地球「駆逐してやる」   作:スカウトマニア

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色々と意見をありがとうございました。
せっかく教えてもらっても、ほとんどウィキペディアでしか知らないレベルで申し訳ない。

ガンダム一本でやればよかったかな?


そしてこうなった

 地球連邦の人々は、ジオン星人ってなんだ、とか本当に地球そのものがジオンを敵視しているのか? 地球の代弁者というのは事実なのか? など確認したい事は山ほどあった。

 あったが、地球の巫女がそれならばと、地球上の全ゴジラ・フィリウス達がジャブローに居る彼女の指示した通りに動き、ジャブローのみに限定した震度1の地震を起こされ、スコールを降らされては、少なくとも無視するわけには行かない、という程度の信憑性が生まれるというもの。

 

 重武装の警備兵に囲まれながら、ジャブロー司令部の一角に招かれた『地球の巫女』を相手に、レビルやゴップ、ティアンム、コリニーらを含む地球連邦軍の重鎮達は警戒と不信、好奇心等々を胸に抱いて、対面する事となった

 将校達を護衛する兵士達の重武装ぶりは、黒をメインに赤と金の二色を所々にあしらった、肩の出るドレスを纏う地球の巫女に対し、過剰な程の警戒に見えるが、地上ではゴジラ・アースが睨みを利かせている状況だ。

 身を守る為に過敏に反応してしまうのも、生物として仕方ない、と巫女も地球も納得している。実のところ、地球はジオン星人を駆逐対象として認識しているが、そうでない人類に対してはかなり甘い。

 

「地球(私)があなた達に協力を求めたのは、私の取り零すジオン星人の駆除を委ねたいのと宇宙にあるアレらの巣を叩く為に、効率的なジオン星人を駆除し、駆逐する手段を共に講じてもらう為」

 

 形式的に出されたミネラルウォーターには口をつけず、巫女は開口一番、訪問の理由を口にした。

 地球としてはサクッと地球連邦と協力関係を築き、自分の上に居座る不愉快なジオン星人を駆逐し、大元の巣であるサイド3を宇宙の藻屑に変えてしまいたい。

 とはいえ地球人類側がすんなりと、はい、協力します! と返事をくれないことは、地球も理解しているので、焦ってはいなかった。

 地球人類の誕生から今日に至るまで見守り続けてきたのは、伊達ではない。

 レビルらがなにから話していいのか、話をどこに持って行けばよいのかも分からない、と表には出さないものの困惑しているのを、巫女は虹色に輝く瞳で静かに見つめている。

 少なくとも、相手に意思があり、尊厳があるのを認めている瞳ではあった。

 

*

 

 巫女──後に地球側による呼称『シュレインメイデンタイプ・アース』、略してシュレスと地球連邦軍並びに地球連邦政府との会談は数度に渡って行われた。

 疑心暗鬼に塗れるのが当然の地球人類だったが、彼女の示す超常の力、例えば指先を振ればハリケーンが発生し、つま先で叩けば世界中で火山活動が活発化し、それでいて発生地域に一切の被害を及ぼさないという、災害の歴史に喧嘩を売る現象が多発すれば、協力関係を築く以外に選択肢はなかった。

 世界中に発生した怪獣達の戦闘能力はあまりにも高く、敵とするにはトラウマを刻まれるほど恐ろしく、味方とすれば思わず崇めたくなるほど強大であり、天変地異を自在に起こす彼女を敵に回す余裕も度胸も、地球人類にはなかった。

 

 怪獣達との連携など、人類史上まるであり得なかった事態ではあったが、そこは地球側の配慮と人類側の知恵と発想の多様性でカバーするしかない。

 最初にゴジラ・フィリウスを囲みながら進む戦車隊や、バトラ・フィリウスと編隊を組んだTINコッドのパイロット達は、生きた心地がしなかっただろう。

 だがその成果は凄まじかった。単体で基地を容易く陥落させる怪獣達が、人類の数と戦略と噛み合った際に発揮する能力は、ジオン星人を圧倒的な速さで地球上から駆逐していった。

 

