間よろしいでしょうか?」

 

「いいぜ。入れよ」

 

 

自分の勝手な想像はともかく。特に断る理由もないハヤトは、二つ返事でレムを受け入れた。「ありがとうございます」と扉の奥から聞こえてきた直後、取っ手がゆっくり捻られる。

 

扉の先から姿を現したのは、水色ネグリジェ姿のレム。今日の仕事を終えた彼女は、メイド服から寝巻きに着替え、就寝の準備は万端な雰囲気を纏っている。

 

尚更、この部屋に来た意味が分からないハヤト。寝台の上で胡座をかく彼は不思議そうに目を細め、腕を組む。部屋に入った勢いで進むレムは寝台の傍で足を止めると、そんな彼の目の前に立ち、

 

 

「疲れているのにごめんなさい。長引かせるつもりはないので、ご容赦ください」

 

「構わねぇさ。で? 話、ってなんだ?」

 

 

頭を下げるレムに軽く手を上げ、さっそくハヤトは本題に入らせる。長引かせるつもりのない彼女の意思を汲み取り、いつもなら一言二言交わすであろう友人間のやりとりは省いた。

 

真面目に聞く場面では真面目に聞く男、カンザキ・ハヤト。レムの周囲を漂う空気が張り詰めていることを感覚的に察した彼の態度は真剣で、その原因である彼女の目を一直線に見つめる。

 

 

「単刀直入にお聞きします」

 

 

雰囲気を変えてきたハヤトになにを思ったか、背筋を正すレムもまたハヤトの目を一直線に射抜く。寝台に座る都合上、目線の高さはレムの方が少し上だった。

 

そのせいだろうか。今のレムの目は、いつもより鋭く、見下ろすそれから感情が感じ取れないハヤトだ。自分に向けるにしては色がない瞳に、敵視されているような気がする。

 

その目のまま、レムは言葉を作る量の酸素を吸い、

 

 

「あの女は、何者(だれ)ですか?」

 

 

 ぞくっ、と。

 

心の臓を貫く、恐ろしく冷たい声。背筋を這い上がる悪寒に、ハヤトは閉じた口の中で奥歯を噛み締めた。この動揺を彼女に悟らせぬよう、努めて真顔を作る。

 

途端、部屋の温度が急激に低下していく錯覚を起こした。実際に下がっているわけでもないのにそう錯覚したのは、部屋に存在する者の温度が低下したから——そう考える余裕など、ハヤトには無い。

 

 

「あの女……ナツキ・スバルは、何者(だれ)なんですか?」

 

 

毎日、花が咲くような笑みで表情を彩る少女に今、戦慄させられていた。無感情な表情から発せられる無機質な声が、問いかけの回答を強制させている。

 

ここにきて初めて見た、新たな一面。同一人物とはとても思えない冷たい態度に、ハヤトは「お、おお」と若干の動揺を態度に漏れさせながら、それでも負けじと堂々とした態度を表に引っ張り出し、

 

 

「晩飯のときに説明した通り、としか言えねぇよ。王都で助けられて、帰る場所がない、て言ってたから連れ帰ってきた——」

 

「本当にそれだけですか?」

 

 

最後まで言わせないレムが、言葉を割り込ませる。ただの確認だとは言い切れない、確信めいた言い方だった。自分の中にある決定的な根拠を基にして話を進めるような尋問に、ハヤトの声は続かない。

 

嫌な静寂が、両者を取り囲む。相手の真意を探り合う僅かな時間。しかし、その空気に呑まれないハヤトは、心を覗き込もうとする視線から決して逃げない。

 

圧迫感の増すレム。こちらを見据える彼女のそれを押し返す声に「もちろんだ」と力を込め、

 

 

「本当に、それだけですか?」

 

 

その声を、簡単に跳ね返される。

 

再度、同じ言葉を投げかけるレムは一歩も引かず、寧ろ前へ前へと前進するばかり。彼女の意思が、ハヤトの胸にどんどん詰め寄る。

 

このとき、尖る青色の瞳を見るハヤトは、思い出したことがあった。原作二章において、初対面のレムがスバルに対してどんな感情を抱き、行動に移していたか、だ。

 

それを考えれば、この態度にも説明がつく。彼女がスバルからなにを感じ取り、こうして自分に問いただしているのか。納得がいく。

 

 

「スバルは悪い奴じゃねぇぞ?」

 

 

だから、ハヤトはそう言った。

 

質問自体には答えず、けれどレムが言わんとしていることを察した答え方で、即断して突っ走りがちな彼女の心に釘を刺す。もちろん、その声が真に届くとは思っていない。

 

現に、拳を握りしめるレムは押し殺しきれなかった感情が表情に滲み出ている。強い怒気を孕んだ顔を浮かべながら頬を固くして、

 

 

「レムには、とてもそうは思えません。今すぐにでも追い出すべき………」

 

 

言い終える寸前で口を止め、目を伏せるレム。視線を逸らす挙動にハヤトが「ん?」と唸るのを横目に、数秒の間を置くと顔を上げる。ハヤトに見えたのは、意を決した人間の顔つき。

 

今の数秒間で、なにを決めたか。「いいえ」と首を横に振り、

 

 

「殺すべきです。今すぐにでも」

 

 

強い口調で、叩きつける。直後、解き放たれた怒気が鬼気迫る表情を作り上げ、保っていた無表情がバラバラに崩壊。表に露出する真意が、ハヤトに曝け出された。

 

声に宿るのは敵意ではない、明確な意思を持った殺意だ。心が孕んだ様々な負感情がぐちゃぐちゃに混ざり合い、混濁するそれらがレムの中で真っ赤な殺意となって燃え盛っている。

 

 

「ハヤト君が善意であの女を連れ帰ってきたのは、十分理解の上です。だってハヤト君は、とても優しい人ですから。仲良しな人だけではなく、誰にでも等しく優しい人ですから」

 

 

「でも」と。握った拳を胸に当て、

 

 

「ハヤト君は理解(わか)ってません。あの女がどれだけ危険な存在か。ハヤト君……ハヤト君たちは理解(わか)っていない」

 

「まるで、自分は理解ってるみてぇな言い方だな」

 

「理解ってますよッ! 理解っているから、こうしてハヤト君の下に来たんです! あの女の異常性を伝えるために……っ!」

 

 

爆発したように声を荒げ、しかしその先は紡がれない。紡ぐよりも先に、自制を失った己を咎めるように下唇を噛み締めた。きゅっと唇を結び、胸に添えた手で服をくしゃりと握りつぶす。

 

久々に見た、レムの感情的な姿。その声が世界に反響する中、必死に訴えかけてくる様を眺めるハヤトは、場違いな嬉しさを感じていた。

 

以前のレムなら、自分の中だけで留めることだ。スバルが異様な気配を放っているとしても、自分だけで解決しようとする——それが、テンに救われる前のレム。

 

でも、こうして話してくれているのはきっと、

 

 

「俺のこと、頼ってくれてんのか」

 

「そう、ですよ。ハヤト君のことも信頼してますから。テンくんには劣りますけど」

 

「一言余計だな」

 

 

 失笑。

 

真顔で言われるとそれなりにダメージのあるハヤトが口に手を当て、笑いに歪む口元を隠す。

 

嬉しいのか嬉しくないのか曖昧な結果として微妙な気分になる彼に、「だってハヤト君、レムに言ってくれたじゃないですか」とレムは言葉を繋げた。

 

 

「もっと周りを頼れ。俺達のことを必要としてくれ。自分一人だけで苦しもうとするな、と。ですから、こうしてハヤト君に伝えに来たんです」

 

 

「それに」とレムは、強張っていた頬が僅かに緩まると、

 

 

「一人で抱え込むと、テンくんに怒られてしまいます」

 

「怒るのか?」

 

「はい。怒ります」

 

「アイツが?」

 