 その影響は止むを得ない事情でサイド7を追い払われ、ほとんど民間人ばかりで運用されているホワイトベースにも及んでいる。

 サイド7に住んでいたアムロ・レイ少年が最新鋭MSガンダムのパイロットとなり、ホワイトベースの艦長を新米士官のブライト・ノアが務め、ジオンのエース赤い彗星のシャア・アズナブルに追われているのは変わらない。

 

 ただシャアの追撃を受けて、ジャブローではなく北米大陸へと降下した彼らの運命は、色々と変わっていた。

 彼らの把握している情報では、北米大陸はジオンの支配下にあり、そのど真ん中にホワイトベースは降りてしまった為、ろくに休む間もなく包囲され、攻撃を加えられるのが妥当なところ。

 艦の士気を預かるブライトも成り行きで乗艦する事になったリード中尉にも幸いだったのは、ジオンにとっての悪影響は彼らにとって良い影響を意味する事だった。

 

 北米大陸に降下したホワイトベース隊は、すぐさま連邦軍からの連絡を受け、指示のままに既にジオンから解放されていたニューヤークへと向かった。

 到着後には十分な補給と一時的な休養が命じられ、更にはこれまで連れて来たサイド7の避難民達もニューヤークにて、収容所に迎え入れられる運びとなったのである。

 襲撃を受けたサイド7の脱出からルナツー、そして北米大陸への降下とこれまでの危険な旅路とは打って変わった扱いに、ブライトやアムロらホワイトベースの面々は目を丸くしている。

 

 そんな彼らの目を更に丸くさせたのは、ニューヤークに駐留している連邦軍から派遣された技術者達の中に混じる、異形の姿を見つけた時だった。

 搬入されてくる新型MS、各種装備を始めとした多くの物資の確認が進められる中、二足歩行の蜥蜴といった見た目の者と中南米の装飾品を纏った恐竜が、連邦の技術者達の中に混じっているのだ。

 

「こんにちは、君がアムロ・レイ君ですか? サイド7からここまで大変でしたね。お父上の事は残念でした。テム・レイ大尉はとても優れた技術者でしたし、貴方の事を大切に思っていらした」

 

 小型獣脚類の恐竜が痛ましげに話しかけてきたのには、アムロも思わず思考がフリーズしてしまい、図鑑や画面の中でしか見たことのない恐竜に喋りかけられたという現実に、対応できない。

 アムロだけでなく周りのカイやハヤト、リュウにしてもそれは同じことで、地元の連邦兵達が恐竜達を当たり前に受け入れているものだから、彼らの混乱にはさらに拍車がかかっている。

 

「ええと、お気遣い、ありがとう、ございます?」

 

「私は地球から地球人類への協力者として派遣された恐竜人類の一人です。私のような恐竜型を恐竜人類と呼び、あちらに居る彼らのように二足歩行をしている恐竜をハチュウ人類と呼びます。

 我々は草食ですし、太陽の光があれば水と光も必須ではありません。よって食べる為に、貴方を口に運ぶことはありませんので、その点はご安心を。なにより貴方達に危害を加えてしまっては、地球にとても叱られてしまいますからね」

 

 恐竜人類とハチュウ人類、共に地球が自身の内部に広がる地下大空洞に住まわせている幻想の生物である。

 地球上ではすでに絶滅したか、あるいは霊長となった人類の思い描く“もし”の生物群が、地下大空洞には無数に生息している。

 特にハチュウ人類はインベーダーの存在するこの世界には、本来、誕生しなかったゲッターロボ関係の存在だ。

 

 そうした空想と幻想の生命体を育む特性上、地下大空洞はゴジラやバトラといった地上ではあり得ない怪獣達を生み出し、育てるには最適の場所なのだった。

 そうして地球が育てた恐竜をモチーフとした二つの人類が、今回、地球人類へ協力する為に派遣されている。

 

「あの、さっきから地球とか、恐竜人類とか、貴方の言っている事が僕には……」

 

 腰の引けているアムロに対し、恐竜人類は合点がいったように首を縦に振る。

 