「はい。とても怒ります。逆もまた然りですけど」

 

 

「ほぉ」と、かいた胡座に頬杖をつくハヤトが興味そうに息をこぼす。彼が怒る様など想像がつかず、「レムとテンくんは、運命共同体ですから」と意味の分からないことを言い切る乙女には「そうか」とだけ。

 

良い変化だと思う。以前の彼女なら、一人でなんとかしようと抱え込むところを、周りの人間を頼ってくれた。頼る人間は限定されているだろうけれど、彼女にとっては大きな変化。

 

レムは、自分だけが気付けるスバルの異常性を伝えようとしてくれた。その時点で、彼女の意思は十分すぎるほどハヤトに伝わっている。だって、彼はそれを()()()()()のだから。

 

 でも、

 

 

「スバルは、お前が思ってるような人間じゃねぇと俺は思うぞ」

 

 

言うと、レムの表情が分かりやすく歪む。喜怒哀楽が戻ってきた少女は、ムッとしていた。

 

自分に頼られても尚、スバルを守ろうとする姿勢が、気に食わなかった。関係の深い自分ではなく、関係の浅すぎるスバルを庇う意志が、癪に障った。

 

 

「お前がスバルからなにを感じ取ったのかは知らんが、それだけで判断するのは早計だよ。自分の判断だけで勝手に突っ走りやすい……突っ走りやすかった、お前の悪い癖だ」

 

「ハヤト君にだけは、言われたくありません」

 

「返す言葉がねぇな。その通りだよ」

 

 

棘のある声に苦笑、それで迷惑をかけてきた節があるから反抗できない。尤も、それはレムとて同じこと。それがきっかけとなって、今から約一ヶ月前の悲劇が起こったのだから。

 

どちらも、感情に任せて先走りやすい性格。飛び出す二人を止める二人がいるならまだしも、残念なことに今は一人しかいない現状。だからこうして、互いに注意喚起程度に確認し合う。

 

 突っ走るな、と。

 

 

「レム。いいか、よく聞け」

 

 

吐息し、態度に真剣さを宿し直すハヤト。自分の心に直接響かせるような低い声に、レムは同じく真剣な表情を見せて「はい」と、短く返事をする。

 

先のような、高圧的な態度が引っ込んだようで一安心。落ち着いてくれたレムに安堵しつつ、

 

 

「スバルを追い出すのは反対だ。殺すのはもっと反対だ。俺が絶対に許さねぇ。もし、お前が無理やりスバルを殺そうとすんなら、その前に俺とやり合うことになるぜ」

 

 

下手をすればテンとも戦う展開になりそうな予感。もちろん、彼は話し合いという形で済ませるはずだが、言葉的に地雷を踏みそうだから言わないでおくとして。

 

 

「だから、スバルのことを見てやってくれないか。まだなにも始まってないだろ? スバルが悪い奴だと判断するには材料が少なすぎるじゃねぇか」

 

「ですが、レムは判断材料として十分すぎるものを既に持っています」

 

「だとしても、だ! お前が苦しいのは分かる。分かるが。数日間だけでいいから、外からスバルを見てやってくれ。信頼しろとは言わねぇから」

 

 

そこで「お前が苦しいのは分かる」と言ってしまうあたり、ハヤトらしいなとレムは思う。同時に、自分の愛する人とこの人は、本当に真反対なんだなとも。

 

なにも分からないくせに、どうして軽々しく言えるのか。哀願してくる友人の姿を見ていると、綺麗事がいかに美しく、嫌なものであるかを認識させられる。

 

でもそれが、ハヤトの長所なのかもしれない。綺麗事を簡単に言う彼は、綺麗事を綺麗事で終わらせない——言った後に必ずそれを実践する努力をするから、信頼できるのかも。

 

口にした言葉と見合うだけの努力をして、結果を出す。それが自分の知る、カンザキ・ハヤトという尊敬できる友人。一度でも決めたことは曲げない意志の強さを持つ、すごい人。

 

 

「それでも我慢できそうにねぇなら、俺に発散すればいい。テンが帰ってきたら、アイツのところにでも行けばいい。スバルを殺そうとする前に、踏みとどまってくれないか?」

 

 

真っ直ぐな態度で語る様子は、とても冗談には聞こえなかった。冗談を言っている表情には見えなかった。否、このような場で彼が冗談を言わないことなど、もう分かっている。

 

だからこそ、レムは当惑した。

 

 

「どうしてですか? どうして、今日会ったばかりの女をハヤト君はそこまで……」

 

 

 意味が分からない。

 

帰る場所がないから連れ帰る。果たして、彼女を連れてきた理由は、本当にそれだけか。

 

あんな、鼻が曲がるような悪臭を放つ女を屋敷に入れるなんて、初めてハヤトに不快感を覚えたかもしれない。

 

そんな女を連れてくるなんて、もっと他に理由があるはずだ。そうじゃないと、レムは納得できない。特別な理由がないと、レムはあの女を『ハヤトの客人』として扱うことがとても難しい。

 

特別な理由。特別な理由。特別な理由。

 

 まさか——。

 

 

「一目惚れですか?」

 

「だから、(ちげ)ぇっつってんだろ。なんだお前ら、こぞって俺がスバルのこと好きみたいなこと言いやがって」

 

「では、浮気ですか?」

 

「なぜそうなる」

 

 

淡々と言ってくるレムに予想の斜め上を飛び越えられ、ハヤトの顔が真顔になる。ここまで同じことを言われると、感情が一周回って冷静になってきた。

 

これで、冗談を言っているように見えないのが困る話。全員が同じくマジトーンで話すものだから、ハヤト自身がそうなのではないかと思ってしまう謎の現象に苛まれる。

 

 

「それはともかくさ。……頼むよ、レム」

 

 

 切に願い、頭を下げる。

 

突然のそれに語るレムの声が止まり、頭を下げられた彼女の喉に息が詰まった。ハヤトにそうされることなんて一度もなかったものだから、その姿に不覚にも動揺を覚え、

 

 

「スバルのやつ、行くところがないんだ。今ここで追い出しちまったら、あいつを路頭に迷わせることになる。それは……それだけは、嫌なんだ。俺の心が許そうとしねぇんだ」

 

 

一度でも動揺を覚えてしまえば、畳み掛けてくる温情に満ちた羅列に心は震えてしまう。

 

「本当に頼む」と。情に訴えかけ、切実に自分を説得しようとする馬鹿正直な男に、勝手にため息が漏れる。

 

こちらの不安を知りもしないで、よく言えたものだ。初めにあの女を見た瞬間、自分がどれだけの殺意と焦燥と不安を覚え、その果てに恐怖を感じたのか、一欠片も知らないくせに。

 

 だからレムは、

 

 

「……ハヤト君は、優しすぎます」

 

 

様々な感情を殺しに殺して。喉元にまで迫った数多の言葉を無理やり飲み込んで。その愛らしい表情を凄まじい葛藤に揺らしながらも、最終的に自分の意志を折った。

 

そして、無言で背を向ける。自分の顔を見せたくないし、ハヤトの顔も見たくないから、反応が来る前に早々に部屋から立ち去ることにした。

 

背に当たる彼の声を無視し、足早に歩いて、扉を開ける。これ以上ハヤトと言葉を交わすと、気が変わってしまいそうだったから。

 

 

「おやすみ、レム」

 

 

別れの挨拶すらも無視し、レムはハヤトの前から消える。彼女の葛藤を示唆するように、扉は音を立てて閉められた。

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 

 扉を閉める。

 

 

部屋を出たレム。その体が向くのは、自室がある三階へと続く階段のある方向ではなく、それとは真逆の方向だった。

 

 歩き出す。

 

本来ならば、やることを終えた彼女は、自室がある三階へと向かうのが普通。しかし、そんな普通に反するレムの動きには一切の迷いがない。さも、それが普通であると語るように。

 