「そうでした。貴方はついこの間まで民間人でしたから、地球と地球連邦政府の間で交わされた約定について、知らなかったとしても無理はありません。

 でも、どうかこれだけはご理解を。私達は貴方達が地球を傷つけない限り、味方であり、そして応援し続けます」

 

 そうして恐竜人類は、恐竜の顔なりににっこりと友好的に笑うのだった。

 アムロ達ホワイトベース一行が友軍と無事に合流できていた頃、シャアはそのあおりを受けていた。

 ゴジラ・フィリウスとバトラ・フィリウスを含む連邦軍に、ニューヤークから叩き出されたジオン軍は、ガルマ・ザビ大佐指揮の下、這う這うの体で西にあるキャリフォルニアベースを目指す逃避行の最中にあった。

 陸上戦艦ダブデの一隻を座乗艦とするガルマの司令官室で、士官学校時代からの親友であるガルマと再会したシャアは、やつれた顔の親友を前に北米に危機的状況を改めて理解する。

 

「君がそこまで疲れた顔を隠さないとはな。兵達の前では意地を通していたということか」

 

「言ってくれるなよ。君の前だから少しはボロを見せても構うまい。親の七光りと呼ばれまいと、肩ひじを張っていた頃が懐かしく思える。そんなつまらないプライドに拘る余裕があったのだからな」

 

 シャアの知るお坊ちゃんなガルマとは思えない物言いに、シャアは小さな驚きを覚えた。戦場に立ち、戦争を経験して人が変わる事はままある。

 だがガルマを変えた経験は、戦争のソレとはまた別であるのを、ほんの触り程度ではあるがシャアも知っていたし、自分もこれから立ち向かわなければならない可能性が大きいのだから、憂鬱である。

 

「宇宙でも噂にはなっていた。古典的なモンスター映画の中から、本当に怪獣が飛び出てきて、ジオンの基地を襲い、兵士を殺して回っている、と。慣れない地球の環境と長引く戦闘のストレスによる幻覚、と上は誤魔化していたが……」

 

「もうデータは見たのだろう? ならば現実だよ。我々の講じたあらゆる手段は無駄だった。多くの兵士の命が消し飛ばされ、我々はニューヤークを放棄せざるを得なくなった。

 今や、北米に存在するジオンの勢力下にある基地は、大小を問わず怪獣達の襲撃によって大部分が破壊し尽くされている」

 

「ああ。ひどいものだな。北米だけでなくアフリカやユーラシアでも似たようなことが起きていると聞く。未知の巨大生物群による襲撃など、冗談どころの話ではないが、実際に目撃している者がこれほどいては否定も出来ん。

 詳細をまだ把握していないが、北米方面軍も多大な被害を受けているのだろう? そうでなければニューヤークを放棄する決断をするわけもない」

 

 シャアの言葉にガルマは密かに将来を誓いあっていた、ニューヤーク市長の娘イセリナを思い、胸を痛める。

 彼女とは離れ離れになったが、ニューヤークを奪還した地球連邦軍が無体を働く事はないのがせめてもの救いだ。

 地球側からすれば奪われたものを奪い返し、更にジオン相手に敗戦続きの中、怪獣の協力ありきとはいえようやく手にした勝利だ。美辞麗句で飾り立てる為にも、兵士達には粗相を厳しく禁じている。

 

「兵士達も常識を超えた怪獣を相手に、心身の消耗が激しい。そうでなくても航空戦力のほとんどが失われたのが痛手過ぎる。これまでジャブローの定期便に使っていたガウと護衛のドップはほとんどすべてが撃墜されてしまったからな」

 

 “ジャブローの定期便”は攻撃空母ガウをメインに、ジャブローが存在すると思われる南米の一帯に対して行われていた絨毯爆撃を指す。

 希少な酸素供給地であるアマゾンの密林に大打撃を与える行いであり、ジオンの地球環境への関心の薄さがうかがい知れる。

 

 ガウを始めとしたジオン北米方面軍の航空戦力を壊滅させたのは、バトラ・フィリウス達だ。

 翼長九十メートルに達する、鎧のような甲殻を纏う黒い蝶といった姿のバトラ・フィリウスの戦闘能力は、ガウやドップを一方的に駆り立て、更には出撃元の航空基地にも押し寄せて徹底的な破壊を齎した。