 歩いて、進む。

 

否、彼女からすれば普通のことだった。眠るとき、自分の部屋ではなく()()()()を使うことなんて、今となっては違和感には思わない。

 

 早歩きで、進む。

 

長い廊下を一直線に突き進み、向かうべき階段からどんどん離れていく。自室ではない部屋に向かう足の速さは、徐々に加速していく。

 

 駆け足で、進む。

 

今のレムが向かう場所など、一つしかない。精神的に揺れる乙女が求めるものなど、細かく考えるまでもない。

 

二階、西棟の廊下、その最奥の部屋。早朝の五時頃に太陽の光が窓から差し込む、寝坊を許さない天然アラーム付きの部屋。

 

 それ即ち、

 

 

「テンくんーー!」

 

 

 恋人の部屋。

 

いるはずのない愛人を呼びながら扉を開け、すぐさま閉める。カーテンを閉め切った真っ暗な部屋に入ると靴を脱ぎ、揃えることも忘れて寝台に真っ直ぐ飛び込む。

 

そこからは早い。彼の匂いが染みつく布団を肩までかけて、彼が普段から使用する枕を抱く。彼の寝台を勝手に使う彼女は、それを精神安定剤として心を落ち着かせにかかった。

 

真っ暗な闇の中で始まるのは、匂い堪能タイム。体を優しく包む布団、体を受け止めるシーツ、体に抱かれる枕。自分を囲む全てから漂うテンの匂いを、レムは深く嗅ぐ。

 

色々と、感情が噴火した結果だった。

 

 

「……安心する」

 

 

ぽつりと、顔を埋める枕の中で呟く。

 

深呼吸を重ねて早十回。匂い堪能タイムを始めて数十秒が経過。鼻腔を通り抜けるそれを嗅ぎ続けているうちに、自然と心は落ち着きを取り戻しつつあった。

 

これは、テンに抱きしめられただけで昇天しそうな快楽を得ることができるレムに一番効果的で、今できる最大のメンタルケア。

 

あれだけ荒れた心がものの数十秒で治るのは、テンがレムにとってそれほどに大きな存在である証拠だ。匂いを嗅ぐ——たったそれだけで、レムは安心してしまう。

 

それを分かっているから、テンの布団に潜り込んだのだ。自分の心を落ち着かせられるのは彼だけだと理解しているから、こうして匂いを嗅ぎ続けている。

 

 しかし、デメリットはあった。

 

 

「テンくんに会いたい……」

 

 

彼の布団に潜り込むと心が落ち着いてくるのと同時に、堪え難い寂しさに襲われてしまう。一つの感情が治る代わりに、別の感情が声を上げて心を苦しめてくる。

 

どうやら、自分は彼のことが自分でも理解できないくらい好きらしい。一日——たった一日、離れ離れになっただけで、もう会いたい衝動に駆られている。

 

我慢すると言っても、やはりその想いは溢れるもの。帰ってきたテンをおもちゃにできる権利を与えられたとて、その寂しさを埋めることはできない。

 

会いたいものは、会いたいのだ。だって、好きなんだから。

 

 その上、

 

 

「どうしてあんな女をハヤト君は………」

 

 

 連れ帰ってきたのか。

 

その先を言おうとして、レムは口を閉ざす。

 

初めて見た友人であるハヤトの必死な訴えに、仕方なく意志を折ったのだから。言われた通りに数日間は、様子を見ることにしたのだから。

 

それ以上は、なるべく言わない。

 

あれが普通の女ならよかった。あんな臭いなんてしない、ハヤトが優しさだけで連れてきた女ならば、こんなに苦しむこともなかった。

 

もし、もしも、あの女が治療から帰ってきたテンに近づくとなれば——。

 

 

「……もう寝ましょう。考えていても、仕方ありません」

 

 

不安、焦燥、苛立ち、殺意——様々な負感情が胸の中で渦巻き、言い表しようのない恐怖を感じるレム。くっつく枕を強く抱きしめ、彼女はゆっくり目を瞑った。

 

こうしていると、世界一愛する人を抱きしめているような気がして、この心を揺さぶる感情を忘れられる気がする——気がする、だけだ。

 

どうしても、足りないと思ってしまう。こんなのではなく、本物が欲しい。彼の胸に抱かれたい。彼に抱かれたい。彼に甘えて、この負感情を発散したい。

 

 そう、思いながら、

 

 

「早く……早く帰ってきてください。テンくん」

 

 

愛する存在を求め、レムは夢の世界へと旅立つ。

 

せめて夢の世界でくらい、少しでいいから彼に会えるといいなと願って。

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 

「釘は刺した……と、思っていいんだよな?」

 

 

レムが出ていった部屋で一人、ハヤトは難しい顔をしながら小首を傾げる。曖昧な言い方で話を終わらせたレムに疑心が芽生え、信じていいのか分からない声が、己に問いかけてきた。

 

否、信じるべきだ。友人を疑う真似なんてハヤトはできないし、流石のレムもすぐには殺さないはず。周りを頼るようになってくれたのだから、我慢の限界がきたら何らかの行動を自分にしてくるはず。

 

どちらも予想でしかないが、きっと大丈夫。

 

それに、テンが帰ってきたら彼女の大荒れな心も休まるだろう。最低でも今日から二日間の治療期間、つまり早くて明後日には帰ってくるから、それまでの辛抱。

 

なんにせよ、スバルという存在がレムの意識下に入った以上、彼女を気にかけなければ。

 

彼女の精神安定剤——という名のテンが帰ってくるまで。

 

 

「さて。俺も寝るか」

 

 

そこまで考えて、ハヤトは思考のスイッチを切った。今日一日でたくさんのことを考えすぎたせいか、ずきずき痛む頭に手を添え、考えることをやめる。

 

寝台から足を下ろし、部屋の明かりを落とすハヤト。空間を照らす光源が消えると、世界は途端に暗がりに覆われる。それでも薄暗さが残るのは、開いたカーテンの外から月光が差し込んでいるから。

 

完全なる闇での睡眠を好むハヤト。彼は、その美しい光の侵入すらも拒む。窓に近づくとカーテンに手を伸ばし、

 

 

「こっからが大変だぞ」

 

 

こちらを見下ろす月を見て、一言。己が心に言い聞かせるような声色で、

 

 

「気張れよ、俺」

 

 

一人静かに気合いを入れ直し、カーテンを閉める。その覚悟を月に見届けられながら、眠りについた。

 

 

 

 長い長い一日が、終わる。始まりの悲劇は幕を閉じ、また新たな悲劇の幕が、上がる。

 

 ある者は不安と焦燥に駆られ。ある者は黒い本を片手に不気味に笑い。ある者は明日を見据えて覚悟を胸に。

 

 様々な思いが交錯する舞台で、波乱は巻き起こっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方。その頃、ロズワール邸から離れ、クルシュ邸に滞在するテンはというと———。

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 

薄暗い客室で、一人。

 

寝台の上で体育座りをしながら、枕を大事そうに抱え、世界を見下ろす月を見て一言。

 

 

「帰りたい」

 

 

滞在早々、既に軽めのホームシックになっていたのであった。

 

 ソラノ・テンの帰宅は、まだ遠い。

 

 

 







一章、死に戻りカウント:1

原作の知識をフル活用し、前作でロズワールという化け物にみっちり鍛え上げられた結果、かなりの猛者へと成長を遂げたハヤトの存在が難易度を下げやがりました。 

次回から鬼門(二章)。一章が軽く終わった分、それなりにハードにしようと思ってます。

帰る場所がないから、というふわふわした理由でスバルを屋敷に連れ帰ったハヤト。エミリア陣営の中心人物とも言える彼は『スバルちゃん』なことで生じる弊害をどう解決し、どうやって彼女を屋敷に馴染ませていくのか。

どうやって彼女を屋敷に馴染ませていくのか!?

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