 ちなみにバトラ・アースとなると翼長五百四十メートルにも達し、地上には巨大な影が落ちる。本気で飛行した際に生じるソニックウェーブは、ちょっとした戦略兵器の域に達する。

 

「制空権をほぼ永続的に失ったのは痛いな。キャリフォルニアベースに戦力を集中させた後は、ハワイか宇宙へ脱出を?」

 

「地上に来たばかりの君にはまだ観光し足りないかもしれないが、可能な限り宇宙へ兵を戻すつもりだ。ハワイも北米を失った状態では孤立無援も同然。連邦に囲まれて陥落するのは目に見えているだろう?」

 

「水中用のMSはかなりの種類と数が用意されたと聞くが、それも支援が無ければ地球の海を制するには足りないか」

 

「地球の七割は海だが、残りの三割を制圧しなければ意味がないからな。人類のほとんどは海で生きてはいないんだ。……愚痴になってしまった。短い時間となるだろうが、君にはゆっくりと休息を取ってもらいたい。機体も出来る限りのものを用意しよう」

 

「私の出番となった時には、相応の働きをせよ、ということだろう? 分かっているとも」

 

「期待をさせてもらう。赤い彗星のシャア」

 

 どうやら宇宙でV作戦を追っている間に、地球はとんでもないことになったようだと、シャアは親友の焦燥と変貌ぶりから、改めて理解するのだった。

 そしてシャアもまた焦りと認めがたい恐怖を抱いたのは、キャリフォルニアベースに到着し、北米中のジオンの戦力がほぼ結集し終えて数日たったころである。

 

 不気味な事に連邦軍からの追撃や怪獣からの襲撃はピタリと途絶え、キャリフォルニアベースへの逃避行はどの部隊も順調そのものだった。

 各個撃破する好機を見過ごした連邦軍も、これまで徹底的に基地を破壊し、逃げ惑うジオン兵を蹂躙してきた怪獣達の行動からも考え難い事態に、ガルマを含めた北米方面軍の首脳部は不気味さに背筋を冷たく震わせていた。

 

 突如として基地を襲ったのは見る間に全てを凍り付かせる極寒のブリザードだった。

 人類の観測史上最強規模のブリザードがキャリフォルニアベースの地表部分を覆い尽くし、白い雪の中に飲み込み、基地内部にまで骨まで凍るような冷気を伝えてくる。

 あらゆる気象観測機器をあざ笑い、気候のルールを無視した突発的現象に対して、基本的に管理されたスペースコロニーでの生活に慣れ切ったジオン兵達の対処は遅れた。

 有効な対処手段の模索から、実行に必要となる機材の調達など多岐に渡る必要な情報、知識、機材など、全てが足りていなかったと言っていい。

 

 これは『地球』よりも精密な力のコントロールを可能としたシュレスの仕業だった。

 ミノフスキー粒子散布下での戦闘について、地球圏で最も卓越したジオンであっても、このような極限の環境下での戦闘経験はないと見越しての一手である。

 一方で通常の気候の下で連邦軍はキャリフォルニアベースを迅速に包囲しつつあり、圧倒的優位な状況で戦端は開かれた。

 

 キャリフォルニアベースのみを狙って発生した地獄のブリザードが嘘のように消え去った瞬間、雪に飲み込まれ、氷に閉ざされた基地へと向けて、ゴジラ・フィリウスの高加速荷電粒子ビームこと通称「熱線」と連邦軍からの砲撃の嵐が襲い掛かる。

 氷雪に閉ざされていたキャリフォルニアベースは一瞬で、爆炎渦巻く地獄へと様変わりだ。

 あり得ない極寒の世界によって、不具合を多発していた電子機器は、今度は極大の熱量と爆発によって、運用する人員ごと木端微塵に吹き飛ばされて、性能を発揮する機会を永遠に失う。

 

 これまで連邦軍と怪獣達がジオンの動きを見逃していたのは、ひとえに一か所にまとめて効率よく叩き潰す為だった。

 これ以外にも、現在、地球は宇宙から降下してくるジオンの増援や逆に宇宙へと上がる部隊を、あえて見過ごしている。

 地球から脱出するジオンの諸兵達に余計な情報を与え、警戒心を高められないようにして、最後の最後で一網打尽にする為だ。

 これらの行為は地球人類からの提案を地球が飲んだ結果である。

 より効率よく、敵対者を抹殺する為の献策を、地球は躊躇なく採択している。

 

「ええい、ここまでとは聞いていないぞ、ガルマ!?」

 

 ゴジラ・フィリウスを壁兼矛先として進軍する連邦軍に対応する為、シャアは用立てられた赤いグフ・カスタムに乗り、どうにか地下格納庫をこじ開けて出撃し、罪人を燃やして責める地獄のような地上に降り立った。

 高名なエースであるシャアに続き、地下格納庫に居た為、被害を免れたJ型のザクⅡやグフA型、B型、マゼラアタック、ザクタンク、旧ザク、アッガイ、ゴッグ……と出撃可能な機体が次々と姿を見せる。

 

 精一杯の抵抗を見せるジオンに対し、地球連邦側に一切の手加減というものは存在しなかった。

 旧来の兵器は前には出ず、その代わり前面に出て、鈍重極まりないジオンに襲い掛かったのは、この戦いの為に揃えられた最新鋭のMS部隊だった。

 恐竜人類とハチュウ人類の協力と地下空洞の膨大な資源によって、急速に開発・製造・検証・改良が光速のシヴィライゼーションによって行われた結果、生産にこぎつけたジムⅡ、ジム・キャノンⅡで構成される部隊である。

 

 何年も先の未来で開発されるべき機体達は、まるでハンティングのように一方的にジオンのMSを駆逐して行く。

 この戦場でゴジラ・フィリウス達はシュレスの指示もあり、地球連邦軍に経験を積ませるべく、最初の熱線以降は極力攻撃を控えていた。

 

「連邦め、いったい、いつの間にこれほどの性能の機体を!?」

 

 ようやくエンジンが温まり出したグフ・カスタムで戦場を飛び回るシャアだったが、ガンダム並みの性能を持った量産機というインパクトは絶大で、一撃でこちらを撃破できるビームライフルを小隊単位で連射されては、さしもの彼も華々しい戦果を上げるのは困難を極めた。

 そんな彼のグフ・カスタムの左肩のスパイクを、彼方から飛来したビームが掠め、融解させる。悪い予感に従い着込んだパイロットスーツの下で、肌の泡立つ感覚に、シャアはマスクの下の表情を歪める。

 

「あれは、連邦はあの機体の新型まで開発しただと!!」

 

 グフ・カスタムのカメラアイが捉えたのは、運んでもらっていたアッシマーから飛び降りる、アムロのガンダムMk-Ⅱだった。

 これまでアムロが乗っていたガンダムは予備機としてホワイトベースの格納庫で眠り、カイやハヤト達もガンキャノンとガンタンクからジムスナイパーⅢやジム・キャノンⅡへと乗り換えて、大幅な戦力の増加に繋がっている。

 なおアッシマーのパイロットはセイラ・マスで、彼女の機体以外にもアッシマーの編隊がキャリフォルニアベースの上空を旋回している。

 一方、必殺を意識したビームを避けられたアムロは、特徴的なパーソナルカラーを纏ったジオンの新型を前に、直感的にパイロットが誰であるかを悟る。

 

「! あの新型に乗っているのはシャアか! しつこい奴!!」

 

 思えば故郷であるサイド7を襲撃し、幼馴染のフラウ・ボウの家族が死に、アムロも父を失ったのは全てシャアがサイド7を襲撃したからだ。

 ニューヤークで休養を取り、これまでの旅路を振り返って、諸悪の根源に思い至っていたアムロは、新たなガンダムと共に、赤い彗星を地に堕とすべく、容赦を捨てて襲い掛かるのだった。

 

*

 

 ジオン北米方面軍が壊滅の憂き目を見ている頃、日本列島の浅間山麓ではゲッター線を目当てに地球に潜伏していたインベーダー達が集結し、地球で最もゲッター線研究の進む早乙女研究所を襲っていた。

 襲っていたが、そのインベーダー達は圧倒的な暴力によってねじ伏せられ、汚らしい断末魔の悲鳴を上げている。

 

 三機のゲットマシンの組み合わせによって、陸海空を制覇するゲッターロボとそれを駆るゲッターチーム。そして彼らと共に戦う巨人達、ウルトラマンガイアとウルトラマンアグルが、インベーダーを有象無象の雑魚とばかりに蹴散らしているのだ。

 またゲッターロボと二体のウルトラマンを、奇々怪々な姿の怪獣達が援護しているのも特筆するべきだろう。

 

 インベーダーと誤認してしまいそうなそれらは、時にインベーダーそのものに擬態して同士討ちを演出し、体内に保有する、インベーダーのみに感染して同族へと変貌させるインサニアウイルスを放出していた。

 地球がインベーダーを解析し、作り上げた対インベーダー用怪獣『擬態獣』である。

 本来は『神魂合体ゴーダンナー!!』に登場する敵性生物だが、この世界では地球の産み出したインベーダーの敵であり、地球と人類の味方である。

 

 共に戦ったゲッターチームはというと、いかにも特撮に出てくる人類の味方らしい姿をしたガイアとアグルについては、頼もしさを抱いているくらいだが、インベーダースレスレのビジュアルと生態をしている擬態獣にはうへっという顔だ。

 ここら辺は地球のビジュアルセンスをどうにか矯正しない事には、今後も似たような事態が発生するだろう。

 

 地球が自分に降り注ぐゲッター線を、空間を歪めて浅間山近辺に降り注がせ、インベーダーの消毒を行っている頃、早乙女研究所の司令室では早乙女博士、コーウェン博士、スティンガー博士が戦闘の終息を悟り、ほっと安堵の息を吐いている。

 そして彼らの傍らには、ゲッター線の研究に於いてもっとも優れた三人に寄生されてはたまらないと、シュレスの姿もあった。

 

「ウルトラマンガイアとアグル、それに擬態獣達とゲッターの共闘。連携は拙いにしてもどうにか形にはなったな」

 

 インベーダーに寄生されておらず、またミチルが死んでいない事もあり、まともな早乙女博士は、ウルトラマン達を連れ、突如として姿を見せたシュレスを見ながら、そう話しかけた。

 褐色の肌に虹色の瞳を持った地球の端末は、早乙女博士の視線に答える事はせず、今回の戦闘結果をまずまずと評価している。彼女の意思と地球の意思は≒だが、双方どちらも百点満点中九十点は固い。

 

「貴方達の付けたガイアとアグル、そしてウルトラマンと言う名前は悪くない。私としてもそちらの名で呼ぼう。擬態獣という名称もあの子達の生態に適している」

 

 とまるで別の事を口にする。まだまだコミュニケーション能力には、難のある彼女だった。

 

「気に入ってくれたのなら幸いだ。しかし、ウルトラマンと擬態獣とではずいぶんと外見が違うな。なにか理由でも?」

 

「ウルトラマン達はあなた達風に言うのなら、ゴジラ・アースとバトラ・アースと同じハイエンドモデルだ。ゴジラ・アース達はあまりにも強くし過ぎたせいで、全力を出せば私自身にもダメージの及ぶ欠点を備える。

 それに対してガイアとアグルはより繊細なコントロールを可能としつつ、地球人類との連携を前提としたコンセプトで生み出した。

 彼らの姿はあなた達を模倣し、また親近感を抱きやすいように整えてある。確か、特撮映画と言ったか。あれらの娯楽作品に出てくるヒーロー像とやらを参照している。

 擬態獣はインベーダーをベースに怪獣のエッセンスを加えた結果だから、あまりあなた達にとって好ましくない見た目になってしまったかもしれない」

 

「味方であるのなら文句は言わんよ。しかし、わしらやゲッターには随分と手厚い保護をしてくれているが、光子力研究所とマジンガーにも何か手を? あちらも機械獣軍団に頻繁に襲われているのは、知っているだろう」

 

「あちらとこちらとでは地球にとっての事情が異なる。モスラ・フィリウスをはじめ、最低限の戦力は回してある。ゼウスに仮初の肉体を用意する方法も進めている。

 ゼウスにはジャパニウムを地球(私)に齎してくれた借りがある。ゼウスが、マジンガーに関わる人間達を認めるのならば、今以上の支援をすると決めている」

 

 この時代、日本列島はジオンの魔の手こそ伸びていないが、それ以上の激戦区となっていた。ゲッター線を狙うインベーダーとジャパニウムを狙うドクター・ヘルの軍団が、最優先目標として襲撃を繰り返していたからである。

 その点を憂慮した地球は、ジオン星人の駆逐に消極的なモスラ・フィリウスとモスラ・アース、更に怪獣とは別コンセプトの超戦力ウルトラマンガイアとアグル、擬態獣を重点的に配備して備えている。

 これだけで地球上の連邦軍とジオン全軍を撃退できる戦力だ。

 

 地球にとってジオン、インベーダー、ドクター・ヘルの中で、ドクター・ヘルに向けられたヘイトは他の二者に比べて随分と小さい。

 というのも地球のヘイトを稼いでいるのは、かつて地球を前線基地とした挙句、原住民を皆殺しにしようとしたオリュンポスの神々であり、反逆したゼウスによって封じられた彼らを解放しかねない点だからだ。

 

 もしドクター・ヘルがあしゅら男爵を復活させず、オリュンポスの神々の復活の芽を億に一つもない状況で世界征服を目指したなら、地球も我が子たる人類同士の縄張り争いとしてほぼ無視を決め込んだろう。

 だがかつてオリュンポスの神々がインベーダーを改造したケドラを利用し、神々復活の鍵であるあしゅら男爵を、対策を講じているとはいえ、重用している点はいただけない。

 加えて今の地球はコロニー落としによって、ガチギレ・バチギレ・ブチギレの好戦モードに入っている。平時なら見逃す暴挙も許せないのだ。

 

 ジオンと地球連邦の戦争はドクター・ヘルにとって、またとない好機だったが、同時にコロニー落としで修羅に入った地球を敵にするタイミングでもあったのが、この上ない不運であった。

 超合金Zを取り込み、光子力エネルギーまでも上乗せされたゴジラ軍団を相手にしなければならないなど、ドクター・ヘルがどんな天才であろうと予期できるわけもないのだから、仕方のない事ではあるけれど、彼にとってはなんの慰めにもならないだろう。

 

<終>

 

修羅モードの地球さんの対応

 

・妖魔帝国

・恐竜帝国

・邪魔大王国

・ミケーネ帝国

・百鬼帝国

 我が子同士の争いなので基本的には静観。ただし竜魔帝王、異次元産の貴様はダメだ。

 闇の帝王とブライについては出自により変化。

 地球にダメージが及ぶような行為を行ったら、即座に駆除対象。

 

・ジオン系列

 いわずもがな。公国の段階で滅ぼすので、直系の組織は存在させない。

 

・インベーダーをはじめ異星ならびに異世界、異次元の侵略者

 駆除。

 

・デュークなど友好的な異星人

 よく来たね。ちんすこう食べる? 牛乳と一緒に食べると美味しいよ。

 

・神ファミリーなど地球に帰化系異星人。

 もはや我が子も同然。庇護・観察対象。

 

・ゼウス

 地球人類に味方した+ジャパニウムを齎した(地球が勝手に取り込んだ)ことから、好感度は非常に高い。

 

・ゲッター線

 ゲッターガイアの二の舞にはならないからな。

 

地球の秘密。

・銀河有数の戦闘民族“地球人類”の母星である為、銀河有数の戦闘惑星だったりする。子が子なら、親も親なのだ。

 




シュレスについては
アーキタイプ・アース(第三臨・FGO)とゾーイ(グランブルーファンタジー)を足して二で割ったビジュアルをイメージしています。戦闘能力はそれに加えてグレートスピリッツ(シャーマンキング)を追加したくらい。
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